ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
屋根の上から、禽次郎がイーグルシューター50の引き金を引いた。
タタンッ、タタンッ!
緑のエネルギー弾が、速射でシザースの装甲に浴びせられる。だが、結果は――。
「マジかよ…」
俺は思わず呟いた。弾丸はシェルディフェンスに弾かれ、火花を散らすだけで、装甲に傷一つついていない。蟹の甲羅を模したあの盾は、イーグルシューター50の射撃を紙屑のように弾き返していたのだ。
「硬っ! なんだよこの甲羅、マジで鉄壁じゃん!」
禽次郎が屋根の上で舌打ちをする。だが、すぐに持ち直して、今度は連射モードへと切り替えた。
タタタタタタッ!
弾丸の雨が、シザースの上半身を覆蓋する。だが、シザースはシェルディフェンスを前に構えたまま、悠然と歩を進めてくる。一歩、また一歩。まるで、雨の中を傘をさして散歩するかのような余裕だ。
「効いてねえ…!」
遠距離からじゃ、あの盾に阻まれる。かといって近づけば、あの鋏で挟まれる…」
芹亜が、俺の横で戦況を分析している。彼女の瞳の奥で、金色の光が忙しなく明滅していた。
「どうする、禽次郎!」
俺が声を上げると、禽次郎は屋根の上を軽快に走りながら、射撃角度を変えた。今度は、シザースの足元を狙う。
タタンッ! タタンッ!
石畳が弾丸の衝撃で砕け、粉塵が舞う。だが、シザースは足を止めない。シェルディフェンスを前に構えたまま、粉塵の中から悠然と姿を現す。
「足元狙いもダメか。この蟹、マジで隙がねえ…」
禽次郎の声に、焦りが滲み始めていた。彼は再び跳躍し、今度は境内の石灯籠の上に着地した。高所を利用して、シザースの背後へ回り込もうとしているのだ。
「背中なら…!」
イーグルシューター50を構え直し、シザースの背中に照準を合わせる。だが、シザースは立ち止まると、シェルディフェンスを背中に回すように、身体を半回転させた。まるで、禽次郎の狙いを最初から読んでいたかのように。
「なっ…!」
「俺の先輩は、いつもこうしていた。舞台の上で、何があっても絶対に背中を見せなかった。どんなに追い詰められても、客席に顔を向け続けていたんだ」
シザースの声が、重く響いた。その声には、狂気と崇拝が入り混じった、不気味な熱量があった。
「だから俺も、背中は見せない。絶対にだ」
「先輩への片思いを甲羅に変換してんじゃねーよ!」
禽次郎が叫びながら、さらに弾丸を放つ。だが、すべてシェルディフェンスに弾かれる。弾かれ、弾かれ、また弾かれる。イーグルシューター50のエネルギー弾は、シザースの装甲に傷一つ残せない。
「ちっ、牽制しか効かねえ…!」
禽次郎は、舌打ちと共に石灯籠から飛び降りた。シザースのシザースピンチが、空を切り、石灯籠の頭部を粉砕する。もし、あれが当たっていたら――。
「おい、大丈夫か!」
俺が駆け寄ると、禽次郎は泥だらけになりながらも、すぐに立ち上がった。その手には、まだイーグルシューター50が握られている。だが、銃身がかすかに震えている。
「へいき、へいき。でも、あいつマジで硬すぎる。正面からじゃ、僕の弾丸じゃ抜けないよ」
シザースは、ゆっくりと、しかし確実に、俺たちの方へ向かってきている。あの歩みを止めることができない。
「遠くからじゃ割れない甲羅なら、直接叩き割るまでだ!」
禽次郎が、イーグルシューター50を下ろして叫んだ。その顔から、いつもの軽薄な笑みが消えている。代わりに浮かんでいるのは、パリピの本気だ。楽しんでいるようでいて、実は誰よりも勝負にこだわる。それがこいつだ。
禽次郎は、テガソードの操作でゴジュウイーグルの変身を解いた。緑の光が粒子となって飛び散り、元の高校生の姿に戻る。だが、彼は間髪入れずに懐から新たなライダーリングを取り出した。
「エンゲージ!」
『ライダーリング!アマゾンオメガ!』
テガソードの音声が響いた瞬間、禽次郎の全身が緑色の粘液のようなエネルギーに包まれた。それは、まるで細胞が分裂・増殖するかのように、不気味で、それでいて力強い光だ。
ドロリとした光が凝固し、荒々しい装甲が形成されていく。緑と赤の斑点が浮かぶ外皮。頭部には、昆虫の複眼を思わせる大型のバイザー。背部からは、触手のようにしなやかなブレードが伸びている。
「うわ、なんかエグい変身…」
朱莉が、思わず声を漏らした。そりゃそうだ。ゴジュウイーグルのスマートな装甲とは真逆の、野性味溢れる異形の姿なのだから。
「仮面ライダーアマゾンオメガ…!」
芹亜が、驚いたように目を見開く。
変身を完了した禽次郎は、地面に四つん這いになった。まるで、獲物を狙う蜘蛛か、あるいは野獣のように。その構えは、さっきまでの軽快な鳥の動きとはまるで違う。もっと粘り強く、ねっとりと、相手に張り付くような動きだ。
「さあ、第二幕。蟹の甲羅剥ぎの時間だ」
禽次郎の声は、アマゾンオメガのバイザーの下で、低く湿った響きに変わっていた。だが、その口調には、いつものふざけた調子が残っている。
「痛くはないよ。あっと言う間に終わるさ」
彼は、地面を蹴って跳躍した。鳥のように高くではなく、獣のように低く、シザースの懐へと飛び込んでいく。