ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
アマゾンオメガへと変身した禽次郎の動きは、さっきまでとは別物だった。
ゴジュウイーグルの時は空を飛ぶ鳥のように軽やかだった。だが今は、地面を這う獣のように低く、そして粘り強い。四つん這いの姿勢から一気に踏み込み、シザースの懐へと潜り込んでいく。まるで、獲物に絡みつく蔦のような動きだ。
「遅い!」
シザースが叫び、右腕のシザースピンチを横薙ぎに振るった。巨大な鋏が風を切り裂き、禽次郎の頭上へと落下する。まともに食らえば、ひとたまりもない重撃だ。
だが。
「そぉれっ!」
禽次郎は、一瞬で姿勢を低くした。まるでゴムまりのように地面に手をつき、バク転のような動作でシザースピンチを躱す。鋏が地面を叩きつけ、石畳が粉砕される轟音。しかし、禽次郎は既にシザースの背後へと回り込んでいた。
「くそっ、どこへ行った!」
シザースが焦ったように振り返ろうとする。だが、奴のフルアームズは守りの堅さと引き換えに、機動力を犠牲にしている。重厚な装甲と盾が、回転を鈍くさせているのだ。
「ここだよ!」
声がしたのは、上からだった。
俺が見上げると、禽次郎は空中で体を捻り、シザースの背中へと軽々と飛び乗っていた。まるでトレーニングジムの鉄棒に飛びつくかのような、無駄のない動きだ。
「なっ…!」
シザースが狼狽える。背中に乗られたことで、シェルディフェンスを回すこともできない。もがけばもがくほど、装甲の隙間からアマゾンオメガの緑の爪が食い込んでいく。
「おいおい、蟹さん。甲羅の上は居心地いいねぇ」
禽次郎の声には、余裕があった。いや、余裕というよりは、状況を楽しんでいるような響きだ。あいつ、こういう時だけは腹が立つほど度胸がある。
「落ちろォォッ!」
シザースは背中を壁に押し付けようと後退した。
「くそっ、離れろォォッ!」
シザースは、背中を境内の石壁に押し付けようと後退した。だが、禽次郎はそう簡単には振り落とされない。アマゾンオメガの粘着質な身体能力は、まるで吸盤のようにシザースの装甲に張り付いている。
「へへっ、そんなんじゃ振り落とせないって!」
禽次郎は、シザースの背中にしがみついたまま、両手の爪を肩の装甲に食い込ませた。そして、力任せに引き剥がそうとする。
「うおおおっ!」
腕の筋肉が膨張し、アマゾンの爪がギリギリと音を立てる。だが――。
「硬っ!」
シザースの装甲は、ビクともしなかった。フルアームズによって展開された武装は、ただ硬いだけじゃない。物理的な衝撃を分散させる構造になっているらしい。力任せに引っ張ったところで、相手にするのは愚の骨頂だ。
(馬鹿、それじゃあプレス機じゃねえんだから剥がれるわけねえだろ)
俺は内心でツッコミを入れながら、戦況を見守った。
禽次郎もすぐにそれに気づいたようだ。彼は一旦力を抜き、爪を引き抜くと、今度は装甲の表面ではなく、その隙間に指を這わせ始めた。
「なるほどね…力比べじゃ勝てないってことか」
アマゾンオメガのバイザーの奥で、禽次郎の目が光る。彼はシザースの肩装甲と胸部装甲の境界線、わずかに生じた隙間に狙いを定めた。
「剥がすなら、上からじゃなくて、下からだ!」
ズブッ!
鋭い爪が、装甲の隙間にねじ込まれた。装甲の表面を叩くのとは違う。関節や継ぎ目といった急所への正確無比な一撃だ。シザースが悲鳴を上げる。
「ぐあっ…!」
「あった、隙間!」
禽次郎は隙間を見つけると、容赦なく爪を食い込ませ、一気に引き上げた。バキッ、メキッという不快な音が響き、シザースの肩装甲が無理やりねじ切られる。
「てめえ、俺の装甲がぁぁ!」
「蟹の甲羅剥ぎってのは、こうやるんだよ!」
さらに禽次郎は、剥がした隙間からもう片方の手を突っ込み、シザースピンチの接続部を掴んだ。そして、またしても一気に引き剥がす。
「しまっ…!」
シザースは慌ててシェルディフェンスで防御しようとしたが、剥がされた隙間からアマゾンの爪が食い込み、その動きを封じた。
「さあ、裸の蟹さん。次はどっち?」
禽次郎が、剥がした装甲を放り捨てて、さらに追撃をかけようと身構えた。シザースの装甲は、すでに半分以上が剥がれ落ち、無防備な素体がむき出しになり始めていた。