ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
「俺の、俺のフルアームズがぁぁぁッ!」
シザースが絶叫する。まるで脱皮に失敗した蝉のように、剥き出しになった素体がむき出しになっている。うわ、ちょっとトラウマになりそうな見た目だ。蟹のむき身って、料理としては高級品だけど、動いてる生き物として見ると結構エグい。
「うるせえ! うるせえうるせえうるせえ!」
シザースは狂ったように叫ぶと、残った左腕のシザースピンチを振り回し始めた。もはや狙いも何もない、ただの癇癪持ちの暴れん坊だ。周囲の石灯籠や地面が、巨大な鋏に叩き壊されて砕片が飛び散る。
「危ねえな!」
俺は慌てて芹亜と朱莉を庇って下がる。あんなのをお構いなしに振り回されたら、巻き添えを食らって俺たちがミンチになりかねない。
だが、禽次郎は焦る様子もない。むしろ、暴れる獲物を目の前にした猛獣のように、バイザーの奥で目を輝かせているのがわかるような気配だ。
「どこ見て切ってんのさ、蟹さん!」
禽次郎が四つん這いのまま、バネ仕掛けのように左右へと跳躍する。
右へ、左へ、さらに背後へ。
シザースの攻撃は空を切り、鋭い風圧だけが禽次郎の頬を撫でる。
(動きが変わったな……)
さっきまでの銃撃戦とはまるで違う。イーグルの時は空からの一撃離脱、クールなスナイパーだった。だが今は徹底的に地上で、相手の懐に潛り込んで噛み付くスタイル。これが、アマゾンオメガの戦い方なのか……。
「ここだよっ!」
左腕の大振りを見切った禽次郎が、シザースの胴体へとピタリと張り付いた。
そして、ズブリ、と鋭い右足の爪を脇腹の装甲に突き立てる。
「ギャアアアッ!」
「あー、そこ削げちゃうよ?」
軽口を叩きながら、禽次郎の両手は休むことなく動く。
バキッ、バリッ!
同じ箇所を削るのではなく、あちこちの装甲の隙間に爪をねじ込み、強引にこじ開けていく。まるで、器用に貝を割るカモメだ。いや、もっと執拗で残酷だ。休みなく獲物を弄ぶ、腹黒な猫みたいじゃないか。
「剥がす剥がす剥がすー!」
禽次郎の奇声と共に、シザースの装甲が次々と土砂崩れのように剥がれ落ちていく。
胸部のプレート。太もものガード。背中のパーツ。
あっという間に、シザースの体はボロボロのボロ雑巾……いや、鎧を剥がされたただの虫ケラへと成り下がった。
「あ、ああ……先輩の、背中を見せない鉄壁の防御が……」
シザースの動きが止まる。あまりにも呆気なく、そして悲惨に、フルアームズという名の甲羅は消し飛んだのだ。残ったのは、剥き出しの神経が見えそうなほど無防備な、弱々しい素体だけ。
「はい、終わりー」
禽次郎が、のそのそと立ち上がる。その姿は、獲物を甚振り尽くした後の捕食者そのものだった。
「お前、なんか色々とヤバイぞ」
「どうもこの姿、漲る活力があるからな」
どうやら、今のあいつは変身している力に引っ張られている感じがするな。