ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
「ふひひっ! 私の名前はアルバート・ゾルーク! 歴史の影を紡ぐ者、いや、新たな英雄を創る者だ!」
男は壊れたラジオみたいに喋り続ける。割れた眼鏡の奥で、狂気が爛々と光っていた。
「英雄とは、強い者を意味する言葉ではない! 時代が人々へ求めた答えなのだ! ならば、私はその答えそのものになる! 多くの者に認められる英雄に!」
英雄だぁ? こいつが?
「てめえみたいなキチガイを英雄と呼ぶ世の中なんざ、ごめんだな」
俺は吐き捨てるように言った。
「口が悪いな。だが、構わぬさ。英雄への道は、常に愚者に阻まれるもの」
アルバートは義経の刀を地面に突き立てた。刀身から黒い霧が噴き出し、それが男の手元にある何かへと吸い込まれていく。
「見るがいい! これが歴史の重みだ!」
男が取り出したのは、懐中時計のようなアイテムだった。紫と金の装飾が施された、ライドウォッチ。
「その時計…!」
杏子が叫ぶ。
「やっぱり持ってたんですね!」
「これはルパンライドウォッチ。怪盗紳士の力を宿す時計だ。だが、私は盗みなどせぬ。奪い取り、そして自らがその座に就く!」
アルバートはウォッチを起動した。
『ルパン!』
電子音声が響き渡る。男はジクウドライバーにウォッチを装填する。
「変身!」
紫の煙が爆発的に噴き出した。まるでステージマジックのように視界が遮られる。煙の中で、男の姿が変わっていく。白衣が消え、代わりに紫と黒の装甲が身体を覆う。シルクハット型の頭部。背後に翻るマント。
「仮面ライダールパン。悪党諸君、今夜はあなた方の勝利を頂戴します」
紫の煙が晴れたそこに立っていたのは、怪盗を模した仮面ライダーだった。
「仮面ライダー…!」
俺は舌打ちした。やっぱりか。こいつが持っていたのは、ただのオカルト品じゃねえ。歴史を弄ぶ力だ。
「へえ、随分と気取った格好じゃねえか」
俺はテガソードに手をかけた。
「そのおしゃべりな口、塞いでやるよ」
「やってみるがいい。だが、私の勝利は約束されている。なぜなら私は英雄だからだ!」
ルパンは銃口を俺たちに向けた。
「来い! ハイクラスな名探偵に、野良犬に、そして探偵見習い!」
「犬じゃねえって言ってんだろ!」
「やってみるがいい」と言い放ったルパンの銃口が、俺の眉間を捉えた。俺はテガソードを抜き放ち、地面を蹴ろうとした、その時だ。
「待ってください!」
杏子の声が、割って入った。
「おいガキ、下がってろ! これはガキの遊びじゃねえんだ!」
俺は怒鳴った。だが、杏子は下がらなかった。その代わりに、彼女は懐から何かを取り出したのだ。
それはライドウォッチ。
「あいつも…!」
俺は目を見開いた。まさか、あの探偵ごっこのガキが?
杏子は迷いなく、そのアイテムを起動した。
「私も、知りたいんです。真の仮面ライダーって何なのか」
杏子は腰にベルトを装着した。ジクウドライバー。その左右に、二つのライドウォッチを同時に差し込む。
「変身!」
彼女が叫び、ドライバーが回転する。
『ライダータイム!仮面ライダーW!』
爆風が巻き起こった。まるで台風のような突風が境内を吹き荒れ、落ち葉と砂塵が舞い上がる。その風の中心で、杏子の姿が変わっていく。
風を纏った緑の右半身。闇を纏った黒い左半身。二つの力が一人の少女の体でねじれ、融合していく。通常なら二人で一つになるはずの仮面ライダーWを、彼女は単独で強引に成立させている。その負荷は計り知れないはずだが、変身した姿に揺らぎはない。
紫煙が晴れたそこに立っていたのは、緑と黒に染まった二人組(ひとり)の戦士だった。
「なっ…!」
ルパンが言葉を失う。
「ガキが…!」俺は思わず呻いた。「一人であの力を使うたぁ、命知らずにも程があるぞ!」
だが、Wは俺の心配など聞こえないかのように、ルパンを指差した。
「あなたは英雄になりたいと言った。でも、その力は誰かの痛みの上に成り立ってる!」
声は杏子のものだ。だが、そこにはもう一人の意志が混じっているような、そんな二重の響きがあった。
「園田杏子。いや、仮面ライダーW…」
ルパンは銃を構え直した。
「英雄への道を阻むか。ならば、あなた方も私の敗北という歴史の一部になるのだ!」
「やってみなさい!」
Wが構える。緑の右手から風が渦巻き、黒の左手から闇が滲み出る。
「ちっ、仕方ねえな!」
俺はテガソードを構え直した。
「角乃! 瑠衣! 行くぞ!」
「わかってるわよ! 犬のくせに命令しないで!」
「瑠衣も、やる」
四人の戦士と一人の怪盗。朽ちた社で、歴史を賭けた戦いが始まろうとしていた。