ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
廃遊園地の入り口は、錆びついた鉄柵が口を開けて待ち構えていた。門柱に残るペンキ剥げたキャラクターの絵が暗闇の中で歪んで見える。夜風が吹くたびにどこかで「ギィーッ」と錆びた金属が擦れる音がする。
「うぅ…」
芹亜が俺の後ろにピタリと張り付いてきた。その手が俺の服の裾をギュッと掴んでいる。
「なぁ芹亜。お前離れてくれねえと歩きづれえんだよ」
「いやです! 絶対何か出ますって! ほらあそこ! 回転木馬の影! 馬がこっち見てました!」
「ただの木偶の坊だろ! 目なんてついてねえよ!」
俺は声を荒げた。だが内心は穏やかじゃなかった。チッ、なんでこんな場所に限って風が吹き抜けるんだ? 木々がざわめく音がまるで誰かの囁きみたいに聞こえて仕方がない。
俺は無意識にテガソードに手を伸ばしかけ慌てて引っ込めた。馬鹿馬鹿しい。ここには敵はいねえ。いるとしたら野良猫か野良犬くらいだ。
「ふん…俺は怖くねえぞ。こんなのただの廃墟だ」
俺は肩を怒らせて一歩踏み出した。だが足元から「バキッ」と枝を踏む音が響き俺はビクリと肩を震わせてしまった。
「あらあら」
背後から呆れ返ったような声がした。凛空だ。彼女は車のライトを消し懐中電灯を片手に歩み寄ってくる。その顔には面白がるような笑みが張り付いていた。
「普段はグレート・ゴーストとかなんとか言ってド派手な幽霊と殴り合ってるくせに何よその怯えようは」
「怯えてねえよ! 驚いただけだ!」
俺は振り返って怒鳴った。
「そうそうです! 吠さんは全然怖くないんです! 私だけが怖いんです!」
芹亜も必死に俺の強がりに乗っかる。だがその声は上擦りまくっているし俺の服を掴む手の力は強くなる一方だ。
「あらそう。じゃあ何? 吠くん今肩震わせたのは寒暖差のせい? 芹亜ちゃんが私の後ろに隠れようとしてるのも気のせい?」
ぐうの音も出ねえ。図星すぎる。
「うるせえな! ゴーストはわかるから戦えるんだよ! 姿もねえ気配もねえのに後ろから手ぇ出される方が嫌なんだよ!」
「それなんでしたら芹亜ちゃんの方がよっぽど詳しいはずじゃない。霊感あるんでしょう?」
凛空の言葉に芹亜が「ひぃっ!」と小さな悲鳴を上げた。
「あるからこそダメなんです! 何かいるかもしれない予感がするだけで足がすくむんです!」
「まあいいわ。二人まとめて私の後ろにいなさい。ハンドル握ってる間は私が守ってあげるから」
凛空はそう言って懐中電灯で前方を照らした。光の中に浮かび上がったのは色褪せたメリーゴーランドと草木に埋もれた売店の跡。
「……俺は後ろでもいいけどよ」
「私も後ろがいいです!」
俺たちは顔を見合わせ同時に頷いた。プライドなんてこの際狗に食わせちまえ。見えない恐怖に立ち向かうくらいなら凛空の背中の方がよっぽど安心できる。