ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
「ちっ、何体倒してもきりがねえ!」
俺はテガソードで迫る影を薙ぎ払いながら舌打ちした。ピエロの仮面、木馬、コートの男。形を変えて湧き出てくるこいつらは、誰かが操ってるに違いねえ。
俺は鼻をひくつかせた。ゴジュウウルフの嗅覚は、ただの匂いだけじゃねえ。霊的な気配まで嗅ぎ分けることができる。腐った木の匂い、錆びた鉄の匂い、そしてその奥に混じる……生臭い匂い。
「いた…!」
匂いの糸をたどると、それは空へ伸びていた。観覧車だ。あの巨大な錆びついた鉄の輪の、一番頂上。そこから黒い霧が滝のように流れ落ちている。
「あそこかよ!」
俺は地を蹴った。影の攻撃を紙一重でかわし、観覧車の支柱に飛びつく。錆びた鉄骨を足場に、一気に駆け上がる。風が耳元で唸るが、構いちゃいられねえ。
頂上のゴンドラに手をかけ、中を覗き込む。
「てめえが黒幕か…!」
叫びかけた俺の声が、途中で詰まった。
そこにいたのは、女だった。黒いドレスをまとった女だが、その目は虚ろで口からは言葉にならない呻き声を漏らしているだけ。女の背後には、醜く歪んだ怨霊の影がへばりつき、無理やり彼女の体を操って黒い霧を吐き出させている。
「操られてやがったか…!」
女は気づいていない。俺が目の前にいることも、自分が何をしているのかも。ただの人形だ。
怨霊が女の口を通じて、甲高い笑い声を上げようとした。
「笑うな!」
俺はテガソードを振るう…いや、違う。刃じゃねえ。柄の底だ。
「大人しく寝てろ!」
ドン!
腹の底に柄頭を叩き込む。霊を切り裂くんじゃねえ。あくまで人間を気絶させるだけの手加減した一撃。
女は「あ…」と短く声を漏らし、糸が切れたように崩れ落ちた。背後の怨霊の影も、バシャリと音を立てて霧散する。
俺は倒れかけた女の体を片手で抱きとめた。軽い。まるで羽みたいだ。
「チッ、手のかかる奴だな」
悪態をつきながら、俺はゴンドラから飛び降りた。地上まではかなりの高さだが、ゴジュウウルフの脚力なら着地も容易い。
ズシン!
土煙を上げ、俺は地上に降り立った。腕の中の女は、気を失ってぐったりとしているが、息はある。暴走していた霊力も収まっているようだ。
「無事か?」
駆け寄ってきた芹亜と凛空に、俺は女を無造作に差し出した。
「原因はこいつだ。怨霊に憑かれて操られてた」
そうしていると、凛空は、その女を見ると驚きを隠せない表情だった。
「奈緒っ」
「えっ」「なんだ!?」
その反応を見て、俺達は思わず声を出す。
「知り合いなのか?」
「私の後輩よ」