ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
朝の寺は、意外なほど平和だ。
庫裡から漂う味噌汁の匂いに、縁側から聞こえる鳥のさえずり。昨夜のあの悪夢のような戦いが、まるで嘘だったかのように思える。俺は箸を割り、焼き魚の身をほぐしながら、向かいに座る芹亜の顔をチラリと見た。彼女はまだ顔色が優れねえが、少なくとも喉を押さえて苦しむような真似はしていない。
「おはようございます、吠さん」
芹亜が小さく微笑む。その声に黒い霧は混じっていなかった。
「ああ」
俺は短く返して茶椀を持ち上げた。
その時だ。
ズズズ…と、妙な音がした。建物全体が低く震えたような、あるいは空気が急激に冷やされたような、そんな肌寒い振動が床板を伝って足裏を撫でる。
「なに? 今の」
角乃が味噌汁を啜るのを止め、眉をひそめた。
「地震?」
禽次郎がトーストを口にくわえたまま首を傾げる。
違う。地震じゃねえ。この感覚には覚えがある。夢の中で俺を助けたあの冷気。あの男の気配だ。
「チッ」
俺は箸を置いた。
「どうしたの? 吠くん」
陸王が冷静な目で俺を見る。
「客だ。面倒なのが来るぞ」
バン!
躊躇なく、廊下側の襖が乱暴に開け放たれた。
冷気がドッと流入する。まるで冷蔵庫の扉をこじ開けたみたいに、庫裡の空気が一瞬で白く濁った。
そこに立っていたのは、左腕のない男だった。
右の手で器用に握りしめた蜂蜜の棒を口に含み、欠けた左肩をポンと叩く。
「ほぅ、ここか」
「えっ!?あなたって夢の中で出た!?」「誰だこいつは!?」
いきなり出てきた事に乃亜を含めた奴らは驚きの声を出す。
だが、陸王を含めた面々は。
「あぁ、やっぱり来たんだ」「何時か来るとは思ったが、遅かったな」「やっ熊たん!良かったら食べていくかい!」「はぁ、頭が痛くなるわ」
俺も呆れながら、味噌汁を啜った。
「熊手。茶椀持ってねえなら自分でよそえよ」
「ふん、二代目。愛想のねえやつだな」
熊手は遠慮という言葉を辞書から抹消したみたいに、空いていた席にドカリと腰を下ろした。左の袖がヒラヒラと揺れるのもお構いなしに、右の手だけで器用に箸を操り、俺の前にあった焼き魚の皿を引き寄せる。
「おい、それは俺の……」
「神への供物だ。感謝して食ってやるぜ」
「相変わらずだな、それで、お前はなんでここにいるんだ?」
「・・・そうだな、お前達にも関係ある話だからな」
「なんだ?」
それと共に、俺達は聞く。
「・・・この世界にて、ある物が原因で新たな厄災になる可能性がある」
「ある物?」
「・・・ノーワンワールドで、その存在が厄災になる可能性があると推測される」
「のーわんわーるど?」
それには、芹亜達は疑問に首を傾げる。
だが、ノーワンワールドという言葉を聞いて、それが何か、理解してしまった。
「miucsか」