ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦   作:ボルメテウスさん

133 / 133
悪魔な双子

数日後、俺は相変わらずこの寺の境内で無駄な時間を過ごしていた。

 

午後の日差しが境内の石段を暖め、微かに木枯らしが吹き抜ける。参拝客なんていやしねえ。あるのは、鳥居の前で仁王立ちし、左の袖を風に遊ばせている偏屈な先代だけだ。

 

「おい熊手、いつまで突っ立ってるつもりだ? 置物にでもなりてえのか」

 

俺は縁側に腰掛け、手持ち無沙汰に爪を研いでいた。熊手真白は、石段の一番上に鎮座し、見下ろすように腕組みをしている。右の手だけで器用に顎を撫で、欠けた左肩を風に晒すその姿は、とにかく目立つ。神ってのはこうしてドンと構えてるもんだとでも言いたげだ。

 

「ふん、静寂を守るのも神の務めだ。世直し料を待ってる奴が現れるまで動かねえよ」

 

「いつまで待つ気だよ」

 

呆れてため息をついた時だった。

 

ザッ、ザッ、ザッ。

 

規則正しい足音が境内に響いた。石段を登ってくる者がいる。足音は二つ。しかも揃っている。

 

俺は顔を上げた。熊手もまた、右だけで眉を上げた。

 

現れたのは、女二人だった。

 

揃いの朱色の着物に、黒い袴。顔立ちも背格好も、鏡を見ているかのようにそっくりだ。双子だ。ただし、雰囲気がまるで違う。

 

片方は、腰を真っ直ぐに伸ばし、凛とした眼差しでこちらを見据えている。もう片方は、少し猫背気味に、興味深そうにきょろきょろと境内を見回している。

 

「誰だあれ?」俺は思わず呟いた。「観光客にしちゃ、身なりが特色すぎる」

 

「ふん、匂いは…一般客じゃねえな」熊手が鼻を鳴らした。

 

双子は石段を登りきり、熊手の前でピタリと足を止めた。凛とした方が一歩前に出る。

 

「こんにちは。あなたが、ここの神様ですか?」

 

礼儀正しい口調だ。だが、その瞳にはただの挨拶以上の、鋭い光が宿っていた。

 

「神様ねえ…まあ否定はしねえが」熊手が右だけで髪をかき上げる。「俺様は熊手真白。人呼んでゴッドネス熊手。神をも恐れぬ世直し人だ」

 

「世直し人…ですか」凛とした方が小さく呟く。

 

「あたしらも世直しっていうか、願いを叶えに来たんです!」

 

猫背気味のもう片方が、明るい声で割り込んだ。「ねえねえ姉ちゃん、この人本当に強いの? あたしらの相手になる?」

 

「律花、失礼よ」凛とした方がたしなめる。「初対面で那津見(なつみ)みたいなこと言わないの」

 

「へへへ、ごめんごめん」

 

那津見? どっかの方言か? いや、それよりこいつら、ただ者じゃねえ。

 

「おいお前ら」俺は縁側から降り、二人の前に立った。「ただの参拝客じゃなさそうだな。何の用だ?」

 

凛とした方が俺の方を向き、一礼した。

 

「失礼しました。私が姉の水無月六花(みなずき りっか)。そしてそそっかしいのが妹の律花(りつか)です」

 

「そそっかしくないもーん! あたしはお調子者だもーん!」律花が舌を出す。

 

六花と律花。水無月姉妹か。

 

「水無月六花です」六花はもう一度名乗り、今度は強い決意を瞳に宿した。「私たちは、昏睡状態の妹を目覚めさせるために来ました」

 

「妹…?」俺は眉をひそめた。「お前らも双子だろ? 他に妹がいるのか?」

 

「はい。10歳離れた妹が…那津見がいます」六花の声が少し震えた。「両親は交通事故で亡くなり、那津見もその影響で…ずっと眠ったままなんです」

 

「だからあたしら、那津見を助けたいんです!」律花の明るかった声が、一転して真剣なものになった。「なんとしても!」

 

俺は胸の奥が締め付けられるような感覚になった。家族を失い、残された家族を救うためなら何でもする。その想いは痛いほどわかる。俺には家族なんていなかったが、芹亜やこの寺の連中を守りたいって気持ちは、それに近いかもしれねえ。

 

「それは…大変だな」俺は短く言った。「だが、それを俺たちに言いに来たってことは…」

 

六花は口元を引き締め、懐から何かを取り出した。律花もまた、同じ動作で懐に手を入れる。

 

「私たちも参加します」六花が宣言した。「ライドウォッチ争奪戦に!」

 

「あたしらが勝ち残って、那津見を助けるんです!」律花が拳を握りしめる。

 

「争奪戦…」俺は舌打ちした。またか。俺たちを巻き込んで、願いを叶えようって魂胆か。

 

「お前ら、ライドウォッチを持ってるのか?」

 

六花が掲げたのは、赤いティラノサウルスの意匠が入った時計。リバイライドウォッチ。対する律花が掲げたのは、青い悪魔の意匠の時計。バイスライドウォッチ。

 

「水無月六花、仮面ライダーリバ!」

 

「水無月律花、仮面ライダーバイス!」

 

二人は同時にウォッチを起動し、腰のドライバーに装填した。

 

『リバイ!』『バイス!』

 

電子音声が重なり、朱色と青白い光が境内を照らす。

 

「あんたたちの指輪もライドウォッチも、全部いただく!」

 

六花がリバイスラッシャーを抜き放ち、俺たちに向けた。

 

「那津見のために、勝負です!」

 

「へっ、面白れえ」熊手が右のグーデバーンを掲げ、不敵に笑った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。