ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
「ここでは他の人に迷惑がかかる!」
六花の声が境内に響いた。リバイスラッシャーの切っ先を俺たちに向けたまま、彼女は真剣な眼差しで訴えてくる。その背後で、律花が「じゃあ山頂なら派手にやれる!」と無邪気に叫んだ。この姉妹、性格真逆だな。
「…チッ、いいだろう」熊手が右だけで髪をかき上げた。「境内が壊れちゃ世話がねえからな。場所変えっぞ、二代目」
「ああ」俺はテガソードを構え直した。「おい双子、ついてこいよ!」
俺たちは寺の裏山を駆け上がった。傾斜はきつく、足場は悪い。腐葉土と苔で滑りそうになるがゴジュウウルフの脚力がそれを補う。熊手も左腕がないハンデなど微塵も感じさせない軽快なステップで木々の間を抜けていく。
山頂に到着した。そこは見晴らしの良い岩場だった。下界の灯りが遠く見える。風が強く、マントや袖をバタバタと打ち付ける。
「ここなら!」律花が着地するなり、リバイスラッシャーを構えた。
「行くよ、律花!」
「おうさ、姉ちゃん!」
リバイとバイスが左右に分かれた。まるで鏡合わせのような動きだ。六花が右、律花が左。俺たちを挟み込む陣形だ。
「視覚共有…!」俺は舌打ちした。こいつら、互いの見ているものを共有している。俺たちの動きは筒抜けってわけか。
「おいおい、コピー人形か? オリジナルの美少女双子だよ!」律花がヘラヘラと笑う。
「コピーだのなんだの、無駄口叩いてる暇ありますか!」六花が鋭く叫び、地面を蹴った。
速い! ティラノの脚による強化された脚力が岩肌を砕き、六花が一気に間合いを詰めてくる。リバイスラッシャーの刃が俺の首元を狙う。
「しまっ…」
「二代目!」
熊手が動いた。右のグーデバーンでリバイスラッシャーを受け流す。金属音が山頂に響き渡る。
「お前の相手は俺様だぜ、姉ちゃん!」
「邪魔しないで!」六花が怒鳴り、熊手の左側――腕のない側へ回り込もうとする。
そこだ。熊手の左側はがら空きだ。通常ならそこを狙われるのがオチだが。
「てめえの左は俺がカバーする!」
俺は熊手の左背後に滑り込んだ。テガソードを横薙ぎに振るい、六花の進路を塞ぐ。
「退いて!」
「退くかよ!」
六花のキックが俺のガードを砕く。重い。ティラノサウルスの脚力は伊達じゃねえ。骨がきしむ衝撃が腕を伝ってくる。
その隙を突いて、右側から律花が狙っていた。
「遅い遅い!あたしの尻尾火炎放射も忘れないでよね!」
バイスの尻尾から紅蓮の炎が噴き出す。狙いは俺じゃない。熊手だ。
「ふん、熱い熱い!」熊手は右のグーデバーンで氷の壁を作り炎を防ぐ。だが熱量に負け氷が溶け始める。水蒸気が立ち込め視界が奪われる。
「チッ、視界不良だと都合がいいのはどっちだ?」
視覚共有を持つこいつらには関係ねえか。
「当たり! 炎の霧の中でもあたしらには見えてるんだよ!」
律花の声が霧の中から聞こえる。同時に六花の気配が近づく。
「もらった!」
六花のキックが霧を裂いて飛んできた。狙いは熊手の左脇腹。
「しまっ…」
「させねえよ!」
俺は体ごと熊手の左側にぶつかり、彼を押し倒した。六花の蹴りが空を切り、岩場を砕く。
「二人とも仲良しね!」
律花が嘲笑う。
「うるせえ!」
俺と熊手は同時に立ち上がった。
「お前が右なら俺は左だけで十分だ」と熊手がニヤリと笑う。
「減らず口を!」
「っしゃ! 次はこっちの番だぜ!」
熊手が右のグーデバーンを地面に叩きつけた。冷気が爆発的に広がり足元の岩場ごと凍らせていく。山頂の地形が変わり、滑りやすい岩場が氷の平原へと変わる。
「うわっ、ツルツルする!」律花が足を取られる。
「律花、バランス!」六花が支える。
「今だ二代目!」
俺はテガソードを構え走った。氷の足場を滑るように加速し、バランスを崩した律花へ肉薄する。
「あたしの相手はそっちじゃないんでしょ!」
「うるせえ、まずは数を減らすんだよ!」
テガソードとリバイスラッシャーが火花を散らす。律花は軽口を叩きながらも反応がいい。だが足場は俺の味方だ。氷の上での戦いは、獣みたいに低く構える俺の方が有利だ。
「くっ、滑る…!」
律花が体勢を崩したその瞬間、俺はテガソードを振り抜いた。刃がバイスの尻尾を掠め火炎放射の角度を逸らす。
「姉ちゃん!」
六花が叫び俺の背後へ回り込もうとする。だがそこは熊手の領域だ。
「おっとそうはいかねえぜ」
熊手の右フックが六花の進路を塞ぐ。視覚共有で背後の状況は筒抜けのはずだが、熊手の拳速が読みを上回る。
「次はこっちの番だぜ!」