ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦   作:ボルメテウスさん

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極限探偵

エターナルの腕が伸びた。

 

ルナの力だ。空間がねじ曲がるみたいに、白いコートの裾が腕が、あり得ねえ距離まで伸びて俺を襲う。

 

速い。だが見える。

 

俺はテガソードを横に振った。金色の刃が伸びた腕を弾く。だが弾いただけで切れねえ。ルナの力は物理法則を無視してる。斬撃が通じるかどうかわからねえ。

 

(じゃあ通じるまで叩き切るだけだ)

 

俺は地面を蹴った。低い姿勢。獣の構え。ワイルドゴジュウウルフの赤い装甲が夕日を弾く。

 

右手にテガソード。左手にオルカブースター5050。シャチ型の銃だ。赤を基調に金銀の装飾。尾がグリップで頭部が銃口。こいつは俺の相棒だ。

 

「うらあっ!」

 

テガソードを振り下ろす。上段からの一撃。エターナルは金属化した腕で受けた。メタルの力だ。甲高い音が駐車場に響く。だが構わねえ。受け止められたなら、そこに隙ができる。

 

オルカブースター5050の銃口をエターナルの腹部に押し当てた。零距離。

 

ドォン!

 

砲撃が放たれた。赤い光弾がエターナルの腹部を直撃する。メタルの装甲が砕ける。いな砕けなかった。だが衝撃は通った。エターナルの身体が後方へ揺らぐ。

 

「ぐっ…!」

 

隼人の声が初めて苦悶を含んだ。

 

(効く)

 

メタルの防御力を砕くには火力が足りねえ。だが衝撃は通る。内側への衝撃だ。防御力の高い装甲でも中身への衝撃までは消せない。

 

俺は追撃に入った。テガソードを引きオルカブースターで再度砲撃。二発目。三発目。ドンドンドン。赤い光弾が夕暮れの駐車場に閃光を走らせる。

 

エターナルが後退る。メモリを切り替えた。ヒートだ。炎の拳がオルカブースターの銃口を弾きに来る。

 

俺は銃を引いた。炎の拳が空を切る。同時にテガソードを横薙ぎに振るう。炎の腕を斬り払う。刃が熱い。ヒートの力が刃を焦がす。だが切った。炎の腕が途切れエターナルがよろめく。

 

「まだだ!」

 

俺は吼えた。遠吠えみたいに喉の奥から絞り出した叫びと共に踏み込む。

 

トリガーだ。隼人が青いメモリを起動する。指先の銃口が俺を狙う。バンバンバン。青い光弾の連射。

 

俺はオルカブースター5050を盾にした。シャチの頭部が弾丸を弾く。硬い。こいつは武器であり盾でもある。振るう者と応える者。その信頼が俺とオルカブースターの間にある。

 

(頼むぞ)

 

思いながらトリガーを引く。オルカブースター5050の撃鉄がカチリと鳴る。赤い光弾が放たれ青い光弾と正面衝突した。爆発。光の残骸が駐車場に散る。

 

「ほう…」

 

隼人の声が漏れた。感心したような響きだ。だが目は笑っていない。

 

「単騎でT2メモリ四種を押し返すか。さすがはワイルドゴジュウウルフ」

 

「褒め言葉として受け取っとくぜ」

 

俺は息を吐きながら答えた。肋骨が痛む。さっきの金属拳の衝撃が残っている。だが止まれねえ。後ろには角乃がいる。その後ろには避難中の仲間がいる。

 

(退避路に攻撃を通さねえ)

 

それが俺の役目だ。正面から押し返す。道を塞ぐ。それだけを考えろ。

 

エターナルが動いた。ルナとヒートを同時起動したのか。歪んだ腕に炎が纏わりつく。異形の攻撃だ。空間を歪めて炎を飛ばす。回避が難しい。

 

「くそっ!」

 

俺はテガソードを盾にしながら炎を弾く。だが一部が肩の装甲を掠めた。赤い装甲が焦げる。熱い。ちくしょう熱い。

 

オルカブースター5050を構え直す。銃口が熱い。連射の熱が蓄積している。だがこの温度が逆に力になる。

 

俺は踏み込んだ。エターナルの攻撃へ。正面から。炎の弾幕を突っ切る。

 

(今だ!)

 

オルカブースター5050の撃鉄を引く。チャージ完了の振動が掌に伝わる。引き金を引いた。

 

ドォォォン!

 

赤い砲撃が放たれた。さっきまでとは桁違いの出力。オルカブースター5050が俺の意志に応えて全力を出した。

 

砲撃の反動が肩を殴る。ズシンと重い。後方へ押し出される。だが俺は踏ん張った。靴底がアスファルトを削る。地面が悲鳴を上げるみたいに軋む。

 

赤い奔流がエターナルの炎弾を吹き飛ばした。炎が消える。ルナの歪みも砕ける。赤い光がエターナルの胸部を直撃した。

 

「がっ…!」

 

隼人の身体が後方へ弾き飛ばされる。白いコートが舞い上がる。駐車場の地面を削りながら滑っていく。

 

(効いた…!)

 

俺は息を吐いた。同時にオルカブースター5050を見た。銃身が熱い。赤い光が微かに残っている。まるで俺を見返しているみたいに。こいつが応えてくれたんだ。俺の意志に。俺のタイミングに。

 

(ありがとうな)

 

心の中で言った。口には出さねえ。照れくさいからな。だがオルカブースターの銃身が微かに振動した気がした。応えてくれたみたいに。

 

その時だ。

 

俺の視界の端で、何かが光った。

 

角乃の手元だ。

 

角乃が避難経路のサポートを終えて戻ってきた。アギレラの装甲を解除し、ゴジュウユニコーンに戻っている。いや戻ろうとしている。その手元で、Wのライダーリングが光っていた。

 

(あのリングが…!)

 

反応している。俺とオルカブースター5050の共鳴に。俺たちの力が通じ合った瞬間に。リングがそれに呼応している。

 

角乃はそれに気づいた。自分の手元で光るリングを見ている。その瞳が微かに広がる。

 

「吠」

 

角乃が呼んだ。俺の名前だ。いつもの「吠」だ。タメ口だ。この女は俺のことを「吠」と呼ぶ。「吠くん」じゃなく「吠」だ。対等の呼び方だ。

 

「退避は終わった。朱莉さんと瑠花が標的を安全圏まで運んだ」

 

「じゃあもう守る必要はねえな」

 

「ない。でもあんた一人に任せない」

 

角乃は言った。短く。明瞭に。

 

「私はここに立つって決めた。あんたの隣に」

 

「…勝手にしろ」

 

俺は鼻を鳴らした。だが胸の奥が少しだけ軽くなった。勝手にしろ。俺の口癖だ。だが今の俺が本気で拒否しているわけじゃねえことは、角乃もわかっているだろう。

 

角乃はテガソードを構えた。その手元でWのリングがさらに強く光り出す。光が変化している。色が変わる。今までのWのリングとは違う色だ。銀色の縁が金色に。中央の紋章が虹色に輝き始める。

 

(ブーステッドVer.…!)

 

リングが変化した。俺とオルカブースターの共鳴が触媒になったんだ。あの力が、角乃のリングを強化した。

 

角乃は変化したリングをテガソードに装填した。

 

「エンゲージ!」

 

角乃の掛け声。

 

『ライダーリング!ダブル!』

 

テガソードが音声を発した。ゴジュウユニコーンの装甲が光り出す。黒と白とマゼンタの装甲が揺らぐ。

 

『オルカブースト!』

 

オルカブースター5050の補助音声が響く。俺の相棒の力が角乃の変身にも重なる。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

二つの名前が連呼される。風と切り札。緑と黒。二つの力が同時に叫ぶ。

 

『エクストリーム!』

 

最後の音声が、他の全てと重なって響いた。二つの声が一つになる。緑と黒。風と闇。それが融合した極致。

 

光が角乃の身体を包み込む。

 

ゴジュウユニコーンの黒い装甲が変化し始めた。右半身が緑に染まる。左半身が黒く深まる。中央に銀色の線が走る。だがゴジュウユニコーンの肩アーマーと胸部装甲は消えなかった。そのまま残っている。黒と白とマゼンタのユニコーンの装甲が、緑と黒のWの装甲の上に重なる。

 

中央に虹色の帯が現れた。クリスタル状の光が、身体の真ん中を縦に貫いている。左右の色分けと中央の虹色の輝き。そしてユニコーンの角を思わせる頭部意匠と肩のアーマー。

 

(すげえ…)

 

俺は息を呑んだ。二つの力が一つになっている。

 

額にW字形の触角が現れる。赤い複眼が光る。

 

「ハイクラス&ラグジュアリー」

 

角乃が言った。声が二重に響く。ゴジュウユニコーンの声とWの声が重なっているみたいに。

 

「いや違うわね。今はもっと単純に」

 

角乃はそう言う。

 

「さぁ、あなたの罪を数えなさい」

 

それと共に手には、剣と盾を既に構えていた。

 

俺はテガソードを握り直した。オルカブースター5050を左手に構える。

 

隼人が立ち上がっていた。白いコートが泥に汚れ、仮面に亀裂が走っている。だがその目は燃えている。諦めていない。

 

隼人の手が、新しいメモリを握った。

 

『エターナル』

 

メモリが音声を発した。白と銀のメモリ。エターナルの力。隼人自身の力。

 

「最後だ」

 

隼人が言った。低い声。腹の底から絞り出した声だ。

 

「私の全てをかける」

 

隼人の身体が白い光に包まれた。今までのメモリとは桁違いの圧力。空気が震える。地面が軋む。

 

俺はテガソードを構えた。オルカブースター5050の銃口を隼人に向ける。

 

隣で角乃がテガソードを構えた。緑と黒の装甲が夕日を反射する。虹色の中央帯が光る。マフラーが風に舞う。

 

「行くぞ、角乃」

 

「ええ、行きましょう吠」

 

二人の声が重なった。

 

俺は地面を蹴った。同時に角乃も蹴った。

 

赤い狼と緑黒の蜂。二つの影が夕暮れの駐車場を駆け抜ける。

 

エターナルの白い光が迫る。

 

俺たちはその中へ踏み込んだ。

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