ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
「それじゃ、始めるとしようか」
『レオンバスター!50!』
陸王の呟きと共に手元には愛用の銃であるレオンバスター50が現れ、引き金が引かれる。
数で押してくる無数の敵へと放たれる青いエネルギー弾の嵐は、敵への攻撃に確かに有効だった。光の奔流が先頭の怨霊たちを飲み込み、灰色の身体が次々と崩れていく。だが怨霊は止まらない。倒れた者が消える前に、後ろから新しい怨霊が這い出してくる。まるで波みたいだ。引いては押し寄せる。終わりが見えない。
「きりがないねえ」
陸王は笑みを浮かべたまま呟いた。楽しんでいるわけじゃない。むしろ逆だ。笑っていないとやってられない。そういう種類の笑みだ。
その陸王の攻撃に合わせるように、十牙も既に跳び出していた。
『ショットライザー!』
鳴り響く音声と共に十牙の手には銃ショットライザーがあった。白と青の装甲に包まれた腕が、正確な軌道で銃口を向ける。
「っ」
その一撃は怨霊を確かに撃ち抜いた。
青い光弾が一直線に伸び、三体の怨霊の胸を同時に貫く。三体が崩れ落ちる。十牙は着地と同時に次の獲物へ狙いを移していた。
「へぇ、僕をバックダンサーにさせるとは、贅沢だね」
陸王は飄々と呟きながらも笑みを浮かべ、攻撃の手を緩めない。レオンバスター50のガトリングが唸りを上げ、青い弾幕が広場を薙ぎ払う。怨霊の群れが次々と倒れる。
「バックダンサー?」
十牙が振り返らずに応えた。ショットライザーの引き金を引きながら。
「君はセンターだろ。アイドルなら」
「おや、わかってるねえ」
陸王の笑みがほんの少しだけ深くなった。計算じゃない。自然と出た笑みだ。
怨霊の軍勢は数こそ多いが個々の力は強くない。一体一体は弱い。だが数で押す。物量で潰そうとしている。教会を囲むように広がり、じわじわと包囲の輪を狭めている。
「十牙、数が多すぎる。このままじゃ押し込まれる」
「わかってる」
十牙はショットライザーを構え直した。青い複眼が周囲を確認する。怨霊の配置を読んでいる。
「正面から潰すより、数を減らす方が先だ」
「どうする」
「俺が前に出る。君は援護を」
「了解」
陸王はレオンバスター50を構え直した。十牙が跳ぶ。白と青の装甲が宙を舞い、怨霊の群れの中へ突っ込む。ショットライザーを連射しながら、突き進む。銃弾が道を作る。道ができたところへ、陸王が弾幕を張る。青い光が左右に散り、十牙の進路を塞ごうとする怨霊を撃ち抜く。
(連携が取れる)
陸王は思った。十牙は戦い慣れている。指示を待たない。自分で判断して動く。しかも僕の攻撃のタイミングを読んでいる。この人、ただのゴーストじゃない。
十牙が怨霊の一団を蹴散らした。ショットライザーを一振りし、銃身で近づく怨霊の首を打ち払う。白と青の装甲が薄暗い広場で光を反射する。狼の耳がついたヘルメットが夕暮れの空を仰ぐ。
「数は減ったが…」
十牙が呟いた。息が微かに乱れている。
「まだ半分も減ってないな」
陸王も息を整えながら応えた。レオンバスター50の銃身が熱い。連射しすぎた。
「でも、こっちのペースにはなってきた」
「そうだね」
十牙は頷いた。その時だ。
広場の奥、怨霊の群れの最後方で何かが動いた。
黒い影だ。怨霊とは違う。もっと大きくて、もっと濃い。闇そのものが形を持ったような影。それがゆっくりと前に進み出る。
陸王の笑みが一瞬だけ固まった。
「…なんだ、あれ」
十牙も気づいた。ショットライザーを構えたまま、動きを止める。
「怨霊の親玉か。それとも」
「わからない。でも」
黒い影が口を開けた。裂けた口から低い唸りが漏れる。地面が震える。空気が重くなる。
怨霊たちが一斉に振り返った。黒い影の方へ。まるで命令を待つみたいに。
「十牙」
「ああ」
黒い影が腕を振り上げた。
怨霊たちが一斉に動き出した。今までとは違う。統率された動きだ。個別に襲いかかっていたのが、隊列を組んで進み始めた。
「まずいな」
陸王が呟いた。
「指揮官が出てきたか」
十牙の声が低い。
黒い影が腕を振り下ろす。怨霊の軍勢が雪崩のように押し寄せる。
数はまだ半分以上残っている。統率された動きで、確実に包囲を狭めてくる。
教会の中から、ゴーストたちの悲鳴が聞こえた。
陸王はレオンバスター50を握り直した。
「ここは通さないよ」
笑みは消えていない。だがその目は真剣だ。
十牙が隣に並ぶ。
「行こう」
二人の戦士が、押し寄せる怨霊の波に向かって駆け出した。