ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
ギターではない。ギターの形をした大剣だ。音撃弦・烈雷。弦が張られている。だがその弦は鋼だ。太く、鋭く、光を反射している。弦を弾けば音が出る。だがこの弦は斬るためのものだ。
「これが、俺の武器だ」
虎吾郎は言った。巨体が烈雷を構える。重い。だが虎吾郎の腕は微塵もぶれない。
竜儀は息を呑んだ。音撃弦。音で戦う武器。ギターの形をしているが、その実態は雷を操る大剣だ。
森の奥から音が聞こえる。また怨霊だ。先ほどの戦いで全て倒したと思っていたが違う。新しい気配。数は先ほどより少ない。だが質が違う。濃い。重い。先ほどの雑魚とは格が違う。
「来るぞ」
虎吾郎が言った。低い声だ。
森の木々が割れる。黒い影が飛び出してくる。怨霊だ。だが形が違う。人型ではない。獣の形をしている。四つん這いで、牙を剥いている。体長は三メートルはあるか。全身が黒い霧で覆われている。目だけが赤く光っている。
「上級怨霊だ」
虎吾郎は言った。
「倒すには音撃が必要だ」
虎吾郎は烈雷を構えた。弦に指をかける。
怨霊が跳ぶ。三体。左右と中央から同時に。
虎吾郎は弦を弾いた。
『ゴォォン!』
音が爆発した。重低音。腹に響く。音波が可視化する。空気が振動する。衝撃波となって怨霊に襲いかかる。
一体目が吹き飛ぶ。二体目も。三体目も。黒い霧の身体が音波に引き裂かれ、森の奥へ弾け飛んでいく。
一振り。いや一弾きで三体を葬った。
「すごい…!」
竜儀は声を上げた。
だが虎吾郎は眉をひそめている。
「まだだ」
言った瞬間、森の奥からさらに怨霊が現れる。今度は五体。先ほど吹き飛ばした個体が再生している。黒い霧が集まり、再び獣の形を成す。
「再生するのか」
竜儀は歯を噛んだ。
「ああ。音撃だけじゃ足りん」
虎吾郎は烈雷を下ろした。五体の怨霊が同時に跳ぶ。虎吾郎は一歩下がり、烈雷を横薙ぎに振るう。音ではなく刃で斬る。だが斬っても霧が集まり再生する。
「キリがない」
虎吾郎は言った。そして竜儀を見た。
「竜儀。お前さんに頼みがある」
「何ですか」
「これを使え」
虎吾郎は懐から何かを取り出した。円形の道具。ライドウォッチだ。表面に刻まれた紋章。太鼓を思わせる意匠。赤い複眼のライダー。轟鬼とは違うライダー。
(ライドウォッチ…!)
虎吾郎はそれを竜儀へ投げた。
竜儀は反射的に左手を伸ばす。掌に収まる。硬い感触。円形の道具。腕時計型。表面には仮面ライダーの顔。
「それは響鬼の力だ」
虎吾郎が言った。
「俺の轟鬼とは違う。音撃戦士のもう一つの形だ。それをお前さんのテガソードに装填しろ。ライダーリングに変えて」
竜儀はライドウォッチを見つめた。響鬼。轟鬼と似ているが違う。太鼓を思わせる意匠。鬼の面。赤い複眼。
(これが…)
竜儀はテガソードを左手に構えた。右手でライドウォッチを握る。意識を集中する。自分の力。リングを生み出す力。聖夜の名を持つ者の力。
(変われ)
ライドウォッチが光った。
銀色の縁が赤く染まる。中央の紋章が変容する。響鬼の面を象った意匠が浮かび上がる。リングの形へ。ライダーリングへと変わっていく。
カチリ。
変換が完了した。
赤いリング。表面に響鬼の紋章。
竜儀はテガソードの装填部へリングを嵌めた。
『ライダーリング!』
テガソードが音声を発した。紫の光がリングから溢れ出す。
「エンゲージ!」
竜儀は叫んだ。テガソードを掲げる。
『響鬼!』
赤い光が爆発的に広がった。ゴジュウティラノの金色の装甲が光に飲み込まれる。光が収束し新しい装甲が形成されていく。
紫色の極限まで鍛えられた鬼の戦士。
光が収まった瞬間、竜儀は右手を前に突き出した。
装甲が完成する。炎が全身を包む。竜儀は音撃棒・烈火を構えた。太鼓の形をしたバチ。いや違う。これは音叉だ。叩けば音が出る。だがこの音は怨霊を滅する。
「これが響鬼…!」
竜儀は呟いた。力が漲る。ゴジュウティラノとは違う力。雷ではなく音。炎ではなく振動。だが戦士としての力は同じ。守るための力。
「いいだろう。これで二人だ」
虎吾郎は烈雷を構えた。竜儀は音撃棒を構えた。
怨霊が迫る。五体。そして森の奥からさらに増えていく。十体。十五体。獣の形をした上級怨霊の群れ。
「行くぞ、竜儀」
「はい、虎吾郎さん」
二人は同時に地面を蹴った。
轟鬼の音撃弦と響鬼の音撃棒が森に響く。