ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦 作:ボルメテウスさん
石の槍が迫る。
禽次郎は翼を広げた。ゴジュウイーグルの背部装甲から緑色の翼が展開する。風が翼に当たり身体が浮き上がる。
「ノってこうぜ!」
叫びと共に空中へ跳んだ。石の槍を上からかわす。翼が風を掴み身体を翻す。同時にイーグルシューター50を構えた。
弓だ。鷲をモチーフにした弓矢型武器。弦を引く。矢が光を帯びる。ガウディの蜥蜴に狙いを定める。
放つ。
緑色の矢が一直線に伸びた。だがガウディは動かない。蜥蜴が横に滑っただけだ。矢が空を切る。
「外したかよ!」
「建物を使います」
歳月の声が下から響く。地上で歳月が動いていた。ドレスの裾を翻しダークキバへ変身している。漆黒の装甲が石畳を蹴る。
ガウディの指が動く。石畳が隆起した。地面そのものが壁となって歳月の進路を塞ぐ。
「くっ」
歳月は跳んだ。壁を蹴って上へ。だが次の瞬間、天井が落ちてきた。城の梁が音を立てて崩れ落ちる。
「危ない!」
禽次郎は矢を放った。梁に向かって。矢が梁を砕き、歳月の進路を確保する。だが砕けた梁の破片が空中で再構成され、新たな槍となって歳月を襲う。
「建物が全部武器になってる!」
「ええ、厄介ですね」
歳月は空中で回転し槍を回避した。だが着地した瞬間、床が崩れた。石畳が割れ下へ落ちようとする。
歳月は空中で身を翻し着地した。だがその足元で再び床が盛り上がり始める。
「来ないでください!」
歳月が叫ぶ。ジクウドライバーが光る。だがガウディの指がそれよりも速く動いた。
壁が動いた。石の塊が巨大な手の形を作り歳月を掴もうとする。歳月は横に跳んで避ける。だが次は天井だ。梁が絡みつくように動き歳月の身体を縛ろうとする。
「澪さん!」
禽次郎は翼を羽ばたかせ急降下した。イーグルシューター50を連射する。矢が梁を砕き、石の手を砕く。だが砕けた石は空中で再構成され、すぐに元の形に戻る。
「無駄だ」
ガウディの声が響いた。静かだ。淡々としている。まるで設計図の不具合を指摘するみたいに。
「壊しても壊しても、私が組み直すだけだ。お前たちに勝ち目はない」
ガウディの左目が細められた。口元が歪む。笑っているのか呆れているのか。
蜥蜴が動いた。速い。石畳を這う四つの脚が滑るように動き、歳月の背後へ回り込む。
「まずい!」
禽次郎は矢を放った。だが蜥蜴は巧みに身を捻り矢を避ける。歳月が振り返る。だが遅い。蜥蜴の尻尾が鞭みたいに振り上げられた。
「避けて!」
歳月は跳んだ。だが尻尾が足を掠めた。身体がバランスを崩し石畳に転がる。漆黒の装甲が石畳を削る。
「澪さん!」
禽次郎は叫んだ。急降下する。だがその進路に石の槍が立ち塞がる。十本。二十本。ガウディが指を振るたびに新しい槍が生まれ、禽次郎の進路を塞ぐ。
「くそっ!」
矢を連射する。槍を砕く。だが砕いた隙間にまた槍が生える。終わりがない。城全体が武器だ。地面も壁も天井も全部ガウディの意志で動く。逃げ場がない。
歳月が立ち上がった。だが膝が笑っている。装甲の隙間から血が滲んでいる。尻尾の一撃は重かったらしい。
「大丈夫です」
歳月は言った。だが声が震えている。
「大丈夫じゃないでしょ!」
禽次郎は吼えた。焦りが胸を焼く。パリピ高校生は暗い顔をしない。だが今、顔が暗くなりかけている。
ガウディの指がまた動いた。今度は城の壁そのものが動き出す。巨大な壁が迫ってくる。二人を押し潰そうとする。
「退け!」
ガウディの声が響く。静かだが拒絶できない圧力がある。
壁が迫る。石が唸りを上げて二人を押し潰そうとする。歳月は武器を構えるが、動けるスペースがない。禽次郎も翼を広げようとするが、壁に挟まれて翼が展開できない。
(まずい)
禽次郎は歯を噛んだ。野良犬じゃない。鳥だ。鳥は空を飛ぶ。空がない場所では羽ばたけない。だが今、空がない。
壁が迫る。あと数メートル。あと数秒で潰される。
ふいに壁が壊れた。
音がした。石が砕ける音じゃない。何かが壁を叩き割る音だ。ドガン。ドガン。連続した打撃音。そして壁が内側から吹き飛んだ。
「え?」
禽次郎は目を瞬かせた。
「えっ、なんでボルギャンサー!?」
そこには、オルカブースターを抱えて、現れたボルギャンサーだった。