ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦   作:ボルメテウスさん

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力の拮抗

 重い。荒々しいというより、巨大なものが地面へ根を張るみたいな力の出方だった。竜儀はゴジュウティラノへと変わり、そのまま真正面からデルタへ踏み込んだ。

 

 戦いは、そこで一気に始まった。

 

 デルタは最初から距離を取る。近づけさせる気がない。デルタムーバーがブラスターモードへ切り替わり、細く鋭い光弾が走った。石畳の縁を掠め、柱の脇を削り、灯籠のすぐ横を抜けていく。

 

「近づかせる気ないから」

 

「不敬な上に無作法!」

 

 竜儀は身を捻ってそれを避けながら前へ出る。だがデルタの射線は容赦がない。寺だろうが人がいようが関係ないみたいに、海は撃ちやすい場所へそのまま撃ち込んできた。

 

「やっぱり、躊躇がないわね」

 

 青木さんが言う。

 

「寺の被害も計算に入れていない」

 

 雪庭の声も固い。

 

「気に入らねえな……!」

 

 俺は思わず一歩出かける。けど、竜儀はすでにティラノハンマー50を構えていた。

 

 正面から叩き返せばいい。そう単純にはいかないのが厄介だった。光弾を弾けば、その反動で寺の方へ被害が飛ぶ。竜儀もそれを理解したらしい。踏み込みの勢いがわずかに鈍る。

 

「……っ」

 

「気づいたな」

 

 陸王が言う。

 

「下手に弾けば余計に壊れる」

 

 その迷いを、海は見逃さなかった。むしろ楽しむみたいに、射線をさらに散らす。本堂の柱、石灯籠、足元。避けさせるためだけの射撃が増えていく。

 

「何? もうやりにくい?」

 

 海の声には、明らかな愉快さが混じっていた。

 

 竜儀はそれに答えず、一気に間合いを詰めた。射撃戦じゃ分が悪い。なら懐へ入るしかない。俺も同じ判断をしただろう。ゴジュウティラノの巨体が地を蹴り、デルタの懐へ飛び込む。

 

「入った!」

 

 思わず声が出た。

 

 だが、次の瞬間に違和感が走る。

 

 デルタが、竜儀の腕を受け止めた。

 

 細身の見た目に反して、押し返す力が異様に強い。ただの銃型じゃない。近距離でも十分危険だ。デルタムーバーを零距離に近い位置で叩き込み、肘、膝、体重を乗せた押し込みで真正面からティラノの怪力と噛み合ってくる。

 

「……ぬっ!」

 

「驚いた?」

 

 海が嗤う。

 

「こっち、撃つだけじゃないんだけど」

 

 寺の空気が軋む。近接でぶつかり合う衝撃だけで、石畳の砂が跳ね、軒先の風鈴が細く揺れた。

 

「すごい……!」

 

 芹亜が息を呑む。

 

「嫌な意味で噛み合ってるわね」

 

 青木さんが穏やかに言う。

 

「どちらも止まる気がない」

 

 雪庭の声が低く落ちる。

 

 実際、その通りだった。竜儀は寺を守る側に回りながらも、一歩も引く気はない。海は被害なんか最初から考えていない。怪力と怪力が正面から噛み合って、そのたびに周囲が軋む。

 

 しかも、海の荒さは戦いが長引くほど増していった。

 

 デルタの力に煽られているのか、もともとの性質なのかは知らない。けど、表情から余裕が消えて、攻撃性だけがどんどん前へ出てくる。目の焦点まで少し危うい。

 

「だったら、全部まとめて潰せばいいだけでしょ!」

 

 デルタムーバーの射線が、今度は寺の中心部へも向いた。

 

 その瞬間、竜儀の声が変わる。

 

「貴様……!」

 

 普段の柔らかさが剥がれ、怒りがむき出しになる。

 

「これ以上、好き勝手はさせん!」

 

 海は構わず踏み込む。寺ごと巻き込むつもりだ。竜儀も止めるために、自分ごとぶつかるしかないと判断したらしい。ティラノハンマー50を握り直し、全身で押し切ろうとする。

 

 まずい。

 

「ぶつかる!」

 

 俺が叫ぶ。

 

「止めろ、二人とも――!」

 

 雪庭の声が飛ぶ。

 

 その瞬間だった。

 

 デルタの横から、別の影が突っ込んだ。

 

 真っ直ぐな体当たり。横合いからなのに、まるで一直線に落ちてきたみたいな勢いだった。デルタの身体が大きく弾かれ、射線が逸れる。寺ごと巻き込みかねなかった一撃が、ぎりぎりで外れた。

 

「なっ……!?」

 

 海が体勢を崩す。

 

 全員の視線がそちらへ向く。

 

 砂埃の向こう、剣を持った人影が立っていた。甲冑みたいな意匠。青い複眼。手に握られた剣の輪郭。

 

 仮面ライダーブレイド。

 

「あれは……!」

 

 芹亜が声を上げる。

 

「ブレイド……?」

 

 陸王が眉を上げる。

 

 俺はその姿を見た瞬間、背筋の奥がざわついた。

 

「まさか――」

 

 デルタは間合いを切られ、ゴジュウティラノも一度足を止める。寺の空気が、今度は別の意味で張りつめる。

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