ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSゴーストコンサート : missing Songs ユニバースライダー大戦   作:ボルメテウスさん

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斬撃の応酬

だった。

 

「さあ、開幕だ!」

 

レオンバスター50のガトリング機構が唸りを上げ、青いエネルギー弾の雨が森の中を駆け抜ける。木の葉が舞い、地面の苔が抉れる。獅子の咆哮にも似た銃声が、静寂を切り裂いた。

 

だが、サソードは微動だにしない。その仮面の奥で、天馬がどんな表情を浮かべているのか、俺にはわからなかった。ただ、彼女はゆっくりと、まるでワルツの最初の一歩を踏み出すように、サソードヤイバーを構えた。

 

「美しい弾幕だ。だがね、百夜陸王」

 

彼女の剣が、空を薙ぐ。その軌跡から、紫色の毒が霧のように噴き出した。毒は空中で凝固し、鋭い斬撃の形を取る。三日月のような弧を描いた毒の刃が、迫り来るエネルギー弾の雨に正面からぶつかった。

 

弾ける光。散る紫煙。

 

毒の斬撃は、弾丸の雨を一振りで切り裂き、なおも陸王へ向かって飛んでいく。陸王は舌打ち一つ、地面を蹴って横に跳んだ。さっきまで彼が立っていた場所に、毒の刃が突き刺さり、苔が一瞬で紫色に変色して枯れ落ちる。

 

「なるほど、あの毒は斬撃にもなるのか」

 

陸王は、レオンバスター50を構え直しながらも、その声は冷静だった。

 

「一撃でも食らえば、君の毒に操られる。そういうわけだね」

 

「察しが良くて助かるよ」

 

サソードは、優雅に剣を回して構え直す。その所作は、まるで舞台上の殺陣のようだ。無駄がなく、それでいて観客を魅了する美しさがある。

 

「だが、安心したまえ。私は君を操って、つまらない役を演じさせるつもりはない。君には、最高の相手役として、この舞台で輝いてほしいからね」

 

「それは光栄だ」

 

陸王は、レオンバスター50を腰だめに構え直した。今度は単発ではない。ガトリング機構がより高速で回転を始め、青い光が銃口に集中していく。

 

「でもね、僕だって主役の座を簡単に譲るわけにはいかないんだ。君との共演、楽しませてもらうよ。最高のライバル役としてね!」

 

陸王が放つ青い弾丸の嵐を、サソードはまるで花びらを散らすかのように剣で薙ぎ払いながら、こちらへと突き進んでくる。その速度は、先ほどまでの優雅な所作からは想像もつかないほど、鋭く、速い。

 

「速い…!」

 

俺は思わず声を漏らしていた。サソードの動きは、まさに舞台の主役がスポットライトの中を駆け抜けるが如く、一切の無駄がない。弾丸の雨を紫の毒の斬撃で相殺しながら、彼女は一息に陸王との間合いを詰め切った。

 

「さあ、ここからが本番だよ!」

 

サソードの剣が、陸王の頭めがけて振り下ろされる。

 

だが、陸王もただではやられない。彼はレオンバスター50を手放すと同時に、腰からテガソードを引き抜いていた。金色の巨大な剣が、紫の毒剣を真正面から受け止める。

 

ガキィンッ!

 

金属同士がぶつかり合う甲高い音が、森の中にこだました。木々の葉が、衝撃波で一斉に震え、舞い散る。

 

「おっと…!」

 

陸王は押されながらも、テガソードを両手で支え、サソードの斬撃を受け止め続ける。

 

「さすがは、反応速度が違うね」

 

サソードが楽しげに言うと、今度は下段から斬り上げる。陸王は剣を回して受け流し、そのまま横薙ぎに反撃。サソードがバックステップで躱すと、間髪入れずに陸王が追撃の突きを放つ。

 

互角だった。

 

サソードの華麗な剣技と、陸王のステージで鍛えた反射神経。紫と金の剣が、目にも止まらぬ速さで交差し、火花を散らす。一進一退の攻防は、まるで息の合ったダンスのようでもあった。

 

「どうした、百夜陸王! 君の舞台はこんなものか!」

 

「まだまだ! 幕は下りてないさ!」

 

陸王はテガソードでサソードの剣を弾き飛ばすと、その勢いのまま、回し蹴りを放つ。サソードはそれを身軽に跳躍して躱し、空中で体を捻りながら、再び斬りかかる。

 

剣戟の応酬が、一瞬だけ途切れた。互いに一歩下がり、距離を取る。陸王の肩が上下している。サソードもまた、剣を構えたまま静かに呼吸を整えていた。互角。だが、このままでは決着がつかないと、陸王は判断したのだろう。

 

「やっぱり、君は手強いな」

 

陸王は、テガソードを逆手に持ち替えながら、空いた左手を懐へと忍ばせた。

 

「だからこそ、僕も奥の手を見せなきゃね」

 

その指先が取り出したのは、ライダーリングだった。俺もつい先日、クローズのリングを使ったばかりだが。

 

「おや、君もか」

 

サソードが、興味深そうに首をかしげる。彼女の声には、驚きよりもむしろ、予想外の演出に対する称賛のような響きがあった。

 

「君はまだ、獅子の力だけじゃないというのか」

 

「僕はね、ステージの上では何にでもなれるんだ」

 

陸王は、ライダーリングをテガソードの手の甲へと装填した。表面に刻まれているのは、深海を思わせる青い紋章。歴代ライダーの一人、仮面ライダーXの力が宿る指輪だ。

 

「これが、僕の新しい役どころさ!」

 

『ライダーリング! X!』

 

テガソードが音声を発した瞬間、陸王は地面を蹴って跳躍した。その勢いのまま、空中で体を回転させ、サソードの胸めがけて両足を突き出す。深海の戦士を思わせる、重く鋭い飛び蹴り。

 

サソードはとっさに剣で防御したが、その衝撃までは相殺できない。彼女は後方へと吹き飛び、大きな樹の幹に背中を打ちつけた。葉がはらはらと舞い散る。

 

「ぐっ…!」

 

「まだ終わらないよ!」

 

陸王は着地と同時に、テガソードを地面に突き立てた。全身を蒼い光が包み、ゴジュウレオンの装甲が一度ほどけ、新たな形へと再構築されていく。

 

「エンゲージ」

 

陸王の声が、森の中に響き渡る。

 

変身が完了した陸王――いや、今は仮面ライダーXの力を纏いし戦士は、ゆっくりと立ち上がったサソードに向かって、右手を掲げた。

 

「君の剣に、海の深さを見せてあげるよ」

陸王の声が、水中のようにくぐもって響く。

「仮面ライダーX。これが、君と戦うための僕の新しい姿だ」

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