【TSして最強】世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない   作:月森朔

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第17話 スキル書と合成

 クランベースの大浴場を紹介しよう。男湯と女湯に分かれているのは当然だが、2つには大きな違いがある。

 男湯:狭め、サウナが大きめ、水風呂あり。

 女湯:広め、ジャグジーや炭酸泉あり。サウナと水風呂あり。

 そして、脱衣室のドレッサーがやばいくらい広い。

 ヘアドライヤーが10万くらいするやつが置いてあった。

 

 そして、そんな女湯に3人。俺(メル)とマナと誰か? なんと南さんだ。

 

「メルさん。よろしくお願いします。南です」

「メルか、メルちゃんでいいの」

 

 湯船に浸かりながらの初対面となる。マナが1人で事務仕事をしていた南さんに声をかけて、お風呂に誘ったのだ。たしかに、メルはまだ南さんに直接会っていない。しかし、風呂の中で初顔合わせというのは、コメントに困る。いろいろ曝け出しているわけで、南さんが着痩せするとか、いつもまとめている髪が割と長いこととかがわかってしまう。

 

「じゃあ、メルちゃん。何か困ったことがあったら言ってね。部屋の家具なんかも大体揃ったけど、必要なものがあれば手配するから」

「わかったの」

 

 マナがなんだか照れているメルの頭を撫でる。

 

「本当に妹ができたみたい。あたし、お姉ちゃんしかいないから、新鮮」

 

 すっかり仲良しだな。そのとき、南さんが何かを思い出したようだ。

 

「あの、ランクアップには必要な期間があるんですが、ギルド側で短縮が決まりまして、マナさんとフレイヤさん、そしてメルちゃんのランクが上がることになりました」

 

 南さんの説明によると、小次郎以外は上がったらしい。小次郎はダンジョンに潜っていないので流石にノーカウントとなるらしい。

 

 そして、あがったランクは下のようだ。

 フレイヤ F→B

 マナ   E→D

 メル   G→C

 

「あたしがDランク…」

 

 いろいろ停滞していたマナからすれば、探索者としても一人前と言われるDランクは感慨深いだろう。

 

「メルは、マナおねーちゃんと同じが良かったの」

 

 そう言ってメルがマナの腕に絡みつく。メルの胸がマナの腕を挟んで密着度がすごい。でも、ペルソナさんがやっていることだから仕方ない。そう、ペルソナを解除していない俺が悪いわけではない。

 

「すっかり仲良しさんなんですね」

 

 南さんがフフフと微笑む。

 

「そうなんです。メルちゃんと仲良しなんです」

 

 マナにがばっと抱きつかれる。うん、絶対マナにはアバターのことを内緒にしよう。

 改めて、そう誓った。

 

 風呂を上がると金子さんと南さんと一緒に食事をとることになった。小次郎とフレイヤがいない中ではあるが、懇親会だ。メルがいるから飲み会ではなく食事会。

 

「メル、いきたいお店があるの」

 

 メルが行きたいといったお店は、パスタとケーキが食べ放題のお店だった。

 

「おおう、ピンク一色だな」

 

 内装がピンクというのもあるが、見渡す限り女性客しかいない店内にたじろぐ金子さん。いや、中にはカップルもいた。いや、あれ、ボーイッシュな女の子だ。

 

「ここ、いっぱい食べられるの」

 

 探索者装備を置いてきたメルは場に馴染んでおり、次々とパスタを食べすすむ。既に4杯目のパスタだ。味見したいからというレベルじゃなく、一人前くらいを4杯目だ。

 

「メルちゃん、大丈夫?」

 

 マナが声をかける。マナはちんまりとした感じで皿に盛っている。

 

「大丈夫なの。美味しいの」

 

 聞きたいのはおいしいかどうかじゃなく、お腹が大丈夫かだと思うぞメル。そして、そっとお腹を触るとぽっこりと膨らんでいる。胃下垂ってやつなのだろうか。

 

「おれ、ほっけが食べたい。刺身がいいな。いぶりがっこは無いよな」

 

 金子さんがなんか言ってるが、そんなものは無い。ビールがあるだけマシだ。でも、確かにフライドポテトやポップコーンとか炭水化物が多くて、金子さんの年齢にはきついラインナップなのは確かだ。

 それにしても、メルってば大食い王決定戦とかに出られるんじゃないだろうか。食べ放題で絶対に店側が損していると分かるレベルで食べている。

 

「こんなに食べて、こんなに細いのは奇跡です。魔法に違いないです」

 

 マナの発言に南さんが全力で肯定する。南さんもプロポーション良かったし、トレーニングとか頑張っているのかもしれない。

 ひとしきりお腹一杯になると解散となった。ちなみに南さんが経費として支払いとか色々やってくれた。

 

 

 そして、俺とマナはクランベースに戻った。南さんは家に帰るらしい。当たり前か。じゃあ、そろそろペルソナを切るか。

 

「おやすみなさいなの、マナおねーちゃん」

 

 マナと別れた俺は部屋に戻った。そして、メルからフレイヤの姿になる。そして、今日もらった石板を一緒に持って事務所にある棚に向かう。目的は700万円かけて集めたダンジョンのガラクタの確認だ。それらは、南さんが用意してくれた事務所の棚に綺麗に整頓して置いてあった。そして、その横にはちょうど良い机と椅子が置いてある。フレイヤは足を組み椅子に腰かける。

 

「南さん、几帳面ね」

 

 そして、手に取った石板だが、ペルソナを起動すると、それが何物か読める。

 

「スキル書の合成方法」

 

 確かにそう読める。その表札くらいの石板は、その知識を詰め込んだ何かなんだろうか。

 ちなみに、今日、魔法使いのおじさんにもらったのは、土魔法系統リストとなっていた。

 しかし、この石板はどうやって読むんだろうか。そう思った矢先に、フレイヤが柄をなぞり始めた。指先から魔力が込められているようだ。

 

「題字を書き順どおりになぞるのよ。なぞるなら、魔力を込めた指先がいいわよ」

 

 なるほど。でも、書き順が分からんのじゃないか?

 そんなことを考えたのもつかの間、石板からステータス画面のようなものが浮かんできた。そこには、スキル書の合成方法が手順化して書いてあった。

 それは単純な手順だった。スキル書を2つ開いた状態でステータス画面を開く。すると、ステータス画面から合成の画面に遷移できるらしい。その合成の画面を使うことで、2つのスキル書から1つ上位のスキルに合成できるようだ。これは、予想よりもコスパがいいんじゃないか?

 ただ、このステータス画面の利用方法って、ステータス画面の説明書を整備してくれればいいだけじゃないのか? ただ、このくらいの方法ならば誰かが見つけていそうな気もするが、どうして誰も知らないんだ?

 ん? 但し書きがある。スキル合成にはMPを消費するらしく、MPが足りないと合成画面がそもそも現れないらしい。どんなインターフェースなんだよ。しかし、MPお化けのフレイヤさんならば、大抵は大丈夫だろうという予想がたつ。

 

 

 そこまで確認できたので、少し思案する。

 スキルの上位かー。何があると嬉しいだろうか。

 レビテートの上位はなんだっけ? いっぱい確保して高速飛行なんかができればいいな。これはあり。メモしておこう。

 そして、瞬間移動とかもスキルにないかな。なにかのスキルを育てたらできないかな。そうすれば、アバターの着替えとかも部屋の移動が楽になる。1人で3役って無理があるんだよな。あー、いっそのこと体が3つあればなぁ…。あ、3つか、そうだな。分身とか、そういうのがあれば…。

 俺はそこでギルドサイトにあるスキルリストを調べ始める。しかし、分身そのものは無かった。自分の幻を出したりしておとりに使うものや、人形のような物をだすデコイといわれる魔法があった。これらは影魔法と呼ばれているらしく、スキル書で取得できるようだ。

 んー。なんか違う気がするが、情報が足りないな。上位スキルって分からないものか?

 そこまで考えて、魔法使いのおじさんからもらった石板に目が行く。これって土魔法系統リストだったよな。確かに見てみると、土魔法の上位スキルまで載っている。親切なことに魔法を選択すると効果の概略が表示される。

 ふむ、そういうことか、俺は石板の残りも見てみることにした。

 

「美味しい草の見分け方? 鉱石全集、かわいいモンスター3選、雷魔法系統リスト…」

 

 とりあえず石板を買い漁ったのもあって100枚は下らない。そして、70枚めくらいだろうか、それはあった。

 

「影魔法系統リスト。あったわ」

 

 その石板を開いてみる。すると、影魔法系統リストが載っており、最上位には「ドッペルゲンガー」と書いてあった。そして、最下位には見知ったスキルが載っている。

 

「決まりましたわ。これを集めましょう」

 

 すでに22時も近くなっているわけで、俺は伸びをする。そういえば、睡眠のリズムとかどうなるんだろう。あまり気にしていなかったが、気にしないほどに体調が悪いとかはない。ずっと起きてれば眠くなるし、おなかもすく。今はお腹は減っていないので、お風呂に入ることにした。2回目の風呂だが、フレイヤとしては1回目だ。

 フレイヤはサウナからの水風呂が好きらしい。何周かしていると夜中になっていた。気持ちいいから、今日はフレイヤのままで寝よう。

 こうして、俺はフレイヤの部屋で眠ったのだった。

 

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