サッカー、しますわよ【ウマ娘×イナズマイレブン】   作:ローマ市民兼インド村住人

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頭の中で大まかな流れはできていますが、書くのに時間が掛かるので次話以降の投稿はいつになるか分かりません。
書き溜めして解放するのがいいのかな、と思っていたり。

ジェンティルは人生2周目なので、流石にだいぶ丸くなってそう──という体で書くので、解釈不一致でもご了承ください。

タグの"ごちゃ混ぜ"は文字通りの意味であり、ウマ娘とイナズマイレブンの両方を履修しておくとより楽しめるかなーと思います。


第1話「目指すは世界一」

「では、非常勤として働くのはどうかな?」

 

「と、言いますと?」

 

()()()()()()()()()()()のエースと言われていた君が、一からチームを作り上げたらどうなるのか。私は純粋にそれが気になってね。となれば、顧問兼監督としてそっちに集中してもらいたい。勿論、給料は正規雇用の教員と同等にするつもりだ」

 

「でしたら、それでお願いいたします。とはいえ、最初の2年は準備期間であることをご了承いただければと」

 

「構わないよ。これは長期的な投資だから、芽吹くのをゆっくり待つとしよう」

 

「ありがとうございます」

 

「まあ最悪、正規雇用すればいい話でもあるからね」

 

 

 

★☆

 

 

 

「というわけで、(わたくし)が雷門中サッカー部の顧問兼監督の芹坂照奈(せりざかてるな)よ」

 

 

 雷門中の新入生、円堂守(えんどうまもる)木野秋(きのあき)

 

 

 元サッカー部の顧問だったらしい冬海卓(ふゆかいすぐる)の案内の元、部室があるサークル棟付近に建てられているボロい建物へ向かうと、扉の前で若い女性が赤いジャージ上下で立っていた。

 

 

 女性の横には”サッカー部”と書かれた木の看板が掛けられている。

 

 

 そして冬海曰く、『彼女が新設されたサッカー部の顧問』だと。そう言い残して彼は去っていった。

 

 

「円堂守です!」「木野秋です」

 

「「芹坂監督、よろしくお願いします!」」

 

 

 快活な挨拶に、照奈は少し嬉しそうな表情で頷く。

 

 

「元気が良くてよろしい。それで、後ろにいる2人も入部希望者ってことでいいのかしら?」

 

 

  円堂と木野の後ろで様子を見ていた生徒が2人。目付きの悪いピンク髪少年と、いかにも普通って感じの少年。

 

 

「決まりね。雷門中サッカー部へようこそ」

 

「え?」「へ?」

 

 

 照奈は彼らの答えを待たずに入部を決めた。理由は、とにかく人が欲しかったからである。

 

 

 経験者なら嬉しいが、未経験でも構わない。後者なら自分が育て上げれば問題ない。雷門中理事長──雷門総一郎(らいもんそういちろう)には『最初の2年は準備期間』と言ったが、彼女は1年あれば十分だと考えていた。

 

 

 中心となるメンバーさえ育てていれば、チームは強くなる。彼らの熱意が後続のやる気を引き立て、成長を促す。

 

 

「名前は?」

 

「……染岡竜吾(そめおかりゅうご)」「は、半田真一(はんだしんいち)です」

 

「分かったわ。それじゃ、部室に入りなさい」

 

 

 無理やり入れたことに対して反発がないということは、少なからず入る気はあった。どちらか1人は逃げるものだと思っていた照奈からすれば嬉しい誤算である。

 

 

 照奈が部室の扉を開けると、建物の外観に反して中はとても綺麗に整理整頓されていた。

 

 

 ホワイトボードにロッカー、机や椅子にサッカーボールを入れるカゴ。何もかもがまるで新品そのものかのようで、初期部員となった4人は目を輝かせる。

 

 

「すっげー! これ、監督がやったんですか!?」

 

「ええ、まあ。さ、座りなさいな」

 

 

 興奮する円堂の声をBGMに、照奈は準備をしていく。中は綺麗とは言えどもそんなに広くない。その上、机と椅子は1個ずつしかない。彼女はそれらを隅に追いやり、ホワイトボードを床に座った4人の前に持ってくる。

 

 

 照奈はマーカー置き場にあった黒色のマーカーを取り出し、キャップを開けてボードに文字を書いていった。

 

 

 ボード一面を使い、でかでかと書かれたのは3文字の言葉。

 

 

「じゃあ、半田くん。ボードの言葉を読みなさい」

 

「”世界一”、ですね」

 

「そう、目指すは世界一。これが私たち雷門中サッカー部の目標よ」

 

 

 半田が読み上げれば、照奈が補足を加える。彼女はリアクションを期待したのだが、誰も言葉を発さなかった。

 

 

 さっきまで大声を上げていた円堂でさえも。

 

 

「染岡くん、何か聞きたいことはある?」

 

 

 であれば、こちらから促す。方法をちょっとミスったのかもしれないと思いつつも、照奈は染岡に問い掛けた。

 

 

 数秒後に彼が口を開く。

 

 

「目標があまりにも現実的じゃないというか、日本一を通り越して世界一って……」

 

「まあ、そうね。私にとって日本一は過程でしかないから、世界一を目指して頑張ってもらおうと思っているわ」

 

 

 淡々と説明する照奈。彼女のテンションも相まって、4人はまだ受け入れられていない。

 

 

 入部したからには”日本一”を目指して練習する。これは当たり前のことであるものの、口に出せば一体感が醸成され、それに向かってチームで走り出すことができる。

 

 

 だが、『日本一は過程でしかない』と断言した自分たちの監督に、理解が追いつかないのだ。そんなことはお構いなしに、照奈は机に置いてある紙を4人に配った。

 

 

「今配ったのはこれからの予定表よ。書いてはあるけど、()()()()()()()()()()()()()()。親御さんに頼まないと発行できないから注意しなさい」

 

「パスポートって、私たち海外にでも行くんですか?」

 

 次々と頭に詰め込まれていく情報によってパンクしかけながらも、木野はかろうじて疑問を捻り出した。照奈の言った通り、パスポート発行の旨は書いてあるし、使用用途も書いてある。

 

 とはいえ、そこまで辿り着くには少し時間が掛かることもあって、照奈は先に答えを言うことにした。

 

「もちろん。夏休みはフランスに行くわよ

 

「「「「……」」」」

 

 

 最早、驚く気力すらも湧かない。

 

 

「一応、この段階で説明しておくべきことは一通り終えましたが、何か質問があれば────ないようね」

 

 

 

★☆

 

 

 

 結局、部活が終わるまでほぼ何も聞けなかった4人。そして、初めての練習は雷門中内を何周か走っただけ。

 

 

 マネージャーをやるつもりでいた木野も走らされ、彼らの中では若干不満が溜まっていた。

 

 

 当然ながら照奈はそのことを把握しており、対策として今日の夕食をご馳走することに。胃袋を掴みながら、鬱憤を解消してあげようという算段だった。

 

 

 2つの大皿に乗っかる大盛の炒飯。2つ置いてあるレンゲでよそって、各々の小皿に入れて食べるスタイルとなっている。

 

 

「最近の冷凍食品は美味しいわね」

 

「まるでラーメン屋の炒飯みたいです!」

 

「美味いな……」

 

「俺、今度買ってもらおうかな」

 

「美味しい……」

 

 

 好評で何より。照奈は心の中でホッとした。

 

 

 決して料理ができないわけではない。大学時代は自炊をしていたし、腕前には自信がある。人生2周目だからこそ経験値は半端じゃない。

 

 

 5人分がどれぐらいの量になるのか分からなかったので、事前に冷凍食品をストックしておいたのだ。

 

 

 ────部活中のランニングが余程しんどかったのか、無言で食べ進めていく部員たち。実は下校中もほとんど会話がなかった。

 

 

 炒飯の量が半分ぐらいになったところで、半田がふと思い出したかのように喋る。

 

 

「そういえば、監督の家って広いですね」

 

 

 照奈の自宅は一軒家だった。4人全員が勝手に1人暮らしだと思い込んでいたので、意表を突かれた形となる。

 

 

「ルームシェアをしているのよ。と言っても、私と椎奈(しいな)の2人暮らしだから、それでもちょっと広いかもしれないわね」

 

「ルームシェアって?」

 

「簡単に言えば、友達同士で一緒に暮らすことよ。円堂くんも大学生とかになったらやってみるといいわ」

 

「へぇー、仲が良いんですね!」

 

「仲が良いというか、目的が一致しているというか────ちょうど帰ってきたみたいね」

 

 

 チリンチリン、とドアベルが鳴ったことで、照奈は同居人の帰宅に気付いた。

 

 

「ただい────」

 

 

 リビングの扉が開くや否や、帰宅した人物────椎奈は硬直する。

 

 

 青のロングヘアーにインテークの入った前髪。特徴的なのは右目の泣きぼくろ。雷門中サッカー部部員の4人は、”綺麗な女性だな”と感想が一致した。

 

 

 なお、照奈を見たときの第一印象も一致している。”なんだか強そうな人だ”と。

 

 

「紹介するわ。彼女は私の同居人、”奥崎椎奈(おくさきしいな)”。()()()()()()()()()()()()()をしているわ」

 

「「「「て、帝国学園!?」」」」

 

 

 食事中の手を止めて大声で驚く4人。

 

 

「帝国学園ってあの帝国学園ですよね? 39年間無敗って言われている最強の────」

 

「その帝国学園ね。ちなみに、その内の2年は椎奈がキャプテンの年よ」

 

「「「「えぇー!?」」」」

 

 

 円堂の質問に答えた照奈の言葉で更に驚く。ちょっと楽しくなってきた彼女は、面白いネタの投下を試みようとすると────

 

 

「待ってください。自分の戦績を隠して人を立てるのは意地が悪いですよ」

 

 

 椎奈が割って入ってきて、

 

 

「照奈はこの10年間、ありとあらゆる大会でチームを優勝に導き、得点王を総舐めしている日本最強のFW(フォワード)ですから。皆さんはそんな怪物の指導を受けることになるのでしょう? 生半可な覚悟じゃ潰れますよ」

 

 

 ドデカイのが落とされた。

 

 

 しかし、4人の反応は椎奈が想像していたのと全く違って無言。推測が外れたのかと思い、内心焦る。この女が中学生たちを家に上げているのは、部員と親睦を深めるためだと読んで仕返しをしたはずなのに。

 

 

 今日一の特大リアクションを期待したはずなのに。

 

 

「なんとなく凄い人なのかなっていう気はしていました」

 

「でなきゃマネージャー候補も走らせるなんてことしないしな」

 

「ちょっと、それには明確な意図があるのよ。そうだわ、この際だから聞きなさい」

 

 

 木野は、照奈の雰囲気から若干感じ取れていた。圧倒的な自信に満ち溢れている立ち振る舞いから。

 

 

 染岡は、トッププレイヤーだからこそぶっ飛んだ発想を持っているのだろうと合点がいった。

 

 

 円堂と半田は、様々な発言の根拠が分かり、点と点が繋がったことで思わず立ち上がった。

 

 

 初めて会ったときから謎に包まれていた自分たちの監督の素性が少し割れたことで、ようやく理解が追いついたのだ。

 

 

「そこの2人は一度座りなさい────よろしい。で、木野ちゃんには申し訳ないのだけど、この1年はマネージャーではなく選手として活動してもらいたいの」

 

「私が選手、ですか」

 

 

 そして、照奈から語られる"木野を走らせた意図”。それは、彼女の要望を拒否することを指していた。

 

 

「理由は3つ。1つ目は"今の人数であれば私がマネージャーもやれる"から。2つ目は"教える人が増える"から。3つ目は"GK(ゴールキーパー)をやってほしい"から」

 

 

 3つ目の理由が語られたところで、円堂が手を挙げる。

 

 

「監督、キーパーはオレがやりますよ!」

 

「あら、そうだったの。じゃあ、"円堂くんが手を骨折したときのピンチヒッター"に変更ね」

 

 

 部室でポジションを聞き忘れていたわ、とうっかりしつつも照奈はプランを変更。

 

 

「なんで私がキーパーをやるんですか?」

 

「代わりを確保するのが難しいからよ。探すぐらいなら、未経験の子を育てる方が私は楽なの」

 

「貴女がGKコーチを務められるのですか?」

 

 

 照奈の説明に納得がいかないのか、椎奈が茶々を入れた。"代わりを確保するのが難しい"というのは、小・中学生サッカーにおいては間違っていない。

 

 

 理由は様々で、"交替制でやっている"だとか"身体が大きいからやらされている"だとか、”競争率が高いから”だとか。

 

 

 そして、失点したら『お前のせいで負けた』などと言われて責められる。1点でも取られたら戦犯扱い。それが嫌になって途中で辞めてしまう子だっているという。

 

 

 その上、照奈のポジションはFW。GKなんて一度もやったことがない。中学時代から彼女をずっと間近で見てきて、背中を追っていた椎奈だからこそ意見ができる。

 

 

「中学サッカーなんて、ど真ん中に必殺シュートを撃つ子しかいないじゃない」

 

「そういう問題ではありません。貴女は一生前にいたから知らないかもしれませんが、キーパーは守りの要です。教える立場が未経験者って、そんなバカげたことありますか?」

 

「別に、大体の監督はキーパーなんてやったことが────ああ、だから貴女は大学からキーパーに転向したのね」

 

「ようやく気付きましたか」

 

 

 椎奈は努力家だ。圧倒的エース(芹坂照奈)に置いて行かれないように、誰よりも練習や座学を重ねてきている。それが裏付けとなり、今にも同居人を説き伏せようとしていた。

 

 

 とはいえ、照奈には照奈のプランがある。

 

 

「私にはあらゆる疑念を覆す策があるの。帝国じゃ到底不可能で、この4人だからこそ成し得る策が」

 

「なるほど、それは興味深いですね。帝国────総帥に不可能なことがあると?」

 

「あるわよ」

 

 

 『この4人』と言われ、炒飯を食べていた4人はビクッと一瞬身体を震わせた。

 

 

 帝国学園ではできないこと。それに対するプレッシャーが一気に圧し掛かる。

 

 

「世界一を目指すのだから、早い内に()()を知っておいた方がいいでしょう?」

 

 

 『世界』という言葉でピンと来たのか、半田は急いでコップの水を飲み干して、会話に参加した。

 

 

「もしかして監督、フランスに行くのって────」

 

「知り合いの海外チームと練習するためよ」

 

「やっぱり……!」

 

 

 「おおっ」と一瞬だけ部員たちで盛り上がる。一方で椎奈は顔をしかめていた。何やら察した様子である。

 

 

「照奈、貴女まさか────」

 

「そのまさかよ」

 

 

 ふふっ、と少々意地悪気味に微笑む照奈。その理由は、数か月後にあるフランス遠征で判明する。

 

 

 ────たった一言で急激に楽しみになってきた雷門中サッカー部初期メンバーだが、思い知らされることになる。

 

 

 海外のレベルの高さを。いくら時間があっても超えられそうにない高い壁がそびえ立っていることを。

 

 

 しかし、恐れることなかれ。怖気づくことなかれ。

 

 

 天上天下唯我独尊が相手だろうとも、所詮は人間なのだ。

 




芹坂照奈(せりざかてるな)
年齢:22歳
ポジション:フォワード
背番号:10(現役中はずっと)

中学は帝国学園。圧倒的なフィジカルとセンスで全てを捻じ伏せる怪物。巨漢プレイヤーにタックルされたにもかかわらず、逆に相手を弾き飛ばして骨折させたことがある。その試合はレッドカードで退場になった。


奥崎椎奈(おくさきしいな)
年齢:22歳
ポジション:フォワード→ゴールキーパー(大学時)
背番号:11→1(大学時)

中学は帝国学園で2年・3年次はキャプテンを務めていた。大学在学中、帝国学園サッカー部のコーチに就任し、今も指導を続けている。照奈曰く、「同い年なら仲良くなれそうだと思ったのよ」とのこと。

こんな感じでイナイレ時空に初登場するキャラはネタバレしない程度に簡易的なプロフィールを書いていこうと思います。

次回更新はいつになるか分かりません。とりあえず頑張って書き溜めるので5月以降でしょうか?

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