光輝の都の頂へ〜元社畜、欲望渦巻く魔都にて傭兵生活を始める 作:ズブ左衛門
その瞬間、和やかな空気は霧散して緊張感が建物内を支配する。階下からは微かにどよめきが渦巻いており、普段の賑やかで楽しげな雰囲気は全く感じられない。ジュークボックスから流れる旧世紀の著名なジャズ曲だけが変わらず流れ続ける様は異様ですらあった。
そこに混じるのは明らかな緊張感で、どこか戦場に似たような雰囲気であり、決して歓楽街の店舗で感じられていいものではない。
「……ミスター・カノ。不本意な話だけれど、早速仕事ができちゃったみたい。契約だと仕事は明日からになってるけどお願いできるかしら」
「ま、任せてください! 手持ちに薬品が殆ど無いですけど、診察くらいならできますんで!」
しかし歴戦のフィクサーであったスミスの対応は素早い。すぐさま誠にお願いという名の指示を出すと、クリスを引き連れ年齢を感じさせない機敏さで自らも下りていく。この中で店自体との関係が比較的薄い拓郎とアリサだけがワンテンポ遅れたが、それでもただならぬ事態が起きたことを理解して四人の後から階段を勢いよく下りていった。
「患者はどこに!?」
「こっちです、今は応急キットのある控え室に運んでいただきました!」
何もかもが足りない状態でも患者を見捨てるわけにはいかないと言わんばかりに誠は階段を駆け下り、ショウコに先導してもらいながらバックヤードにあるキャスト用の控え室へと辿り着くと、そこ運び込まれ長椅子に寝かされたまま苦しそうにウンウンと呻く二人に駆け寄り診察を始めている。スミスと会話した時にどもったり緊張したりといった様とは無縁であり、その顔や手つきは医師として真剣そのものだ。
「大腿部遠位に……これは水疱じゃない、駆動部の潤滑液が漏れて溜まってるんだ。それに膝から下のサイバネ義足はアージェス・サイバーリム社の二〇七一年製と……古いってレベルじゃないし、標準耐用年数の三倍以上使ってるのか」
最新の機器がなくとも大まかな診断くらいなら出来る。目視と触診で分かる患者の症状から、生来の脳みそとそこに接続されたストレージに蓄えられた膨大な知識から最も適切だと思われる病名を導き出す。
「……これはほぼ確実にサイバネ機器由来の化学物質が原因だね。中古の粗悪品とはいかなくても、安物を耐用年数を超えてずっと使ってると起きやすいんだ」
「まさか……サイバー中毒!?」
「そう。正式にはサイバートキソーシスって言うんだけど、異変が体表まで出てくるフェーズになるとかなり危険だよ。何かの拍子で有害物質が一気に体全体へ回ったら、容体は僕の手持ちじゃ手がつけられなくなる……」
それはサイバネ機器を用いる者なら殆ど全ての人が知っている上に恐れる疾病、サイバートキソーシス。機器の破損や異常挙動、経年劣化といった様々な要因で本来は生体と接触するはずのない内部の毒性物質が漏洩し、人体に接触することで発生する症状は総じてこう呼ばれているのだ。
「だからマダムはサイバネ機器の耐用年数は守れとおっしゃるんですね……危ないものばっかりなんでしょうか?」
サイバネ機器と一口に言えど、その品質はピンからキリまである。メーカーの技術力の高低や新品か中古品、パーツを継ぎ接ぎしたジャンク紛いの再生品であるかなど、様々な要素が複合して決まるのだが、機械である以上耐用年数が存在しており、それを超えて使い続けると様々な不具合が生じる可能性があるのだ。
当然ながらタカマガハラ社を始めとするメガコーポ製やそれに近い大企業製の高級なハイエンドモデルならば、製品の出来や性能、そして耐久性からして他とは一線を画しており、アフターサービスも充実しているためそういった事案は殆どない。
「いいや、金持ちやコーポの重役とか幹部級が使うやつは性能面はもちろん安全面も最大限に配慮されてるんだけど、貧しい人が買えるやつの質なんて大抵酷いものなんだよ。アイツら金儲けするためならアコギなことを平気でするからね」
しかし二流三流の中小メーカーの商品や大手でも低所得者向けの安物は耐用年数と安全性を軽視する傾向が顕著であり、コストカットと性能を両立するために毒性の強い金属や化合物を平気で用いたり、肉体に負荷のかかる駆動方法を用いたりと半ばやりたい放題である。当然ながら大衆が手に入れられる機器の大半はそのような標準以下の低品質なものばかりであるため事例には事欠かず、アシハラだけでも毎年数百人が無常にも命を落とし、その数倍もの人が一時的または永続的な障害に苦しむこととなるのだ。
「そ、そうなんですね……カノ先生、二人は……二人は助かりますか?」
「……薬品がないと、根本的に治すには今のサイバネ機器を外すしかない。でも、手術室どころか診療所すらないところだとその手術すらできない……現状のままだと今日明日保てばいい方かな。いつ激しいショック症状が表れても不思議じゃないし」
そう、何とか医者を確保したところで今度は薬がないのだ。医者がいないのに医薬品の在庫などろくにあるはずもなく、痛みを緩和するくらいならともかく体内に漏れ出した劇物による症状を緩和したり原因であるサイバネ機器を取り外すことなど到底不可能である。内部が破損し毒性物質が漏洩しているものを無理くり取り外したらどうなるかなど、余程の愚か者でない限り容易く想像がつくものだ。
「でも、アナタの診療所にはまだ薬が残ってるはず。それがあれば根本的な治療は不可能でも対症療法は出来るかもしれないわ」
「そうだ、気が動転しててすっかり忘れてた……! 僕のオフィスには買ったきりでほぼ使ってない薬剤が残ってたんだった!」
しかし借金取りに追われる形で放り出してきた誠の診療所にはある程度備品や薬品の在庫はほぼ手付かずで残っており、今回の症状を治療するためのものも置いてあるはずであった。そのためになけなしの貯金を全額叩いた上で五〇〇万クレジットも借りたのだから、相応の量があると考えるのが自然だ。
「……とにかく出来ることはするよ。だから頼み事があるんだ、ベイエンドにある僕の診療所にある薬品を取ってきてほしい。そうすれば症状の悪化は食い止められるはずだから」
だが唯一医療知識を持つ誠がこの場を離れるわけにはいかず、他の誰かが持ってくるしかない。とはいえ。若干人手が増えたところで慢性的な人手不足が解消されることはなかったのだ。
「……分かった。俺が行ってくるよ」
「んじゃあーしも行く。人手は多い方がイイっしょ」
人命の危機であるためか即座に拓郎とアリサが立候補し、誠から診療所の鍵と大まかな見取り図を受け取るなりそのまま『ウキヨエ』の外へと駆け出そうとするが、はやる二人をスミスはやや強めに、しかしより良い代案を以て呼び止めた。
「待ちなさい二人とも、クルマを使えばもっと早く着くわ。こういう時こそ落ち着いて、それでいて迅速に行動するのよ」
「え、車……? 車なんか通らないって言ってたような」
「ほら、アナタとマクダニエルが鬼哭衆の下っ端から分捕ったヤツよ。キャストの中に機械いじりが好きな子がいたから最低限行って帰ってくる分には大丈夫なはず」
スミスから貸し出されたのは、前哨基地襲撃で手に入れたスモークガラスが怪しさを醸し出す軽自動車。あれから誰も乗る人がいないため、手持ち無沙汰に『ウキヨエ』の滅多に使われない駐車場にて半ば放置されていたのだが、設計の新しい電気自動車であるため内燃機関ほど煩雑な整備を必要としない。
その上で車好きのキャストが趣味の範囲で保守管理をしていたため、バッテリーさえ上がっていなければこうやっていきなり乗っても大丈夫である。
「さすが電気自動車、一ヶ月くらいほったらかしでも始動ボタンを押したらすぐ動く!」
「いや、これは保管状態が良かったからだし。フツーのやっすい電気自動車はバッテリーが消耗するなり駆動系が壊れたりでそうも上手くいかないんだってば」
お世辞にも広いとは言えない車内だが二人で乗るには充分であり、古い機種ながらカーナビまで付いているため、誠から聞いた住所を入力すれば一秒もかからずに最短ルートを弾き出してくれた。そんな一秒すらもどかしく感じられる状況の中、駐車場の錆びついたシャッターが不快な金属音と共に開いた瞬間、勢いよくアクセルを踏み込みたい衝動を抑えて安全運転に徹している。
「おい車が出るぞ、みんな脇に寄ってくれ!」
「ほらそこ、轢かれたくなきゃさっさとどきな!」
クリスより連絡を受けた自警団員たちがレインボー通りを歩く人々を脇に避けさせ、空いた道を拓郎がハンドルを握る軽自動車が甲高いモーター音を響かせて走っていく。それでも安全のため三〇キロほどに抑えており、曲がるべき十字路が見えているのに中々にもどかしい体験だ。
『容体はまだ不安定なままだ、できるだけ急いで!』
「了解、事故を起こさない程度に急いでみる」
『言い忘れてたけど、診察室の奥にある薬品棚を施錠してる錠前のパスワードは5963、ご苦労さんって覚えて』
「めっちゃ安直だな……わかった、ありがとう」
ナビだけを頼りに殆ど灯りのない細い路地をなるべく速く走行するのは中々にスリリングな体験であり、昔ながらの電柱という危険物がないとはいえ、彼がハンドルを握る軽自動車がようやくすれ違えるほどの幅しかない道路を必要最低限の減速で走ったり曲がる行為は少なからず冷や汗をかかせていた。
そうして準天頂衛星誘導式のナビに従って五分ほど車を走らせていくと、辿り着いたのはアシハラの掃き溜めと呼ばれるベイエンド地区でも治安がまだましなエリアであり、その一角のテナントを改装したのが誠の診療所として存在している。
「ここだな、よし早速薬を取ってこなきゃ」
「ちょい待ち拓郎さん……そこの窓、割れてるって」
「……うわ、本当だ。横とか裏側じゃなくて空き巣もコソコソすることすらしないんだな、ここら辺だと」
路肩に停めると誠から預かった鍵で入ろうとした拓郎であったが、正面の窓が不自然な形で割られた上で無防備に開いていることにアリサが気付いたため、侵入者がいる可能性を考慮して動かざるを得ない。既に引き払った後かもしれないが、最悪を想定しておくことが傭兵として生き残る道であるため事前に確認しておきたかった。
「助かったミキモト、招かざる客がいるかもしれない。カメラとかハックして中を見れないか?」
「うーん……多分? ちょっと無線電波の反応はあるし、多分型式も分かったからイケるかも」
そんな時に頼りになるのが、この前のジャンカーズ掃討作戦で大いに役立ったアリサのハッキング。機器にさえアクセスできれば機能が許す限り好き放題できるという認識のため、気軽に頼んでいる。
「よし捕まえた、映像をこっちにも出力するように……げ、ドロボーがいるの」
彼女がハックした二つのカメラに映っているのは、診療所へと侵入しては何かを漁っている不審者の姿。診察室側に映っているだけでも三人いるが、画面外に向かって何事かを話している様子から更に何人かいるだろうと推測できる。
「最低でも五以上、もしかすると一〇くらい……何を言ってるかを聞き取れたらいいんだけど、音声とかは……」
「カメラ自体にマイクがないからダメ、そもそもカメラ自体が骨董品レベルだし」
だから音声による情報が欲しかったのだが、そんな機能がついた監視カメラは中々高価なものであり、こんな場末の診療所なんかについてることなどほぼありえない。仮にあったとしても、誠はその分の資金を薬品や医療器具の追加や補充に費やすだろう。
「見取り図は貰ったからニューロンブースターで殴りに行くのもいいんだけど、流石に一〇人もいたら一気に相手できないな……」
そんなことを言いながら作戦を練っていた拓郎だが、不意に誰かが彼の座る運転席のスモークガラスをコツコツと叩いたことで現実に引き戻された。カメラに注力していたこともあって唐突に感じられ、アリサは驚いて少し飛び上がっている。
「わっ!? 誰か来た!」
「どうせカツアゲに来たチンピラだろうけど、一応用心して開けるぞ……」
アリサに予備の拳銃──これも鬼哭衆の構成員から奪ったものだ──を渡してから、いつでも拳銃かニューロンブースターで攻撃できるように準備してからパワーウインドウで窓を開けたのだが、ドアの外にいる面々には見覚えがあった、というよりつい数時間前に会ったばかりの人々であった。
「おい、よそ者が俺たちの縄張りの近くで何チョロチョロ……うわッ、さっきの兄ちゃんかよ。いや何で!? 俺たちアイツにまだ手を出してないからな!」
声をかけてきた小集団の正体は何と先ほど追い払った木っ端ギャングであり、その強面気味な顔には何故こんなところにいるんだという疑問と、もうこれ以上関わりたくないという意志が露骨に出ている。彼らからしても、身柄の確保が出来なかった腹いせに差し押さえの名目で金目の物をいくつかくすねてやろうと思ったら、何の因果か会いたくない人物にまた会ってしまったからだ。
「いや、お前たちを殴りに来たんじゃなくて、ここに用があったんだけど。そっちからちょっかいかけてこないなら別にいいんだ」
「となるともしかして……そっちも借金の取り立てがあったのか? チッ、困ったな。もしそうだったら、ちょっと上の方で話をつけてもらわないとまずいかもしれん」
それでも即座に自分なりに目的を推察して利害調整に持ち込もうとするあたり、このリーダーは決して愚鈍ではない。必要とあらば暴力も殺人も厭わないのがギャングだが、そればかりに頼るのはただの狂犬であり、パブリックエネミーであるスカヴィードッグスと大して変わらないのだ。
「兄ちゃんの方はどれくらいあるん? あの調子からしてそこそこはありそうな気もするけど」
「あーいや、彼の診療所に用があってな。69番街で急患が出たから薬を取ってきてほしいって頼まれたんだ。マダム・スミスから言われたんだ」
どうやらこのリーダーは他の奴らと違ってとりあえず話が通じる人間らしい。そう悟った拓郎はスミスの名を使うことで余計な干渉を避けられると考え、早くこの場を去ってくれるように願った。
「あー……差し押さえじゃなくて使いっ走りの方か……兄ちゃんも大変やなぁ、宮仕えってのは。俺らはクライアントから借金のカタに差し押さえてこいって言われてここに来たんやけど……誰か中にいるんか?」
しかし、拓郎による薬品の調達せよ、ギャングによる差し押さえにせよ、室内に正体不明の侵入者がいる限り目的を達せそうにない。どう考えても話の通じなさそうな連中がいやらしい目で棚を物色しているところにズカズカと押し入ればどうなるかなど、火を見るよりも明らかだ。
「ああ、中に先客がいる。見た感じスカヴィードッグスではないけど、そこらのチンピラっぽいな」
「いや、何で分かんだよ……あれか、子供だましの映画に出てくる超能力者みたいな感じなのか?」
「カメラをハックして覗いた。正確には隣に座ってるハッカーにやってもらったんだけど」
「え、えげつねえ……! 69番街の近くじゃカメラあるとこなんか迂闊に歩けたもんじゃない……」
だからこそハッカーによって建物内のカメラを覗き見して得た事実を伝えたが、相手は恐ろしいものを見たかのように顔をしかめている。普段なら気にも留めない何気ないオブジェクトが敵になる恐怖を理解していたのだ。
「だから、とりあえず中の奴らを共同でぶちのめさないか? あれは俺にとってもお前たちにとっても敵なんだから」
そこで拓郎はギャングたちに提案した。兵力不足のまま閉所で戦うなんて、せっかく非敵対かつ顔見知りと強弁できる戦力があるだから使えたらいいなと思い、共通の利益を提示することに今限りの味方にしようと目論んだのだ。
しかし相手のリーダーは中々に強かである。誠の精算に失敗した彼らはクライアントにこってり絞られており、次のしくじりは許されないため条件を突きつけることにしたのだ。これに乗ってくるか撥ねつけられるかは分からなかったが、何らかの成果を上げないと帰れなかった。
「まあ、俺らも差し押さえがあるし、不法侵入者をボコさないことには何もできないのは事実だから、その案に乗るのは吝かじゃないが……兄ちゃんの頼みでもタダでは手伝えねえ。格下相手といえ命張るわけやし」
「病人の命がかかってるんだしふざけんな、って言いたいけど、そりゃあそうだよなぁ……」
拓郎は拓郎で、全ての責任は全部『先客』とやらに押し付けてしまおうという邪な企みを進めている。必要な薬品が荒らされていれば連中のせい、必要なものがなかったら連中が壊したせいだってことにしよう。少しずつ、しかし確実に裏社会の流儀を学びつつある彼は決断を迫られる状況でそう決断したのだ。
「ところで、気絶させたチンピラってカネになるのか?」
「んーまあだいたい二束三文か。労働力としても、臓器ドナーとしても、オマケに被検体としてもクソの三拍子揃った連中やししょうがない。まあ、一人くらいなら持って帰って売れるかもな。それだけじゃ足りんけど」
「……やっぱり薬品目当てか? モノによっては承諾できないけど、不要なものは努力する」
「やっぱり医薬品の横流しは儲かるんよ。まあ流石に兄ちゃんの欲しい薬剤は取らんよ。あのサルみたいなクソガキの二の舞は勘弁願いたいしな」
ここでグズグズして手遅れになるよりは、妥協してでも必要な薬品を手早く持ち帰ることを優先するべきだと判断している。故に戦力としても勢力としても格下の木っ端ギャングに譲歩した。
「……薬品も戦利品も両者で半分こでどうだ。ただしこのリストにある二種類の薬品だけは最優先でこっちが全部貰う。この条件なら問題ないか」
「マジ!? いやー兄ちゃん太っ腹、お大尽! こればっかりはホンマ頼みますよ」
無論、木っ端ギャングのリーダーは予想より好条件を提示されたため一も二もなく飛び付いた。自分たちみたいにギャングと名乗っていても路地裏のチンピラと大差ない連中なんて、地盤を持つ勢力には安い使いっ走りとしてしか使われないため、思わずガッツポーズをしている。
後はとにかく約束さえ守ってくれればいい。そうすればクライアントに再びどやされたり契約を切られずに済む。そんな皮算用をしたリーダーはガラの悪い笑みで拓郎へと向き直った。
「よっし、んじゃセンセイのオフィスを荒らすクソ不届き者どもにお灸を据えちまいましょうぜ!」
「ウォーッ! 殴る、壊す、殺す! とっても楽しいッ!」
「なんだあの悲しいバケモノみたいな奴は。さっきも話が通じなそうだったけど」
「……そう言わんでくれ。アレでも俺のダチなんや。横流しされた戦闘用の薬物ばっかりキメてたら、すっかりラリっちまって……あんなけヤクなんか使うなって言うたのに」
こうして臨時の同盟を組んだ拓郎は、診療所を占拠するチンピラ集団に対して二正面作戦を行うべく、正面玄関の鍵を開けてから緊張した面持ちで拳銃のチェックをするアリサと共に裏口へと向かう。そして向こう側からギャングたちによって勢いよく扉が開かれる音がした瞬間に自らもドアをそっと開け、徐々に喧騒が大きくなる診療所内へと足を踏み入れた。