余談ですが、彩葉と楓は2013年生まれなので、私の妹と同い年(現在中一)だったりします。朝日さんが何歳差なのかは不明ですが、多分私よりは年下かな? 私が今年で23なので。そう考えると、2030年って意外とすぐそこかもしれませんね。
「あのねぇ、流石に買いすぎ」
「何着せても似合うんだよ、この子」
「それは分かるけど。分かるけども……」
「靴とかはまだ買ってないからさ。また今度行かないと」
「ダメだこりゃ……」
楓は必死にかぐやに買い与えてしまった物品の言い訳をしている。気持ちは分かるのが難点だ。まぁ、しばらくはこれで大丈夫だろうから先行投資という見方も出来るかもしれない。私よりいい服を着ている娘が爆誕してしまった。
本当はもっとゆっくり成長していくから少しずつしかかからないはずだったお金が、一気に成長したことでまとめてかかるようになったと考えればいいのかな。それなら仕方ない部分もある。当のかぐやはルララ~と楽しそうに歌いながら歩いている。夕焼けの街の中、私たちはかぐやの影を追いかけながら歩んでいた。
「かぐや~、今回だけだからね。あんまり楓にお願いしまくらないこと。あと、なんでもかんでもお願いするんじゃなくて、本当に欲しい物だけにしなさい。必要なものとか欲しい物なら、ちゃんと言ってくれれば相談したうえで買うから」
「はーい」
「と、いうことで今度から一万円以上の買い物をするときは相談してね。よろしいですか、旦那様?」
「はい、仰る通りに致します」
「よろしい」
楓は冗談ぽく恭しい口調で言った。態度は若干適当だけど、ちゃんと話は聞いてくれている。私が本気で嫌がることはしないし、かぐやの成長のためにはある程度我慢する事だって大事なのは彼だって理解しているはずだ。もちろん、何不自由なく育てたいという想いはある。でも、それじゃダメな時もある。上手く行かない時に自分でどうにかするって言うのも大事な事だ。
「でもママもパンケーキ食べてたじゃん、かぐや達に黙ってぇ」
「ギクっ……」
痛いところを突かれた。
「まぁまぁ、彩葉さんにもたまには休みたい時があるんだよ。いつも俺とかかぐやのために美味しいご飯作ってくれてるんだから、ね?」
「そっか」
「そうそう。それに、もしあそこでかぐやが彩葉さんを見つけてなかったら別のお店に行こうとしてたんだしね。かき氷食べたいって言ってたでしょ?」
「か~ぐ~や~?」
「え、えとえと、暑くってぇ」
途端に目を逸らして言い訳をしている。調子が良いんだから、まったく。下手くそな誤魔化しの中にも可愛さが溢れていた。嘘が吐けない性格みたいだ。時には吐いた方が良い嘘もあるけど、基本的には正直な方が良い。私だって、自分の気持ちに正直になるのに時間を要したんだし。
楓がいなければきっと、自分の気持ちに蓋をしながら義務感だけで生きる日々だったかもしれない。自分の思いで、自分の意思で、日々を生きたいとは思えてなかっただろう。楓の優しさを素直に受け取れず、真実や芦花に心配をかけ、かぐやにも冷たく接していたかもしれない。そうならなかったのは、私に手を差し伸べてくれた人のおかげ。
彼の隣にいることが私の生きる意味になっていた。そしてその末に、もう一つ私の生きる意味が追加された。笑って、泣いて、過ごす何でもない日々が大事になっていったんだ。ありがとうだけじゃ伝えきれないくらいに大きな思いを抱けるようになった。
家族揃って夕焼けの中を歩いていくなんて、いつ以来のことだろう。遠い昔、私が感じたあの幸福をかぐやにもあげられているのかな。あっという間の道のりを終え、私たちの家にたどり着く。かぐやがどこかソワソワしていた。何だろうと思って鍵を開けようとしたとき、かぐやに止められる。
「ちょっと待って!」
「どうしたの?」
「まぁまぁ」
戸惑っている私を楓も引き留める。そして楓に渡された鍵でかぐやが部屋のドアを開けた。
「俺たちはちょっとこっちで待機ね」
「え? え?」
楓に引っ張られて彼の部屋に放り込まれる。かぐやは私の部屋で何をしているのだろうか。相変わらず大量の機械が置いてある部屋の中で、私は困惑を隠せない。しばらくしてどうぞ~と壁越しに呼ばれた。壁が薄いのがこんなところで役に立つとは。
ニコニコしている楓に背中を押されながら自分の部屋に戻る。中からは暴力的なまでに食欲をそそる匂い、そして愛すべき娘が胸を張ってどや顔をしている。
「じゃーん!」
机の上には見た目も華やかな絢爛豪華な料理の皿。思わずゴクリと唾を呑み込んでしまう。さっきまでパンケーキを食べていたのなんて忘れてしまうくらいに美味しそう。お菓子は別腹って言うしね。
「まーずは、生のトウモロコシから作ったポタージュ。こっちは新ゴボウとアスパラのカリカリサラダ温卵付き。メインはトマト煮込みハンバーグ、ズッキーニのソテーをそ・え・て♪」
そう言ってかぐやは自分の笑顔を添えた。
「え、こ、これ……」
「作ったよ~~。二人で~」
「まぁ、俺もちょっとは手伝ったよ。包丁の使い方とかは教えたしね。ただ、大半はかぐやが頑張ってくれた」
「料理面白そうだったし、ママは普段バイト? とかで大変だって聞いたから、何か元気づけてあげたかった~」
「かぐや……」
えへへ、と笑うかぐやの言葉に、私は思わず涙が零れてくる。優しい子だ。凄く、優しい子。料理なんて初めてだったのに、それでも頑張ってくれたのだ。よく見ると、指の何本かに絆創膏が貼ってある。不器用ながら、失敗しながら、それでも私のために――
「え、え、大丈夫? どっか痛い?」
「ううん、違うの。違うの……ありがとう、ありがとう」
ここ数日、いきなりやってきたかぐやに振り回されてた。その日々は楽しかったし新鮮だったけど、疲れももちろんあった。それは事実。でも、その疲れも全部消え去った。胸の中がいっぱいになって、私は感情を言語化できないままに娘に抱き着いた。私がミルクをあげていたあの小さな赤ちゃんは、私のためにご飯を作ってくれるまでに成長してくれたんだ。
こんな風に頑張っても良いなって思える親として振舞えていたのかな。子供の姿や行いは、親の成績表みたいだ。
「彩葉さんは嬉しいんだよ、かぐや。頑張ってたもんね」
「うん、喜んで欲しかった!」
溢れ出る水滴を拭うこともしないまま、私はかぐやを抱きしめながら頭を撫でた。私はそうして欲しかったけど、そうしてもらえなかった。だからその分、過去の私の分まで、この子を抱きしめてあげるんだ。自分は愛されているって感じられるように。
楓は優しい顔で私たちを見守ってくれている。
「かぐや、愛してるよ」
「にへへ~」
私の中に沸き上がる色んな喜びを抱きしめる。潰れてしまうほど強く、確かに。愛してると言われるたび、自分が何でもできるような気がした。同時にその言葉を口にするたび、自分が満たされていくような気がした。
「ほら、彩葉さん。冷めないうちに食べてしまわないと」
「うん、うん……!」
涙を拭って、私は席に着く。いただきます、と言ってスープから口に運んだ。濃厚な味が伝わって来る。ほっぺが落ちそうだ。私も下手じゃないとは思っているけど、流石にこれには勝てない。舌が蕩けそうだった。それ以上に、二人からの愛情を感じた。
「美味しい……美味しいよ、かぐや」
「やったね」
「イエーイ!」
二人はハイタッチしている。天使のような料理を、私は気を抜くとまた溢れて来そうな水滴を抑えながら完食した。最後に飲んだその辺のペットボトルのお茶すら美味しく感じられる。お腹の中はほかほかしている。頭の先から爪先までが甘い幸せに満ちていた。
並んでお皿を洗っている楓とかぐやの背中を見ているだけで感情がかき乱される。子供が元気でいてくれればいいっていう人は、こういう気持ちなのかな。どこにでもあるような、それでいて特別な家族の景色。この景色を、私はずっと探していたのかもしれない。遠い昔に失ってしまったそれを。
「……よしっ」
私は一つの決意をした。この光景に勇気を貰えたかもしれない。最後に電話したのかいつなのかは忘れたけど、親に電話しよう。ヤチヨのライブまではまだそれなりに時間がある。間に合うはずだ。時は金なり、思い立ったが吉日だ。
「楓」
「んー?」
「ちょっと、部屋借りて良い?」
「いいけど、どうしたの?」
「お母さんに、電話しようと思って」
「――なるほど。分かった。必要だったら呼んで。俺もご挨拶しておかないとだし」
「うん」
私は携帯を持って立ち上がった。少しだけ手が震える。それでも私は一人じゃない。私には守るべき娘がいて、愛してくれる楓がいて、愛すべき家族がいる。それだけで何とでも戦える気がした。楓の部屋は静かだ。私の部屋から漏れ聞こえる楓とかぐやの声以外は、機械の駆動音しか聞こえない。その薄暗い室内で、私は大きく息を吸い込んで発信ボタンを押した。
数コールの後、繋がった。仕事中かと思ったけど、今は大丈夫みたいだ。
「もしもし」
『なんや、ついに音あげたんか? 意外と早かったね。私の娘やし、もうちょい時間かかると思っとったけど、やっぱり甘ちゃんには難しかったんやね。分かったら、とっとと戻って――』
「あの、帰るつもりはないから」
『……へぇ? じゃあ何の用で電話してきたん? こっちから何度かけても全部無視やったのに』
「それは……ごめんなさい」
『反論を持たず謝ったらあかんで。私は謝罪されて黙るような柔な人間やない。それともサンドバッグにしてええんか?』
はいはい、まぁこんな感じだよね。分かっていました。相変わらず凄い勢いで話してくる。耳元からスマートフォンを離してもお説教が聞こえてくる。スピーカーモードにはしてないんだけどな。急速に充電が減る感覚。でも、今の私は負けない。壁越しに二人の存在を感じ、私の元気を回復させた。
「私、彼氏いるから!」
『……はぁ?』
お母さんの口から聞いたことの無いような困惑した声が漏れた。いける、今がチャンス。
「成績はそっちにも送られてると思うけど、全然順調。学年一位はキープしてるし、全国模試でもいい成績。まぁまだ二年生だけど、三年になっても維持できる見込みはある。体調管理も万全。大学はまだ迷ってるところだけど、近いうちに決めるから。お隣に引っ越してきた人と付き合ってて、そのおかげで心身ともに健康ですのでご心配なく!」
『……それが言いたかったん?』
「そうだよ」
『アンタ……。高校生の恋愛なんて一過性のもんや。そんなのも分からへんの?』
「やったら逆に聞くけど、なんで高校生の恋愛が一過性なん? どうして決めつけられるん?」
段々昔の言葉遣いが出てきてしまった。
『愛も恋も価値観もまだ出来上がってない。視野が狭いんや。やから、目の前にあるもんを全部やと思う』
「それ、お母さんの過去の自分語り? 悪いけど、楓はそんな人やないから。ご両親を亡くしてからずっと一人で頑張ってた人やから。人の悪意も世間の厳しさも全部知ってる。お母さんと一緒だよ。弟妹がいないことは違いかもしれへんけど。自分のことで精一杯の中でも、私に手を差し伸べてくれた」
『なんや、今度はその彼氏に甘えてるだけやないの。結局甘ちゃんのところは変わってへんのね』
「悪い? 私を愛してくれる人に甘えて、甘やかしての関係で」
これは開き直り。論理性の欠片もない。でもいいのだ。私は説得しようとは思っていない。ただの現状報告であり、ある意味居直り開き直りだ。
『悪いって……アンタ、忘れたん? いっつも言うたよなぁ。都合のいい話には裏があるって。その人の親切はどうして信じられるん?』
「信じられる」
『なんで』
「楓は私を愛してくれてるから。絶対に裏切ったりしないから」
『……話にならんわ』
呆れた声が電話口から響く。
「お母さんには理解できないかもしれないけど、お母さんだって知ってるはずでしょ。だから、お父さんと結婚したんでしょ」
『なにを知ったような口を』
「知りはしない。私はお母さんやないから。でも、同じように自分の中で必死に藻掻いている時に手を差し伸べてくれた人に抱く感情がどういうもんかは分かってる。楓のお母さんのお墓詣りをした時思った。お母さんは、お父さんがいれば大丈夫だと思ったんよね。自分は厳しくしてしまうかもしれんけど、それでもお父さんがいれば大丈夫だって」
『――』
電話口の母は沈黙した。何も言わないまま、呼吸音だけが聞こえる。
「でも、お父さんはいなくなってしまった。私はあの時子供だから分からんかったけど、今はちょっとだけ分かる。今、楓がいなくなったら私は……想像するだけで震えてくる。お母さんも、同じような気持ちだったんでしょ? 子供がって言うかもしれないけど、苦しかったんでしょ?」
『……』
「私は、それについてどうこう言うつもりはないし、言えない。でも、私は悲しいって一緒に泣いてくれるお母さんが良かった。悲しさを、お父さんとの思い出を話したかった。勝手に先に行かないでよ。私もお兄ちゃんの気持ちも置き去りにしてさ。なんの生産性も無いのかもしれないけど、家族って生産性を求める存在じゃないはずだよ。それだけはハッキリと伝えたい。私は、ちゃんと子供の気持ちに寄り添える母親になる」
楓のお母さんに誓った。私は託されたんだ。病床の中で、楓のお母さんはきっと無念だったはず。かぐやと出会ってから私は一層楓のお母さんの気持ちが分かってしまう。愛した子供に何もしてあげられないまま、自分は先に旅立ってしまう苦しさ、悲しさ、無念さ。それはどれほど大きかっただろう。それでも、お母さんはあのメッセージを遺した。いつか楓が出会う見知らぬ誰かを信じて。
なら、その優しさに、想いに、同じ母親として応えなくてどうするんだ。
『あんたは結局、何が言いたいん』
「分からない。なんかぐちゃぐちゃになった。でも、ちゃんと伝えたかった。私はしっかり幸せに生きてるって。やりたい事もきっと見つかる。自分の人生は、自分と愛する人のために使います。ある意味では予告かも。これからの進路とかの」
『――好きな事をするのも、自分の道を貫くのも、責任が付きまとう。向いてたかどうかなんて最後まで分からんし、正しかったのかも分からん。上手く行ったかも。最悪誰もおらんとこで死ぬことになる』
「そうはならないよ。だって、私は一人じゃないから」
『他人なんて、なんの当てになるんや』
「全員が全員、そうじゃないでしょ。お母さんは極端なんよ」
私は大きく息を吸い込んだ。
「私には、私が困っている時に見捨てない人がいるよ。私が辛い時に心の底から心配してくれる人がいるよ。雨の中でも私を抱きしめてくれる人がいるよ。だから――お母さん。私を心配してくれるのかもしれないけど、もう大丈夫だから。私は、私を愛してくれる人たちと、ちゃんと幸せになるよ。私は、お母さんみたいにはなれないかもしれんけど、それでもいいと思える。だって、私はお母さんじゃないから。私は、私の思う幸福を手に入れる」
私は少なくとも、出会いには恵まれた。楓がいる。真実もいる。芦花もいる。そしてかぐやがいる。こんなに幸せをくれる人たちが、私を愛してくれる人が、何の見返りも無しに寄り添ってくれる人がいる。お母さんの言うように世間は厳しいのかもしれない。けれど、ずっと北風だけが吹いているってわけじゃないはずだ。
「それと、楓は凄い人だから。ツクヨミの管理をしてるし、数学は私より得意だし。今日ニュースでやってたハッキング犯を撃退したのも楓だから! どう、私の彼氏。それだけじゃないけど、カッコいいでしょ。言わなくても分かるけど。お父さんにだって負けないから!」
『……アンタの彼氏、傍におるん?』
「うん。隣の部屋に」
『じゃあ、代わりや』
「分かった」
保留モードにして、私は楓を呼ぶ。そして彼に電話を託した。楓は静かに頷いて、電話を始める。
「初めまして、彩葉さんとお付き合いさせていただいている、高野楓です――」
そんな声が壁越しに聞こえる。私はその間かぐやと他愛もない話をしていた。かぐやは犬DOGEというプログラミングゲームを改造しているみたい。楓に教えてもらったのだろう。
直線距離二百キロメートルのやり取りは、なんだか支離滅裂だった気もする。でも、私は言いたいことを大体言えた。私はここで生きていく。お母さんに認めて欲しかった。その根底には多分、愛して欲しかった。それはもう叶わない願いなのかもしれない。あの人はきっと、お父さんが亡くなった時から誰かを素直に愛せないんだと思う。
それはもう仕方ない。ちょっと悲しくはあるけど、いつまでも手に入らない物を追いかけるのは止めた。私は私に愛をくれる人の方を向いて生きていく。愛を注ぐべき人の方を向いて生きていく。かぐやに沢山愛を注ぎたいのに、自分が追いかけている側ではどうにもならないだろう。
楓は随分と長い事話し込んでいた。三十分くらい経った後、ちょっと疲れた顔で戻って来る。
「どう、だった?」
「いやぁ、強烈なお母さんだね」
「すみません、ウチの母が」
「いえいえ。こっちもツクヨミのガラの悪いユーザーで毒舌にもパンチにも自分が正しければ何を言ってもいいと思ってる人にも慣れてるから。いきなり「アンタはどこの馬の骨なんや」と言われたときはビビったけど」
ホントにあの人は……。ため息を吐くしかない。
「ただ、最後には言ってくれたから。――娘をよろしくお願いしますって」
「そっか……」
お母さんの言葉に縛られていたのは事実だ。それで感じた苦しみを許したりすることはしばらく難しいのかもしれない。それでも理解は出来た。子供がいるってどういう気持ちなのか、その一端くらいは。
だから、私に出来るのは自分の苦しかったことを子供にしない事だろう。そして、自分がして欲しかったことをかぐやにしてあげることだ。
「ママ、電話終わった? 大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ、かぐや」
かぐやをもう一度抱きしめる。温かい。赤ちゃんだった時と同じ温かさだ。この温もりを守るのが、今の私のやりたい事の一つ。そのためだったら、なんだって出来るんだ。
「楓、ありがとう」
「お母さんとのこと?」
「それもあるけど、これまでの全部。お母さんと話そうと思えるようになるまで、私を支えてくれたこととか、全部全部」
「彩葉さんと一生生きていくって誓ったからね。当たり前だよ」
その当たり前が私にとっては凄く大きなものだった。それに勇気を貰って、私は自分の過去に少しは折り合いを付け始めることができたのかもしれない。まだまだ道半ばではあるけど。それでも、少しは大人になれたのかな。
お義母さん、どうですか。私は少しは、あなたに近付けていますか。楓をこんなに素晴らしい人に育てたあなたに。まだまだきっと道は遠いと思います。でも、ちゃんと頑張りますからね。愛すべき娘も出来ました。今度、お義父さんのお墓参りに三人で行きます。だから見守っていてください。
不器用でも、ゆっくりでも、遠回りでも、ちゃんと前に進んでいきますから。