転生者スレッドも混沌中 作:魔法使い辞めるー!
「えー。あのー…悪魔様は」
「悪魔様はよせ。オレはチダルマだ」
「アッハイ。チダルマ様は、なんでチンケなオレに名刺を渡されたのでしょうか?」
「お前…悪魔に名刺をもらっておきながらチンケって…
お前の魔法もケムリも貴重だ。それにお前のやったことがめちゃくちゃ気に入った」
「やったこと?」
「忘れたのか。…襲った輩をどうしたのかを」
「襲った輩…あぁ!人攫いの馬鹿の事か!?」
オレは今、チダルマ様を家に上げて、冷えた紅茶を献上し、クッションを尻にひきつつ話している。
そしてオレは何故魔法バレしたのか。その理由を聞いてみた。そして答えが出た。
約半年前。オレはブルーナイト*1で人攫いをする輩を撃退した。単独犯であるそいつを橋の上から落として、落下を永遠味合わせたのだ。
そしてしばらくして、永遠に落ち続ける男と観光名所として紹介されてしまい。慌てて魔法を解除して、始末したのだ。というか彼方に投げた記憶が今戻ってきた…
アァァ…なんであの時「永遠に落下を味わえ」とかラスボス風に言ってしまったんだぁ…
「もしかしてソイツが」
「そ。なんか悪魔の間で。奇妙な落下を繰り返し、助けて殺してと呟いている生きた人間オブジェがあると聞いてな。ソイツが教えてくれた。面白いと感じたぜ。良くぞ作った」
「あ、りがとうございます?
あ〜でも、テレビや記事に載せられた際にヤバいと感じて魔法を解除しちゃって…」
「悪魔達は気にしてないぞ。というか、キャッチしても止められない。ぶん殴っても止められない。といった謎現象解明に走ってたし、お前を探して名刺を渡したがっていた」
「いい事、なのかなぁ……オレにとっては複雑なんですけどね…」
「オレ様にとっては、いい事すぎるな。おもしれーし」
ズズズと紅茶を啜りながらチダルマ様は楽しそうに。ニヤニヤしながら見越すようにオレを見る。
「で、どうだ。悪魔にならないか?」
「……悪魔ですか」
「そうだ。悪魔は良いぞぉ…毎日が飽きない。不老不死。万能感を味わえるんだ。魔法使い達からは、憧れ。尊敬。畏怖をもらえる」
「…」
「試しに悪魔試験を受けないか?」
「チダルマ様。お声や名刺をいただいた事は嬉しいです。ですが、オレは……悪魔になりたくないんです。人間になりたいです」
一瞬、間が開く。チダルマ様は「は?」と言った。
「おいおい。お前、何を言っている。魔法使いの憧れの悪魔になれるチャンスなんだぞ?
しかも人間になりたいですって…なんで人間になりたいんだ」
「……オレはソコソコいい暮らしたいだけで、人をあまり傷付けたくないんです。そして死後、地獄になんて堕ちたくない。
地獄で焼かれたくない。刻まれたくない。溺れたくない。焼かれたくない…ソコソコいい暮らしを立てて生きてるだけなのに、地獄になんて行きたくないんです」
「……ふぅん。で、お前はそれを恐れているから人間になりたいと?」
「はい…」
「なるほどな。…うん、わからん。だったら余計に悪魔になった方が得だろ。
死にもしない。病気もしない。毒も効かない。溺れない。焼かれない。刺されも刻まれもしない。エンジョイエブリデイだぞ?」
「それでも人間になりたい。やっぱり地獄になんて堕ちたくない。エンジョイは緩急有って楽しいと思うんですけど」
「え〜。お前変だよ」
「変で結構!あ、すみません」
「……そんなに人間になりたいの?」
「なりたいです!」
うーむ。とやや首を捻りながら腕を組むチダルマ様。
それを見て、オレはハラハラしている。ポロッと出た本音で機嫌を損ねてしまったのではないのか。そんな不安が横切ってくる。
悪魔。この世界の悪魔は、とても気分屋だ。昨日まで仲良かったはずなのに今日になった途端、飽きたから殺しという事もある。
「もちろん、悪魔腫瘍や身体に巡る煙の管を取り除かないといけない事。人間になったらどうやってホール*2に行くのかのも考えなきゃいけないのも。
そして人間になる為には、対価が必要なのかも…」
「……悪魔になりたがる魔法使い。魔法使いに成りたがるホールの住人。
それを見てきたが…人間になりたいという魔法使いは初めてみたよ…なぁ聞いていいか?」
「は、はい」
「お前は培った魔法も生活も失っても人間になりたいのか?」
「は、はい」
「死に先が、分からなくなるのにも恐怖はないのか」
「はい!」
ジィッとチダルマ様はオレを先程のように品定めをする視線を向ける。主婦あるいは主夫が食品を選ぶように上から下をじっくり見る。
そんな視線が、数分。いや数秒か。ただ見られているのに恐怖と畏怖がジンワリと腹底に染み込んできた。
「…分かった。悪魔のトップであるオレ様が、チダルマがお前を人間にしてやる!」
「は?」
唐突に声を上げ、人間にしてくれる話をチダルマ様は言ってくれる。そんなあっさりな対応に間抜けな声を上げてしまった。
「ただし対価がほしい」
「ど、どんな対価を?」
「お前が悪魔試験を受け!合格したら人間にしてからホールに送ってやる!」
「 」
200:スレ主の魔法使い
祝 人間になれる一歩前進
悪魔試験を合格したら人間になれるゾイ!そして魔法使いでもホールで安全な場所に送ってくれるようになったゾイ!
…ハッキリ言って悪魔試験ってだけで死刑宣告なんでは?え?死ぬんかオレ。
201:名無しの魔法使い
オモチャにされるな。というか悪魔試験ってジサツ者おらんかった?気がおかしくなったりしたヤツもおらんかったか?
202:名無しの魔法使い
人間にできる力持ちって。もしかしてヤバい悪魔なんチダルマ?
203:名無しの魔法使い
うわぁ、うわぁ…
204:名無しの魔法使い
ヤベーな…頑張ってイキロ
205:スレ主の魔法使い
助けて、助けてクレメンス!断っても地獄!進んでも地獄!断れない最上級の悪魔に睨まれタンゴ!
死にたくないンゴ!(´;ω;`)
「面白いヤツ」
数日後。闇夜に飛ぶ悪魔チダルマは、ケラケラと笑っていた。
肉体は、魔法使い。魂という中身は何か違う。ただ肉体という型枠にヒトの魂が無理矢理入っている謎の生き物。
そんな謎の生物は、肉体のスペックは、優秀。でも魂は、凡人のちょっと上。チグハグだらけの謎のヤツ。
何万年の時を生き、何万年の暇を潰し、何万年の生と死を見てきた。何万年の生と死を作ってきた。世界も創った。でもすぐに飽きた。
そんな飽き性である自分には、長年の一番楽しみが人間の世界ホールにある。だが、魔法使いの世界では今までなかった。先程までは…
まさか今を生き、コミュニケーションを取れるトンチンカンの生き物が居るとは思いもよらなかった。
「ほしいなぁ…」
自分とは別次元の生き物『ストア』。ホールの『楽しみ』。そしてあの『謎のナマモノ』。
新しい者が、解明できない者が出てきたこのワクワク感は懐かしさと幸福感と興奮を感じられる。
「人間に成りたい気持ちはオレ様には分からん。ただ人間として老いたり、病死したり、死にたいのは分かる。そして永劫の傷みを痛みを受けたくないというのも。
……チグハグな魂ゆえの哲学というもんなのか?はたまた境地か?」
チダルマは、月を見る。そして自身の力で、住処である黒い家を出し、優雅に入っていく。
そして黒い家の玄関戸を閉めながら「お前等揃ってるか?」と声を出しながらリビングに顔を向ける。
「ガウガウガウ」「居るみゃー」「居るぞ」
「なんかノリノリだね?」「「へーい」」「「はーい」」
そこにはチダルマ自身と脚の部位は同じだが、頭部や指先や服装が全然違う魔法使い上がりの悪魔達が居た。
「よしお前等。まずは、ブルーナイトお疲れさん」
「「いえーい!お疲れ様でした!」」
「そしてオレ様が、新しいニュースを持ってきた!例の落下男を創った魔法使いを見つけ!名刺も渡してきた。だがソイツは人間に成りたい為悪魔試験を受ける流れになった!」
「「な、なんだってぇえ!?悪魔にならず人間にぃ!?」」
「よし!お前等の反応は良かったぞ。さてダストン」
「お呼びかにゃー?」
チダルマに声をかけられたガスマスクを付けた悪魔ダストンが、前に出てきた。
「お前。
「悪魔試験もみてたよ」
「あ〜…そうだったな。じゃあ尚更お前が面倒を見てやれ」
「ミャーが?」
「今回の受験者は、良くて小心者。悪くてヘタレだ。
だが、やる事を決めたら物腰を入れてやるし。上下関係もしっかりする。礼儀も正しい。お前なら喝を入れたり、慰めたり、ヨイショよいしょ出来るだろ」
「なるほど。分かったけど命に保障はないニャー」
「それでいい。他に質問あるか?」
頭巾を被り、その下から角で突き破っている悪魔ハルが挙手する。
「はい!」
「はい、ハル」
「ソイツの名前と魔法を教えてほしいし。悪魔試験中にちょっかい出すのはダストン以外禁止なのか教えてほしい」
「ちょっかい出すのはオーケーだ。ただし呪いや殺す事はいつも通り悪魔試験中は御法度だ。
名前は
この話で分かった事。
〜その1〜
主人公の名前はカエシ
〜その2〜
カエシの魔法は『ループ』
〜その3〜
カエシはチダルマに見つかって逃げられない!
この先は不明!その危険度も不明!まさしく泥の中!
それがドロヘドロ!!