ワイ「バッドED確定なヒロインルート?勿論俺らは抵抗するで?」   作:二十一と書いてツルイチと読む。

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のでハッピーエンドを作る。


推しキャラにハッピーエンドが無いとなんか萎える。

 

 『抵抗のプロヴィデンス』

 飛び抜けて著名なゲームではないが、ちょくちょく有名配信者が配信したりで話題になっていたゲームだ。

 

 舞台は現代日本、良くある『異能力バトル物』とギャルゲーを合体させたようなアクションゲームだが、異能力を自分で制作できるというのが中々ハマる人が多かった。

 

 キャラメイク時に幾つかのスキルを組み合わせてそのキャラ専用の異能力を作る。

 

 例えば『刀剣生成』に『炎属性』の組み合わせで炎の剣や武器を作ったり、『ガムとゴムの能力を合わせる物体生成』や『糸』+『身体能力向上』で某親愛なる隣人を生み出したりもできた。

 

 そしてもう一つはギャルゲー的要素。昨今の情勢に対しての配慮が、或いは製作者の性癖か男同士、女同士の恋愛も可能。

 

 これもまた恋愛に繋がるストーリーだけじゃなく、友愛や親愛や、なんてことない日常会話も作り込まれ膨大なパターンが用意されていた。

 

 そしてそれぞれにストーリー分岐、当然独身孤高を貫くこともできる。とにかく膨大なデータと趣味の賜物、それが抵抗のプロヴィデンスと言うゲームだ。

 

 当然、推しキャラという概念も存在する…………『勝手に人を弟子認定する姉御肌女武闘家』だの『作中最強疑惑のあるツヨツヨメスガキ』だの『糸目関西弁胡散臭さマックスのド聖人』だの、好きなキャラいろいろだ。

 

 だが、俺にはとある推しキャラがいる。それは、作中の進行キャラクター。キャラ作成時にもお世話になる女性。

 

 執事服のような男装に身を包んだ所謂王子様系な印象を持つキャラクター、その名は『エリス』……作中においては狂言回し、トリックスターの役割を持っている人外めいた存在だが、立派な攻略キャラである。

 

 とある理由から異能力者達を導く『役割』を強制的に与えられ、その役割に準じて落ちることも死ぬこともできなくなってしまった人間であり、いわゆる上位存在。クトゥルフとかでたまに居る可哀想な巻き込まれ女の子のNPCポジションだ。

 

 勿論、そんな女の子を救ってこそのプレイヤー……数多のプレイヤーがこのキャラを救おうと抵抗のプロヴィデンスを周回した。

 

 ここで!攻略サイト(ネタバレあり)から抵抗のプロヴィデンスにおけるエリスルートのエンディングをいくつか紹介しよう!

 

 

・Eルート ED1『関わってはいけなかった者』

 エリスと仲良くはなれますが、最終的にエリスに存在全てを取り込まれて『貴方』と言う存在自体が無かったことになります。キャラロスト、バッドエンドです。

 

・Eルート ED3『一緒には居られない』

 エリスとかなり仲良くはなれますが、エリスの方があなたから身を引いて消えてしまいます。しかし、エリスと関わりすぎたことで人類の敵扱いされ、仲間達と戦う羽目になります。キャラロスト、バッドエンドです。

 

・Eルート ED5『君の代わりに。』

 エリスとほぼ恋人のような距離感になれますが、最終的にエリスと同じくトリックスターや狂言回し的な存在となり、次からキャラクター制作時にはこのEDに突入したキャラが出てきます。

 エリスと思わしきキャラはその後にNPCとして出てきますが、『エリス』としての記憶は全て失って廃人状態。キャラロスト、バッドエンドです。

 

 

 因みに5が一番ハッピーエンド寄りです。その他のエンディングも、エリスを殺したりエリスに殺されたりエリスと殺されたり、マトモな生存ルートがほぼありません。ここまでハッピーエンドがないのは本当にエリスだけだ。

 

 勿論キャラロス=バッドエンドと決めつけるのは早計かもだが……二人が一緒に結ばれるルートがないのは事実だ。ついでに、エリスが救われるルートも。

 

 むしろエリスと関わり親密度を上げるだけで他のルートでバッドエンドを踏んでしまう可能性が高まるほどの厄ネタだ。

 だから完全なハッピーエンドを望むならそもそもエリスはスルーしろっていうのが攻略サイトの情報だ。

 

 そして俺は、そんなエリスを推しキャラにしてしまった哀れな男……元々男装系の王子様的な風貌な女性キャラが好きだったり、エリスの余裕のある上位存在的な振る舞いが好きな俺はすっかり推しキャラの一人にしてしまった。

 

 それ故、まともに主人公とくっつく気配のない抵抗のプロヴィデンスで、なんとか未知のルートを開拓しようとエリスルートをプレイしまくった。

 

 なんとかこのエリスってキャラを救いたくて……違うな?納得できるエンディングに向かわせたくて……逆に他のルートじゃほぼプレイしなかったくらいだ。性癖には素直な方が良いってばっちゃん言ってた!!

 

 だがそれはあくまでゲームの話、実際にはそんなキャラいないし、さして関係ないはず……だった。

 

 

 

 

 

鶴一 研(ツルイチ ケン)。ふむ。君が新たな異能力者か。」

「そう怖がらないでくれ……実は私は君にプレゼントを持ってきた。既に、君は持っているがね。」

 

「どの道……この戦いを見たのなら、捨てることは出来ないけれど。」

 

 抵抗のプロヴィデンスのキャラメイクで飽きるほど効いた文言……その言葉を、俺はとある路地裏で聞くことになる。周りには圧倒的な破壊痕……そしてすぐに直っていく破壊の後。

 

 だがそれよりも俺が気になるのは、俺の目の前にいる彼女……少し青味がかったショートヘアーを持つ男装執事のような格好をした彼女……そう、彼女こそが抵抗のプロヴィデンス、そのトリックスター……『エリス』だ。

 

 

 

 そもそも俺がこの路地裏に居た理由は簡単だ。ここで俺はある戦いを見ていた。

 

 キャラクリ前のムービーで、ヒロインの一人がヤンキーっぽい的と氷とか出しながらバリバリ戦っていた光景……そのものが行われていたからだ。

 

 そしてそんな派手な光景を誰も気に留めない……俺だけがその戦いに気がついて隠れて見ていた。

 

 全てが終わり、ヒロインがヤンキーっぽいやつを軽くひねるってその場から去ると、壊れかけたビルの瓦礫が再生していく、その瓦礫とともに姿を現したのだ。俺の推しキャラ……『エリス』が。そして、当たり前のように俺に語りかけてきた。

 

「ふむっ……君の異能は……『並外れた打撃力』と『ダメージを受ける度に攻撃力が増す』と言った所かな?」

 

 あーあーこんな感じだった。ご丁寧にこうして異能力のある程度の解説もしてくれるんだ。

 

 割と助かったな……組み合わせる能力別に名前はあるけど地味にわかりにくいのもあったからこうして言い直してくれるのはありがたかった………じゃなくてね!?!?!?

 

「へっ!?はぁっ!?なんで!?」

「ふふっ、驚くのも無理もない。おっと、自己紹介が遅れたね、私の名前はエリス、よろしく。」

 

 はい!知ってます!!推してます!!好きです!!!!なんて言葉を叫びたいが落ち着け!ひどい厄介ファンみたいになってる!いや、実のところ変わらんのかもだが落ち着け!!

 

 つかそもそもなんでエリスが居るんだ!?いわゆる異世界転生って奴か!?俺一切合切死んでないんだけど!?

 

 昨日もぐっすり寝て起きたばっかりなんだけど!?寝起き悪くて深夜にコンビに行こうとしてたちょいワルな高校入学したての男子高校生なんですけれど!?

 

 くそっ!?どうなってやがる!?頭が混乱してきた!!頭痛い!!帰りたい!!けど……!!えぇい、どうすれば良い!?

 

「君には異能力がある。だが、その異能力も一つの個性。特別君が何かを成す必要もない。ただ、やりたいように、成したいことを成せば良い。」

 

 あぁ……こんなセリフだったなぁ……本編に入る前の長口上。いや、結構好きなセリフなんだけどね。にしてもどうしよう……ドッキリやマジックにした破壊後を再生したのが意味わからなさすぎる!

 

 ……本物?どっちだ?……そもそもこれは俺が関わってよい事なのか?確かに、抵抗のプロヴィデンスでもたなさだ普通日常生活を送るってロールプレイも可能だ。

 

 今日見たことは夢にして、何も知らずかいのように目と耳を噤んで暮らすのもありなんじゃないか!?……と言うか、これは夢でないのか!?

 

「一つ私から言えるのは、決められた運命なんてない。そんな運命があるのなら……その運命に『抵抗』しろ。それが、私から言えることかな。じゃあね。」

 

 そう勝手に呟いてエリスの姿が消えていく……髪を描き上げて消えていく最中……思わず俺はその姿に見惚れた。思わず小さく独り言をつぶやいてしまう。

 

「……こう言う何気ない仕草が綺麗なんだよなあ。」

「……はぁっ!?――――」

 

 俺のか細い独り言を聞き取ったのか、次の瞬間エリスは鳩が豆鉄砲食らったような赤面を上げながら消えていく。うん、可愛い。……そしてうん、ヤバい。やらかした。やらかしたやらかしたやらかした失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した。

 

 あー、やばい!アカンアカンアカンアカンアカン!!!ドン引かれた!ほんの誰にも聞こえない小言のつもりだったんだぜ!?人外すぎんだろあの地獄耳!勘弁してつかぁさい!!

 

「はぁ……!!と、兎に角確認だ!ネットで抵抗のプロヴィデンスについて検索しよう!流石になんか、情報出るかも!!」

 

 そう思い立った俺は、検索エンジンで『抵抗のプロヴィデンス』と、検索をかける。

 

 だが、一件もヒットしない。

 

 間違いなく、抵抗のプロヴィデンスは発売されていたゲームだ……それが、一件もヒットしないのだ。画像すら出てこない。まるで始めからそんなゲームなかったかのように。

 

 例の攻略サイトを、開いても……出てこない。抵抗のプロヴィデンスと言うゲームそのものがなくなっている。この分だと多分、家のゲームも消えているのだろう。

 

「…………なんか、ここまで来ると逆に落ち着くなあ。つか、さっきエリスが俺の異能について話してたよな?」

 

 まぁ、ある程度の情報なら調べなくても俺の頭のなかに入っているから問題ない。エリスのハッピーエンドを導くためにどれだけサイト読み込んだと思ってる!

 

 確かエリスが言ってたのは……『並外れた打撃力』と『ダメージを受ける度に攻撃力が増す』……いわゆる火事場スキルだな。ダメージを受けると威力が上がる、攻撃を受けてぶん殴るスタンスだ。ド根性大事!!

 

「……兎に角、アレが夢じゃないか確認するためにいろいろ調べてみよう。高校とか、色々!」

 

 そうすればまたエリスと言う推しキャラにであれるかもしれないしな!!俺がいるのはゲームの世界じゃない!きっとエリスの言っていたように運命にも抵抗できるはずだ!!

 

 ……拳で。

 

 やれっかなぁっ!?

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