怪獣8号:ULTRAMAN 作:大胸筋が弱い人
ヘリは低空を維持しながら、沿岸の上空を巡回していた。
備品運搬の任務を任された自分――ハヤタは、無線越しに淡々と報告を受けていた。
自分がこの世界に生まれ落ちてはや二十数年。
淡々と過ぎていく日々を悲しく思いながら、今ヘリの中で遠くを眺めている。
(いまさらながら、なんでせっかくの二度目の人生が漫画、しかも怪獣8号の世界なんだか、、、)
ハヤタ・シンは転生者だ。
前世では真面目に生き、小さな会社のエンジニアとして働いていた、平凡で面白みのない男。
それが前世のハヤタである。
今世に関しては生まれてすぐに怪獣によって両親を失い、施設で育つことになる。
せめて職業はやりがいのあるものをと選んだ職業が防衛隊であった。
かと言って原作を変えれるだけの力があるわけではないため、原作開始と同時に引退し、ひっそりと暮らそうなどと考えていた。
その日もいつも通りの仕事だと思っていた。
「異常なし。予定通り帰投――」
その瞬間だった。
空が裂けたような鳴き声が響いた。
次の瞬間、機体が急に傾く。
「なっ……!?何だ今の——」
操縦士が叫ぶより早く、ヘリの右側が“えぐりとられる”。
そこに座っていた他の隊員ごと。
まるで急に部屋のドアが開くように。
一瞬で持って行かれた。
視界の先。
それは“鳥”ではなかった。
いや、飛行型怪獣と呼ばれる類の存在。
その目は
確かにこちらを捉えていた。
「回避しろ!!上昇!!」
叫びと同時に、機体の操作を試みる。
だが遅い。
機体の一部を抉られ不安定なヘリコプターと今だに開明されていない事の多い異形の化け物
どちらが早いかは明白だった。
一瞬で距離が詰まる。
次の瞬間、ヘリは真横から衝撃を受けた。
音が遅れて来る。
金属が潰れる音、風が裂ける音、人間の叫び。
すべてがバラバラに崩壊した。
ハヤタの視界が回転する。
空と海と機体の残骸が混ざり合う。
落ちる。
理解より先に身体がそれを認識した。
(……ここで終わり、か)
その思考だけが、妙に静かだった。
そのとき。
“光”が落ちた。
音も熱もない。
ただ、世界の色だけが変わった。
白。
それがすべてだった。
視界が焼かれるように白く染まり、次の瞬間――
何かが“そこに立っていた”。
巨大な影。
人間ではない。
しかし怪獣でもない。
それは、ただ「存在している」というだけで圧倒的だった。
現地の後に記録された証言は、こうまとめられている。
「光る巨人がいた」
巨人は動かなかった。
だが、空間そのものが震えていた。
そして、怪獣が“気付いた”。
その瞬間だけは明確だった。
獲物ではない。
捕食対象でもない。
それは本能レベルの理解。
――危険。
怪獣が逃げようとした。
しかし遅い。
光が収束する。
空気が“圧縮”されるような感覚。
世界が一度、息を止めた。
音もなく、すべてが消えた。
ヘリの残骸も。
怪獣も。
空に浮かぶ破片も。
そこには、ただ“空白”だけが残った。
数分後。
海岸線の一部は、地図から削り取られたように更地になっていた。
波はそこだけ不自然に静かで、風も止まっていた。
後日。
この事件は記録上こう処理される。
防衛隊輸送ヘリ墜落事故
全機消失
生存者なし
ただ一つだけ。
現場付近の監視映像に、解析不能の影が残っていた。
白い巨人。
そして、その記録ファイルは後にこう分類される。
未確認災害存在:ULTRAMAN-CLASS
続けばいいなぁ
誤字報告してくださるとありがたいです