怪獣8号:ULTRAMAN 作:大胸筋が弱い人
――都内某所・深夜
コンビニ前のベンチに、数人の若者が座っていた。
スマホの画面を囲みながら、ひそひそと声を落とす。
「なあ、これマジ?」
「だからフェイクだって。こんなの今どき簡単に作れるだろ」
画面には、荒い動画が映っていた。
夜の海岸線。
ノイズ混じりの映像の中、一瞬だけ“白い何か”が立っている。
次の瞬間、画面が真っ白になって終わる。
「でもさ、これ三回目だろ?」
「……三回?」
「ほら、最初のヘリのやつ。それと数年前の海上でのやつ。」
「あー……あったな、そんなの」
「全部これだって話。白い巨人」
一人が笑う。
「都市伝説だろ」
別の男がスマホを取り上げる。
「いや、でもさ。どの動画も共通してんだよ」
画面を拡大する。
ノイズの隙間。
確かに、人型の輪郭がある。
「で、出てきた後どうなるんだ?」
「全部消える」
「は?」
「怪獣も、建物も、全部」
沈黙が落ちる。
「……やばくね、それ」
「だからガセだって」
そう言いながらも、誰も笑わなかった。
⸻
――都内・防衛隊基地近郊
自販機の前で、警備員がぼやく。
「またかよ」
同僚が缶コーヒーを受け取りながら聞き返す。
「何が?」
「白い巨人だよ。ネットでまた騒いでる」
「ああ……あれな」
警備員は肩をすくめる。
「怪獣より怖いって言われてるやつ」
「実際どうなんだ?」
「詳しい情報は公開されてねえよ。上が止めてっから。でもな」
一拍置く。
「過去には識別怪獣も倒したとか。」
「……じゃあ味方じゃん」
「どうだかな」
夜風が吹く。
「味方なら、なんで何も言わねえんだよ」
⸻
――匿名掲示板ログ
1:白い巨人また出たらしい
2:あれ絶対人型だよな
3:怪獣ワンパンで消すやつだろ
4:てかあれ味方?
5:分からん、被害も一緒に消える
6:防衛隊もなんも情報だしてないんよな。
7:つまり敵でも味方でもない
8:神様じゃね?
9:いや災害だろ。
ネット上では、すでに名前が定着していた。
“白い巨人”
“発光体型怪獣”
“未確認対怪獣兵器”
そして――
「ウルトラマン」
誰が言い出したかは分からない。
だが、その呼び名が一番広まった。
⸻
確認されている出現は三回。
一度目は、余獣大規模出現によるヘリ墜落事故で。
突如現れたそれは余獣を巻き込んで消失した。
——
二度目は海岸での大規模戦闘。
防衛隊の記録では「怪獣6号討伐戦」。
大規模な損害を残すはずだったこの災害は、現れたソレによって終結した。
ソレが放った熱線によって。
ソレが現れてからたったの3分間の間だった。
⸻
三度目は、未識別大型怪獣の出現時。
記録上最大クラスの体躯を持つ個体。
討伐には複数部隊が投入された。
だが、戦闘は突然終了する。
怪獣が、痕跡もなく消滅した。
周辺の地形は、広範囲にわたり更地化。
さすがの防衛隊でもこの情報は完全に秘匿できなかった。
⸻
防衛隊は、すべての情報を非公開にした。
だが、完全な隠蔽は不可能だった。
断片的な証言だけが残る。
「光っていた」
「人の形だった」
「怪獣が一瞬で消えた」
共通点は二つ。
圧倒的な力。
そして――敵対行動を取っていないこと。
つまりそれは怪獣以外の存在、それも味方の可能性があるという事。
防衛隊内部でも、議論は続いていた。
未確認災害存在。
分類不能。
コードネームは仮称。
「ULTRAMAN」
正式な登録ではない。
だが、呼称として定着していた。
ただ一つだけ、全員が同意している点があった。
もし敵対した場合――
現行戦力では対処不能。
夜の街。
その噂を、誰かが屋上で聞いていた。
ハヤタは、スマホの画面を閉じる。
「……三回、ね」
小さく呟く。
はっきり言って幸運だった。
数々の苦難を防衛隊は自分たちの力で防いでいる
一回目は偶然
2回目は流石に手を貸した。
3回目は試す事があった為ついでだった。
「次は……どうなるかな」
空を見上げる。
静かな夜だった。
三話は直ぐに出すのでお待ちください。