怪獣8号:ULTRAMAN 作:大胸筋が弱い人
別の2次創作の設定考えて設定書いたりしてたら、こっち書く暇ありませんでした。
とりあえずエタらない予定なので、この先もこの作品をよろしくお願いします。
崩れた壁の粉塵が、ゆっくりと落ちていく。
月明かりの差し込む廃墟の中、怪獣の姿のままのカフカは、目の前の男を睨んでいた。
半分だけ銀色の仮面に覆われた顔。
無表情な光沢が、静かにこちらを見返している。
「……ウルトラマンって、言ったよな」
カフカが低く言う。
ハヤタは軽く肩をすくめた。
「まぁ、そう呼ばれてるらしいな」
「らしいって……お前、あの白い巨人か?」
「そうなるな」
あまりにもあっさりした返答だった。
カフカは言葉を失う。
都市伝説の存在。
怪獣を一瞬で消す正体不明の何か。
それが目の前でポケットに手を突っ込んで立っている。
「……いや待て。じゃあ何だよそれ。巨大化すんのか?」
「する」
「軽っ!」
思わず叫ぶ。
ハヤタは少し笑った。
「ただし条件付きだ。毎回は使えないし、使えば周囲も吹き飛ぶ。だから普段は使わない」
「……それでさっきの仮面か」
「これはまた別の。怪獣と戦うたびにあのサイズじゃ不便だろ。結構高性能なんだぜ。」
カフカはゆっくり拳を下ろした。
警戒は消えていないが、少なくとも敵意は感じない。
「……で、俺に何の用だよ」
ハヤタの目が、わずかに細くなる。
「お前、人間だろ」
直球だった。
カフカの体が固まる。
「……だったら?」
「安心しろ。バラす気はない。むしろ逆だ」
一歩近づく。
「その力、ちゃんと使え」
「は?」
「お前の変身、暴れてるだけだろ。制御できてない」
図星だった。
カフカは言い返せない。
「コツがある」
ハヤタは人差し指を立てた。
「力を出そうとするな。逆だ、飲み込め。」
「……飲み込む?」
「毎回出し入れしてたらいつかミスるだろ。全部オマエのもんにしちまえ。黒と白を分けるんじゃなく混ぜ合わせてグレーにするように。」
「そう言われてもなぁ、コツとかないのか?」
「うーん……まぁまずは試してみようぜ。とりあえず姿を戻すことからな。」
「わかんねえのかよ。って姿そのままじゃねえか‼︎」
「大丈夫だよ。防衛隊はここには来ない。今頃急に消えたオマエを探して焦ってると思うぞ。」
あまりにあっさりと話す情報の内容にとうとうカフカは思考を放棄し出していた。
「なんでもありだな。」
「そんな事よりもさっさとやれ、このバリアもいつまでも持つもんじゃねえからな。」
「で、結局どうやればいいなだよ。」
「それに関しては簡単だ。自分をしっかりと持つだけだ。」
カフカの問いにハヤタが答える。
「自分をしっかりと持つ…?」
「そう。自分の芯となるものをしっかりと持つ事、それだけだ。」
カフカは考える。
「誰だってあるだろ。何かをしたい、何かが欲しい、何かになりたい、何かのために、その人の進む意思に、その人の根幹にある願いや想い。」
今日決めた事。レノに言われ、もう一度目指そうとした憧れの道。かつての約束であるあいつの隣に。
「オマエは何になりたい? 何が欲しい?何をしたい?そして何より……その力を何に使いたい?」
ハヤタは問いかける。目の前の男に。自分とは違う本当の意味での前に進み続ける男に。
かつての自分とは違う。目的を持たずただ生きるだけだった自分とは違う。
正体不明の大きすぎる力を背負って尚、恐れずに立ち向かおうとする主人公の姿を。
「おれは…」
カフカが顔を上げる。
「俺は、防衛隊に入る。怪獣だろうと関係ねぇ。もう誰かが泣かなくていいように。もう一度あいつの隣に立つために。」
ドクロの顔が飽和するように崩れ始める。
淡い光を出しながら崩れゆく白い顔の下から、決意に満ちた目があらわれる。
「やればできんじゃねえか。」
その顔には安心したかのような柔らかい笑みが浮かんでいた。
「あ、それともう一つ」
「……まだあんのか」
「これから先、やばいのが来る」
カフカの表情ががこわばる。
「この先一年以内。ここを持ち堪えなければ……この国は終わる。」
それは断言だった。
未来を見てきたような口調。
「……なんでそんな事分かる」
「勘だ」
即答だった。
だが、妙に説得力があった。
「だからお前が必要だ。」
「一つ聞いとくぞ。お前じゃ守れないのか?」
「別に。たぶん普通に守れるぞ。」
「ならなんで、「簡単な事だ」」
「これはお前らの戦いだからだ。」
「俺はな、本来ここにいるはずのないイレギュラーだ。本来この力はもっと大きな、人類が死力を尽くしても止められないような物に対して使う力だ。」
そう言うハヤタの目はどこか遠くを見るような目をしている。
「この先訪れる物に、本来俺の力は必要ない。それを全部俺が解決したら、きっとみんな俺に依存する。そして誰かがこう言う。全部ウルトラマンがなんとかしてくれるだろって。」
「それじゃダメだ。人は人の力で前に進まなくてはならない。ウルトラマンはその道筋にある大きすぎる岩を退かす役割だ。いずれはその岩さえも自力でこえていけるようにね。」
ハヤタはカフカに向き直ると真っ直ぐにその目を見つめる。
「覚えておけ。ウルトラマンはお前ら人が戦うからこそ、人が自力で進もうとするからこそ、手助けをするんだ。」
「それでもだ。今回はかなり厳しい戦いになるだろうからな。」
「それは、俺がいてもか?」
「あえてこう言おう。お前こと怪獣8号がいてもギリギリだ。」
その言葉にカフカの顔が曇る。
自分の力だけでなく、防衛隊にはかなりの戦力が揃っている。
それをもってしてギリギリ。
それの意味する所は…
「大丈夫だ。お前達が戦い続ける限り、俺は絶対お前らを見捨てない。」
その顔を見てカフカの頭の中の雲は取り除かれる。
ハヤタの眼差しはどこまでも真っ直ぐだった。
「わかった。」
カフカは顔を上げ、ハヤタに挑戦的な笑みを浮かべる。
「お前の出る幕なんて作ってやらねぇからな!」
ハヤタは小さく笑った。
「そう来なくちゃな」
その瞬間、風が強く吹いた。
月が雲に隠れる。
次に光が戻ったとき、そこにハヤタの姿はなかった。
カフカは一人、廃墟に立っていた。
だが、不思議と孤独ではなかった。
小さい頃、初代ウルトラマンで印象に残ったセリフが37話のハヤタのセリフです。
誤字報告等待ってます。