死神の息子   作:ころころさん

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初投稿で更新遅めです。

読みにくいかもしれませんが楽しんでいただけるよう頑張ります!




紹介の時間

「事情は今話した通りだ。地球の危機ゆえ関係者以以外の口外は絶対に禁止だ。もし漏らせば記憶消去の処置を受けてもらう」

 

防衛省の烏間は目の前に座る、とても中学生とは思えない大人びた雰囲気を纏う美しい容姿の子どもに、国家機密である情報を伝えた。

 

それは約一か月前、突如として月が7割方蒸発するという大事件が起きた。

そしてその事件を引き起こした犯人が、タコ型の怪物(モンスター)であり、その怪物が来年の3月には地球も爆発する予定だということ。

各国の首脳だけがこの事実を知り、秘密裏にその怪物を殺す努力をしている。

だがその怪物はそう簡単に殺すことはできない。

満月を三日月に帰るほどのパワーを持つ超生物は最高速度マッハ20という驚異的な速さを持ち、本気で逃げようとすれば地球を救うことはほぼ不可能。

だがそんな怪物は世界にある提案を持ち出した。

 

【椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやってもいい】

 

何が目的かは分からないが、怪物が持ち出した提案を政府は承諾するしかなかった。

生徒に危害を加えないことを絶対条件に、だ。

そこで政府は椚ヶ丘中学の理事長の強力のもと、学校の教育方針で本校舎と隔離されているE組の教室を怪物暗殺の舞台とし、E組生徒を暗殺者として育て上げ、来年の3月までに怪物を殺すことが決定した。

 

「成功報酬は百億円。武器は怪物であるこいつにだけ効く弾とナイフを支給している。何度も言うが、このことは他言無用だ。例え友人や家族であっても「その心配はいりません」…む?」

 

烏間の言葉を遮った目の前の子どもは優しく微笑みながら目の前に置かれる怪物の写真を手に取った。

 

「俺に家族はいないので。そもそも俺の正体は調べられたのでしょう?素晴らしい情報収集能力です。もっとも情報を得たのはこの国ではなく、俺の友達(・・)からでしょうが」

 

子どもは左手で写真を持ちながら、右手で懐を漁ると中身を一気に目の前の机にばらまいた。

ばら撒かれたのは、様々な国の国旗が描かれた紙。その数に烏間を含め、その場にいる防衛省の人間全員が驚いた。

 

「そこにあるのは俺の友達がトップをしている国です。過去に仕事の関係で仲良くなりまして。貴方たち日本政府からお話をいただく前に、彼らからも依頼が来ました。内容は同じく【超生物の暗殺】。地球そのものが亡ぶかもしれないからか、今まで争っていた国同士ですら今回は共通の敵を見出して協力していて依頼を出していました。なんだか面白いですよね」

 

どこまでも穏やかに話す子ども、だが一切隙を感じない得体の知れなさに、目の前に座る烏間は冷や汗をかいていた。

 

「ですが、俺は彼らに正体の開示を許可していないんです。当然でしょう?殺し屋は姿がバレたらそれはもう死んだも同然。つまり、彼らは俺を殺したんです。なら、俺も彼らを殺さねば対等じゃないですよね。だから、もしよければ教えて欲しいのですが…一体誰から、俺の情報を貰いましたか?」

 

「っ!?(こんな、これほどの重い殺気をたった14、5歳の子どもが放っていいのか!?)」

 

「ああ、すみません。思わず興奮してしまいました。それにしても酷いですね、俺をただの子どもと思ってもらっては困ります。舐められるのは好きじゃないんです、勢い余ってここにいる全員を殺しかねないので、くれぐれも今は俺を子ども扱いしないでくださいね?」

 

「いつのまに隣にっ!?」

 

烏間は隣に座る(・・・・)子どもに気づくと、バッと席を立ち距離を取った。

焦りからか浅く小刻みな呼吸をし、全身から汗を拭き出す烏間と、その自分たちの上司であり、一番の実力を持つ烏間の焦る様子に驚愕する周りの防衛省の人間たち。

そんな彼らの様子をただ楽しそうに眺める子どもは、部屋に一つだけつけられた監視カメラへ視線を移した。

 

「見ているのでしょう?日本政府トップの皆さん。この際、どこから情報を得たかはどうでも良いです。どうせ得ている情報も名前だけでしょうからね。素顔も年齢もなにもかも知らないでしょうから、ここらでまずは自己紹介をしましょうかね」

 

子どもは最初に座っていた場所に戻ると、自身の顔に手をかざした。

その瞬間、パッと顔に真っ白の仮面が現れると、その仮面を机に放り投げた。

 

「改めて自己紹介を…。

俺は現在世界で「   」(くうはく)と呼ばれる殺し屋をしています。

名を無月(むつき)美雨(みう)。年齢は来年3月で15歳になります。あの世界最高の殺し屋─【死神】の一人息子です。以後お見知りおきを…」

 

死神の息子─無月美雨はその年齢に似合わぬ落ち着きを見せつつも、年相応の笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

「本当に君が、あの【「   」(くうはく)】なのか」

 

烏間は目の前で自己紹介を終えた美雨を観察しながら質問した。

そんな大人の戸惑いを混ぜた視線を感じた美雨はどこか悪魔的な笑みを浮かべた。

 

「あのってどんなですか?」

 

「…我々軍人も仕事柄世界各地で活動している殺し屋の情報も持っている。その中でも二名の殺し屋は伝説的扱いを受けている。まず一名は君が親と言っている【死神】。世界最高の殺し屋であり誰も彼の姿を知らない。まさに伝説の殺し屋。そしてもう一人の名前が【「   」】。彼が現れたであろう場所はまるで一部が世界から切り離されたかのように、血痕どころか家具も埃の一つすらも残っていない、まさに空白の世界。一部ではあの死神を超えたと噂されるほどだ。その伝説の人物が今目の前にいて、しかもそれが中学生の子どもと言われては驚くなという方が無理だろう」

 

至って冷静に説明する烏間だが、その内心は穏やかではなかった。先ほど、警戒を一切解いていないにも関わらず、一瞬にして自身の隣に移動してみせた歩法スキル。世界最高の殺し屋の一人だというのに、それを知ってもなおこちらの警戒心を削ぐような、優しい笑顔に安心する声音。

無理やりにでも自分に言い聞かせなければ、瞬時に懐に入れてしまいそうになるのは、あまりに恐怖だ。

 

「俺がお父さん(死神)を超えられるわけないでしょう?まあ死神の名を汚さないようには頑張って殺してきましたけどね。それに、人を殺すのに年齢は関係ないですよ。俺が初めて人を殺したのは3歳頃でしたし」

 

「3…そうか。確かに、君を見ていると年齢は関係ないと認めるしかないようだな」

 

「そうですよ。年齢はあくまでその人が生まれてからの器の年数ってだけですよ。それより、この対怪物ナイフと弾を今ある分だけもらえます?武器はこっちで用意するので」

 

「それは構わないが、奴にはこの武器でしか攻撃は効かないぞ?」

 

「ああ、ご心配なく。成分は同じですよ。ただ、ちょっとこだわりみたいなものがありまして…まあ見た方が早そうですね」

 

美雨は自身の隣においてあるアタッシュケースを持ち出すと、そのまま机に置いた。そして防衛省の方々が並べたナイフや弾を持つと、アタッシュケースに意識を向けた。

 

アッシュ(・・・・)、これらを解析して取り込んで」

 

『了解。久しぶりなので楽しみです』

 

「お、張り切ってるね。それじゃ口開けて~」

 

美雨が話しかけると、アタッシュケースが僅かに幾何学に光りが走り、人が呼吸しているかのように点滅しながら話し始めた。

そしてアタッシュケースが本来開かないような角度で開く。まるで親鳥から餌をもらう雛鳥のように、今か今かとアタッシュケースが待っていると、美雨はその開いた部分にナイフや弾を放り投げていく。

 

『バリッ!ボリッ!!』

 

もはやアタッシュケースから鳴らないような音が鳴り響く。その奇妙な様子にこの場にいる美雨を除いた全員が戸惑いながら、説明を求める表情をしていた。

 

「…無月君。そのアタッシュケースは?」

 

「これは俺が開発したアタッシュケース型の自動武器生成AIです。名前はアッシュ。今はこの武器の成分を分析し、この子自身に混ぜ合わせるようにしています」

 

『解析完了。全ての型に使用できます』

 

「お、じゃあ試しに【2番】ちょうだい」

 

アタッシュケースのアッシュに光が走った。

ガチャガチャとアタッシュケースが分解されると、みるみる変形していく。

そして1秒足らずでアタッシュケースだったそれは全く別の形を成して美雨の手元へ納まった。

 

「それは…」

 

「アッシュに登録されている2番は二丁拳銃になっています。銃身はもとより、中の弾も先ほど頂いたBB弾になっています。このように、俺が指示すれば自由に形を変えてくれるのでとても便利なんです」

 

「それを君が開発したというのか」

 

「どんな状況になっても対応できるよう日ごろからあらゆる分野の勉強はしていますので、このぐらいの開発はそう難しくありません。それで話を少し戻すのですが、賞金というのはその百億だけでしょうか?

正直、お金はもう腐るほどあるので、できれば他のモノが良いんですが…」

 

「…まずは聞くだけ聞こう」

 

「ありがとうございます。それでは、俺が貴方方に求めるのは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烏間達防衛省からの説明を受けた日の翌日、久しぶりに学校へ復帰した美雨は、とりあえず本校舎へと足を運んでいた。本業の暗殺の都合で、片手で数えられるくらいしか登校しなかったため懐かしさよりも新鮮さの方が強い校舎をぐるぐる回る美雨。

すると、廊下に落ちている一枚の付箋付きプリントを拾った。

 

「【生徒会行事…E組分無】?あぁ、例のいじめかな。なかなか幼稚なことをする。仕方ない、恥をかかせない様に印刷してあげようかな」

 

美雨はプリントを持ってコピー機があるだろう職員室へと向かう。

中を覗くと、数名の教員がなにやら作業をしていたため、美雨はそのまま黙って中に入りコピー機を使用。数十枚を印刷するため、暇な時間を職員室の探索に回した。

 

(あぁ、今日は体育館で全校集会の日か。なら印刷が終わり次第体育館に行けばいいかな)

 

本日の予定がでかでかと書いてある職員室内にあるホワイトボードを見つけては内容を確認し、なぜこうも校舎内の人が少ないかが分かった。

その後も、作業中の教員たちの手元を覗いたりしながら印刷を終えるのを待ち、ピーっと印刷完了の音が鳴ると束になったプリントを回収し、その場を後にした。

出る際に、コピー機の紙が無くなったことを教えるため、教員の肩を叩いてそれを知らせる事を忘れない。

 

「ん?なあ今俺の肩叩いたか?」

 

「いや?あ、コピー用紙がねえ!さっきまでもう少しあっただろ!?使ったやつ補充しとけよ!!」

 

いつのまにかなくなったコピー用紙にきれる教員。数人いた職員室で、美雨の存在に気付いたものは誰一人いなかった。

 

職員室を後にした美雨はそのまま体育館へ向かうと、どうやらちょうど生徒会からの発表だったらしく、生徒たちがプリントを配っていた。

 

「…はいっ、今皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です」

 

全体に行き届いただろうタイミングで、ステージ上に立つ生徒が話を始める。すると、自分たちにプリントが配られていないことに気付いたE組生徒たちは、それを教えようとすぐさま挙手した。

 

「…すいません。E組の分まだなんですが」

 

「え、無い?おかしーな…」

 

E組の言葉にわざとらしく頭を搔きとぼけるステージ上の生徒。するとみるみる下卑た笑みを浮かべた生徒は、わざと全校生徒に聞こえるようマイクを使って言葉を紡いだ。

 

『ごめんなさーい。3-Eの分忘れたみたい!すいませんけど全部記憶して帰ってくださーい!!』

 

「「「はははははははははははは」」」

 

明らかにこのいびりをするためにわざと忘れただろう生徒は、体育館中に響く笑いに狙い通りの成果を得られて大変ご満悦そうに笑った。

E組生徒は全員が下を向き、それをE組以外の全員が馬鹿にして笑っている。自分たちよりも下の存在である彼らへ指を差し、軽蔑し、差別する。

そんな人間の醜悪を目の当たりにし、この学校に来たばかりのプロの殺し屋兼英語教師のイリーナは呆れたように一人愚痴る。

笑い声が止まらない中、いきなりマイクが『キィィィン!!』と大きなハウリングを発生させた。

そのあまりのうるささに全員が耳を塞ぎ、先ほどまで汚い笑い声が響いてうるさかった体育館が静まりかえった。

全員がその発生源であろうステージを見るもそこにいるのは同じく耳を塞いでいる生徒会の生徒だけ。

それどころか先ほどまで使っていたマイクがきれいさっぱり無くなっていた。

 

『はい、E組のプリントはここにあるから後ろに渡してね』

 

マイクが誰かの声を拾っていた。

その声は誰もが心地良いと感じ、胸の奥から安心感を与えてくれるそんな声だった。

 

E組の列の先頭に、やたらと目立つ存在が一人。

中学生とは思えないスラっと伸びたその背の高さは180を優に超えている。体育館のライトで反射する白銀の髪はまるで新雪の様に輝き、切れ長の瞳は赤い宝石のようだった。

声を聴かなければ天女と間違えてしまうだろうその美しい容姿は、彼を見た者全員を虜にしていく。

 

「だ、誰だね君は!?僕の笑い所をつぶしやがって!!」

 

予定外の出来事に焦る生徒会生徒。きっと漫画なら集中線が凄い描かれているだろう力強くその美しい生徒へ指を差しては怒り混じりに叫んだ。

 

『笑い所?俺は廊下でご丁寧にE組分無しって書かれた、この君が印刷し忘れたプリントをわざわざ届けてあげたんだけど…まさか自分のミスで笑いを取っていたのかい?自虐ネタにしては弱いと思うんだけど…良かったね、みんな優しくて』

 

「う、うるさい!!それより誰なんだ君は!?」

 

『そうだった。自己紹介がまだだったね。それじゃ改めて…』

 

美雨はごく自然にステージへ上がると、マイクをスタンドに差し、優々とした態度を見せた。

 

『最後に来たのは去年のテストかな。初対面の方が多いだろうから初めまして。

俺の名前は無月美雨。今日から3-Eの仲間入りをするので、同じクラスの子は(・・・・・・・・)仲良くしてね』

 

最後に柔らかく微笑んだ美羽。その笑顔はその場にいる全ての人の心に安心感と無害さを浸透させた。

だがその中で烏間とイリーナ、そしてE組の中でも殺しの才能を持つ一部の生徒だけは、彼から放たれた異質な違和感を僅かながらに察知出来た。

そしてそれをまた美雨自身も感じ取り、挨拶を終える最後にそのE組の生徒へ視線を移した。

 

 

 

 

いいね、楽しくなりそうだ

 

 

 

 

美雨はこれからの学校生活に期待しながら、一足先に体育館を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

一方、E組のプリントを手書きで準備してかっこよく登場しよとしたあるモンスターは出番が完全になくなり、悲しそうに背中を丸めて静かに烏間の隣に現れたのだった。

 

 




AI生成

【挿絵表示】

【無月美雨】
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