リィンカーネーションの花弁〜夢に囚われた狩人〜 作:アキヤマ ハルト
評価をつけてくださってありがとうございます!!毎日投稿のキツさとか、描写難しすぎるとかどうでもよくなるぐらいうれしいです!このままできる限り毎日投稿し続ける予定ですので、どうぞ気長にお待ちください!!
まぁ作者の喜びとかは置いといて…今回、結構話が進みます。オリジナルの話を入れるのもありかな~と思ったんですが、一旦進める限り進んでからオリジナルは閑話的な感じで入れようと考えています!もしくは緊急でこれまでの話の間に挟むとかにするかもですね。
もしかしたら進みが早い問題で、原作を読んでいないと分からない箇所が出るかもしれないので原作を読めていない方は漫画アプリ等で読みましょう!!では、第5話どうぞ!!
目が覚めてみればいつも通りの寝室ではなく、城の大広間のようなところに横たわっていた灰夜。そこに居た者たちから話を聞けば、ここは罪人軍と呼ばれる、リーダーを死んだと聞いていた項羽が務める組織だった。悪人であると聞いていた割に、ぶっきらぼうな態度だが優しそうな項羽を見て、灰夜は確証を持つためにも聖杯を使って項羽が負っていた傷を治しながら項羽が慈愛の精神を持っていることを証明した。そして項羽からスパイになれという提案を受けた灰夜は2つの条件を付け足す形で同盟を締結した………
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「おぉ、今日はこんな大所帯で向かうの?急に呼ばれてきたから状況が分かってねぇんだけど」
周りにいる罪人格の排斥を任されがちなメンバーを見ながらぼやくと、ポケットに入れていた携帯からノイマンの声がした。
『申し訳ない、灰夜。一応戦闘のできるメンバー全員で行くことになってな…輪廻返りを頼んでもいいだろうか?』
「うん?いいけど。よいしょっと」
手慣れたようにポケットから枝を取り出し、首を切る。するといつものように血の代わりに漏れ出る霧に包まれ……晴れた時には狩人としての姿になっていた。
「ふむ…準備はできた。今夜の獣の名はなんだ?」
『ヴラド三世、串刺し公として恐れられた男の廻り者だ』
「ほう、かの串刺し公か…!では、私の役割は?」
『排斥対象との戦闘、後に現れるであろう未知数の廻り者の警戒、そして最前線での周辺環境や敵の才能の情報を私に教えてくれ。それと、10分経てば偵察の東耶が介入する予定だ』
「えぇ、狩人くんにそんな任せるの!?さすがの狩人くんでも厳しいんじゃ……「了解した。殺さぬように戦闘し、周辺の警戒もやりながら情報の伝達だな」あ。いけるんだ~……すっごいねぇ狩人くん」
さすがの仕事量にニュートンも、なんなら言葉にしていないだけで東耶や灰都さんも心配しているようだったが、俺が了承したのを聞いて驚いていた。まぁ、ヤーナムでは他者との協力は稀…複数戦や圧倒的な戦力差も経験や知識でどうにかしてきたからな…この程度は容易い。未だにトラウマだ、犬に群がられて嚙み千切られる感覚は………*1
『では、作戦開始だ。頼んだぞ』
ノイマンの言葉を皮切りに、全員が行動し始める。東耶は森の中に進んでいき、ニュートンや船坂さんなどの
「…確かに、私が最前線を任された。だがなぜ誰一人として異議を申し立てない上、後ろを歩く??」
「んー、俺らも狩人くんの強さが知りたいし…それに全然前線寄りじゃないからね、俺!」
「こちらも銃を使いますので。白兵戦を主としてはいますが、こちらも狩人さんの戦い方を見てみたいので後ろに下がっているわけであります」
「あたしは前行きたいけどね!でも、ノイマンに釘刺されてるし……」
「そうか…まぁ、全員が納得しているなら構わないが」
なぜここまで素直なんだ彼らは……ヤーナムの市民たちがとんでもない無礼で狂人ばかりだったようじゃないか…おそらくその通りなんだが。ん…気配がするな。この先にいるのか。
「どうやらもう先で待っているようだな、ヴラド公が」
『あぁ、間違いない。才能の詳細も現状不明、警戒は怠らないようにな』
「もちろんだとも…では、私は特攻させてもらう」
「え、特攻するの!?」
「あぁ。申し訳ないが、私は昔から協力することが少なかったからな……共に戦っている者も巻き込んでしまいそうで怖いんだ。貴公らは協力して戦うと言い、私にはどんなに攻撃が当たろうと構わない。ではな」
「あ、ちょっと狩人くーん!?」
ニュートンの声を振り切り、千景を霧の中から取り出しながら石で出来た玉座のようなものに堂々と座っているヴラド公に向けて振り抜いた。
「フハハ、偉人の杜であるか……って、とおぉぉぉ!?!?」
カキィィンッ!!
「チッ…首は断てなかったか、仕方ないことだな……」
振り抜いた刃は石の串に防がれ、甲高い音が鳴る。体勢を立て直すために即座に距離を離す。後ろをチラッと見ると、急いで向かってきているニュートンたちが来ているのを視認できたため、千景を仕舞い、極太の杭が先端についていて、複雑な機構で出来ている武器……パイルハンマーを取り出す。
「な、何者なのだ貴様は!?現れた途端に斬りかかってくるとはさすがの余も思わぬぞ!」
「生来のヴラド公であれば、戦において想定はないと考えるべきだと思うが……まぁ、今ので硬さは分かった。ノイマン、奴の才能は付近の石の形を串に変形させることで攻撃を仕掛けてくるようだ。どういった条件で形を変えているのかは定かではないが、他の形にも変えられる可能性を考慮してくれ。硬度に至っては素材に依存している」
『分かった。他の者にも伝達しておこう……灰夜はどうするんだ?』
「私はこの武器で貫く。おそらくはこれであれば対処できるはずだからな」
右手に収まっているパイルハンマーを掲げ、変形機構を稼働させることで肘の辺りに出ていた釘が中に納まり、いつでも
「さぁ、これを防げるのか見物ではないか!」
「なるほど、貴様はジャンキーの類であるな!?」
ヴラド公も俺の会話のできなさに困惑しながらも、石の串を生やしてこちらに仕掛けてくるが、すべてを避けながら間合いを詰め……杭を刺そうとするが、同じように石の串で防がれる。
「その程度、余の才能の前では脆弱であるぞ!」
「もちろんわかっているとも。だが、私はこれで終わりと言っていないぞ?」
「な、に…!?」
防がれたパイルハンマーを抜くために左手に出したエヴェリンと呼ばれる銃で頭目掛けて放つ。ヴラド公は咄嗟に出した串で防ぐが、目を離したその瞬間にパイルハンマーを抜き、勢いよく引いてから穿つように放った。すると、反動による衝撃で動いた機構が火薬の匂いと共に杭をヴラド公目掛け突き出された。
ドゴォッ!!
「ぐぅっ!?」
「言っただろう、防げるか見物だと。この武器の前では、柔な守りなど無いに等しいのだから」
石串に出来た一つの穴の奥には、身体の一部にパイルハンマーの杭が刺さったヴラド公が居た。破壊力であれば、俺が持つ武器の中で1、2を争う武器だ。その分使い勝手は悪い、簡単に言えばロマン武器というものだがな。
「なか、なかだ…!だが、余はヴラド三世!!この程度で死には至らぬぞ!」
「ふむ…仕方ないか。ノイマン、戦闘開始から何分が経過した?」
『現在9分50秒だ』
「おっと、では下がろう」
パイルハンマーを消し、ヴラド公から離れると下がった理由に皆目見当がつかないヴラド公の心臓を貫くようにして一本の手が突き出てきた。
「なぁ……!?」
「やはりか。あのままでは私も貫通していたな…昔と比べて時間把握ができていないな、感覚を取り戻さなければ…」
手が突き出てきた石の壁からは東耶が現れ、手の中にはヴラド公のものであろう心臓があった。未だ鼓動を鳴らしている心臓は、抜かれたことに気付いていないようだった。いかなる障害をも無視して物を盗む盗人の右腕……暗殺向きの才能だな。
「十分経ったので手を出しました。問題なかったですか、灰夜くん?」
「あぁ、構わない。まぁ私ごと貫きそうだったが」
「それはすみません。でも、これで…」
『待て、無闇に近づくな。ヴラドはまだ生きている』
ノイマンの声を聞いてみてみれば、心臓を盗られてなお生きていた。ふむ……ドラキュラ伯爵の元として認識されているからこの程度では死なないのか?上位者になった後に観測した
「貴様、廻り者になってまだ浅いであるな?才能を使い慣れていない……その
ヴラド公が東耶に向かって手を向けた瞬間、俺には覚えがある威圧感と黒いモヤが東耶の背後に現れた。
「来た!アレです!!」
「東耶ッ!!」
船坂さんが今回の目的の一つがヤツ…項羽であったと分かる反応を示し、灰都さんは東耶のことを助けに来ようとしていたのをニュートンに止められて来れていなかった。
【大人しくしてろ、じっとしてりゃ殺しはしねぇ。もちろん灰夜、てめぇもだぞ?】
「…はぁ、分かっているとも……ここまで早いとは思ってなかったが」
ため息を吐いていると、ヴラド公が項羽に下がれと言われてモヤの中へ入ってどこかに消えていった。
【…久しぶりだな、元気にしてたか?最近俺の部下達が随分世話になってるみたいだなぁ。アイン、相変わらず誰かの背後に隠れてるのか?ピカソ、絵は描いてるか?お前の絵、好きだぜ。ノイマン、引き籠もりはなおってねぇみたいだな】
自由気ままに喋っていく大きな2つの瞳。ただ世間話のように話しているだけだが、それだけでも並じゃない圧を発し続けている。
【しっかし、仲間も随分と増えたもんだな。感慨深いぜ〜、最初はたった5人だったもんな】
『あぁ、おかげさまでな』
【だからこそ残念だぜ、杜を潰さなきゃならねぇなんてよ……せっかく馬鹿な節介野郎を消してやったってのに、未だに「人類貢献」とか抜かしてやがる。喪に服してるつもりか知らねぇがな、それが才能を持った者の義務?才能には善悪あり、悪しき才能は排除すべき?……笑わせんな、才能ってのはもっと自由なもんだ】
項羽の言葉を皮切りに黒いモヤが大きく広がり、そのモヤの中から様々な廻り者が現れた。おそらくは俺が見ていない罪人軍のメンバーもいるのだろう、優に10は越えていた。
「王…回復したとはいえ、直後です。あまり無理をなされては」
【ああ、わかってる……お前らは先に拠点に送っとく。自由に過ごしてろ】
項羽がそう言ってさっき呼んだばかりの仲間たちを送り戻し、何かを思い出したように項羽が喋り始める。
【そういや、ノイマン。お前らの中にスパイがいたのを知ってたか?】
『……スパイ?』
【その感じだと知らねぇな?いいぜ、まずはジャブみてぇなもんだ。少しでも信頼してた者から裏切られる気持ちを味わうんだな……灰夜、こっちに来い】
「…あぁ、了解した。その代わり東耶は離してやってくれ」
【あいよ】
項羽に呼ばれて俺は項羽の方へ向かい、東耶の身を自由にして離れさせる。
【ノイマン、お前も少しは疑ってたんじゃねぇか?同盟といって仲間になろうとしなかった灰夜のことをよ。その疑いは当たりだぜ、灰夜は俺らとも同盟を結んでたんだ】
『……そう、か…』
【……あん?妙に暗いなノイマン。お前からしたらただの仲間程度の存在だろ?】
項羽にそう言われ、考えてみれば…確かに灰夜はただの仲間、それも新人といってもいいほどの者で付き合いが長い訳でもない……多少なりとも疑ってはいたはずだ。というのに、なぜ私はここまでこの事実を重く受け止めている?一体……
ジャラ……
『……灰夜から貰ったブローチ……あぁ、まさか…そういうことか………』
私は、こうまで絆されやすかったのか………だが、悪い気はしない、な………///
【…ノイマンのヤツ、なんか納得いったような感じで言葉を言った後に喋んなくなったぞ?】
「ノイマン、どうしたの!?」
アインが東耶の持つケータイに喋りかけると、『…すまない、少し動揺していた』と声がした。
『ふぅ……先程の言葉に返答を返そう。その通りだ。私は灰夜のことを少しは疑っていた。だからこそなぜここまで物悲しく思っているのか分からなかったが………ようやく答えが出た。私は、灰夜のことを……異性として好いている』
ノイマンのその言葉が携帯から流れた瞬間……この場の空気が完全に凍り……
「なんですって……!?」
「なんと、そうでありましたか」
「えぇ!?」
「ホント!?」
「ホントですか…?」
【おいおい、マジかよ…】
「…なん、だって?」
上からアイン、舩坂さん、ニュートン、灰都さん、東耶、項羽、俺だが……全員一貫して驚きを隠せていない。
【おいおい、まさかの展開じゃねぇか。当事者の灰夜はどう思ってんだ?】
「い、いや…どう思っているも何もだな……!」
【ほぉ?勇気出して言ったノイマンを蔑ろにすんのか?それはさすがに可哀想じゃねぇか?俺より悪人してるぜ、灰夜】
「後で絶対に狩るぞ、項羽ぅ……っ!!」
【おぉ、怖ぇ怖ぇ……】
『…やはり、迷惑だっただろうか…?』
表情は見えないのに、声色からニヤニヤしてるとわかる項羽に殺意をぶつけていると、今にも泣きそうな声でそう言ってくるノイマンの声を聞いた俺は、反射的に「いや、迷惑じゃない!」と返した。
「迷惑じゃない…んだが、私にもそういった気持ちはよく分かっていない……だから、全てが終わった時に迎えに行かせてくれ。その時に私の、俺の気持ちを伝えるよ。だから…待っててくれないか?」
『…ふふ、灰夜はズルいな。理解してしまった私がそれを断れるわけないだろう……待っている、灰夜』
「…はは、ありがとう、ノイマン。さぁ行こう、項羽。だが、これはこれ、それはそれだ。この後の項羽軍としての私は全力で戦う、だから覚悟していたまえよ」
【じゃあ、また近いうちにな。安心しろ、お前ら纏めて俺らが相手してやるよ】
そう言った項羽の言葉を最後にモヤに包まれ、モヤが晴れた時にはついこの前来た城の中だった。はぁ……何が何だか…わかんないことになったな………
【想いを告げられた灰夜さん、一体どんな気分で?教えてくれよ〜?】
「…よし、聖杯で治してやるからボコボコにさせろ項羽ぅ!!!」
【ははは!!からかう手段の一つを俺が手に入れたことを絶望してろ!】
黒いモヤの状態で逃げていく項羽を刀を持って追っていく。くっそ、項羽の野郎…あの状態だとダメージ与える方法がよく分かんねぇのキツすぎる!回復させなけりゃよかったな……
「ねぇ、そこの馬鹿2人」
「ん?」【あん?】
項羽を追っていたら、軍服を着た子に話しかけられた。目にはナチスで有名な
「項羽は知っているからいいけど、自己紹介をしなきゃ今度の戦いの時厳しくなるんじゃないか?」
【だってよ灰夜。適当に自己紹介したらどうだ?】
「適当に終わらせようとするなよ……あー、灰夜雁人、前世の名は獣狩りの狩人。どちらとでも呼んでくれ」
「ふーん……あれ?君、いったいなんだ……?」
「はい?だから、灰夜雁人だって…」
「いや、そうじゃない。君は何も考えていないのか?心底を読めない……?」
「何言ってんの……?」
【あぁ、そういうことか。ソイツの名前はアドルフ=ヒトラー、目が合った相手の考えを読めるんだが、なんでか灰夜の考えを読めなくて驚いてるとかじゃねぇか?】
「あ、なるほど……説明は…できないな。今は出来ないからするとしてもいつかになる」
「…ふん、まぁいいさ。それで?項羽はきみのことを認めてるみたいだけど、ボクたちは認めてないよ。少なくともボクは認めてない」
「それはそうだろうな。でも認めてもらうって言ってもな……あ、項羽。こういうのってありだろうか?」
身体に纏わせていたモヤを消して、玉座に座り始めた項羽の近くまで近付いてある提案してみると……満面の笑みを浮かべながら「いいじゃねぇか、それだったら認めるに値すんだろ。結果もわかりやすいしな」と許可を出してくれた。
「よし、じゃあ許可も貰えたしこれでいこう……私一人と君たち全員で戦おう。ただ、君たちの中にも単独戦闘の方が得意な奴もいるだろうから、ハンデとして私は武器一つで戦う、この千景でな」
そう言って俺は霧の中から刀を取り出す。
「君らも何かハンデはいるか?内容によっては手助けをするぞ」
「……じゃあ、ボクから提案だ。腐蝕耐性をボクら全員につけることは?」
「腐蝕か……まぁ試してみよう。」
試しに霧の中から穢れた聖杯を取り出し、地面に置く。*2
「ふう……穢れた聖杯よ。私に護りの呪いを、私以外の建物の中の者へ護りの祝福を授けよ。これでどうだ?」
俺が聞いてみると、ヒトラーが「ポル=ポト、お願いしてもいいかい?」と言うと周囲一帯が腐蝕し始め……地面は少し腐蝕したが人は腐蝕しなかった。代わりに俺は腐蝕に対して弱くなったので、少し触れたらだいぶ痛手になるだろう。
【へぇ、すげぇじゃねぇか。いいハンデにはなってるんじゃないか?】
「…本当に言ってるのかい?人数の差があまりに開いているのに、これでいい勝負ができると?」
【あぁ、オレはそう思ってるぜ。なんならワンサイドゲームになるんじゃねぇか?】
「…ふ、ふふ……灰夜、キミが言った訳では無いが、項羽のバカの代わりに八つ当たりさせてもらうよ……!」
ヒトラーがこちらを睨みながら宣戦布告してきた。やっぱりあとで項羽は殴る…!!
「はぁ…こればっかりは項羽の代わりにその怒りを受け止めよう。でもそれはさておいて後で項羽は一緒に殴ろうじゃないか」
「賛成だ…では、始めようか。ルールは殺らなければなんでもありの模擬戦でいいかい?」
「あぁ、それでいい。項羽、お前が開始の合図をしてくれ」
俺がそう言うと、項羽は「あぁ、いいぜ。両者共に構えな」と言い、ヒトラーたちも臨戦態勢に入る。さぁ、久方ぶりの多対一の戦闘だ、どこまで完璧にこなせるかね……!
「ふう……終了だ」
「くっ……」
「やっぱ灰夜の勝ちだったな」
俺の前には死屍累々のように倒れているヒトラー達がいた。模擬戦開始から数十分か、白痴の蜘蛛ロマを相手にしてた時よりは遅いな…人数の差もあるのだろうか?にしても感覚を取り戻す必要はありそうだ。*3
「大丈夫か?少し待っていろ……聖歌の鐘よ、同志を癒せ」
一言口にすると、霧の中から小さな銀色の鐘がひとりでに現れ、3回鐘が揺れて甲高い音が鳴ると、周りの倒れ伏すヒトラーたちの怪我は少しづつ癒されていく。
「これは…?」
「宇宙の神秘を工夫して扱えるようにした一品の一つだ。周囲の傷を持った生物を敵味方関係なく癒す力がある」
【ほぉ、おもしれぇ。聖杯だったか?あれもすごかったが、おそらくあっちは一回きりだろ】
「あぁ。一回きりな代わりにどんな事でもできるものだ、あまり数がないから無闇矢鱈には使わないがな」
「…はぁ。負けたわけだし、認めよう。ボクも君…狩人のことを仲間としてね」
「ふむ、分かった。では、よろしく頼むヒトラー先輩」
「…なぜかイラッとするな。ヒトラーでいい、それ以外で呼んだら殴るからな」
「…?分かった、ヒトラー。それと項羽、相談があるからどこかに行かないか?」
【あん?まぁいいが、どこにだ?】
「うーむ…どこにするか……あぁ、そういえば貴公に紹介したい場所があるんだ。私の霧で連れてくぞ」
【しゃあねぇ。ダルモン、ヒトラーたちとちぃとばかり待ってろ!】
「…うん、待ってる……」
項羽がダルモンにそう言ってこちらを振り向いたので霧を自分の四肢のように操り項羽を包む。そして自分のことも包み、霧ごとある場所へ転移する。
「さぁ、到着だ。私の拠点と言っていい―――狩人の夢だ」
そこは様々なところに墓が置いてあり、前方には大きめの建物が鎮座していた。その手前には洋装を身に纏った人形が立っている。人形は俺を見ると、ゆっくりとお辞儀した。
「…おかえりなさい、狩人様」
「あぁ、ただいま…人形」
【…ここ、地球じゃねぇな。オレの万象儀に座標を登録できねぇ……】
「それはそうだろう、ここは言ってしまえば私の精神世界のようなもの。ここにたどり着くことは私の許可がなければ入ることすらできない……それこそヒトラーが私の思考を読めなかったのはおそらくはこの場所によるものだ。私の心底の思考を読むにはこの場所の更に深くにある場所まで行かないといけないのだから」
【……ここにいる際のオレとお前の身体は?】
「ん~……ここが難しいところでな。ここは私の精神世界のようなものとは言ったが、今私たちがいるここはその精神世界を生身で入れる場所として実体化させた場所だ、だから私たちの身体にはなんの支障もない。傷を負ってもここを出れば回復するしな」
【なるほどな。それで?ここに連れてきたのはその説明だけか?】
「いや、あと一つだけ用件がある…というか貴公がしたそうだからな、やってやろう。模擬戦……といこうじゃないか」
【……はっ、それだよオレが待ってたのはよ!どこでやるんだ?】
「着いて来るといい、あそこだったら思う存分やれるだろう……私も少しは楽しみだからな、簡単に終わるんじゃないぞ?」
【言ってろ!】
灰夜について行く項羽。中国において覇王と謳われた項羽と、ヤーナムにおいて出会えば終わりとまで呼ばれた夜明けの名を冠した狩人。彼らはいがみ合う仲でありながら、高め合うライバルとして認めあっていた。だからこそ、この戦いはいつかまた別で語るとしよう……
項羽との戦いを楽しんだ末に戻ってきたとき、去ろうとするヒトラーとポル=ポトを制止する。
「あ、そういや忘れてた。ヒトラーとポル=ポト、少しこっち来てくれ」
「うん?なにかな、狩人」
「………」
首を傾げるヒトラーを肩に乗せて歩いてくるポル=ポトが近付いてきたら、霧から金色の杯を取り出す。
「…それは、項羽の怪我を治したやつだろう?なぜ今取り出して―――」
「怪我してるだろ、両脚。腐蝕してるところを見るに、ポル=ポトが仲間になる前に何らかの事情でそうなってる感じか?」
ヒトラーの言葉を遮るように言うと、ヒトラーは変なものを見るような目をしながら、
「心が読めているのかと勘違いしそうなほどに当ててくるものだね。確かに腐蝕はしているが、ボクとしては治さなくても……」
と返してきた。ったく、俺含めてだが、なんでこんなに助けを嫌がるやつばっかなんだ…不器用どもめ。
「いや、治しとけ。多分だが、長いことその状態だろうし治したところですぐには歩けないだろうからポル=ポトと一緒に行動するのは変わらない。それにいざって時に足は使えた方がいいからな」
仕方なく、俺が治しとくべき理由を合理的に伝えると、ヒトラーが少し悩む素振りを見せた後に「…分かった。お願いしてもいいかな?」と言ってくる。
「あぁ、もちろん。ただ腐蝕を治すとなると……あ、そうだ。ヒトラー、靴脱いでもらってもいいか?」
「…?別にいいよ。ポル=ポト、お願いしていいかい?」
ヒトラーの言葉に頷き、項羽が座っていた玉座にヒトラーを下ろすポル=ポト。そしてそのまま靴を脱がしてくれたポル=ポトに感謝をし……千景を取り出して俺の手を貫く。
グサァッ!
「はぁ!?な、なにをして……!」
「そのままじっとしててくれ…動かれるとイメージがしにくい」
俺の行動に驚き、身じろいだヒトラーを制止し……聖杯に俺の血をかけ続ける。そしてある程度血に染まったため、聖杯を左手で掴み、右手でヒトラーの足を踵から持ち上げ………詠唱を口にする。
「千変万化の血に染まりし聖杯。穢れてなお、その在り方が変わらぬ願望器よ……願わくば、彼女の身体をいかなる病にも侵されぬ頑強なるものへと変えたまえ………!」
言い切ると同時に聖杯から光の奔流が飛び出し、その光に俺の血が合わさりながらヒトラーの足に向かっていく。ヒトラーの足が光によって覆われてから10秒程度が経った時……突如光が無くなり、聖杯も忽然と消えた。
「ふぅ……おそらくこれで問題ないと思うぞ、ヒトラー………って、なんだその顔?そんな人の正気を疑うような目で見られても………」
「………はぁ、見るに決まってるだろう。自分の手を貫いてまで他人の怪我を治すやつなんて、変以外のなにものでもない……ただ、動かせるようになったことは確かだ………あ、ありがとう。狩人………///」
俺から目を逸らしながらそう言うヒトラーの耳は真っ赤になっていて、頬も真っ赤になっているのを見た俺は、
「ぐ、あぁっ……!悔いは、ない………っ!!」
と口にして意識を手放した―――
第五話終了!少し展開が早いかもしれませんが、まぁそこはご愛嬌ということで……ちなみに、主人公は狩人としての期間が長すぎて恋愛というものがよく分かっていません、ヤーナムで恋愛なんてしようものなら相手も自分も簡単に死にかねないですからね。あと狩人に流れている青ざめた血がどんな悪影響を起こすか分からないですし…なのでヒトラーとノイマンに対する対応はかわいいモノを見たときに発生する反応みたいなものです、今のところは。
次回をお楽しみにしていてくださいね!!
主人公以外のキャラの視点はいる?いらない?
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いる
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いらない
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どちらでもいい
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主人公と三人称のみでいい