リィンカーネーションの花弁〜夢に囚われた狩人〜   作:アキヤマ ハルト

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読者の皆様方、こんにちは。秋山悠人と申します。

ここから詳しく話が進んでいきます。実は想定しているストーリーの中に、ブラボに関連するキャラを出していく予定なのでお楽しみに!


第9話『宣戦布告』

前回のあらすじ!!

ヒトラー・ポル=ポト・灰夜の三人は共に行動し偉人格狩りをはじめることにした。灰夜が説明もせずに一人で行動するといったトラブルはあったものの、三体の偉人格を撃退した。そして隠れていたアインシュタインとニュートンが居て、ニュートンが単騎で戦おうとしたが…ヒトラーの提案により、才能に溺れていない廻り者であるアインとニュートンを生かすことに。項羽側で固まっている予想と考えを語り、ニュートンとアインシュタインの承認を得た末にどうするかの行動に至るのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『アインにニュートン!無事だったか……!』

 

「あぁ、問題ないよ。少し襲われる事態はあったけど、どうにかして生きのびたからね」

 

『あぁ、見ていた。途中で携帯の反応が消えたため見れなかったが、何があったんだ?それにそっちの灰夜は…?』

 

ノイマンがそう言いながら視線を向ける先は、引き摺られるようにしてアインに引っ張られている灰夜だった。左腕と左足が無くなっており、目を閉じ気を失っているだけに見えるが……この状況はアイン・ニュートン・灰夜によって決められた作戦だった。

 

―――――数十分前―――――

 

「さて、ヒトラーとポル・ポトを城まで戻してきたわけなんだが……どういう作戦で行くか、作戦会議と行こう」

 

「そうだねぇ……僕とアインが偶然生き残った体で狩人くんを連れてかなきゃだよね」

 

「そうね。でも、無傷で連れてくと怪しまれる可能性も……」

 

「………よし!ニュートン、俺の身体の一部だけを才能で潰すことは出来るか?」

 

「はぁっ!?何言ってんのよアンタ!」

 

「……本当に言ってるのかい?騙すためとはいえ、そこまでやる必要は———」

 

俺の提案に対して、さすがに止めてくるアインとニュートンの言葉を遮って自分の考えを口にする。

 

「まぁ待ってくれ。私の考えを説明しよう……先程アインが言ったように、どちらも無傷では違和感を覚えられるだろう。ましてや相手はノイマン、生半可な状態じゃ騙せない…なら、生半可な状態じゃなければいいんだ。私は多少の怪我では痛みがなくてね…おそらく、身体が潰れる程度であれば痛みは感じない」

 

「嘘でしょ……アンタ、一体どんな人生を送ってきたのよ………」

 

「………分かった、左腕と左足でいいんだね?」

 

「あぁ、それで問題ない。嫌な思いをさせてすまないな」

 

「問題ないよ。それじゃあ、行くよ……!」と言ってリンゴを俺の左側に向けてきて―――そして、引き摺られるという場面に繋がる、というわけだ。

 

―――――現在―――――

 

「あぁ…襲われたから、咄嗟に重力の実で潰してしまってね。そのまま気を失ったから捕まえてきたんだ」

 

ニュートンがそう説明すると、ノイマンが数秒無言でニュートンを見つめ……何も無かったように『そうか、ならこちらで治療しよう。ナイチンゲール、手当てを頼む』と言った。ニュートンはその無感情なノイマンの対応を見て、肩を竦めながら「…うん、狩人くんたちの言ってた通り、やっぱり変だね。狩人くん、もういいと思うよ」と口にした。その瞬間、先程まで引き摺られていたはずの灰夜の身体が霧のように消え………

 

「―――あぁ、もう起きてるとも」

 

と、ノイマンの後ろから聞こえた。

 

『なに……!?』

 

「…ふふ、なるほど。気付いていましたか………」

 

「はぁぁ………ありえないと思いたかったんだが。ニュートンはまだ影に触れる前だったから戻せたが、なってしまったなら私にはできることは無い。これも予想通りだろう?ナイチンゲール」

 

「えぇ、そうですね。少し気付くのが早いのは想定外ですが……それで、貴方はどうするのですか?」

 

ナイチンゲールは俺に対して嫌な笑みを浮かべながら聞いてくるが、もちろん……ここで足止め兼嫌がらせだ!

 

「アイン殿、ニュートン殿!先程の森に飛べ!そこに案内人を置いてある!項羽殿の元へ案内してもらうといい!!説明は任せたぞ!」

 

「…分かったよ!ほら、アイン、空間転移だ!!」

 

「え、でもアイツは!?」

 

「彼は足止めする気だ!なら僕らは逃げるしかないんだ!!」

 

ニュートンに力強く言われたアインは、俺とニュートンを交互に見た後に……「あぁ、もう!ちゃんとアンタも来なさいよ、狩人!!」と言い捨てて転移した。男が嫌いという割に、優しい者だ。

 

「…アハハっ!一人で戦う気ですか?無理だと思いますけど〜……?」

 

「ふ、はは…!……無理かどうかは貴殿が決めることではない。それに、無理だろうと———大切な人を救うために無理をするのが、男というものだろう………!」

 

右手に獣狩りの斧を持ち、特攻を仕掛ける狩人。狩人は相手の動きを封じるように足止め程度の攻撃しかしなかったが、ナイチンゲールから放たれる結晶や炎による攻撃で限界が来たのか、膝から崩れ落ちるように倒れる。ナイチンゲールにも多少傷はついているものの、明らかに実力に差が生じていた……まるで、()()()()()()()()

 

「ぐぅっ……!」

 

「フフッ、無理があったようですね。私に勝つのは無理なんですよ〜……それじゃあ、貴方も私の駒に———あれ?」

 

動けなくなっている狩人にナイチンゲールが治療を施そうとするが、なぜか傷が治らない。というよりは、触れたところが霧になっていく……

 

「治せない…?霧になっていく……まさか!?」

 

「……騙されてくれて助かったよ、ナイチンゲール殿」

 

「貴方…偽物だったのですか……?」

 

「あぁ、そうだとも……相手の力が分からないうちから勝ったと誇るのは負け筋の一つだ。人生経験の長い者からの助言、受け取るといい………ノイマン、貴殿は私が、灰夜雁人が救う。それまで待たせることになるが———君を、信じるぞ」

 

ナイチンゲールの後ろで無言で座り続けていたノイマンに狩人が声をかける。それを見たナイチンゲールは、「あらあら、残念でしたね〜……ノイマンさんは私が隷属させて———」と口にしようとしたその時、ノイマンが口を開き……

 

『………あぁ、待っている。私を救ってくれ、灰夜……』

 

と笑みを浮かべながら言った。その言葉を吐いた瞬間に表情から感情が消え去りはしたが……ナイチンゲールからすれば想定外だったんだろう。驚きの表情を浮かべていた。

 

「…は、はぁ?隷属を一時的に無効にして、返事した……?意味が分からないですよ、ただの愛なんていう愚かな感情でなにがそんな———」

 

「…は、ははは。やはり貴殿はナイチンゲールではないな。愛というものへ恨みを抱いている人間は、ナイチンゲールなわけがない……また私と出会う時が、貴殿の、最期だ…く、びを……あらっ、て、まってい、ろ……

 

口元が霧になりながらも最後に言いたいことを言ってから、狩人の幻影は消えていった。その後、ナイチンゲールは少し無言のままだったが、勝ったことには変わりないと考えたのか、その場に狂ったような笑いが鳴り響いていた………一方、転移したアインたちは―――

 

「はぁっ、はぁっ……!」

 

「助かったよ…アイン。それで、彼の言っていた案内人は……」

 

しっかりと座標登録していなかったこともあってか、アインが過剰の疲労で息をあげる中、ニュートンが周りを見渡すと……木に寄りかかるように立っている、見慣れた格好の男がいた。

 

「ん…来たか。先程ぶりだな、ニュートンとアイン」

 

「……あれぇ?さっき残ってったよね、狩人くん。なんでここにいるの…?」

 

「か、狩人…!?な、なんで……けほっ、ごほっ!」

 

「あぁ、アインは落ち着いて呼吸しなって……それで、なんで君がここに?」

 

アインの背中を擦りながらニュートンにそう聞かれたため、寄りかかっていたのをやめて説明を始める。

 

「そうだな……まずヒトラーとポル・ポトを城に連れてってから戻ってきた時。その時からニュートンが共に行動していた私は霧で姿・性格を真似ただけのものだった。能力はある程度の再現止まりだったが……実際の私は君ら2人が戻ってくるのをずっとここで待っていたというわけだな。中々完成度の高い偽物だっただろう?」

 

「はぁ、ふぅ……た、確かに。言われてみれば男一人にしては軽いとは思ってたけど、まさか霧だったなんて…」

 

「そんなことも出来るんだねぇ……」

 

驚くニュートンとアインに「それじゃあ行くぞ。項羽のところにな…恐らく、東耶たちもいるはずだ」と口にして2人の前を歩いていく。案内と、警戒も兼ねてな。

 

―――――歩き始めて数分後―――――

 

ニュートンとアインを連れて城へ歩いていくと、項羽たちが作っていた墓たちの元へ着いた。何度見ても荘厳なもんだな、本当に……

 

「…これは、墓かな?」

 

「そうみたいね……でも、罪人格だけじゃないわね。シュレディンガーにダーウィン…ライト兄弟のもあるの…?」

 

「あぁ、これは…項羽軍が作ったものだな。ノストラダムスの廻り者の予言書の中に書いてあった名前の廻り者たちの墓を片っ端から作っていてな…全部手作業だったから疲れたものだ……ガウディだけに任せるのは心苦しいとは思っていたが、私だけにやらせるとは思わなかったがね………!」

 

「ず、随分と怒りが溜まってるみたいだね……」

 

絶対にあいつのことは1回半殺しにしてやる……ん?城前に墓が一個増えてんな…って、は………?

 

「…船坂、弘…だと……?」

 

………おいおい、嘘だろ。項羽が契約を破った?いや、項羽がそんなことをするとは———だとしたらいったい……

 

「?狩人くん、どうかしたのかい……って、その墓は………!」

 

「ふ、船坂……弘…ですって……!?」

 

…ニュートンとアインも見えたようで、驚いていたが。俺は城に先程よりも早足で歩いていき、門を蹴り開けた。

 

ドゴォッ!!

 

「おい、項羽!!なんで船坂さんの墓があるんだ!?殺さないようにするはずだったろ!」

 

狩人としての喋りもできないほどの俺が入って早々に問い詰めるように声を上げたことに驚く素振りもなく、項羽が申し訳なさそうに頬を搔くと、【あぁ……すまねぇ、契約を破っちまった。オレが不死者の戦闘狂っぷりを甘く見ちまった】と口にした。

 

「不死者の戦闘狂っぷり、ってことは船坂さんの死はあの人が望んだ死だったのか…?」

 

【あぁ、それは間違いない。ちなみにルーデルのヤツも満足して逝きやがった】

 

「そう、か……なら、仕方ないか…亡くなった場所は地の支城か?」

 

【あぁ】

 

「助かるよ……夜は終わる、されど夢は終わらない…地の支城に落ちている()()の回収は任せたぞ、俺」

 

俺の周りを舞う霧が塊となり、俺と全く同じ姿になった後に頼むと、俺に礼をした後に霧のまま外に出ていった。

 

「…はぁ。項羽、ヒトラーとポル・ポトはどこにいる?」

【アイツらだったらこの城の客室で待ってもらってるぜ。呼ぶか?】

「あぁ、頼む。それと……ニュートン!アイン!入ってきて問題ないぞ!!」

 

門に向かって大声で言うと、ゆっくりと門が開き……ニュートンとアイン、そして東耶が居た。

 

「…ん?なんで東耶がいるんだ?」

 

「……灰夜くん?」

 

「ついさっき門前で待ってたら歩いてくる東耶君が見えたから連れてきたんだよ」

 

【おう、よく来たな…なぁ灰夜……】

 

「……なんだ、項羽…?」

 

項羽から小声で話しかけられたため、俺も倣い小声で聞き返すと……【東耶を試したいから、アインたちとダルモン、ノスのことをいざって時は守ってくれ。二次被害があるかもしんねぇからな】と返ってきた。俺も含めてだが、項羽軍は戦闘狂ばっかだなマジで……

 

「…別にいいが、お前は今聖杯のせいで万全な状態ってことを忘れるなよ。遊ぶ程度にしろ」

 

【わぁってるよ。んじゃ、頼むぜ!】

 

「はいよ…ニュートン、アイン!こっち来てくれ!」

 

項羽がダルモンを玉座に座らせ、東耶の方へ歩いていく中ニュートンとアインを呼んで俺の近くに寄らせる。

 

「…ねぇ、狩人くん。この空気感ってさ……」

 

「多分予想通りだ。項羽が東耶のことを試したいんだと……だから2人にはこっちに来てもらったんだ。ダルモンも守れるしな」

 

「……ありがとう、灰夜」

 

「どういたしまして。あと、ダルモン、少しナイフ貸してくれないか?」

 

「……?いいよ、はい…」

 

懐から取り出して渡してきたナイフを受け取り、手のひらをスパッと切ってからナイフの刀身を拭ってから返す。このまま手のひらを下に向けたまま………すぅ〜……はぁ〜………

 

「…血質駆動(ブラッドエンジン)血族誓約(カインハースト)〗」

 

ブワァッ……と手のひらから溢れた血が赤黒い状態から透明な状態に変わりながら俺ら()()包んだ。ん?7人……?

 

「…なんでお前らいるんだ?ヒトラーとポル=ポト……」

 

「…はぁ、はぁ……う、うん?狩人、キミがボクを呼んだんだろう?ならいてもおかしくないはずだが?」

 

「…いや、明らか早いだろ。それにその汗……走ってきたのか?さっき俺が呼んだばかりなのに……」

 

「うぐっ……!そ、そんなわけ———「ちなみにですが、私の予言書によるとアドルフ=ヒトラーはジョン=フォン=ノイマンに恋愛において負けるとのことですよ」———走ってきたがなにか!?文句でもあるのか!!」

 

ノストラダムスが横から嘘であろうことを言った途端にさっきまで口にしていた言葉の逆をヒトラーが口にし始めた。いや、堂々としすぎだろ……

 

「文句なんてないけど…女子が汗かいたままじゃダメだろ。はい、これハンカチと制汗スプレーだ、使っておきな」

 

霧の中へ手を突っ込み、刺繍のついたハンカチと新品の制汗スプレーを手渡すと……顔を赤く染めながらものすごい勢いで取り、ポル=ポトの後ろに隠れてしまった。ん〜、かわいいかよ…ッ!

 

「……はー、なんかここ甘ったるくて仕方ないわね」

 

「同意だなぁ〜…コーヒーが欲しくなってきたよ、にっがいものがね」

 

「ほっほっほ、さすがは天然人たらしの狩人殿ですな。獣ではなく異性を狩っているのでは?」

 

「……女の敵?」

 

「………」グッ!

 

「ノストラダムスとダルモン、酷くねぇか?ポル=ポトはなんのグッドサインなのか分かんねぇ……あとアインとニュートンも仲良いだろうに…」

 

俺が呟くと、アインが「は、はぁっ!?何言ってんのよアンタ!!ふざけたこと言わないでくれる!?」と襟首を掴もうとしてきたのをニュートンが「どうどう、やめなよアイン……狩人くんもひとまずは東耶君と項羽の戦いを見ないとね?」と落ち着かせていた。それはそうだな……

 

「……ニュートンの言う通りだな。アイツらの戦いを見てやるとしようぜ」

 

どこか戸惑いながらも、襲いかかってこようとする項羽に対して構える東耶と殺意とまではいかず、圧をかけている項羽を眺めることにするか………

 

―――――戦闘開始から数分後―――――

 

「……ふーん?だろうとは思ってたが、ヴラド公の才能持ってたな。それと船坂さんから得たからか、不死の才能も持ってる………自分の才能もある程度は生かせてるし、さすがは東耶だ」

 

「………いやいや、狩人くん冷静じゃない?もしかして前から知ってたり?」

 

項羽と東耶の戦闘を見ながら褒めていると、ニュートンから聞かれた。知っていた、かぁ……

 

「ん〜、知らなかったけど。ある程度は予想ついてたな……東耶はメンバーの前で才能を使う際は片側の腕しか使わない、それもずっとな。だからもう片方の腕にもなにかがあるとは思ってた、廻り者には隠さなければいけない大きななにかが………」

 

「………言われてみれば、どんな時も右腕だけだったわね。才能を詳しく話さない奴なんていなかったから、疑うこともしなかったけれど……」

 

「東耶は多分兄を超えるために才能を欲していた。だから盗人の才能で他者の才能を集めて超えることを選んだんだろう。ただ……船坂さんの件で思うところがあったみたいだ、動きにキレがない………」

 

だが、ヴラド公と船坂さんの才能じゃあ攻め手に欠けるが……おっと、項羽が終わらせるために東耶に見せる気だな、万象儀で周囲を覆った。

 

「な、なによあれ!?急に黒いのに覆われたわよ!」

 

「……さっきから項羽の操っていた黒い靄だね。項羽がしたことだってのは分かるけど、何のために…」

 

「………ま、気長に待とう。項羽は東耶を殺す気は無いからな」

 

周りを漂う霧に手を突っ込み、倉庫の整理をしながら俺は待つ。そうやって数分が経った頃……黒い球体は溶けるようにして無くなり、中から納得のいった顔をする東耶とどこか晴れた顔をする項羽が出てきた。周りを覆っていた血を普通に通り抜け、項羽たちの方へ歩いていく。

 

「終わったみたいだな、どうだった東耶?知りたいことは知れたかい?」

 

「………灰夜くん。えぇ、まさか兄が廻り者だったとは思いもしませんでしたが……ある意味納得もいきました。僕自身覚えていない、小さい頃の自分が天才だと思っていた兄が苦悩しながらも僕のことを想ってくれていた……それを知れたおかげで決意も出来ましたよ、兄をも超える廻り者になることを。それこそ、灰夜くんも超えるつもりです」

 

「!!………は、はははっ!面白いな、東耶は本当に……いいぜ、お前の先で待っててやるよ。だが俺もこのまま停滞するつもりは無いんでな、とっとと来いよ?」

 

東耶の言葉に様々な狩人と全力で競い合っていた頃を思い出し、売り言葉に買い言葉で返した。そうしていると項羽が横から、【おい、灰夜…そこはオレに聞くところだろ!?あとオマエに勝つのはオレが先だぜ!】と言われた。先も後もないだろうに……

 

「………ただ、少し疑問ではあるな。東耶からしてみれば覚えてないにしろ家族を殺したのが項羽だよな?ある程度の罵詈雑言は言ってもいいんじゃないか?」

 

【…オレもそれは思ってたな。そこはどうしてなんだ、東耶】

 

俺と項羽が東耶へ同じ疑問を言うと、東耶は困ったような顔をしながら「…さっきも言いましたけど、兄のことは感傷的になるほど覚えてないんです。僕が怪我したのも記憶になかったので……それに、僕は兄が間違っていたとも貴方が間違っていたとも思えない。だから、僕は兄を見せてくれた貴方に感謝こそすれど、貶すことはしません」と正直に口にした。俺はへぇーとしか思わなかったが、項羽は無言で東耶に近寄り……頬を引っ張り始めた。東耶が「え!?ひららら……ッ!」と痛がる中、項羽は【なーんか調子狂うぜ、感謝されるとか……やっぱお前西耶に似てねぇな。達観してて嫌いだぜ】と貶し始めた。

 

「…項羽、一つ気になったんだが。東耶にお前の過去を見せたってことはあれを手伝わせんのか?」

 

「あれ…?」

 

【あぁ。仲間といえる存在は何人居てもいいんでな…それに、東耶の目的も果たせるんだし構わねぇだろ】

 

「……俺はいいとは思うが、東耶が許可しないとまずダメだろ」

 

俺と項羽が話していると、東耶が横から「あの…何の話でしょうか?」と聞いてきたので項羽が説明を始める。ま、分かりやすく言えば現在操られているノイマンを止める一助になって欲しいって話なんだが……東耶は生憎と項羽の言葉を理解できず、的はずれな回答をしていた。共存の道ねぇ…正直、俺が目指すのはそれに近いんだよな。ノイマンを救うにはそれしかないわけだし……

 

「………?項羽、外から気配がする。それも物凄い勢いで近寄ってきてるぞ」

 

【あん?説明途中だってのに……今どのぐらいだ?】

 

「あと10秒程度で扉に辿り着く。俺も準備するか?」

 

【あぁ、頼む。ただしダルモンの方を守るようにしてくれ、分かったか?】

 

項羽の言葉に返答は返さず、懐から取り出したナイフで首を切りながらダルモン含め6人の前に立つ。血で守ってるからある程度は耐えると思うが、警戒は必要だろうな。

 

「ふー……ノストラダムス殿、予言書はどうなっているか聞いてもいいだろうか」

 

「予言書でしょうか?少々お待ちを……ホッホッホ、なんの変哲もないですな」

 

「そうか…では、これからこちらに飛んでくる攻撃を私が防げぬ場合は貴殿が書の改竄で防いでくれ。頼むぞ」

 

「お受けいたしましょう、狩人殿もお気を付けを」

 

ノストラダムスとの会話を済ませ、ルドウイークの聖剣を鞘に入れた状態で構える。さぁ、一体何が来る……?




第9話、終了!

明日出る第10話は、扉の先から来る者との戦闘、そして狩人の謎が増える話です!お楽しみに!!

主人公以外のキャラの視点はいる?いらない?

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  • 主人公と三人称のみでいい
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