私の約束された勝利の騎士道アカデミア   作:まだら模様

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※キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
作者はfateガチにわかです。ガバガバ設定になると思われます。
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第6話「廃墟の騎士」

 

 

 廃墟ゾーンの空気は重かった。

 

 崩れたコンクリートの壁、錆びた鉄骨、砕けた窓ガラス。訓練用に作られた人工の廃墟だが、今は笑えない。

 

 リアは木刀を手に、半歩前を歩いた。麗日が後ろについている。直感が左前方を示していた。

 

「リアちゃん……ほんとに来るん?」

 

「二人いる。左の建物の中だ」

 

「どうしてわかるの」

 

「今は説明する余裕はなさそうだ」

 

 それだけ答えた。説明する時間はない。

 

 角を曲がった瞬間、上から瓦礫が落ちてきた。

 

 リアは麗日の腕を掴んで横に跳んだ。瓦礫がコンクリートを叩いて砕ける。

 

「上だ」

 

 屋根の上に二人いた。体格の良い男と、刃物を持った女。ヴィランだ。訓練用の施設に紛れ込んだ、本物の。

 

「学生ってのは身軽でいいねえ」男が笑った。「でも俺の個性の前じゃ関係ない——重力制御!」

 

 空気が変わった。体が重くなる。重力が増している。リアは足に力を込めて踏ん張った。膝が軋む。隣で麗日が「うっ……!」と声を漏らした。

 

「逃げろ」リアは麗日に言った。

 

「でも——」

 

「逃げろ。離れた場所で個性を使え」

 

 麗日の個性は接触で無重力を付与する。重力制御を受けている今、物を浮かせて攻撃する戦い方ができる。だが接近戦は不利だ。

 

「わかった!」

 

 麗日が走り始めた。男の視線が追う。その隙に、リアは建物の壁を蹴って屋根へ飛んだ。

 

 甲冑の重みが増している。それでも体は動いた。

 

「重力があっても動けるのかよ!」

 

「この程度なら」

 

 木刀を振った。男が腕で防ごうとして、手首を打たれた。骨が折れる音がした。

 

 女が刃物で斬りかかってくる。リアは身体を捻って躱した。刃が甲冑を掠め、火花が散った。

 

「甲冑……!?学生でそんなもの持ってる奴がいるか!」

 

「個性だ」

 

 嘘だが、今はそれでいい。

 

 重力制御が更に増した。男が片腕を押さえながら、残った手で個性を発動している。リアの膝が、ついに折れた。

 

 片膝をついた。

 

 甲冑の重みが足に集中する。立てない。立とうとすると、重力がまた増す。

 

 ——上限をどこかで超えてくる。この男の個性は、重力を増し続けられる。

 

 リアは地面を見つめながら、冷静に考えた。

 

 エクスカリバーは使えない。制御できない出力が、麗日を巻き込む。

 

 では——

 

 剣の周りに、あの感覚があった。

 

 いつもと同じ、靄のような「何か」。でも今は——重力に押しつぶされそうな状況で——その感覚がいつもより鮮明だ。

 

 掴もうとする。指先を、靄の中に伸ばすように。

 

 消えない。

 

 「——っ」

 

 何かが、変わった気がした。剣の柄を握る手の周りに、わずかに、風が走った。一瞬だけ。

 

 だが確かに。

 

 リアは即座に立ち上がった。重力が増しているはずなのに、体が軽かった。一瞬だけ。

 

「なっ——」

 

 男が目を見開いた。

 

 その隙に、リアは木刀で男の額を打った。男が意識を失って倒れた。重力制御が解除される。

 

 女が叫んで逃げようとした。

 

「逃さない」

 

 確保テープを取り出した。訓練用に渡されていたものだ。

 

 女の腕を掴んで、テープを巻いた。

 

 

 廃墟の外に出ると、麗日が壁に背を預けて待っていた。

 

「リアちゃん!! 大丈夫!?」

 

「無事だ」

 

「よかった……! 私、瓦礫浮かせて牽制しようとしたんやけど、もう終わっとった」麗日が息を吐いた。「あの重力、すごかった。膝が折れそうやった」

 

「折れなかったか?」

 

「うん……なんとか」

 

 リアは手を見た。

 

 剣の柄を握る手。あの一瞬の感覚を思い出す。風が走った、確かに。制御できたわけではない。ほんの一瞬、靄に触れた気がしただけだ。

 

 だが——触れた。

 

「リアちゃん? どうかした?」

 

「……いや」

 

 リアは手を下ろした。今考えることではない。まだヴィランがいる。仲間のことを考えなければ。

 

「中央広場に戻れるか。相澤先生が一人で戦っている」

 

「行こう」

 

 麗日が頷いた。二人は廃墟を出て、中央広場の方角へ走り始めた。

 

 

 

 走りながら、別のゾーンから爆発音が聞こえてきた。

 

 爆豪だろう、とリアは思った。あの個性の爆発音は一度聞けば忘れない。

 

 しばらく走ると、倒壊ゾーンの方から切島鋭児郎が現れた。額に擦り傷を作っているが、笑っていた。

 

「有斗! 麗日! 無事だったか!!」

 

「ああ」

 

「よかったぜ! 俺と爆豪は廃墟ゾーンに飛ばされてさ——あそこのヴィラン、もう片付けたから! 爆豪が全部吹き飛ばした」

 

「爆豪は?」

 

「中央に向かった。黒霧を倒しに行くって言って」

 

 リアは走りながら答えた。

 

「一人か」

 

「そう。俺も行こうとしたけど止められなくて」切島が苦笑いした。「ダチ信じるしかないかなって」

 

 麗日が「爆豪くんらしいな……」と呟いた。

 

「相澤先生が単独で戦ってる。急ごう」

 

 切島がぱっと表情を引き締めた。

 

「分かった!」

 

 三人で走り始めた。

 

 中央広場が見えてきた。

 

 リアは目を細めた。

 

 広場の中心で、相澤が一人で多数のヴィランを相手にしていた。捕縛布が縦横無尽に動いている。一体、また一体と仕留めていく。

 

 だが既に、体力の限界に近い動きだ。

 

 そして——中央に、死柄木が立っていた。あの手だらけの青年が、静かに相澤を見ていた。

 

「……嫌だな、プロヒーロー」

 

 死柄木の声が、広場の端まで届いた。

 

「有象無象じゃ歯が立たない」

 

 脳無が動き始めた。

 





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