作者はfateガチにわかです。ガバガバ設定になると思われます。
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中央広場に戻った時、相澤はまだ戦っていた。
一人で。
捕縛布が空を切り、ヴィランを縛り上げ、また次へ。消耗しきった体で、それでも動いていた。ゴーグルが赤く光るたびに、ヴィランの個性が消える。だが数が多すぎる。
「……すごい」
切島が呟いた。
「個性消して、体術だけで何十人も……」
「静かに」
リアが短く言った。
死柄木が広場の中央に立っていた。首をぼりぼりと掻きながら、相澤の戦いを眺めている。その隣に、脳無がいた。
「本っ当にかっこいいぜ、イレイザーヘッド」
死柄木がぼそりと言った。子供が漫画のキャラを褒めるような、妙に素直な口調だった。
「でもさ——もう限界じゃないのな?」
脳無が動いた。
相澤が捕縛布を投げたが、脳無には効かなかった。腕が一本、折れた。それでも動く。相澤が体術で対抗する。だが脳無の怪力が相澤の腕を掴んだ。
「先生!!」
緑谷の声が聞こえた。広場の端に、水難ゾーンから戻ってきた緑谷、梅雨、峰田の三人がいた。
リアは状況を瞬時に把握した。
相澤が脳無に捕まった。飯田はまだいない。このまま時間が経てば——
「飯田」
リアは声を張った。飯田天哉が振り向いた。
「走れ。今すぐ外へ。連絡しろ」
「しかし委員長の風上にも——」
「今行かなければ全員死ぬ。お前の足でしか打開できない。行け」
飯田が一瞬硬直した。
砂藤力道が叫んだ。「外に出られりゃ追ってこれねえよ!お前の脚でモヤを振り切れ!」
瀬呂が「そうだ!」と続けた。
13号が飯田に向けて声を上げた。
「委員長、君に託します。救う為に個性を使って下さい」
飯田が歯を食いしばった。それから——走り出した。
エンジンの轟音。飯田の脚部から炎が噴出して、あっという間に出口へ向かっていく。黒霧が追おうとしたが間に合わなかった。
「あ——行っちゃったじゃないか」
死柄木が首を傾けた。声が、少し低くなった。
「黒霧、お前……お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ」
「申し訳ありません、死柄木弔」
「……まあいいや。どうせオールマイトは来ない」
死柄木がぼりぼりと首を掻いた。
「子供を殺せば来るのかな?」
リアの直感が、最大限の警告を発した。
脳無が相澤を地面に叩きつけた。
嫌な音がした。
緑谷が叫んだ。麗日がリアの袖を掴んだ。切島が歯を食いしばった。
死柄木がゆっくりと歩き始めた。生徒たちの方へ。
「なあ」
軽い口調だった。子供がゲームの話をするような。
「ヒーロー目指してるんだって? でもさ——ヒーローって何だろうな。オールマイトみたいに笑って飛び回って、それがヒーロー? お前ら守られるだけで、それで満足なの?」
誰も答えなかった。答えられなかった。
「つまんないなあ」
死柄木が手を伸ばした。
梅雨に向けて。
リアは動いた。
一歩で死柄木と梅雨の間に割り込んだ。甲冑の胸当てが死柄木の手を受け止めた。
金属が削れる音がした。崩壊の個性が、甲冑の表面を少しずつ砕いていく。
「——なんだよ、甲冑」
死柄木が初めて、表情を変えた。
「個性?それとも道具?どっちでもいいや。でも——硬いな」
リアは動かなかった。
崩壊は進んでいる。甲冑が持つのは、あと数秒だ。エクスカリバーを撃てば終わる。だが制御できない。この距離で、この方向で撃てば——死柄木を消すかもしれないが、後ろの仲間も巻き込む。
「……何かあるんだろ、そんな顔して」
死柄木が首を傾けた。子供が不思議なものを見るような目で、リアを見ていた。
「個性、出せないの? 出したら困る感じ?」
図星だった。
「なるほどなあ」死柄木が少し笑った。「じゃあ——詰んでる」
その瞬間、出入り口が爆発した。
扉が吹き飛んだ。
光が差し込んできた。
「——もう大丈夫」
低く、静かな声だった。いつもの高らかな宣言とは違う。怒りを押し殺したような声。
「私が、来た」
オールマイトが立っていた。
死柄木の手が止まった。リアはその隙に一歩引いて、仲間の前に立った。甲冑の胸当ての一部が、崩れて落ちた。
「……コンティニューだ」
死柄木がぼりぼりと首を掻いた。
リアは崩れた甲冑の破片を見た。
あの数秒、死柄木の崩壊を受け止めながら、剣の周りに何かが走った気がした。あの感覚——廃墟ゾーンで感じたものと同じだ。重力に押しつぶされた時と、崩壊に晒された時。
極限の状況で、何かが動く。
まだ掴めない。でも——確かに、そこにある。
オールマイトと脳無の戦闘が始まった。
轟が氷で脳無の脚を封じた。爆豪が飛び込んで黒霧を捕らえた。切島が「コミックかよ……!」と叫んだ。
リアは生徒たちを後方へ下がらせながら、オールマイトの戦いを見ていた。
圧倒的だった。脳無の「ショック吸収」の個性を、数の暴力でねじ伏せていく。打って、打って、打って——
「ヒーローとはな」
オールマイトの声が響いた。
「常にピンチをぶち壊していくものだ!!」
最後の一撃が、脳無を空へ吹き飛ばした。
死柄木が舌打ちした。
「……ゲームオーバーだ」
黒霧がワープゲートを開く。死柄木が振り返りもせずに歩いていく。
「今回は失敗だったけど」
その声は静かだった。さっきまでの子供っぽさが、少し消えていた。
「今度は殺すぞ」
靄が消えた。
広場が静かになった。
麗日が隣でへたり込んだ。切島が大きく息を吐いた。緑谷がオールマイトの名前を呼んだ。
リアは立ったまま、崩れた甲冑の破片を見つめた。
民を守った。仲間を守った。だがエクスカリバーは使えなかった。甲冑は傷ついた。
十分ではない。まだ、遠い。
でも——あの感覚は、確かにあった。
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