目玉   作:kkrr

15 / 26
ちょっと、睡魔に勝てなかった。


敵対

 

我々の宗教は廃れていった。私たちが悪いのではない。敵対組織である銀の黄昏教団の暴走だ。今までの暗黙の了解をすべて破り、秩序を乱している。過激派だのなんだの言っていられない状況になってしまった。

 

「これは、立派な侵略行為だ!私達も反撃を開始しないと、終わるぞ!」

 

「「「そうだそうだ!」」」

 

何人もの幹部がそれに同意していく。私もそれに概ね賛成だが、手を挙げられずにいた。

 

それは何故か……私の精神が乗っ取られていた。イス人か何かだ。彼らの支配から逃れるためには、精神交換の魔術を掛け合い、それに私が打ち勝つこと。もしくは、任期完了まで待つことだ。イス人の感情を読み取ることができる。焦りや怒り、失望や悲しみ、歓喜や狂気を読み取れた。

 

 

そこから、少しするとイス人が私の体からいなくなるのがわかる。このことを報告するか……いや、やめておこう。更なる渾沌を呼び寄せるだけだ。

 

「銀の黄昏の主要人物である『アン・シャトレーヌ』が行方不明になってからだ。彼女の行方が分からない以上……」

 

「だから!あいつらがこれ以上何もすることがないように、私達も行動するべきだ」

 

「……仕方がないか。最近、『輝くトラペゾヘドロン』が地上にあると報告があった」

 

「!?なんだと、あれは海に沈められたはずだ」

 

「ここからは、我々でも知らなかった情報だが、潜水によって回収されているらしいのだ。それを回収し、武力面での優位性を保とう」

 

「そして、ここからが厄介だ。この情報を流したのは、ナイアルラトホテップの化身である可能性が非常に高い」

 

何を考えている……あれは渾沌を楽しみ、渾沌を解決する過程を見るのが好きなくそだ。いや、邪悪だ

 

 

「そして、この情報を他教団にも言いふらしている化身は、我々が争い会う姿を見たいのかしれない」

 

「ッ!だからといって、何もしない訳にもいきません。ここで、何もしなければ、銀の黄昏はクトゥルフを召喚しますよ!だったら、我々も彼の者を召喚するしかない!」

 

あれの言う通りにしろと言うのか……

 

「スパイに確認した結果、国の研究員が保管していたとの情報があった。……我々は、国に襲撃をかける。」

 

「どこですか……その国は」

 

「日本だ」

 

「アメリカの属国である日本……ならば、アメリカ政府にいる同志から、日本政府に対する圧力をかけてもらいましょう」

 

「ダメだ。属国とは言っても、いつまでも尻尾を振っている訳では無い……そして、アメリカを一番警戒していることだろう」

 

アメリカ政府には、我々のスパイや別団体のスパイがよく紛れ込んでいる。だから、アメリカ政府に情報を渡した場合、戦争、もしくは経済制裁、あるいは一方的な蹂躙が待っている可能性があるからだ。

 

「例え、我等がアメリカ政府を通じて、日本政府に、どんな脅しをかけても無駄だろう。」

 

「……まさかですが」

 

「……我々は、日本に攻め込む。」

 

待て待て待て、冗談だろ。そんなことをしたら、我々の団体は潰される!

 

「待ってください!流石にそれをした場合、アメリカからも見捨てられますよ!」

 

__________________

 

アン・シャトレーヌが失踪してから、10年が経った。あの団体は、歯止めが効かなくなってしまった。『記憶を曇らせる』魔術で、他宗教の人物をこちらに引き抜いたり、アーティファクトを盗んだり、大いなるクトゥルフを呼び出そうとする回数が多くなったりした。

 

それをハスター関連の教団や全く関係のない人々が止めに入っていたが、それも限界が来ていた。クトゥルフの召喚だけは、決死の覚悟で止めることには成功していたが、他は止めることができなくなっていった。

 

兄弟団もそれに疲弊して、落ちぶれていった。しかし、危機感を持った幹部たちが、起死回生をするべく、日本に攻め入ることになった……と報告があった。

 

 

我々日本政府は、このことを知ってしまった以上、対応を取るしかない。もし、銀の黄昏に襲撃をかけるのであれば、日本政府は黙認したというのに。

 

だが、『輝くトラペゾヘドロン』は発見されていない。魔術の痕跡がないか、何度も何度も確認し、発見したと思ったら、『輝くトラペゾヘドロン』があった形跡しかなかったのだ。

 

 

 

それが発覚した時、過去の監視カメラの確認を命じた部下が発狂してしまっていた。何事かと思い、見てみると、冒涜的な姿をした神がいた。私も危なかった。

 

 

いまは、そんなことはどうでもいい。このことを、世間に公表し、他国に協力を仰ぐことができたのなら、どんなに楽なことだろう。しかし、それはできない。世間に公表しても、信じられる可能性は限りなく低く、他国に協力を仰いでも、それを隠し持っていた事実が私たちを不利にする。

 

 

兄弟団の襲撃まで、あと5ヶ月だ。

 

そして、銀の黄昏日本支部の襲撃まで、あと1ヶ月だ。これは、私たちが立てた作戦だ。SATや自衛隊、総理直属の神話機関の元で、銀の黄昏を押さえつける作戦だ。

 

何故ここまで、スムーズに進んだのか……彼らはやりすぎたのだ




昨日、投稿しなかったので、長めです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。