目玉   作:kkrr

21 / 26
第21話

 

 

イゴーロナクは、私に向かって手を伸ばしてくる。それは獲物を刈り取るために、相手を確実に殺すように伸ばしてくる。あの魔術師は、死んでも迷惑を掛け続ける。どうしようもないな。

 

その一撃を避けることができた私は、銃火器でその醜く爛れている腹を撃ち抜く。ぶちゅと音が聞こえた気がする。そんなわけはないが、スライムを握りつぶした時に感じるあの気持ち悪さを肌で感じた。吐き出したくなるような異臭に耐えながら、臨戦の体制をとる。

 

退散の魔術は、大体知っている。しかし、唱えるのはこれが初めてだった。失敗したらどうしよう、唱えている間に攻撃されたらどうしよう、そんな考えが頭を巡る。巡り巡った結果、今ここでやらなければ、他の隊員に迷惑がかかってしまう。だから私がやらなくてはいけないという使命感に駆られる。

 

「……私が……やらねぇと」

 

呪文を唱えた時、声にならない声が叫び渡る。思わず耳を塞いでしまった。

 

あいつを退散したあと、今まで気が付かなかったが、吐き気を催すほどの異臭が、辺り一帯に広がっていることに気がついた。

 

これに耐えることは難しく感じた。どこかないかと探し、用水路に盛大に吐く。その様子を咎める者も誰もいなかった。イゴーロナクのせいではある。あいつのせいではあるが、あいつのせいではない。あれを退散させたあと、1階におりた。

 

呼びかけても誰も返事をしない。敵がいると思い、すぐに警戒をする。しかし、それは無駄なことだった。その惨状を確認した時、敵はもう既に去っていて、仲間は全員死んだことがわかった。

 

 

探しても見つけたい痕跡は何も見つからない。血と銃弾の痕跡だけだ。鑑識を呼べば、話は変わってくるのだろうか。いや、変わらないだろう。恐らく、神話生物。それも、神レベルの。それを倒すことは、奇跡に近い。そして、ニャル以外の神は、弄ぶということも知らない。弄ぶ……閃いた、閃いてしまった。

 

 

あの場所にまた赴いた。そこで気がつく。手と足が胴から引きちぎられていなかった。少しでも引っ張れば、ちぎれてしまいそうなほどのバランスを保っている。それにプラスして、血で文字が書いてあることに気がついた。そこには『また頑張りましょう』という言葉が書かれていた。

 

あいつは、俺たちのことをどこまでバカにすればいい……あの邪神への憎しみが強くなる。

 

消す。俺が生きている間は地球から追い出してやる、絶対にだ!

 

 

 

 

 

 

ってなこと思ってんだろなぁ〜、あいつ

 

あー可哀想、思ってないけど。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。