もしもカヤに親友がいたら   作:あめざり

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諸事情で文字が2000字程度です。
中途半端なところで終わっています。
諸事情についてはあとがきで語っていますがクソ長いです。
覚悟の準備をしておいてください。


第三話 消えたあの人

「連邦生徒会長が失踪しました」

 

とある日の朝、いつも通り防衛室に入ると淡々とした声でカヤがそう告げた。

私はその意味を、全く理解できなかった。

 

「どう、言う事?それは……」

「そのままの意味です。今日の早朝から、連邦生徒会長が見当たりません。いかなる方法を用いても見つけられず、現在も捜索は続いています……が、おそらくは見つからないでしょう」

 

ここまで丁寧に説明されてもまだ実感が無い。

脳が理解を拒んでいると言うべきだろうか、言葉が咀嚼されない様な変な感覚だ。

 

「知っての通り、今のキヴォトスは連邦生徒会長の存在で成り立っていた様なもの……ですので二つの対策が練られました。一つ目が、リン行政官を『連邦生徒会長代行』とする事。これで基本的な業務は滞りなく進むでしょう。そしてもう一つ……リン行政官が代役として呼んだ、キヴォトスの外から来た大人」

 

「『先生』が連邦捜査部シャーレの顧問として、業務の手伝いをすることとなりました」

 

連邦捜査部……確か連邦生徒会長が何かあった時のために準備していた組織だったか。

あらゆる勢力や制限などを無視して活動が出来る『超法規的組織』で、下手したら連邦生徒会よりも権力を持っている。

本人に概要について詳しく聞いたことはあったが、「私が心配性なだけで使うことはないと思うよ!」と流されてしまった記憶がある。

 

「いや、少し待って。外から来た大人って……大丈夫?能力とか、信頼できるのかとか」

「連邦生徒会長の指名があったとも聞いていますし、恐らく大丈夫だとは思いますが……どうやら体が弱いらしく、拳銃弾なども致命症になるとの事です」

 

あまりにも不安要素が多すぎる話だった。

確かに連邦生徒会長も戦闘力の面ではミジンコ以下だったが、拳銃弾程度なら痛がるだけで耐えれていた。

それなのに先生とやらは、脆いくせに超法規的権限を持っている。

連邦生徒会長の代役としてきたのに、その代役が活動不能になる可能性を大いに孕んでいるだって?

正気の沙汰とは思えない。

 

「それで、その先生はいつキヴォトスに?まさかもう来てるの?」

「一週間程度はかかるとのことです。なのでそれまでは相当忙しくなりますよ」

 

キヴォトスから連邦生徒会長が居なくなったら、何て小説の中でさえ考えたくない事案だ。

予想だが、まず犯罪率が数倍に跳ね上がる。そのあとは各地で暴動が起きてその対処、経済に関してはどれだけ悪化するのか想像もつかない。

それを、捌く。しかも大半を私とカヤの二人で。

 

「まずは今も各地で起こっている犯罪の後始末と防衛案の新規作成から取り掛かりましょう。さあ、休んでいる暇なんてありませんからね」

 

いつも通りに机に座る。

いつも通りの朝日と、いつも通りのコーヒーの匂い。

ただ書類とメールの量がいつも通りじゃない。

苦労しながら1週間で処理する量がもう溜まっている。

 

(とか考えてる間にまた一件……)

 

とりあえず上の方から順々に終わらせていくことにした。

緊急性なんて考えていたら時間が足りない、とりあえず終わらせる事を最優先に行動しないと。

私の体力もそうだが、何より先生にこの量の仕事を残すわけにはいかない。

ただでさえ体が脆いのだ、来て早々彼彼女に過労で倒れてもらっては困る。

それに先生がキヴォトスの環境に慣れるまでにはしばらくかかるだろう。

それまである程度の事は連邦生徒会が負担しなければならない。

 

(……考えることが多すぎる。もし今、この混乱に乗じて七囚人の様な脅威が現れたら……私達は対処できるのか?)

 

実際、少し前に狐坂ワカモが暴れた時は多くの被害を出してしまった。

SRTがあるとはいえ、連邦生徒会だけではあのレベルの脅威に力が及ばない。

いや、待て。SRTは連邦生徒会長が全責任を背負っていた、言わば連邦生徒会長の存在で成り立っていた組織だ。

彼女がいなくなった今、その立場はどうなる?

一時停学?それともSRT特殊学園ごと廃校なんて事態もあり得るか?

 

(書類、SRTに関する書類は……)

 

上から順になんてものは無視し、とにかく目的のものを探す。

書類をバサバサと派手に散らかし、マウスのホイールを擦り切れるのではと言うほど回す。

 

「何を探しているのですか?」

 

そんな様子を不審に思ったのか、カヤが声をかけてきた。

 

「SRTの権利、運営に関する書類を」

「ああ、それなら私の方にありますね。二人で見ますか?」

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 

金の文字で防衛室長と書かれたプレートの置いてある、広くて高価そうな机に向かう。

彼女が持っている書類を見ると、確かにSRTの文字があった。

その書類には、こう書かれている。

 

『SRT特殊学園の武力的脅威とその対処。当学園の活動に関する全責任は連邦生徒会長が負っていたが、当人が失踪した今、責任の所在が不明瞭である為、当学園を武力的脅威と見なし、当学園の廃校を提案する』

 

どうやら他の奴らは、彼女達を停学で済ませるつもりはないらしい。

二人の間に沈黙が流れる。これはそれほど最悪のパターンであり、最優先で対処すべき事案であり、残すべきではない案件だ。

 

(どうする、どうすべき?防衛室総出で反対していればある程度時間は稼げるだろう、だけどそれは所詮対処療法。最悪は『SRTの優秀な生徒が防衛の為に動かせなくなる事』。それだけは避けないといけない。特にFOX小隊だけは……)

 

「FOX小隊に接触します」

 

思考を遮る様に、カヤがそんな言葉を言う。

焦ったような口調で、せかすように。

 

「そしてこの事実を伝えます。あくまで私達は反対の立場で、FOX小隊をこちらに取り込みましょう」

「それは……SRTと個人的な関係を持つの?」

「はい。そこにどんな責任が生じようと、キヴォトスにとっての最悪を回避する事を優先するべきですから」

 

SRTを連邦生徒会長直属の公的戦力とでは無く、私兵として運用する。もしバレたら1発アウトものの案件であるが、結果バレなければさほど問題はないだろう。

 

「早ければ早いほどいいでしょう。ウツツ、スケジュールの調整を頼めますか」

「分かった。なら明日の早朝に入れておく」

「ありがとうございます。その分、貴方の仕事を少し引き受けておきますね」

 




はい、7thPV来ましたね。
そしてそして、不知火カヤの再登場。誰が予想できたでしょうか。
あ、そうですよ。諸事情と言うのはこれです。
カヤについて語る場を作りたかった、なので無理やり終わらせて語りに費やそうというわけですね。
読みたくないよって方は読まんでもいいと思いますよ、あくまでモタクの語りですから。

さて、始めましょう。
私にとって不知火カヤとは、ストーリーを読む前から好きだった、とても珍しいキャラです。いわゆる人目惚れ、私は彼女のような人間臭い奴が大好きなんですね。
基本的にブルアカのキャラは、言うのははばかられますが記号的です。倫理観が飛んでいて口調も特徴的なシロコ、最強かつけだるげで悲しいか子持ちのホシノ、アホだが周りからは勘違いされがちなアル等々……
当然そういった強い面が魅力に直結しているのはわかりますが、私にはどうしても人間ではなくキャラクターとして見えてしまい、一人の人間として好きにはなれない。要するに“推し”になってしまう。“好きな人”にはなれないんですよ彼女たちは。
ですが不知火カヤは極めて人間的、これが私のカヤすこポイント1です。
確かに彼女も記号的な面はある。典型的小物でプライドが高い、そんな記号を背負ったキャラ。ですが彼女は、自分の能力を過大評価し、だが人一倍野心を持ち、すべてが自分中心な、身分に分不相応な子供。
めちゃくちゃかわいくないですか。
カヤと他キャラの一番の違いは、現実的であるという点です。
あいや、現実の若者がクーデターしてるとかいう話ではなくてね。
自分の身の丈以上のことを求められ、何者かになることを渇望する。その結果空回りしてしまい、間違った選択をしてしまう。規模は違えど、現実の若者によくあることです。
そして不知火カヤ、もう一つの劇推しポイントは……!
自分の正義があること、です。
彼女の行動は一見、野心ゆえのように思えますが、まあ野心ゆえでもあるんですが。一番はキヴォトスのためだと思っています。
連邦生徒会長の失踪で巻き起こった混乱、それの解決のために彼女は奔走していました。
本当に立場が欲しかっただけなら、仕事をさぼったり他に回したりすればよかった。なのにも関わらず、話の通じない真っ赤っか学園に呆れながらも熱心にかかわったり、先生の行動の責任を取るとまで言ったり、あんな小物ヴィランにしてはものすごく仕事熱心ですよね。
言うなれば覚悟決まりきってないヴァレンタイン大統領みたいな人物なんですよ。
防衛室長の立場よりも連邦生徒会長の方が大変だなんてわかりきっているはずです。それでもその席に座った。
「我が心と行動にほとんど曇りなし、大半が正義だ!」と言ったようなキャラクター像。
子供らしく、大人びてもいる。私はそんな彼女が大好きです。

さて、長くなってきましたしそろそろ区切りましょう。
最後に、カヤ再登場で発狂しながら描いたイラストを載せておきます。


【挿絵表示】


さて、いつかの次回更新でまた。
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