ウマ娘プリティーダービー 4th season 妄想プロット   作:サンデー狂

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25R 明けない夜はない

アバンパート

 

 

ホテルのラウンジの一角

 

一足早くカンヅメから解放されたおハナは北原に紹介された中央資格を持つトレーナーと面談をしていた。

 

おハナ「あなたが北原さんが紹介したトレーナーですね。クリスティーナさん」

 

クリスティーナは落ち着いた笑顔で頷いた。

 

クリスティーナ「はい、私はイクイノックスというウマ娘の個人トレーナーとして雇われております」

 

おハナ「彼女を一度見せてもらいたいのだけど?」

 

クリスティーナはタブレットを操作し、イクイノックスの練習映像を流した。

 

白黒のリボンが印象的な、青鹿毛のウマ娘の軽やかな走りが映し出される。

 

おハナは映像をじっと見つめ、目を細めた。

 

おハナ「いい走りね。来年から入れるのよね?リギルの入部テストも問題ないわね」

 

クリスティーナは少し微笑みながら、提案した。

 

クリスティーナ「新興勢力にスカウトされてもいいですか?おドウちゃんと一緒にスピカに入られちゃってもいいですか?」

 

おハナの表情が一瞬、固まった。

 

おハナ「ううっ!!(確かに新興勢力のスカウトで有力ウマ娘が取られている……。でも、スカウトは私の信念に反する。貫いてチャンスを逃すか、信念を曲げて勝利を掴むか……)」

 

おハナは拳を軽く握り、複雑な表情で映像を見つめ続けた。

 

 

Aパート

 

カンヅメ状態が続いて数週間目。

 

ルドルフはホテルの一室で、大量の書類とパソコンに囲まれていた。

 

夕方の見張り担当はトウカイテイオー。

 

テイオーはドアの前に置いた椅子に座り、複雑な表情を浮かべていた。

 

ルドルフが書類から顔を上げ、静かに言った。

 

ルドルフ「ふ……エースに言われたよ。お前は自分を超えるものを許さないウマ娘だってな」

 

テイオーは少し目を伏せ、苦い笑みを浮かべた。

 

テイオー「キタちゃんがトゥインクルで現役だった頃……、カイチョーの夢を見たって聞いたよ。カイチョーがキタちゃんにタックルかまして、大怪我させた夢だって……」

 

ルドルフは自嘲するように小さく笑った。

 

ルドルフ「そうか……『ルドルフの呪い』というのも、間違ってないな」

 

テイオーは椅子から立ち上がり、ドアのガラス越しにルドルフを真っ直ぐに見つめた。

 

その瞳には、憧れと失望が混じり合っていた。

 

テイオー「カイチョーはコーチとしても一流だったよ。でも、無敗三冠をクラシック・ティアラ両方達成させるために、新興勢力に勝つために、生徒会の仕事をエアグルーヴさんに押し付けたのは……間違ってるよ。ボクが憧れていたカイチョーは、そんなウマ娘じゃなかった……」

 

ルドルフは一瞬、目を細めた。

 

書類を持つ手が、わずかに止まる。

 

ルドルフ「ジャパンカップで拒絶された時、私はショックを受けたよ。マルゼンスキーたちに連行された時、屈辱を感じた。でも……無敗三冠がクラシック・ティアラ両方で生まれて、世の中に希望をもたらすことができた。オルフェーヴルが震災後の日本に希望をもたらしたようにな……」

 

テイオーは首を横に振った。

 

テイオー「それを言うなら、ヴィクトワールピサがドバイワールドカップで優勝したのも震災直後だし、アイちゃんのG1九勝、URA-G1八勝も……ジンクスを崩して『不可能はない』って証明したよ。カイチョーがいなくても、光は生まれるんだ……」

 

その時、廊下の奥から元気な声が響いた。

 

赤園(ライアンのトレーナー)「テイオーくぅぅぅぅん!!!!交代だよぉぉぉぉぉ!!!」

 

テイオーはルドルフに向かって、静かに頭を下げた。

 

テイオー「わかりました。カイチョー、ボクが憧れたカイチョーに……戻ってね」

 

ルドルフは小さく呟いた。

 

ルドルフ「……憧れか」

 

 

 

 

一方のその頃 新興勢力の部室にて

 

部室の照明がやや暗く、いつもの活気とは少し違う重い空気が漂っていた。

 

四天王と呼ばれる面々が集まり、静かな話し合いが続いていた。

 

オルフェーヴルが、突然の報告に目を鋭くした。

 

オル「何!?ピサ、貴様四天王を辞めるというのか!?」

 

ヴィクトワールピサは穏やかな天使のような笑みを浮かべながら、静かに頷いた。

 

ピサ「はい。今では私よりもグランちゃんに任せようと思います。彼女はすでにマイル路線で頭角を現し、安田記念ではアーモンドアイさんを完封しました。私より若く、勢いがあります」

 

ブエナビスタが少し心配そうに言った。

 

ブエナビスタ「確かにあの子はピサさんよりG1を勝ってますが……四天王のバランスが崩れるんじゃないかしら?」

 

ジェンティルドンナ(ドンちゃん)は腕を組み、微笑んだ。

 

ドンちゃん「ここも世代交代かしらね。ドゥラメンテさんも候補でしたけど、トレーナーの道に進むようですし」

 

ピサは優しく微笑みながら、続けた。

 

ピサ「あのアーモンドアイさんを安田記念で完封した走り……、そこも評価しました。グランちゃんはまだ若い。彼女が新興勢力の新しい象徴になるべきです」

 

ドンちゃんは肩をすくめ、軽く息を吐いた。

 

ドンちゃん「わかったわ。トレーナーと相談するわ」

 

オルフェーヴルは不満げに腕を組んだまま、ぼそりと呟いた。

 

オル「どうなるか分からんがな……」

 

ブエナビスタは穏やかな瞳を伏せ、心の中で祈るように思った。

 

ブエナビスタ(穏便に済みますように……、新興勢力の結束が、この世代交代で壊れませんように……)

 

部室に、静かな緊張と、新しい時代の予感が混じり合った空気が流れた。

 

 

Bパート

 

有馬記念、優勝はクロノジェネシス、ラッキーライラックは4着、ラヴズオンリーユーは10着、カレンブーケドールは5着、キセキは12着だった。

 

 

スピカ部室

 

レース終了後、部室は静かな悲喜こもごもの空気に包まれていた。

 

ラヴズオンリーユーは、遊びに来ていたマルシュロレーヌの胸(B90)に顔を埋めて、大声で泣きじゃくっていた。

 

ラヴ「うわ〜〜〜!!!!!また……負けちゃった……」

 

マルは困った顔をしながらも、ラヴの頭を優しく撫でた。

 

マル「ラ、ラヴちゃん……」

 

アイはラヴの背中を優しく撫でながら、静かに言った。

 

アイ「ラヴちゃん、悔しさはわたしも同じよ。でも……今年はまだ終わっていない。あなたの光は、きっとこれからもっと輝くわ」

 

(ラヴ・心の声)(……10着。オークス優勝の無敗記録も、遠い過去みたい。マルちゃんはダートで重賞を勝ってるのに、私は……。このままじゃ、ただの「アイさんの後輩」で終わってしまう……。でも、諦めたくない。明けない夜はないはず……!)

 

 

リギル部室

 

一方、リギル部室ではラッキーライラックが、静かにレースの振り返りをしていた。

 

ララ「4着、展開が異なるとはいえ、アイさんよりは上やった。悔しさはある。でも、衰えも感じとる……」

 

ララ(でも、最近のコントレイルやタクトさんは穏やかになっとる。まるでアイさんが嫉妬を引き裂いたみたいや……。ウチも、あの光に触れて……、もう一度、自分の道を見つめ直さなあかんのかもしれへん。)

 

ララは静かに決意を口にした。

 

ララ「アイさんはどう出るかわからへんけど、ウチはドリームトロフィーに移籍や。まずはオルフェさんに追いつくことや」

 

部室に、静かな決意の空気が流れた。

 

 

有馬記念の翌日 スピカ部室

 

ジャパンカップからほぼ一ヶ月遅れの、アイの引退パーティーが部室で感染症対策を徹底して行われた。

 

それでも、テーブルには手作りの料理が並び、簡素ながらも温かい飾りつけが施されていた。

 

手書きの「G1九勝おめでとう!」の垂れ幕が、静かに揺れている。

 

ラヴズオンリーユーが、グラスを高く掲げ、明るい笑顔で言った。

 

ラヴ「アイさん、G1九勝での引退おめでとうございます!九冠の女王として、ターフに最高の別れを告げてくれて……本当に、ありがとう!」

 

アイは少し照れくさそうに微笑みながら、グラスを合わせた。

 

アイ「ラヴちゃん、無理しなくていいのよ。あなたも今年は大変だったのに……」

 

テイオーが軽く肩をすくめ、からかうように言った。

 

テイオー「2500も無理だったんだね」

 

ウオッカがニヤリと笑いながら、茶化すように続けた。

 

ウオッカ「ここまで範囲が狭いウマ娘もめ」

 

ダスカが即座にウオッカを睨みつけ、声を荒げた。

 

ダスカ「あんた何言ってんのよ!ラヴを傷つけないで!!あんたこそ、ドバイで鼻血ブーして前倒し引退したくせに!」

 

その時——

 

ガチャ

 

部室のドアがゆっくりと開いた。

 

そこに立っていたのは、シュヴァルグランが押す車いすに乗ったダイヤちゃんだった。

 

後ろには松葉杖をついたサトノクラウンも、ゆっくりとついてきていた。

 

3人とも、髪が短く切られている。

 

ダイヤちゃんはスペシャルウィーク並みの短いボブ、クラウンはチャームポイントのサイドテールが根元から切られ、シュヴァルはメジロライアン並みのベリーショートになっていた。

 

その姿は、家族からの厳しい罰と、反省の証だった。

 

ダイヤちゃんは車いすから少し身を乗り出し、明るい声で言った。

 

ダイヤちゃん「アイさん、引退おめでとう!!」

 

なんとか退院したダイヤちゃんが、シュヴァルが押す車いすに乗ってお祝いの言葉を届けた!!

 

クラちゃんも松葉杖をつきながら、ゆっくりと部屋に入ってきた!!

 

部室内の垂れ幕を見て、ダイヤちゃんたちは驚いた!!

 

ダイヤちゃん「こ、これって……」

 

その垂れ幕には『アーモンドアイ引退おめでとう!!』に加えて、『サトノダイヤモンド・サトノクラウン引退お疲れ様』『シュヴァルグラン引退お疲れ様』と書かれた垂れ幕もあったのだ!!

 

キタちゃんが優しく微笑みながら説明した。

 

キタちゃん「ダイヤちゃんとクラちゃんは2年遅れ、シュヴァルちゃんは1年遅れの引退パーティーだよ」

 

テイオーが少し寂しげに、でも温かく言った。

 

テイオー「あんなことがあって、引退パーティーできなかったからね……、みんなで準備して、待ってたんだ」

 

マックイーンは優雅に頭を下げた。

 

マック「2年前から準備していた垂れ幕で申し訳ございません……でも、皆様の分もちゃんと残しておりましたわ」

 

ゴルシが豪快に笑いながら、からかった。

 

ゴルシ「2年前に準備した料理はカノープスのアースの引退パーティーに回したぜ。9割の値段で売ってな」

 

マック「またそんなことを……」

 

ダイヤちゃんはふと、遠い目をした。

 

あの絶望のラストランは、サウンズオブアースにとってもラストランだったことを、改めて思い出した。

 

ダイヤちゃん(……あの有馬記念。私が6着で終わったレースは、ブラストさんの優勝でもあり、アースさんの引退レースでもあった……。私は自分の惨めさばかりで、周りを見ていなかった……本当に、愚かだった……。今、こうして皆が私の分までパーティーを準備してくれていたなんて……。胸が、痛い……でも、温かい……)

 

シュヴァルは短くなった髪を軽く触りながら、驚きと感謝を込めて呟いた。

 

シュヴァル「僕も……引退パーティーしてもらえるんだ……」

 

キタちゃんは優しく微笑んだ。

 

キタちゃん「もちろんだよ!一緒に競い合ったんだから!」

 

ダイヤちゃん「こちらをどうぞ……」

 

すると、サトノ家の使用人たちが大きな発泡スチロールを運んできた。

 

中から出てきたのは、新鮮なマグロ1匹——丸ごと1本だった。

 

ダイヤちゃん「これ、お祝いと謝罪のマグロです!!」

 

なんとダイヤちゃんは、マグロ1匹を贈ったのだ!!

 

部室が一瞬、静まり返った後——

 

笑い声が爆発した。

 

キタちゃん「ダイヤちゃん……!マグロ……!? しかも丸ごと!?」

 

アイは目を丸くしながらも、優しく微笑んだ。

 

アイ「ダイヤちゃん……ありがとう。本当に……来てくれて嬉しいわ」

 

ダイヤちゃんは少し照れくさそうに、でもはっきりと言った。

 

ダイヤちゃん「本当に……ごめんなさい。そして、ありがとう……。有馬記念で……あんなことを言って……、キタちゃんを傷つけて、スピカのみんなを遠ざけて……。短く髪を切られて、家族にこっぴどく叱られて……、やっと、自分の惨めさと向き合えたの。もう、妬まない。ちゃんと、みんなと向き合いたい……」

 

シュヴァルは短くなった髪を軽く触りながら、苦笑した。

 

シュヴァル「僕も……姉さんたちやジェンティルさんに、こっぴどく怒られたよ。髪を切られて、ようやく自分の愚かさに気づいた……。アイさん、ごめん……」

 

クラウンも松葉杖を握りしめ、目を伏せながら言った。

 

クラウン「……私も。本当に、ごめんなさい……」

 

キタちゃんは涙を浮かべながら、ダイヤちゃんの車いすに近づき、手を握った。

 

キタちゃん「ダイヤちゃん……、来てくれて、ありがとう。あたしも……もっと早く気づけていたら……。もう大丈夫だよ。みんなで、また一緒に笑おうね」

 

部室に、涙と笑顔が混じり合った温かい空気が満ちた。

 

マグロ1匹を囲みながら、スピカのメンバーたちは、ようやく、失われた光を取り戻し始めていた。

 

ダイヤちゃんは車いすから少し身を乗り出し、シュヴァルグランの手をそっと握った。

 

短くなったボブヘアが、柔らかい照明に照らされて静かに揺れた。

 

ダイヤちゃん「罰として髪を切られました。でも……これを新たなスタートとします!!もう、黒い石ころのままでいたくない。ちゃんと、光を取り戻したい……」

 

クラウンは松葉杖を握りしめ、切られたサイドテールを指でそっと撫でながら、目を伏せた。

 

短くなった髪が、彼女の悔しさを物語っていた。

 

クラウン「……これも、アイさんを、スピカを妬んだ報い。ピークアウトを受け入れられなかった私たちの姿……。最後の1年、私はただ惨めで、悔しくて……、他者の輝きを、ただ憎むだけのガラクタになっていたわ……」

 

キタちゃんが、心配そうに三人を見つめた。

 

その瞳には、優しさと、わずかな痛みが混じっていた。

 

キタちゃん「シュヴァルちゃん……クラウンちゃん……ダイヤちゃん……」

 

ダイヤちゃんは再びシュヴァルの手を握り、静かに頷いた。

 

声は震えていたが、確かに前を向いていた。

 

ダイヤちゃん「三人とも……家族にこっぴどく怒られて、初めて自分のしたことがどれだけ愚かだったか、痛いほどわかったの……。だからこそ、スピカのみんなにちゃんと謝りたくて……ここに来たの」

 

シュヴァルは短くなった髪を軽く触りながら、苦笑を浮かべた。

 

シュヴァル「でもこれだけは信じて欲しい。スピカへの直接的な妨害はしていない。リスグラシューさんにオーストラリアの滞在先としてサトノ系列のホテルを勧めただけだよ」

 

ダイヤちゃんも、静かに付け加えた。

 

ダイヤちゃん「私も彼女の走りは有馬を狙えそうだったから、アイさんが出ようが出まいが年度代表ウマ娘を狙えそうだったのよ……」

 

クラウンは小さく頷いた。

 

クラウン「でも、リスグラシューさんは予想以上に強かったわ……。あの走りは、私たちの想像以上だった……」

 

アイは穏やかに微笑みながら、静かに言った。

 

アイ「確かに、彼女のスタイルは東京よりも中山の方が合ってたわ。……でも、それもレースよ。みんな、よく頑張ったね」

 

部室に、再び温かい拍手のような空気が満ちた。

 

3人の短い髪は、ただの罰ではなく、彼女らが自分の過ちと真正面から向き合おうとする証のように見えた。

 

ウオッカが、場を和ませるようにからかった。

 

ウオッカ「シュヴァル、お前の髪の毛短くなってルーラーシップと区別つきやすくなったぜ」

 

ダスカが即座にウオッカの脇腹を軽く肘で突いた。

 

ダスカ「確かに似てたわよね……って、からかうんじゃないのよ!」

 

部室に、温かく、優しい笑い声が広がった。

 

短く切られた髪、松葉杖、車いす——

 

それでも、3人はここにいる。

 

謝罪し、受け入れられ、少しずつ、光を取り戻そうとしている。

 

キタちゃんはダイヤちゃんの手を握り、涙を浮かべながら微笑んだ。

 

キタちゃん「ダイヤちゃん……みんな……ようこそ、戻ってきてくれて……これからは、また一緒に……笑おうね」

 

ダイヤちゃんは短くなった髪をそっと触りながら、初めて心から笑った。

 

ダイヤちゃん「……ええ。ありがとう、キタちゃん。みんな……」

 

マグロ1匹を囲みながら、スピカの部室は、失われた光を、静かに、取り戻し始めていた。

 

引退パーティーは、予想外のサプライズで、より特別なものになった。

 

マグロ1匹がテーブルの中央にドンッと置かれた瞬間、部室の空気が一気に賑やかになった。

 

アイ「アイ、マグロ捌きます!!」

 

ラヴ「ラヴズオンリーユー、解体動画を発信します!!」

 

アイは慣れた手つきで包丁を手に取り、マグロを鮮やかに捌き始めた。

 

ラヴはスマホを構え、リアルタイム配信をスタートさせた。

 

マグロは寿司、ネギトロ、ステーキと色々調理された。

 

頭や尻尾も美味しく調理された。量もウマ娘的にはまだ少ない部類だった。

 

 

パーティーは進んでいき……

 

ラヴ「さあ、ここでゲストのマルちゃんの登場よ!!」

 

マルちゃん(パペットちゃんを介して)『さあみんな、楽しいパペットちゃんのショーが始まるよ!!』

 

アイ「わたしもやるわよ!!」

 

ダイヤちゃんは車いすから身を乗り出し、目を輝かせた。

 

ダイヤちゃん「わたしもやりたいです!ジャーニーさん、チケゾーさんも!」

 

ダイヤちゃんが自身を模したパペットを用意し、ドリームジャーニーとチケゾーを呼んだ!

 

ドリジャ「ダイヤさんも意外と人使い荒いですね」

 

そう言いつつも、ドリジャとチケゾーは笑いながらパペットショーに参加した。

 

部室はマグロの解体、配信、パペットショー、笑い声で溢れ、引退パーティーは予想外の賑やかさと温かさに包まれた。

 

アイはマグロを捌きながら、静かに微笑んだ。

 

アイ(……みんな、ありがとう。こんな温かい引退パーティー、わたしはきっと、一生忘れない)

 

テイオー「クラちゃん、リハビリ手伝おうか?」

 

マック「ならわたくしはダイヤさんのリハビリを手伝いますわ。わたくしもテイオーも骨折したことがありますし」

 

ダイヤちゃん「マックイーンさん、ありがとうございます。アイさんに負けて憎しみに飲まれて、体だけじゃなくて心もボロボロになってしまった。この機会に、わたし、ちゃんとアイさんと向かい合う!!」

 

部屋に、静かな驚きが広がった。

 

アイは一瞬、言葉を失ったが、すぐに優しい微笑みを浮かべた。

 

アイ「ダイヤちゃん……」

 

ダイヤちゃんは小さく頷き、涙を浮かべながらも力強く微笑んだ。

 

ダイヤちゃん「ええ。もう、逃げたり妬んだりする自分とは、ちゃんと向き合いたい。来年は全休だからレースには出れないけど、リハビリしながらスピカの皆さんを支えて、一緒に……、新しい輝きを見つけたいの」

 

キタちゃんは涙を拭いながら、ダイヤちゃんの手を強く握った。

 

キタちゃん「ダイヤちゃん……リハビリ頑張ろうね!一緒に、たくさん思い出作ろうね!」

 

ダイヤちゃん「あと、スピカの本当の強さを知りたいの!」

 

スペ「スピカの本当の強さ?」

 

ダイヤちゃん「体験入部した時は私相性が悪いと思いました。でも、スピカの皆さんの結束力がキタちゃん、ウオッカさんのG1七勝、アイさんのG1九勝を産んだのだと思います!!スピカで得られた秘密をカペラにも活かしたいです!!」

 

キタちゃん「ダイヤちゃん……」

 

トレーナー「出稽古みたいなものか。」

 

ラヴ「ダイヤちゃん、あなたの決意を配信するわよ!大丈夫?」

 

ダイヤちゃん「ええ、大丈夫です!」

 

部室に、温かく、優しい拍手のような空気が満ちた。

 

 

ラヴ「みんな、こんばんは!ラヴズオンリーユーです。アイさんの引退パーティーも終盤ですが、今日は特別なサプライズをお届けします。サトノダイヤモンドちゃん、サトノクラウンちゃんの……遅くなったトゥインクルシリーズ引退と、ドリームトロフィーシリーズ復帰を祝うライブ開催の予告です!」

 

コメントが一気に流れ始めた。

 

コメント欄

 

「ラヴちゃんのチャンネルでサトノ家のウマ娘の会見?」

 

「ダイヤちゃん……本当に大丈夫?」

 

「クラウンちゃんも……遅くなったけどお疲れ様」

 

「短い髪……泣ける」

 

「スピカの皆さん、ありがとう」

 

ダイヤちゃんは車いすの上で姿勢を正し、短くなったボブヘアをそっと触った。

 

深く息を吸い、カメラに向かって静かに語り始めた。

 

ダイヤちゃん「ファンの皆さん、サトノダイヤモンドです。凱旋門賞以降、私は精神面を病んでしまい、ジャパンカップでアーモンドアイさんに完敗、ラストランの有馬でも惨敗して、キタサンブラックさん、スピカとの関係が最悪になってしまいました。その間、私たちはスピカのメンバーを妬んでしまいました……」

 

ダイヤちゃん(……今、ちゃんと話せる。あの頃の私は、ただの黒い石ころだった。新世代の突き上げが、凄まじかった……、菊花賞のキセキさん、トリプルティアラのアーモンドアイさん、有馬記念優勝のブラストワンピースさん、彼らの輝きが、私の心を容赦なく抉った。私が惨めに落ちていく横で、若い世代が輝きを得ていく……その光景が、私の絶望を、底なしの闇に変えた。キタちゃんの綺麗な引退、アイさんのトリプルティアラにジャパンカップの大レコード……全部が、新世代の衝撃と共に、私を石ころに変えた……)

 

ダイヤちゃんの声が、少し震えた。

 

ダイヤちゃん「新世代の突き上げ、アーモンドアイさんの力に私たちは絶望してしまい、キタサンブラックさんとも決別してしまう羽目になってしまいました。キタサンブラックさんの引退式のような大規模ステージではありませんが、ラヴズオンリーユーさんのチャンネルでのライブをお楽しみください……。本当に、ごめんなさい。皆さんが応援してくれたのに、私はただ、妬んで、壊れて……惨めなまま、走り続けてしまいました。でも、今は……スピカのみんなに支えられて、少しずつ、前を向けるようになりました。来年は全休ですが、回復したら、ちゃんと走ります。皆さんに、もう一度、笑顔を届けたいです……」

 

クラウンも、松葉杖を握りしめながら、静かに言葉を継いだ。

 

クラウン「私たち、その間に体を壊してしまったため、来年は全休となりました。回復したら、このチャンネルで遅れた引退ライブを行うつもりです。……本当に、皆さんには心配と迷惑をかけました。短くなった髪も、罰として受け入れました。これからは、ちゃんと強くなって……新しい輝きを見せられるように、頑張ります。」

 

クラウン(……新世代の光が、痛かった。アーモンドアイさんの輝きが、私の心を、容赦なく踏みつけた……。私はただ、惨めに耐えるしかなかった……。短く切られたこの髪……今は、罰じゃなくて、新しい私への、最初の贈り物……。皆さんに、ちゃんと謝れて……少し、胸が軽くなった……)

 

ラヴが、優しく二人の肩に手を置いた。

 

ラヴ「ダイヤちゃん、クラウンちゃん……みんな、待ってるよ。このチャンネルで、二人の新しいスタートを、一緒に祝福しましょう!」

 

コメント欄が一気に溢れた。

 

コメント欄

 

「ダイヤちゃん……お疲れ様」

 

「クラウンちゃんも……ずっと応援してる」

 

「新世代の衝撃、わかる……。オペラオーとドトウもポッケらの台頭で引退したし」

 

「短い髪、似合ってるよ」

 

「スピカの皆さん、ありがとう」

 

「涙が止まらない……」

 

キタちゃんが、涙を浮かべながらダイヤちゃんの手を握った。

 

キタちゃん「ダイヤちゃん……よく、言えたね。あたしも、ずっと待ってるよ」

 

アイは静かに微笑んだ。

 

アイ「私も……ダイヤちゃんたちの新しい一歩を、ちゃんと見守るわ」

 

部室に、温かい拍手のような拍手が響いた。

 

短くなった髪の二人は、ファンの皆さんと、スピカの仲間たちに囲まれ、静かに、新しい朝を迎えようとしていた。

 

 

ダイヤちゃんの決意は、スピカの仲間たちに、新たな光を静かに灯していた。

 

 

パーティーの笑い声が少しずつ落ち着き始めた頃、ラヴズオンリーユーは部室の隅で静かにスマホを握りしめていた。

 

画面には、自分の走りの記録と、今年の成績が淡々と並んでいる。

 

ラヴ(スピカのメンバーでトゥインクルシリーズで現役なのはわたしだけ……。それなのに、今年の勝利は無し……。本当にどうすればいいの……?)

 

ラヴは小さく息を吐き、スマホを胸に抱き寄せた。

 

部室の賑やかさが、逆に自分の孤独を際立たせている気がした。

 

この時の彼女は知らなかった。

 

暗く沈んだ心に、愛に満ちた太陽が昇りつつあることに。

 

 

トレーナーの豆知識 東京大賞典

 

トレーナー「よう、スピカのトレーナーだ。今回は東京大賞典について説明するぞ!!東京大賞典は大井レース場で毎年12/29に開催される重賞ダートレースで、一年の最後に行われる国際G1レースだ。スマートファルコンが勝った年にローカルシリーズ唯一の国際G1レースに認定された。イナリワンが中央移籍した頃は2800メートルでオープン扱いだったぞ!!」

 

イナリ「もし当時から国際G1扱いだったらオグリと並んでいたぜ!!」

 

 

次回予告

 

クラウン「新たな年の始まりに絶望を乗り越えたダイヤも自分を見つめ直そうとする。その後年度代表ウマ娘の発表があるわ。次回、最終回、君は完璧で九冠のアイドル!!絶対面白いわよ!!」

 




話の内容がだいぶ長くなりました

次回予告はクラちゃんが担当、中華一番!風です。
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