ウマ娘プリティーダービー 4th season 妄想プロット 作:サンデー狂
3月 スピカ部室
春の気配がわずかに感じられる頃、部室ではキタサンブラックとアーモンドアイの誕生日を祝うささやかなパーティーが開かれていた。
キタちゃんがケーキを切り分けながら、ふと呟いた。
キタちゃん「ダイヤちゃん……今頃、クラちゃんの誕生日を祝ってるんだろうな……」
テイオーが心配そうに彼女を見た。
テイオー「キタちゃん……」
マックが静かに情報を補足した。
マック「ヴィブロスさんから聞きました。シュヴァルさんも今、クラウンさんの誕生日を祝っているようですわ」
ゴルシが腕を組み、低い声で続けた。
ゴルシ「ドンちゃん(ジェンティルドンナ)経由で聞いたけど、ダイヤの誕生日にシュヴァルが呼ばれたらしいな」
ウオッカが短く吐き捨てるように言った。
ウオッカ「キタサン、孤立してるな……」
ダスカが隣で頷いた。
ダスカ「誕生日プレゼントはカペラのトレーナーに預けたのよね。結局、ダイヤには受け取ってもらえなかったまま……」
スペが少し寂しそうに笑った。
スペ「お母ちゃんから送ってもらった北海道ジビエカレーの缶詰は日持ちするからいいけど……」
マックが優雅に、しかしどこか自嘲気味に続けた。
マック「わたくしの行きつけの店のスイーツ食べ放題のタダ券も無駄になりましたので、自分で使いましたわ」
ゴルシが即座に反応した。
ゴルシ「またふt——」
マックが冷たく目を細めた。
マック「タヒにたいのですの?」
部室に、誕生日の華やかさと、埋めようのない孤独が同時に漂っていた。
アイが静かにケーキの皿を置いた。
アイ「キタちゃん……、みんな……、ダイヤちゃんは今、本当に苦しんでるんだね。わたしも……何かできることあるかな」
キタちゃんは首を横に振った。
目にはまた涙が浮かんでいる。
キタちゃん「今は……近づかない方がいいって、ドゥラちゃんにも言われ
た。あたしが近づけば近づくほど、ダイヤちゃんの傷をえぐっちゃうみたいで……。でも、誕生日くらい……祝いたかったよ……」
ゴルシが珍しく静かな声で言った。
ゴルシ「キタサン……お前、笑ってる顔が一番辛そうだぜ」
キタちゃんは無理に笑顔を作ったが、その笑顔はすぐに崩れた。
キタちゃん「……ごめんね、アイさん。せっかくの誕生日なのに……、あたし、みんなに暗い話ばっかりしちゃって……」
部室に、誕生日の甘い香りと、埋めようのない寂しさが同時に漂っていた。
ケーキのキャンドルの炎が、静かに揺れている。
アイはキタちゃんの手に、そっと自分の手を重ねた。
アイ「……ううん。キタちゃんがそう思うのは、当たり前だよ。わたしたちも……一緒に、待ってるから」
冬の終わりの冷たい風が窓を叩き、華やかなはずの誕生日は、まだ消えぬ影に寄り添われていた。
部室の空気が少し和らいだ頃、トレーナーは腕を組み、静かに考え込んでいた。
トレーナー(……会長からアイの凱旋門賞出走を勧められた。『時代の変わり目の象徴として、フランスの大舞台で輝け』と。だが、ダイヤの成績低迷を見るにつけ、慎重にならざるを得ない。凱旋門賞後に崩れたダイヤのように、アイも体質的に脆い部分がある。移動のダメージ、環境適応、発熱しやすい体質……。ここで無理をさせれば、せっかくの輝きを自ら潰すことになる。まずはドバイターフで海外の感触を試し、様子を見るべきだ。安田記念、そして秋の東京戦線。ルドルフの壁を超えるための道は、焦らず、確実に築いていく)
その後、アイはドバイターフ(G1・1800m)への出走を決めた。
史実2019年3月15日、ドバイターフのミーティングが行われた。
トレーナーが資料を広げ、皆に説明する。
トレーナー「ドバイターフは1800メートルだが、トゥインクルシリーズにおいてはマイルに分類される距離だ。日本の出走メンバーに一つ上の世代の秋華賞ウマ娘ディアドラ、シュヴァルの妹で宝塚記念でダイヤに先着して掲示板に載ったヴィブロスが出走するぞ。特にヴィブロスは今回がラストランだ」
キタちゃんが少し心配そうに補足した。
キタちゃん「シュヴァルちゃんもドバイシーマクラシック(G1・2410m)に出走するみたいだよ」
トレーナーが海外勢の分析を続ける。
トレーナー「海外ウマ娘の有力どころは、イギリスG1セントジェームズパレスステークス(クラシック路線限定戦・約1603m)覇者ウィズアウトパロール、9日に同コースで行われたジェベルハッタ(G1・1800m)を制したドリームキャッスルと2着のウートンのチームゴドルフィン組、南アフリカG1デイリーニューズ2000覇者ユーロンプリンセス(モデル:ユーロンプリンス)だ」
アイは目を輝かせた。
アイ「ジャパンカップ以外で海外ウマ娘と戦うなんて、興奮するわ!!」
ダスカが腕を組み、厳しく釘を刺した。
ダスカ「甘いわよアイ。ヴィブロスは海外レースでは完全連対してるわよ」
ウオッカが頷く。
ウオッカ「海外移動に耐性があるってことか」
スズカが自身の経験を振り返った。
スズカ「私も香港に遠征したことあるけど、5着だったわ」
トレーナーがダスカに目を向けた。
トレーナー「スカーレット、アイの安定性を上げておけよ」
トレーナー(……スカーレットの安定感を叩き込んでおけば、少なくとも発熱のリスクは抑えられる。ドバイで結果を出し、凱旋門賞は冷静に判断する)
光が強すぎれば、影も深くなる——
そのことを、忘れてはいけない。
春の陽射しが部室に差し込み、世界への挑戦が、静かに、しかし確実に動き始めていた。
成田空港 選手団見送り
春の陽射しが差し込む成田空港の出発ロビー。
ドバイターフへ向かう選手団の見送りに、スピカの面々が集まっていた。
キタちゃんが手を振った。
キタちゃん「アイさん、頑張ってね!!」
ウオッカが腕を組み、低く声をかけた。
ウオッカ「俺が取れなかったドバイのタイトル、頼んだぞ!!」
キタちゃんはさらに、近くにいたシュヴァルグランとヴィブロスにも声をかけた。
キタちゃん「シュヴァルちゃんやヴィブちゃんも頑張ってね!!」
ヴィブロスが明るく応じた。
ヴィブ「もち!!」
しかしシュヴァルは、視線を合わせることなく、ただ静かに無視した。
シュヴァル(……キタサン。お前のチームの新メンバーのアーモンドアイが僕のジャパンカップの栄光を塗り潰された。声をかけられても、もう笑顔で返せる自分じゃない。今はただ、ダイヤさんやクラウンさんと一緒に、この惨めさを抱えて走ることしかできないんだ)
キタちゃん「シュヴァルちゃん……」
そのとき、少し離れた場所からサトノダイヤモンドの声がした。
ダイヤ「シュヴァルさん、頑張ってね。ヴィブロスさん、アーモンドアイに負けないでください」
キタちゃんは一瞬、息を飲んだ。
キタちゃん「ダイヤちゃん……」
ゴルシがスマホを掲げ、得意げに割り込んだ。
ゴルシ「おおっ!!ナカヤマ(ナカヤマフェスタ)から教えてもらったイギリスのブックメーカーサイトでドバイターフのオッズ見たんだけどよ、やっぱりアイは2.25倍でほぼ一強だぜ!!」
マックが冷ややかに釘を刺した。
マック「賭けてませんわよね」
テイオーが慌ててフォローする。
テイオー「参考でしょ?」
空港の喧騒の中で、光と影が静かに交差していた。
見送りの笑顔と、無視された視線と、冷たい声援が、同時に春の空気に溶けていった。
アイはみんなに笑顔を向け、最後にキタちゃんを優しく抱きしめた。
アイ「キタちゃん……心配しないで。わたし、ちゃんと帰ってくるから。ダイヤちゃんのことも……少しずつ、時間が解決してくれるといいね」
キタちゃんはぎゅっとアイを抱き返し、小さく頷いた。
目尻にわずかな涙が光っている。
キタちゃん「……うん。アイさん、行ってらっしゃい」
抱きしめる力が少し強くなる。
空港の喧騒が遠のき、二人の間にだけ静かな時間が流れた。
アイはゆっくりと体を離し、皆に手を振った。
アイ「みんな、待ってて。ドバイで……ちゃんと結果を出してくるから」
搭乗口へ向かう背中を、スピカの面々が静かに見送った。
春の陽射しが、旅立つ少女の白いカチューシャを優しく照らしていた。
ドバイ 到着後
メイダンレース場近くのホテル。
到着したばかりのアイのもとに、地元テレビ局の取材陣が押し寄せてきた。
カメラとマイクが取り囲む中、アイは少し戸惑いながらも笑顔を保った。
アイ「やっぱり……注目されてるわね」
トレーナーが間に入り、テレビ局のスタッフに向かってきっぱりと言った。
トレーナー「過剰にやるなよ!オグリキャップも過剰取材で体調崩したんだからな!!」
スタッフたちは少し引いた顔をしつつも、取材を続けようとする。
トレーナーは腕を組み、厳しく監視する姿勢を崩さなかった。
トレーナー(……オグリの頃と同じ轍を踏むわけにはいかない。アイは体質的に脆い部分がある。移動の疲れも残っているはずだ。ここで無理をさせれば、レース前に崩れる。慎重に、慎重に……)
アイはトレーナーの後ろ姿を見て、小さく息を吐いた。
アイ(……オグリキャップさんの話、聞いたことがある。過剰な注目が、かえって負担になることもあるんだ……。わたしは、ちゃんと自分のペースを守らないと)
ドバイの強い陽射しが窓から差し込み、世界の注目と、慎重な守りが、静かに交差していた。
ドバイターフ 本番
メイダンレース場
ドバイターフのゲートが開いた。
アイは上手くスタートを決めたが、無理に前へは行かず、中団に控える形をとった。
逃げるウマ娘を、ウートン、ヴィブロス、ディアドラが追走する。
直線に入ると、ヴィブロスが必死に伸びを試みる。
ヴィブロス「の、伸びない……!」
その後方から、白いカチューシャの影が静かに、しかし確実に迫ってきた。
アイ「行くわよ!!」
領域を使うことなく、アイは難なく先頭に立った。
末脚が炸裂し、他のウマ娘を一気に置き去りにする。
実況「アーモンドアイ!!アーモンドアイG1五連勝!!アーモンドアイ、世界デビュー戦を堂々とドバイターフ制しました!!」
ゴール板をくぐった瞬間、スタンドがどよめいた。
ヴィブロスはラストランで勝てなかったものの、海外レースで連対を果たすことはできた。
彼女は静かに、しかし誇らしげに頭を下げた。
アイは息を整えながら、満足げに微笑んだ。
アイ「これで90点のパフォーマンスですね。(領域を使えば100点だけどね)」
トレーナーは腕を組み、静かに頷いた。
トレーナー(……ろっぺいさんから聞いたが、領域を無理に使わずに全力で勝てるようになれるのが一流のウマ娘だ。意図的にオフできれば、体への負担も減る。アイは、確実に次の段階へ進み始めている)
ドバイの夜空の下、世界のアーモンドアイが、静かに、しかし圧倒的に輝いていた。
日本・スピカ部室(同時刻・テレビ観戦)
深夜のトレセン学園
時差を考慮して、出走メンバーがいるチームには部室での観戦許可が降りていた。
スピカの面々は、大画面の前に固唾を飲んで集まっていた。
ゴールの瞬間。
キタちゃんが、思わず声を上げた。
キタちゃん「アイさん……勝った……!」
テイオーが立ち上がって拳を突き上げる。
テイオー「すごいよ! スピカ初の海外タイトルだよ!」
マックが優雅に、しかし感慨深げに頷いた。
マック「本当に素晴らしい走りですわ……。ヴィブロスさんもラストランだったのに……」
ウオッカが腕を組み、低く満足げに呟いた。
ウオッカ「俺が取れなかったドバイのタイトル……ちゃんと獲ってくれたな」
ゴルシが得意げに胸を張った。
ゴルシ「ゴルシちゃんの特訓の成果だぜ!!」
スペが目を潤ませながら微笑んだ。
スペ「アイちゃん、かっこよかった……!」
ラヴ「わたしもいつか、海外レースで輝きたいわ」
しかし、キタちゃんだけは笑顔の裏で、少し複雑な表情を浮かべていた。
キタちゃん(……アイさん、本当に強い。世界の舞台で勝てるなんて……。
あたしが引退した後に、こんな怪物が出てくるなんて……。ダイヤちゃんがこのレースを見ていたら……、また、心が痛むんじゃないかって……)
画面の向こうでは、ドバイの夜空の下で、二人の日本のウマ娘が輝いていた。
光のアーモンドアイと、ラストランを走り切ったヴィブロス。
部室の空気は喜びと、わずかな影が同時に漂っていた。
帰国後 成田空港 到着ロビー
ドバイの熱気をまだ体に残したまま、アイとトレーナーは日本に帰国した。
空港のロビーには、待ち受けるスピカのメンバーたちの姿があった。
深夜にも関わらず、皆が集まっていた。
キタちゃんが一番先に駆け寄り、アイを抱きしめた。
キタちゃん「アイさん、おかえりなさい!ドバイターフ優勝、おめでとう!!」
アイは少し疲れた笑顔を浮かべながらも、キタちゃんの背中を優しく叩いた。
アイ「ありがとう……領域を使わずに勝てたのは、ウオッカちゃんの特訓のおかげよ」
しかし、アイの表情はどこか晴れなかった。
勝利の余韻よりも、何か別の影が漂っている。
トレーナーが重い口を開いた。
トレーナー「……アイ、帰国後すぐに話がある。みんなも部室に来てくれ」
その声に、メンバーたちの表情が一瞬で引き締まった。
凱旋の喜びの中に、静かな緊張が混じり始めた。
スピカ部室 夜
部室の照明が柔らかく灯る中、アイはソファに腰を下ろし、皆の視線を受けていた。
ドバイの勝利の余韻がまだ残る空気の中に、重苦しい緊張が漂っていた。
トレーナーが資料を広げながら、静かに告げた。
トレーナー「会長から凱旋門賞出走を勧められているが……凱旋門賞は出るな。中止だ」
アイの目が大きく見開かれた。
アイ「凱旋門賞に出るな!?どういうことよ!?ドバイで勝ったばかりなのに……!」
トレーナーはため息をつき、資料を指で軽く叩いた。
トレーナー「お前はレースのダメージも移動時のダメージも大きい。フランスへの移動となると、ドバイ以上の時間がかかる。芝も日本やドバイとも違いすぎる。時差、気候、長いフライト、芝の質……、お前の体質を考えれば、リスクが大きすぎる」
キタちゃんが、強い口調で言葉を挟んだ。
キタちゃん「そうだよ!!ダイヤちゃんも凱旋門賞以降、成績が落ちちゃったんだから!アイさんもダイヤちゃんと同じ道を辿って欲しくないんです!!……あたしは、ダイヤちゃんがあんな風に壊れていくのを見てるのが、辛かった……アイさんには、そんな思いをしてほしくない……!」
キタちゃん(……ダイヤちゃんの凱旋門賞後の惨めさ……。あの輝きが失われていく姿を、毎日見ていた。アイさんが同じように、遠征の代償で壊れてしまうなんて……絶対に、嫌だ……!)
部室に、重い沈黙が落ちた。
勝利の余韻と、守るための決断が、静かに交差していた。
アイは唇を強く噛み、悔しそうにうつむいた。
拳が震え、目には涙が浮かんでいた。
アイ「……ううっ!せっかくドバイで自信がついたのに……。世界の頂点に挑戦したかった……」
しかし、アイはすぐに顔を上げ、トレーナーを見据えた。
その瞳には、悔しさの奥に強い意志が宿っていた。
アイ「……わかりました。でも、せめて香港は挑戦したいです!!スズカさんが挑戦したように!せめて、近いアジアのG1で……世界に近づきたい」
トレーナーは少し考え、静かに頷いた。
トレーナー「わかった。今後の予定を考えた後、記者会見を開く」
ラヴ(香港。海外朝鮮には位置的にもいいわね)
数日後の記者会見
フラッシュが焚かれる中、トレーナーがマイクの前に立った。
トレーナー「アーモンドアイを応援していただき、ありがとうございます。アーモンドアイの今後についてですが、体質面・環境適応等で問題があり、当初の計画としていた凱旋門賞は中止させていただきます。次走は安田記念とさせていただきます」
会場がざわついた。
凱旋門賞回避の報に、記者たちがざわめく。
アイは隣に座り、静かに目を伏せていたが、内心では燃えるような闘志を抑えきれずにいた。
アイ(……悔しい。でも、ダイヤちゃんの姿を見て、キタサンの言葉を聞いて……無謀に突き進むのは、違うのかもしれない。まずは香港で勝って、勝ち続けてルドルフを超える。世界への挑戦は……まだ、諦めない)
記者会見の照明が、静かに彼女の白いカチューシャを照らしていた。
ED後のCパート
オグリ「ルドルフ、何のようだ?」
ルドルフ「今年の夏、中東サウジアラビアへ視察に行って欲しい。新レースが設立されるからな。」
オグリ「なぜ私なんだ?」
ルドルフ「そのメインレースがダートレースなんだ。君はダートを走っていた。それに知名度も高いからな」
トレーナーの豆知識 ドバイワールドカップミーティング
トレーナー「よう、スピカのトレーナーだ。今回はドバイワールドカップミーティングとは何かについて解説だ。このレースはアラブ首長国連邦の王族が企画した国際レースだ。数多くのレースが行われ、世界的に注目されているレースだ。メインレースのドバイワールドカップはダートレースだ!!」
スズカ「ヴィクトワールピサがそれを初めて勝ったのよね」
次回予告
スズカ「新世代のクラシックが始まるわ!!ラヴちゃんも注目!!次回、新世代の躍動!!全員まとめて、出走!!」
次回予告は熱血最強ゴウザウラーです
追記 凱旋門賞中止をより詳しくしました