【再構成作業中】聖剣の勇者カリナ・クロスロード戦記 ―世界を救った少女は、鋼の未来でも人を救う―   作:美風慶伍

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ⅩⅡ:休息の時と、戦況の報せ ―8大国軍団、かく戦う―

 時刻は夕暮れにさしかかり空はすでに暗くなっている。それぞれに待機と一時休息を命じる。交代で夜間歩哨を立てて、万全の体制を作る。

 だが、本当に気を休めるのはもう少しかかる。

 

「アルカナヴァンガード幹部、及び、各兵科長は小休憩後に集合、今後の行動について共有します」

 

 休む日まもなく次の明朝からの行動についての説明と告知だ。

 

「全軍通達、明日朝、日の出直前に魔王城ダークフォージ本城に対して強襲制圧をかけます。各兵科長、及び大隊長は、担当部隊の行動内容と作戦目的を全隊員に確実に浸透させてください」

「了解」

 

 作戦内容の詳細な要諦は、今回の作戦行動に入る前に、何度もブリーフィングを行いそれぞれの頭に叩き込んでいる。1人1人が全てを(そら)んじているほどに記憶させている。

 

 そしてそれを的確に運用するのは、全部隊の中心となるカリナたちの役目だった。

 カリナも仲間たちと一緒にひとまず休憩をとる。

 各部隊の隊員からも順次報告が上がってくる。

 

「敵偵察部隊や警戒行動は全て把握し、接近する者は全て排除成功」

「支援魔導士部隊により、偽装結界魔法、展開完了との事です」

 

 この2つの報告にまず安堵する。

 

「敵に気取られることなく、休憩可能地点を手に入れられたのは暁光(ぎょうこう)ですね」とミリア

「はい、ここで体力回復の機会を得られたのは極めて重要です。明日の朝、一気に魔王城へと王手をかけられます」

 

 カリナも思わず笑顔が口元に浮かんだ。そこにエルリックもこれからの展開と問題点を先読みする。

 

「我々が攻撃を開始する同時に他ルートに別れた部隊や軍団が、適時に合流してくれるのが何より望ましい。問題はそれがいつなされるかだ」

 

 ソフィアが提案する。

 

「通信兵による通信魔法で連絡を取ります」

「敵に感知されないか?」

「ご心配なく、魔王軍が扱っている魔法に伴う波動周波数の偽装を行っているわ」

「抜かりないんだな」

「ふふ、無論よ」

 

 そしてカリナはソフィアの提案を承認した。

 

「敵に感知されないように十分に警戒した上で手短にお願いいたします」

「了解、通信兵と支援魔法士を一部借りてくわね」

 

 そう言って複数の魔導士を使い、ソフィアは慎重に他部隊との連絡を試みた。

 

「各部隊、状況連絡願います」

 

 シンプルにそう呼びかけて反応を静かに待つ。すると――、

 

『こちらルミナリア光国ルミナスガーダー騎士団! ブラッドレイブン要塞を攻略後、ナイトフォール砦の攻略部隊が合流し、順調に進軍を続けております』

 

 力強い声が響く、それ以外の諸軍からも、目標討伐を果たし順調に進軍中との声が聞こえた。

 

 この他――、グレインリーフ国防兵軍、モントクラウド山岳連峰軍、アクアリス国防海兵軍、ガルガンダイン騎馬騎士団、ヴァルハイト騎士団連合、エーテルノヴァ国家近衛軍――と続く。

 

 いずれも順調に進軍との声が聞こえた。だがその中で気になる情報もあった。

 

『モントクラウドより補足報告――』

 

 慎重に耳を傾けていれば驚くような情報だった。

 

『デスウィンド塔攻略後、塔頂部よりの周辺警戒により判明しましたが、敵増援部隊、進軍を阻止され戦闘状態にあることが判明しています』

『重要情報ありがとうございます。合流お待ちしています』

 

 驚きと喜びを感じながら通信を終えると、カリナは状況を判断した。

 

「つまり増援部隊の目標はデスウィンド塔だったんだわ!」

「魔導砲台を死守することが目的だったわけだ」とエルリック、

「はい。デスウィンド塔の魔導砲台が無事であれば他の拠点への援護攻撃が可能になります。そして援護攻撃が他の拠点の生存可能性を上げて、さらなる増援部隊派遣を可能にするわけです」

 

 ソフィアが思わず唸った。

 

「敵なりに緻密に考えられた作戦だったわけね」

「それをゲオルグとケラブノスさんたちが見事に阻止してくれたわけです」

 

 その言葉にエルリックは頷いていた。

 

「結果論だが、ケラブノスたちの判断と、カリナ――君の英霊派遣の決断は決して間違っていなかったわけだ」

「はい」

 

 ケラブノスたちの戦闘結果についてはまだ情報が入っていないため完全な楽観視はできないが、彼らの決断が間違っていなかったことはカリナにひとますの安心感を与えていた。

 エルリックはカリナに詫びる。

 

「あの時は反論してすまなかった」

「いえ、エルリックが対案を明示してくれたから私も理性的に判断を進めることができました」

 

 そう答えることで場の空気は暗くならずに済んだのだった。

 諸部隊が無事に戦いを進めていたことを知って、カリナはようやく表情に笑みが戻った。

 

「まずは体を休めましょう。明朝がいよいよ戦いの本命の始まりです」

 

 明日の朝にかけてカリナたちは休息をとったのである。

 

 




今回は、カリナたちだけでなく、ソルスター自由連合軍を構成する各国軍団の戦いにも触れる回でした。
多くの仲間たちが積み重ねる戦いを、引き続き見守っていただけましたら嬉しいです。
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