【急募】幼女アイズの幻覚見えてるんだけどどうしたらいい?【ロリコンではない】 作:透明な器
オラリオの夜は寒い。
特段温暖な気候と言うわけでもないけれど、寒いわけでもないが流石に夜は冷える。だが、そのなかでも働き続ける者たちもいる。
居酒屋の従業員、夜間の警備員。そんな人たちが今でも遅くまで働いている。
そして自分も、その中の一人。まあ、アルバイトだが。
「いやー、やっぱり夜は冷えるな」
そのようなことを呟きながら、店の後ろにあるゴミ出し場にゴミを出していく。初日に比べれば随分と手際が良くなったと感じる。まあ先輩たちからはダメ出しを食らってばかりだが。
そして、ゴミを出し終えて籠を抱えて店に帰る。
まだまだ店のなかでの喧騒は絶えておらず、騒ぎに騒ぎまくる冒険者たちの声が聞こえてくる。
未だ夜は半ばであり、この喧騒は暫く続いていくだろう。
さて、自分も自分の仕事をしようとキッチンに立つ。
まあ最初はホールに立っていたのだが、店の客足が途絶えると言われて裏方に回されてしまった。
見目麗しい女性たちが給仕がミソなのに、男がいたらテンションが下がるということらしい。
さすがに言われたその時は傷ついた。
まあ前世から勉強していた料理を活かせるのもここだったのもあるが。
そして、腕によりをかけて作るぞーと気合を込めて────
『いまからつくるの?』
そんな、幼くも美しい声が聞こえてきた。
「うっ!?」
そして咄嗟に呻くような声をだしてしまった。
普通なら幻聴とでも片付けるが、ことこの声に限っていえばちがった。
なぜならこれは、幻聴などではない。現実の人物の声だ。
いや、現実と言うには少し違うかもしれない。なぜなら──
「………今日も来たのか、
そこにいたのは、この迷宮都市オラリオに於いて知らぬ者は居ないとさえ言えるほどの女剣士アイズ・ヴァレンシュタイン───の子供姿だ。
世間一般に伝わっているその容姿とは違い、随分と幼い姿だが確実に面影があった。
まあここまで聞けばわかるだろうが、あり得ないことだ。
なぜならこの世界の時間軸では、アイズ・ヴァレンシュタインはすでに16歳である筈だ。
間違っても、こんな幼女の姿ではない。
だから、ここにいるのは姿を模した幽霊か───それとも俺の幻覚かだ。
まあその場合、俺がつまり幼女の幻覚を見る異常者ということになるのだが(認めがたいことに)。
『きょうもつくるの?』
「あっ、う、うん。まあそんなとこだ」
『なにつくるの?』
「今注文が入っているのはデザートだな」
『そっか』
自分の足元にいるアイズさんに、いつも通りに聞かれたことを答える。いまだにこの光景に慣れず会話の最初は少し吃ってしまうのだが、そこは許してほしい。
『あとで、たべさせてくれる?』
そうやって聞いてくるのも、いつものことだった。
それに対する返答も、決まっている。
「───ホームに帰ったらね」
そんな返答を、いつも通り続けているのだ。
まあ問題があるとすれば………。
「なに独り言言ってるんです?」
「うわぁ!?」
後ろから唐突に声を掛けられたため、驚いて飛び上がってしまう。声を掛けてきたのは、同僚の少女であるシル・フローヴァである。
「また独り言ですか?ちゃんと仕事に集中しないとミアかあさんに怒られてしまいますよ?」
「す、すいません」
どうやら怒られてしまったらしい。
まあシルさんの言うことはもっともだから、仕方のないことなのだが。
そう、問題があるとするなら、アイズさんの姿は他の人には見えていないことだ。
どうやら自分にしか見えないらしく、他の人には見えた試しがない。
つまり自分は、独り言を虚空に向かって吐きまくる変人だったわけである。最悪だ。
「あと、そろそろ仕事を再開しないとお客さんが帰っちゃうからはやくしてくださいねー」
「は、はい!わかりました」
そう言って、シルさんは給仕に戻っていった。
そして、そろそろ仕事再開しないと神より恐ろしい人にゲンコツを落とされてしまう。
気を取り直して、腕によりをかけて作ることにした。
この料理の時間は好きだ、なぜかと言えば誰かの感想が聞けるからだ。
誰かの感想は、成長を促してくれることもあるから。まあ意地の悪い感想もあるから一概には言えないが。
そしてお客さんの中には少なくとも自分の料理を楽しみにしていることも知っているので、やる気もひとしおだ。
そうして、夜の仕事を続けていく。
その間隣に立つ(推定幻覚の)アイズさんは、ずっと自分の服を掴んでいた。
─────────────────────
「はー、疲れたー……」
明かりの少し灯る道を歩きながら、自分のホームの前に戻ってきていた。いつものことながら、ずいぶんと遅くなってしまった。
もう自分の主神は寝ている頃だろう。
起こさないように気を付けつつ、そっと扉を開けて中へ入る。予想通り自分の主神は寝ていたので気を付けつつ荷物を置きに自分の部屋へと行く。(というか殆ど共同スペースなため一緒に寝てることのほうが多いが)
そうして着いた自分の部屋で、椅子に座り少し休憩する。
『だいじょうぶ?』
「ああ、まあ……ね。いつものことだし問題ないよ」
『いつもたいへんそうだから』
「好きでやってることだから幾らかマシだけどね」
そう言いながら、
まあ好きでやってる以外にも、生活が掛かっているのもあるが。
取り留めもない会話をして、一日を終える。これもいつもの光景だった。
まあまだ寝るわけではないが。
「……ダンジョン、行ったほうがいいのかな……」
この悩みはいつも解決しない。
ファルナをもらった日から、そうだ。簡単にいえば怖気づいだ。
怖かった、戦うのが。恐ろしかった、死ぬのが。
だからあの居酒屋のバイトを続けている。ぬるま湯に浸かっている。
戦闘も、死ぬこともない平和な日常。
新人いびりが酷いけど、頼りにはなる猫の先輩達。
少し潔癖すぎるけど、とっても優しくて正義を忘れないエルフの先輩。
そして、どこか底しれない雰囲気を時々発している少女。
ひと癖も二癖もあるけれど、優しい先輩たちと頼りになる店主がいるあの場所が、居心地がよかった。
『いくの?』
「ッ?」
そんな回想から引き戻したのは、その声だ。
自分がみる、美しい少女の幻影。
そして、彼女は続けて言う。その言葉を。
『あのばしょは、こわいよ?いやなばしょだよ?』
「……わかってるよ」
『こわいのも、たくさんいるよ?』
「………うん」
忠告を言うその少女は、この歳の彼女からは発するはずのない異様な雰囲気を発していた。
正直言って、これがあるから自分の幻覚だと思うのだ。
この年齢の彼女は、まだ殆ど戦いというものを知らないはずだ。
百歩譲ってダンジョンのことを知っているのはわかるが、この様に言動は幼くとも闇を感じさせる言動はしないはずだ。
つまり、これは自分の知識のアイズ・ヴァレンシュタインの集合体ではないのかと考えている。
だからって自分はロリコンではない、はずだ。
『いかないほうが、いいよ』
「……ありがと、わかったよ」
『うん』
まあ、行く勇気も元々ないわけだが。
なぜならこわいから。そんなどうしようもない存在だ。
………英雄の様になれる気はしない。冒険をしない者に、その資格はないから。
でも、できることもある。
「さて、作ろっか」
『?』
「デザート、食べるんでしょ?」
『!!ジャガ丸くんクリーム味!』
「わかってるよ」
この少女に、料理を作ってあげることくらいだけれど。
ていうかいつも思うけど、どうして幻覚が料理を食べれるのだろう。わからん。
まあ、気にしないことにするが。
そうして、夜は更けていく。
この少女は本当に幻覚なのかというのかという疑問を、蓋をしながら。
コウスケ・ウラカワ
Lv1
力:I65
耐久:I9
器用:I78
敏捷:I59
魔力:I0
《魔法》
【 】
《スキル》
【■■■■】
・■■■■■
・手■触■■こ■■■■
【思念伝送】(ロゴス・プシュケー)
・思念を拾う
・指定した者への念話
上手く書けてるといいのですけど、自身があんまりないですね。
続くかどうかはわかりませんが、もし続いたらよろしくお願いします。