ゴブスレ世界に転生したら不動卿になってしまった件について。   作:這い寄る影

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ゴブスレ世界に転生したら不動卿になってしまった件について。

前世はまぁ柔道と空手を嗜んでいた何処にでもいるOLだった。

そうやって普通に生きて普通に死んだ。

そして目が覚めたら赤子になっていた。

文明レベルで言えば中世ヨーロッパ。

ただし魔物やら魔法が跋扈するファンタジィ世界だった。

15の頃だったか、私は農家の娘で前世での体格も引き継いでいたしOL経験もある故に。

将来は婿を迎え入れて農場経営する道を選んだのだが・・・

疫病で村全体が死んだ。

僅かな生き残りを先導し都市で冒険者をすることになった。

どうせ死ぬなら最高位のダンジョンに挑もうとも思った。

生き残れば金になる、死ぬときはすっぱり死ねるがゆえに。

故に向かったのは王都でもなく神代と前文明が残る迷宮都市だった。

まぁ何度も死にかけ、それでも生き残った。

その死にかけた冒険の中で一つの遺物を見つける。

「千人楔」

一つ刺すだけで千人もの力を得られる異物。

皮肉だ。今世では「オーゼン」と名付けられた私がこれを使う事になるなんて。

其処からはあっという間だった。

千人楔は神殿内に複数あった。躊躇なく使用したし。時には同僚が発掘した物を買い取って使用した。

そして120箇所に刺した千人楔の影響と神代の魔力が濃密に漂うダンジョンで過ごしていたおかげか。

年を取らなくなっていた。容姿もオーゼンそのものになっていた。

後は勇者パーティと魔神をぶちのめしたり、迷宮の主の討滅を依頼されたり。

結果、等級は白金級で基本ダンジョンや迷宮に居ることから「不動卿」「動かざるオーゼン」とも言われていた。

 

「それで王様直々の呼び出しってなんだい?」

「魔神王が復活した」

「そうかい自分たちでどうにかするんだね・・・何時までも年寄りに頼っているんじゃないよ」

 

見た目は二十代後半だが、先ほども言った通り神代ダンジョンに居すぎたせいと千人楔の影響で外見上は年喰ってないだけで在り。

リッパな婆ぁである。

何時までも婆ぁが出しゃばっていては若い芽が育たない。

だからダンジョンに引きこもって元ネタのオーゼンの様に若手育成していた訳だしね。

 

「いえそちらは対処できます、既に勇者が現れている」

「手ほどきをしろと?」

「ソレも違います、先生には辺境の底上げをして欲しいのです」

 

王はそう言った。

昔見たく先生と呼ばれるとは思いもしなかったが。

まぁそれは良い。

 

「それだけ辺境は人手不足なのかい?」

「はい、出現する魔物と人の質が合わなくなっています」

「フムン、だから手ほどきをしろと?」

「そう言う事です。先生もあの魔境で生徒の育成に忙しいでしょうが是非に・・・」

 

申し訳なさそうに王が言う。

 

「いいさね、ここ一二年は生徒も抱えていない」

「はぁ?! 先生の教えを受けたい冒険者は五万と居るでしょうに」

「そう言うのは巣立った教え子たちにやらせているのさ、もう隠居だよ私は」

 

私はそれを了承した。

今抱え込んでいる生徒も居ないし、そう言うのは弟子たちにやらせている。

これもまた一つの教育であるがゆえにだ。

 

「それでもいいってんなら引き受けるさ」

「ありがとうございます先生」

「いいってことさ、でも根回しはちゃんとしてくれよ、お前さんそこらへん下手糞だったからね」

「それは言わない約束で・・・」

「じゃあ早速、ダンジョンに戻って馬鹿共にこのことを言ってから辺境に向かうよ」

 

こうして私は王都を旅立ちダンジョンに戻って馬鹿弟子たちに引継ぎを済ませ辺境の地へと向かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

受付嬢は困惑していた。

首から下げられている白金の認識票、2mもの長体に全身黒衣に漆黒のマントに得物としても機能する巨大なガンドレッドに頭には三角笠のような幅広の円形兜。

明らかに不審人物だったが。

 

「アナタが不動卿ですね」

「そうだよ、でもそう呼ばれるのはこそばゆいからオーゼンでいいよ、これが王直々の勅書だ」

 

受付嬢は震える手でそれを受け取り中身を確認、同僚に嘘はないか見て貰い、嘘ではない事を再確認し。

勅書をギルドマスターへと渡す。

それでも震えは止まらない、不動卿とは冒険者の中でも御伽噺染みた存在だ。

若くして神々の深淵に潜り挑み続け、神々の深淵内の水蒼宮、白鳳宮を単独制覇、その後は数々の名冒険者を育て上げ、先代勇者と共に先代魔神王や迷宮の主を討滅したりなど功績はすさまじい。

だが年齢的にかなりのご高齢のはずで、ここ最近は神々の深淵のダンジョン内にホームを作ってそこで過ごしていた為か神々の深淵の外では死んだともされていたが。

実際には生きていたとか。それを生で見ることになるとは思っても居なかった。

 

「冒険者登録は済みました。ようこそ辺境へ」

「ああよろしく頼むよ、さて依頼でも受けようかね」

「余っているの溝晒いとか、ゴブリン退治くらいしかないですけど」

 

クエストボードを指さす受付嬢。

それに視線を走らせるオーゼン。

フムどれにしようかとオーゼンは真面目に考えている。

 

「あのー白金級がするクエストでは・・・」

「依頼に貴賎はないのさ。それにゴブリン退治なら近隣住人の悩み種さね、報酬は微妙、その割に手間が掛かるが信頼は得られる」

 

そういうオーゼンの言葉にそう言う考えもあるのかとさすがはプロフェッショナルだと受付嬢は感嘆した。

まるで自分が恋するあの人を褒められたかのようで嬉しかった。

 

「あのーなら、ゴブリン退治に出かけた新米さん達「ゴブリンか?」

 

なら先刻ゴブリン退治に出かけた新米パーティの増援兼指導役として行ってくれないかと言おうとして。

薄汚れた皮鎧を着こんだ奴が来た。

 

「へぇ弁えてるんだね」

 

オーゼンは感心した様子だった。

一瞬で彼が何をしてきたのか理解したから。

 

「そう言うアンタは?」

「オーゼンっていうものさ今日からこの辺境の冒険者兼指導役になったのさ」

「・・・そうか」

 

彼の声色は複雑そうだった。

だって彼がまだ彼になる前に聞いた御伽噺のような冒険譚の主人公がオーゼンだったからだ。

 

「それでゴブリンか?」

「はい、実は」

 

受付嬢の説明に折角だから二人で行こうという事になった。

 

「もうタイムリミットだねぇ」

 

受付嬢から聞いた様子だと回復周りより武具を優先していたとの事らしい。

新人らしいミスだ。

 

「それは経験則からか?」

「私の村は疫病でほろんだ。生き残ったのは私含めて四人ほど、しかも近くの稼ぎ場所が神々の深淵だったし少ない金で最低限の装備を整えるのがやっとだ。あとは分かるだろう?」

「ああ」

 

オーゼンの言葉に彼は同意する。

よくある悲劇の一つでしかなかったから。

オーゼンの場合は追い込まれて、だが今回の新米たちは前提条件からして違う戦術をミスったのだ。

だからタイムリミットが過ぎたのだとオーゼンは冷酷に言い放ったのである。

 

「それで夜目は利くのか?」

「利くように訓練は山ほどやった」

「装備は?」

「投げナイフ数十本にエリクサー数本、一応の解毒薬、武器はこれさね」

「よくわかった・・・・エリクサー?」

「ああ、辺境では珍しいか」

「珍しいどころの話ではないのだが」

 

エリクサーとは万能の秘薬、神々の薬とも呼ばれる遺物である。

だが神々の深淵の深部では比較的採掘しやすい部類だった。

最も値段は神々の深部の外縁都市でも値が張るし。

其処から外である王都や辺境では大豪邸が一本で立つ値段相場であった。

実際の彼も見たことはない。

 

「後はミミックエリクサーかねぇ」

「それは聞いたことがない」

「そりゃエリクサーより希少で効力はエリクサーの下位互換だ」

「薬効は?」

「数年分の寿命を磨り潰す代わりにありとあらゆる傷をなおし毒を排出する」

「なるほど飲んだ奴は間抜けという事でミミックか」

「そう言う事」

 

そんなことに花を咲かせつつオーゼンは彼をおんぶして走る。

流石はエンドコンテンツとも呼ばれる神々の深淵を主戦場にして伝説となったオーゼンである。

馬よりも早い。

村に到着し村長に理由と連中の巣の場所を聞いて再びダッシュ。

そして巣穴の前に到着し。

 

「小賢しいのが居るね」

「ああ、シャーマンだ。最悪ホブも居る」

 

巣穴の前トーテムを確認する。

 

「・・・向こうにもゴブリンは出るのか?」

「表層には良くいるねぇ。駆け出しのころ気が狂って変異した獣戦士の賞金首が従えたオーガとゴブリンの大群と魚人の連中とかの戦争の中を突っ切った事がある」

「それはまた・・・」

「あそこは長くいると肉体が変異するか精神が狂うからねえ、それはいい早く行こうじゃないか」

「そうだな」

 

 

 

 

 

「案の定という奴だったねえ」

「そうだな」

 

オーゼンは無表情だった。彼もまた無表情なのだろう。

彼らの目の前には泣き腫らす女神官と腹に短剣を突き刺され血反吐を吐き続ける女魔法使いがいた。

 

「あのアナタたちは」

「私はオーゼン、不動卿とか呼ばれているよ」

「俺はゴブリンスレイヤーだ」

 

女神官は誰かと問い。

息を飲んだ。

当たり前だ。彼事ゴブリンスレイヤーは雑魚狩り専門とも揶揄されるが実際は民の信頼を大いに集める辺境最優の冒険者であり。

オーゼンなんて御伽噺の人物だ。

だが彼らが首元から下げる認識票が本物だと物語っている。

 

「喋れるようだな」

 

そう言ってゴブリンスレイヤーは女神官に近付き肩に刺さった矢を抜く。

抜いた鏃を見てゴブリンスレイヤーは。

 

「運がいい」

 

そう告げた。

そう運がいい出目が悪ければこの段階で終わりだ。

何故なら鏃になにも塗られていないからである。

 

「飲め痛みが和らぐ」

「これは彼女に」

「・・・オーゼン」

「駄目だねぇ、連中の毒は複合毒だ全解毒薬が必須だよ、あと内臓もやってるし出血も大きいタイムリミットは過ぎた」

「そうか」

「でも手がない事でもない、おい聞こえているか」

 

オーゼンはそう言いつつ女魔法使いに声を掛ける。

 

「私の弟子に成れ、そうすれば助けてやるよ、最も次はないけどさ」

「――――――」

「わかった、じゃあ口を開けな」

 

そう言って口を開ける女魔法使いに瓶に入った青い液体を強引に突っ込み飲ませる。

ご丁寧に鼻も塞ぎ空気を吸おうとする前に青い液体を飲ませるように。

そして瓶の中がなくなったら口から瓶を引き抜き鼻をつまんでいた手をはなす。

するとである、彼女の全身から湯気が立ち上り傷口も完全に治癒し毒気ですら抜けていた。

それどころか意識さえはっきりしているのである。

 

「これがエリクサーか」

「「エリクサーってあのエリクサー!?」」

 

ゴブリンスレイヤーの呟きに

伝説の秘薬に唖然とする女神官と女魔法使い。

お値段は先ほども言った通りだ。

 

「使った分の金はアンタが銀等級になったらチャラだ。しかし次ミスったらのませないからねえ」

 

オーゼンとしては先行投資の様なものである。

 

「さてここからは教導だ。と言っても外じゃ勝手が違うからもしれないからゴブリンスレイヤーアンタも一緒に教えてくれ」

「わかった」

 

そう言ってオーゼンとゴブリンスレイヤーの教導という贅沢な指導が決まる。

 

「まずは装備が薄いねぇ」

「連中の前では、布装備は厳禁だ」

「なぜです?」

「なぜなの?」

「これを見ろ」

 

ゴブリンスレイヤーが先ほどまでに女魔法使いの腹に突き刺さっていた短剣を見せる。

彼女の血に交じって毒々しい液体が付着していた。

 

「連中は自身の糞尿で毒をこさえる」

「それに腐肉なんかを絞った血を使う事もあるねえ」

「それゆえに安価で強力な毒だ」

「だから布装備のお前さん方は一撃当たるとダメになるのさ下手な鎧を買えとは言わないが・・・」

「鎖帷子で十分防げる」

 

ゴブリンは腕力が子供位だ。

故に鎖帷子を装備の下に着こむことよって十分装甲として成り立つ。

 

「あとこれは私見だが。解毒薬くらいはかっておくんだねえ、神々の深淵では第一層でも致命になる」

「・・・オーゼン、あそこは魔境過ぎて参考にならん」

「おやそうかい?」

 

駆け出しの挑む洞窟と神々の深淵を一緒にするなとゴブリンスレイヤーは苦言を呈する。

アソコは第三層まで常に地殻変動で地形が変わり第四層から更なる魔境となる。

先程オーゼンが単独蹴破したという迷宮も所謂所の行き止まりでありまだまだ深淵は広がっているのだ。

閑話休題。

それから二人から話を聞いた二人はミスを指摘していく。

主に周辺警戒を怠り横穴に気づかなかった事とかをだ。

 

「さてこのくらいで良いだろう俺たちはゴブリンを殺しに行く、お前たちはどうする?」

「「わ、私達も行きます」」

「なら通過儀礼が必要だねぇ」

「出来るのか?」

「内臓だけなんて味気ないだろう?」

「「あっあのー何をするつもりで・・・」」

「連中は女の匂いに敏感だ」

「だから消す必要があるのさ」

 

そう言ってオーゼンは無造作にゴブリンの死体を一匹両手に持ち。

二人の頭上で捩じった。

これにはゴブリンスレイヤーも同情した。

 

「オーゼンさんは・・・」

「私は良いのさ、臭い消しなんて標準で持っている。神々の深淵の魔物はどれも狡猾で強大だからねえ、このくらい持ってないとあっという間に壁の染みか苗床なのさ」

 

そう言ってくつくつ笑うオーゼン。

すっごく度し難い人だと女神官と女魔法使いは思った。

 

「ところで二人は何を使える?」

「私は《小癒》と《聖光》の奇跡を授かってます」

「回数は?」

「三回、ですがさっき一回使ったので残り二回です」

「十分だ、しかし《小癒》は使うな物の役に立たん、そっちは?」

「私は二回。でも使ったからもう・・・」

 

ふむこれじゃ女魔法使いは戦力に成らないなとゴブリンスレイヤーは思った時。

 

「なら・・・これを使いな」

 

オーゼンはひょいっとゴブリンの使っていたこん棒を拾い上げて手渡す。

 

「打撃武器ってのは便利でねぇ振りかぶるだけでヘルムくらいは破壊できるもんなんだよ。技能がなくても一定ダメージが見込めるだが今のお前さんは駄目だここでまってな」

「はい」

 

あくまで自衛用、杖も折られ、魔法の回数も無いのでは足手まといだ

 

「まぁ私も残るけどねえ、後詰は必要だろう?」

「頼まれてくれるか?」

「無論さね、折角取った弟子を一人にしては置けない」

 

そう言って、二手に分かれる。

 

「あのゴブリンスレイヤーさんは何を・・・」

「簡易トラップさね、ゴブリンは気が短い目の前の事にしか集中できないのさ」

 

ゴブリンスレイヤーが奥に続く穴の前に杭二本を両サイドに打ち込み縄をピンとはる。

それを不思議そうに見ていた女魔術師の疑問にオーゼンは淡々と答える。

 

「しかし減点だ」

「なぜですか?」

「作戦内容をアイツ、詳細に女神官に言わなかっただろう? 連携する場合の事前準備と意思疎通は必須だ」

 

オーゼンは其処ら辺が厳しかった。

ソロなら満点だがとも続けてつぶやく。

 

「まぁ熟練者同士では意図は察せるからそこまで大きなものでもないんだけどね」

 

熟練者であるならその意図に気づけるとしてそこまで減点でもないと続ける。

 

「備えな、此処に来るよ」

「え?」

 

オーゼンの言葉と共に穴の奥が光った。

それと無数の足音。

ゴブリンスレイヤーたちが引いている?と女魔法使いは思い。

 

「飛べ!!」

 

入り口付近まで戻って来たゴブリンスレイヤーが後ろを走って切った女神官に指示を飛ばす。

何とかトラップを回避した瞬間だった黒風となったオーゼンが走り出し。

其処からは惨劇だった。

上がって来たゴブリンはミンチにされホブは上半身が爆散した。

純粋な腕力で、これが伝説、これが不動卿かと三人が戦慄するのも止むなしだった。

 

「しまった不味ったな・・・」

「なにがだ・・・」

「今の踏み込みで洞窟全体が崩壊しそうだ。これでも手加減したんだけどねえ」

 

オーゼンは他人事の様にいう。

ドラゴンをガンドレッドでボコボコにしたというのは本当だったんだと戦慄する三人。

 

「此処からは俺流で行く、一緒に生き埋めになったら敵わん」

「おや、それはガソリンかい?」

「わかるのか?」

「アッチではポピュラーな燃料さ、外縁部の都市に行けば安く樽単位で買えるよ」

「それはいい事を聞いた。使えそうな物が山ほどありそうだ」

「まぁ気が向いたらそうてくれ、君の様な冒険者は歓迎さね」

 

そう言いつつ下半身だけになったホブにガソリンを掛けてゴブリンスレイヤーはまたあとからくるゴブリンに向けてホブの下半身を蹴り落とし松明を投げて着火

鎮火を待って全員で下に降りる。

其処にはゴブリンたちの死体と無惨になっても生きている女武闘家の姿があった。

オーゼンは慰み者にされた者達を見る。

 

「やられはしたが誰も孕んではいない、だがこりゃ駄目だね精神が逝ってしまっている・・・」

 

これ以上は無駄だと判断し。

そして片っ端から死体に追撃を食らわせるゴブリンスレイヤーとオーゼン。

 

「やはりか」

 

シャーマンの前に辿り着いたゴブリンスレイヤーは呟く。

途端に起きるシャーマンの脳天に拾ったこん棒を直撃させ今度こそ死亡を確認する。

ついでに玉座を見るオーゼン。

 

「ふふ」

 

そう言って口を歪める。

 

「女神官、女魔法使いこっちに来な」

「まて・・・」

「これも教育だよゴブリンスレイヤー」

「度し難い」

「よく言われるよ」

 

ゴブリンスレイヤーはオーゼンが二人に何をさせるかを理解してしまったがゆえに度し難いと評したのだ。

 

「でも必要なことさ」

 

そう言って蝿でも払うかのように人骨で出来た玉座を破壊し。

その奥の掘っ建て扉を破壊しつつ、女神官と女魔法使いを呼び寄せ。

先程、こん棒は女魔術師に渡したので適当に拾ったこん棒を女神官に手渡す。

その先にいたのは幼いゴブリン。

 

「ゴブリンってのはねえ。間抜けだが決して知恵がない訳じゃない、狡猾に恨みを忘れず上位種になる可能性を秘めているのさ」

「わ、私達にどうしろと!?」

「その手でこいつらを殺せ」

 

無慈悲に冷酷に言い放った。

 

「さっきも言っただろう見逃せば狡猾な上位種になる、その甘さはダンジョンで不要さね、だから今のうちにやっておいてなれときな」

「でっですが!」

「ですがも糸瓜もないよ、何の力も無い村娘を女武闘家みたくしたいのかい? 村一つを壊滅させたいのかい? お前らが見逃せばそれが起きる」

 

二人はオーゼンが恐ろしかった。

力は言わずもがな、それ以上に徹底した合理性もある。

 

「それにこれはゴブリンにも限った話じゃないならず共だってそうさ。一度見逃せば学習して災禍をもたらす、正義とはまではいわないけどさ、必要な事なんだよ」

「ですが・・・」

「私やるわ」

 

女神官が反論しようとして女魔法使いは覚悟を決めた。

それが一時的怒りで在れどだ。

 

「師匠は手を出さないで」

「それでいい、でそちらはどうするね?」

「ッッ」

 

こうして女神官と女魔術師はこん棒を振り上げ。

洞窟内に幼いゴブリンの悲鳴が上がった。

 

 

 

よくある悲劇だと誰もが言う。

故に無視され風化されていく。

女武闘家は故郷に引きこもってしまった。

だが師匠曰くマシな方であるという。

彼女は生きる為にあの魔境、神々の深淵に挑んだ冒険者なのだから。

伝説と今では謳われる彼女も駆け出しのころがあるのだ。

辛い目、仲間の惨たらしい死や他の冒険者の惨たらしい物も見てきたという。

現に生きているだけで幸せというのがあの魔境の常識であるらしい。

そして私は。

 

「噛んだねえ、もう一度」

 

今は彼女の元で指導を受けています。

早口言葉を習得して魔法の詠唱タイムを縮める訓練です。

師匠はもっと早く言えるから文句も言えない。

 

「もうワンセットやったら次は山中巡りに行くよ」

 

体力作りも大事だけど本当にキツイです。

ですが師匠はマンツーマンで指導してくれるのでそこはチャラなのかな。

 

「・・・」

「なんさね」

「ゴブリンだ」

「またかい。いいだろう、女魔法使い、訓練はこれで今日はお終いだ。ゴブリンスレイトレインといくよ」

「ひゃひゃい」

「あのー大丈夫ですか?」

 

アレから女神官はゴブリンスレイヤーさんによくついて仕事をしている。

師匠はゴブリンスレイヤーさんが気に入ったのか彼の頼みで付いていくことも屡々であり。

実践に次ぐ教訓は無いとして私も自動的に同行する羽目となっている。

そして噛みまくって舌が廻らない私を今日も女神官が心配してくれる。

これが私の今の日常だった。

 

「オーゼン!!俺と勝負「五月蠅いよ小僧」ぶふっっぅ!?」

 

師匠と勝負して勝ちたがっている槍使いさんは相も変わらず師匠の軽い人差し指の一振りで昏倒されています。

 

「では行こうか」

「ああそうさね」

 

そして今日もゴブリンを狩り続けるのです。




リハビリで書きました続きとかないです。
神々の深淵のモデルはメイドインアビスのアビスとされ竜の迷宮ですね。
表層は第四階まではそうでもないけれど第五階からはつまるところ廃人向けのエンドコンテンツです
この世界一番の秘境にして魔境、神々の遺産や前文明の遺産が眠っている場所です。
転生オーゼンは此処の第四層である地下世界の上空に原作の様に居を構えて。
冒険者に冒険のレクチャーをしてます。
尚本人も原作通り発見された千人楔を120箇所に埋め込んでいる上に奥の手もあります。
そして神々の深淵の行き止まりの十階を二つを単独で攻略しその後先代勇者と共に魔神王をぶちのめし、王の依頼で鍔鳴の太刀では主人公たちを導いた。
だが基本四層である地下世界の上空に原作の様に居を構えてそこから動かないことから不動卿や動かざるオーゼンと呼ばれている。
神々の深淵の魔力などに当てられメイドインアビスのオーゼンとそっくりさんになってしまった上に70才を過ぎながら20代後半の若さを保っている。
因みに若き王に手ほどきをしたこともあり彼からは先生と慕われている様子である。
合理主義なゴブスレとは気が合う模様。
でも冒険の師匠とするなら最高だが度し難いのは共通。
一応作中ゴブリンだから加減してるのではなく奥の手やら素で本気を出すと地形が変わる為本気を出していないだけ。
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