[巣桜 司]
「あ、あのー?」
司くんって、こんなに可愛い子だったんだ!
これはお母様の血を色濃く、色濃く引き継いでいらっしゃいますね。
私は司くんが、小汚いオタクじゃなくて
良かった……この子なら、仲良く出来そう!
[朝蔵 大空]
「あっ! 私隣に住んでるんだけど、大空って言います!」
[巣桜 司]
「あ……貴女が大空さんですか? は、はい、母から聞かされてます」
巣桜司くん、カナリア色の金髪に、ピンク色の瞳のスリムな美少年。
[朝蔵 大空]
「うん! 学校、明日からだよね?」
[巣桜 司]
「はい、その予定です……」
やっぱりあんまり楽しみそう、じゃないな。
前の学校では、あんまり上手くいかなかったんだっけ?
[巣桜 司]
「あのっ、ぼく……怖くて」
[朝蔵 大空]
「えっ……あ、うん、そうだよね。 でも大丈夫、私もいるからさ! 安心してよ」
司くんの瞳がうるうると輝く。
[巣桜 司]
「うっ……すんっ……すっ、ぐすっ」
!?
[朝蔵 大空]
「ど、どしたの?!」
司くんの目から、涙がポロリポロリと流れた。
[巣桜 司]
「うわん、ごめんっ……なさいぼく、ひっく……やっぱり怖くてー! ぼ、ぼくなんかがそんなっ……ひっ、優しいお言葉貰って、い、良いのかなーって……!!」
[朝蔵 大空]
「えぇ〜……」
泣き出した!?
しかもそんな言い方……前の学校がどれだけ、冷たい学校だったのか想像がつく。
[巣桜 司]
「ぼ、ぼくのことは……どうかほっといて下さい! め、迷惑かけちゃうのでーっ……!」
[朝蔵 大空]
「司くん!?」
司くんは泣きながら、
あの子ったら、こんな時間にどこ行ったんだろ?
コンビニにでも行くつもり、だったのかな?
[朝蔵 大空]
「司くん……」
かなりデリケートそうな子だったな、もう少し接し方を考えないと、ダメかも……。
彼、ほっといてくれとか言ってたけど、明日ちゃんと登校してくれるかな?
まあどんだけ嫌々言ってても、明日って言うものは必ず、次の日来るんですけどね。
[朝蔵 大空]
「寝よーっと……」
そして次の日の朝!
[朝蔵 真昼]
「ふーん、学校楽しませたいの?」
今は
ちなみにミギヒロはまだ着替えでウダウダやっています。
[加藤 右宏]
「ママー! ネクタイ結んでー」
[朝蔵 葵]
「うふふ、仕方無いわねぇ」
うわ、きっついなぁ……ミギヒロ。
ミギヒロはひとりでネクタイを結べないので、毎朝私のお母さんに頼んでいる。
まあそれは無視して……。
[朝蔵 大空]
「うん! 助けてあげたいの!」
[朝蔵 真昼]
「でもお姉ちゃんに出来る? 自分ですら普段、なんもしてないのに……」
私の胸に、グサッと刺さるようなセリフ。
私は真昼に痛い所を突かれた。
[朝蔵 大空]
「うっ……わ、私のことは関係無いでしょ」
確かに私は、学校内では特別出来るような面は無いけど、それとこれとは別なんだから!
[朝蔵 真昼]
「ねぇ……その人、いじめられてたんじゃない?」
[朝蔵 大空]
「そ、それは知らないけど……」
" いじめ " と言う言葉を聞いてドキッする。
真昼の言う通り、司くんのあの喋り方とか、なんだか人に怯えているようだった。
『人間恐怖症』ってやつ?
[朝蔵 大空]
「行って来まーす!」
でも、それを乗り越えてこその
[朝蔵 大空]
「司くん、もう出たのかな?」
私は司くんの家の前でキョロキョロする。
[巣桜 燕]
「あら大空ちゃん、おはよー!」
燕さんがホウキを持って、庭のほうから出て来た。
[朝蔵 大空]
「燕さん! おはようございます」
今日も本当に可愛らしい!
[巣桜 燕]
「司は先に行ってるよ♪ 大空ちゃんも学校行ってらっしゃい!」
[朝蔵 大空]
「はい!」
[巣桜 燕]
「よろしくねー♪」
良かった、司くんちゃんと学校に向かってるみたい。
そう思うのも、
[朝蔵 大空]
「ん? あれ……」
学校に向かう途中、私は道に人が倒れていることに気が付く。
[巣桜 司]
「あばばばばばばばば」
[朝蔵 大空]
「ひゃっ!? 司くん?!」
なんと、歩道の真ん中で司くんがぶっ倒れていた!
[朝蔵 大空]
「し、死んでないよね……?」
私がそう声を掛けると、司くんはバッと顔を上げて……。
[巣桜 司]
「うわ! 天国!? 天使様なのですか!?」
司くん、私が天使なんかに見えちゃってるの!?
[朝蔵 大空]
「違うよ司くん、私だよ! ここ、この世だから! しっかりして!」
私は焦点の合ってない司くんに、肩を揺らし必死に呼び掛ける。
[巣桜 司]
「あ……大空さん? ぼくは何して……」
司くんは、目元をグリグリと
[巣桜 司]
「あっ! そうだ学校! 学校は……?」
[朝蔵 大空]
「大丈夫? 少し日陰で休もっか?」
私は近くの公園に指をさす。
[巣桜 司]
「は、はい……そうします」
私は司くんに肩を貸して、日陰の木の下に座らせる。
[朝蔵 大空]
「はい! スポドリ!」
私はそこの自販機で買ってきた、スポーツドリンクを司くんに渡す。
[巣桜 司]
「あ、これは……?」
私は自分が貰った優しさを、ちゃんと誰かに返していきたい。
[朝蔵 大空]
「飲んで良いよ! ちょっと涼んでから行こうか」
ホームルームが始まるまで、まだ時間はある。
私は、2人で少し休んでから学校に行こうと考えた。
司くんに無理はさせたくないし。
[巣桜 司]
「あ、ありがとうございます……」
司くんはペットボトルの
か弱そう……心配になるなぁ。
[朝蔵 大空]
「司くん、なんで倒れてたの?」
[巣桜 司]
「あ……それは多分、太陽の下に出たからだと……」
太陽の下に出たら倒れるって……。
[朝蔵 大空]
「えっ! 司くんって、吸血鬼なの!?」
[巣桜 司]
「え……ち、違います! 違います! ぼく、お昼は外に出ないから、日光は苦手で……」
[朝蔵 大空]
「あはは! 冗談だよ〜!」
[巣桜 司]
「えぇー……」
困惑した顔、可愛い!!
『コラーーーーー!!!』。
[大空&司]
「「きゃっ!?」」
耳に響く、
何かと思って、前を向く。
[おじいさん]
「これぇ! お前ら、イチャついてないで早く学校に行きなさい!」
イチャついてはないけど……。
[朝蔵 大空]
「ごめんなさい!」
あー、町の見守り老人ってやつかな?
こう言うおじいさんおばあさん、最近は見ないなーって思ってたけど、レアだな。
声掛けって大事だよね、少しでも犯罪とか事件を防げるから。
[巣桜 司]
「あわ……」
大変! 司くん泣いちゃいそう!
[朝蔵 大空]
「司くん、立てる?」
[巣桜 司]
「は、はひ」
司くんが自分で立とうとしないので、私が無理やり彼を立たせる。
[朝蔵 大空]
「行って来ます!」
[おじいさん]
「はい、いってらっしゃい……」
[朝蔵 大空]
「ほら行くよ、司くん!」
[巣桜 司]
「はひ〜……」
私は司くんの背中を押して、通学路に戻る。
[おじいさん]
「……青春じゃのぉ」
そして、やっとこさ来た校門前。
[朝蔵 大空]
「……司くん、行ける?」
[巣桜 司]
「ちょ……ちょっと無理!」
司くんはそう言って、来た道のほうを戻ろうとする。
[朝蔵 大空]
「ダメだよ! 転校初日に遅刻はまずいよ!」
[巣桜 司]
「でも……でもぉ」
あ〜、
これじゃあ、私も遅刻しちゃうじゃないの!
[朝蔵 大空]
「やば……生徒指導」
校舎のほうから、生徒指導の増田がこちらに向かって来るのが見えた。
[増田先生]
「お前らまだか? 門閉めるぞー」
生徒指導の増田、筋肉
[朝蔵 大空]
「ごめんなさい! ほら司くん、先生困ってるから……」
[巣桜 司]
「うわーん、帰りたいよぉ……」
お、
私はもう、司くんを押さえてる腕が疲れてきちゃったよ!
[巣桜 司]
「わぁー!!!」
すると案の定、司くんが私の腕からスルりと抜けて行ったかと思うと、学校から背を向けて逃げ出して行ってしまった。
[朝蔵 大空]
「あー、逃がした……」
司くんの面倒を見るって、燕さんと約束したのに、司くんがこれじゃ果たせそうにないよ、どうしたら良いの……?
[増田先生]
「待て!」
次の瞬間、増田先生が司くんを追い掛け、司くんの服を掴んで捕まえた。
[巣桜 司]
「きゃいんっ!?」
私は心の中で増田先生に対して、『ナイス!』と叫んだ。
[増田先生]
「お前は転校生の巣桜司だな? よし俺と来い、職員室まで連れてってやる。 よいしょー!!」
[巣桜 司]
「ギャー! 嫌だぁー!!」
司くんは増田先生に
そして耳に残るのは、司くんの悲痛な叫び。
キーン♪ コーン♪
カーン♪ コーン♪
それがチャイムの音で
[朝蔵 大空]
「やっば……」
うわー、もう絶対間に合わないよ〜!
私は自分の教室まで走った。
[朝蔵 大空]
「お、遅れました!」
教室の扉を開けると、一斉に集まる私への視線が痛かった。
[二階堂先生]
「遅刻か?」
[朝蔵 大空]
「すみません!」
[二階堂先生]
「いいよ、席着け」
教室に着く頃には、ホームルームがもう始まっていて、私は恥をかいてしまった。
[永瀬 里沙]
「遅刻かーい?」
[朝蔵 大空]
「そうだよ」
ざわざわ……ざわざわ……。
ん?
何やら廊下が騒がしくなってきたぞ?
[増田先生]
「俺も一緒に入ってやる」
[巣桜 司]
「ちょ、ちょっと待って……くだひゃ」
ガララっ!!
教室の前側の扉が、勢い良く開けられた。
[二階堂先生]
「……よし、今日は転校生を紹介する」
ゴクリ……。
[モブA]
「また?」
[モブB]
「てかどれ?」
[モブC]
「増田先生じゃね?」
皆、司くんがどこに居るか気付いていないようだ。
私にはもう、バッチリと見えてるんだけど……。
[モブB]
「あっ……ちょっと待った! 持ってるやつ!」
[モブC]
「あー! なんか持ってる! あれ人間か?」
[モブD]
「ボロ雑巾じゃね……?」
そう、司くんは増田先生に片手で、腰を持たれているのだ。
ダラーっとしていて、体に力が入っていない様だった。
[二階堂先生]
「増田先生、すんません。 あとそいつ……」
[巣桜 司]
「ぷひ……」
司くんは白目を向いて、気絶しているようだった。
[増田先生]
「なんだ……? わぁ! いつの間に!?」
増田先生が、手に持っている司くんが、気絶していることに驚く。
[二階堂先生]
「いや、今気付いたんかーい!」
二階堂先生がツッコミを入れると、一斉に湧き上がる笑いの
私は笑えないのだが……。
[増田先生]
「こいつ、どうしますか?」
[二階堂先生]
「んーっと……ああ、朝蔵の後ろか。 増田先生、そこの女子の後ろの席が空いてるので、そこに座らせておいて下さい」
[増田先生]
「それで大丈夫なんですか?」
[二階堂先生]
「あー大丈夫っす。 よくあること、らしいので」
[増田先生]
「いや、よくあることなんかーi……」
つづく……。