──見えますか?
ここは、主人公達が住む世界ではない。
どこかに存在する、光に包まれた明るい世界。
[天界の門番]
「おやおや。 リン様、おはようございます」
[リン]
「おはようございます! 下界へ降りたいのですが!」
下界とはつまり、主人公達が住む人間界のこと。
そしてこの、リンと言う男。
[門番]
「はい、すぐに」
今、天界から人間界へ続く扉が開かれる。
……。
──なんてこと無い、平日の朝。
[朝蔵 大空]
「おはよー」
私は朝起きて、家族に朝の挨拶をする。
[朝蔵 真昼]
「おはよ」
今から皆で、朝ご飯を食べる。
私と真昼とお兄ちゃんと、ミギヒロとで……。
[朝蔵 千夜]
「は〜い♡ 右宏ちゃんのご飯、大盛りにしてあげたよー♡」
[加藤 右宏]
「アリガトウゴザイマス!」
あれから、千夜お兄ちゃんとミギヒロは、だいぶ打ち解けたみたいだ。
お兄ちゃんも、ミギヒロのことはもうあまり警戒せず、普通に接している。
私の家は、義理含めて4人キョウダイになった。
ピンポーン♪
その時、家のインターホンが鳴った。
その音で、全員の箸が止まる。
[朝蔵 真昼]
「何?」
こんな朝早くから、お客さん?
[朝蔵 大空]
「私出て来るよ」
宅配便かな?
お母さんが、また何か頼んだのかも。
[朝蔵 大空]
「は〜い」
そう思い私は、食卓から離れて玄関の所まで来る。
ガチャ。
私はすぐに、玄関のドアを開けた。
すると、外には誰かが立っていて……。
[???]
「おはようございます! ソラ様」
私がドアを開けた瞬間、耳に響く気持ちの良い元気な声。
[朝蔵 大空]
「??」
ぽかーん、としてしまう私。
だ、誰ー?
誰だこのイケメン。
[朝蔵 大空]
「えと……どちら様でしょうか?」
[リン]
「私です、リンです! ソラ様」
リン? って言うか、私に様付けって!?
でもなんだろう、なーんか見覚えがあるような。
この人のことを、私は知っているような気がする。
[朝蔵 大空]
「リン……さん? あっ」
あ! あ!
私はリンさんの顔を見て、いつしか見た夢のことを思い出す。
思い出したかもしれない。
[朝蔵 大空]
「リ、リンさん!?」
忘れてたけどこの人、前に夢で出てきた天使の人!
でも、今日は背中に羽とかが無い?
服装はちょっと……普段着とは言えない、白を基調とした神聖な感じの服を、身にまとっていらっしゃる。
待って、そもそも目の前の人と夢に出てきた人は、同一人物で合ってるんだよね?
[リン]
「もしかして! 思い出して頂けましたか?」
[朝蔵 大空]
「えぇ、まあ……」
とりあえず、名前と顔は一致した。
[リン]
「それは良かったです!」
リンさんが、とても嬉しそう。
喜んでくれてるみたいだけど、この人は一体……私の家まで来て、なんの御用なんだろう?
[朝蔵 大空]
「そ、それで……?」
[リン]
「いえ、今日はただご挨拶にと! 夢空間より、直接お会いに行ったほうが良いかなっ、と思いまして!」
そう、この人は夢で数回名前を聞いただけの相手。
大した話は確かしてないはず、してない……はず。
あれ?
[朝蔵 大空]
「あ、あの! ひとつ、確認したいんですけども?」
[リン]
「はい! 何なりと」
リンはニコニコしながら、私の話を聞いてくれる。
[朝蔵 大空]
「あの、私貴方のことよく分からないんです。 ごめんなさい」
[リン]
「それは、仕方が無いことだと思います。 貴女の記憶は今、非常に曖昧なことになっていまして……」
私の記憶が曖昧……。
ここの所、私も自分の記憶がおかしくなってると思っていた。
この人、何か知ってるの?
[朝蔵 大空]
「その! リンさんは、私が前に夢で会ったリンさんで、間違いないですか?」
[リン]
「はい、ソラ様! 私と貴女は、何度か夢の中でお会いしていて。 実際に現実世界で会うのは、今日が初めてでございます」
まさか、こんな感じの人と現実世界で会うなんて、しかも自分の家の前。
[朝蔵 大空]
「な、なるほど?」
[リン]
「それにしても、こうやってお会いするのは初めてですが。 貴女は、とても可愛らしい方ですね」
そう言いながらリンさんは、私の手を大事そうに握った。
[朝蔵 大空]
「え!?」
……い、いきなり何言い出すのこの人!?
なんなの、お世辞!?
さすがイケメン
[加藤 右宏]
「大空ー? 誰か来たのかァ?」
次の瞬間、リビングのドアからミギヒロが廊下に出てきた。
[朝蔵 大空]
「あ、ミギヒロ」
[リン]
「ミギヒロ……?」
[加藤 右宏]
「んぁ?」
ミギヒロとリンさんが、顔を見合わせる。
[加藤 右宏]
「な、なんで天使の野郎がここに!?」
[リン]
「貴方は……ああ、リュカ王の」
りゅかおう?
[加藤 右宏]
「ア! それは! かっ……帰れー! 帰レー!」
興奮したミギヒロが、リンさんに飛び掛って来た!
[リン]
「うわ、なんか来た」
[朝蔵 大空]
「ちょ、ちょっとミギヒロ何やってんの! 失礼でしょ?」
私は、慌てて
[リン]
「で、ではソラ様! またお会いしましょう!!」
リンさんはそう言うと、大人しく家から離れて行った。
不思議、あの人は一体何者?
なんで、私の所に……。
[朝蔵 大空]
「ちょっと、ちょっと!! なんで追い返したりするのよ?」
突然の訪問で、私も対応に困ってたけど、聞きたいことは他にもあった。
[加藤 右宏]
「お前、さっきの奴と知り合いなのかァー?」
ミギヒロは、私の質問を無視する。
[朝蔵 大空]
「え〜。 ……知り合い、って言えるのかなー? てか、よくあの人が天使って分かったね? 夢の中によく出て来て……的な? あ! あんたと一緒ね!」
そう言えば、こいつも最初は夢で出て来た。
人外って、人の夢の中に出て来るのが、流行ってるの?
いや、そう出て来るしかない事情が、あるのかもしれないけど……。
[加藤 右宏]
「アア、見れば分かるゾ! それにしてモ、まさかそこデも繋がってたとはナ」
[朝蔵 大空]
「うん……私もよく分かってないけどね」
前の夢で、あのリンさんって人に私は、何か助言をされた気がする。
だけど、それが上手く思い出せない。
[加藤 右宏]
「ソレヨリ! お前、今日気を付けろよナ〜?」
[朝蔵 大空]
「な、なんでよ?」
何か問題でもあるの?
[加藤 右宏]
「匂いとかついてないよナ……」
[朝蔵 大空]
「ちょっ……」
ミギヒロが鼻を近付けて来て、私の周りを嗅ぎ回る。
[加藤 右宏]
「一応、消臭
プシュッ! シュッ!
私の体に、消臭スプレーが掛けられる。
[朝蔵 大空]
「こ、こら! 勝手に何してるのよ! 私、臭くないってば!」
[加藤 右宏]
「クソ〜、天使の残り
ミギヒロ、何を気にしてるんだろ?
天使の残り香?
残り香……って、どう言う意味だっけ?
……。
[永瀬 里沙]
「大空おはよー」
[朝蔵 大空]
「おはよー」
教室に入って、私は一番に里沙ちゃんと挨拶をし合う。
そして、私は自分の席の所まで行く。
[卯月 神]
「……?」
[朝蔵 大空]
「おはよう!」
横に座っている卯月くんが、こちらを見ていた。
私は卯月くんにも、挨拶の言葉を掛けていく。
[卯月 神]
「お、おはようございます」
[朝蔵 大空]
「うん?」
何故か、卯月くんの様子が少しおかしい気がした。
なんでだろ、別にいつもと同じようにしてるのに。
──そして、休み時間。
[卯月 神]
「……朝蔵さん」
[朝蔵 大空]
「うーん? どうしたの?」
突然、卯月くんが私の右腕を引っ張る。
[朝蔵 大空]
「え? 何?」
[卯月 神]
「どうして、他の天使に触れさせているのですか?」
[朝蔵 大空]
「は、はい!?」
他の天使ってもしかして、リンさんのこと?
触れたとか……そんなものが、分かるものなの?
[卯月 神]
「……やっぱり、天使の匂いがする」
まずい、卯月くんなんか怒ってる。
今朝、ミギヒロが消臭してたのに、それでも分かっちゃうものなんだ。
人外って、人間より鼻が良いんだな、私は何も分からないのに。
[朝蔵 大空]
「え? …………ごめん卯月くん、ちょっと聞いてもらえる?」
[卯月 神]
「なんですか?」
苛立った様子でも、話を聞こうとしてくれる卯月くん。
早く弁明を……。
[朝蔵 大空]
「こ、これは違うの! 浮気とかじゃなくて……」
[卯月 神]
「別に、僕はそんなのは疑ってませんよ。 なんですか? 逆に怪しいですよ」
やばいなんか、選択肢間違えたっぽい!
え、なんでこんな怒ってるの?
[永瀬 里沙]
「ちょ、なんか今凄い言葉が聞こえてきたんだけど!? なになに! 何があったの?」
出た、じゃじゃ
私にも何がなんだか……。
[卯月 神]
「なんでもないです」
里沙ちゃんに、即答する卯月くん。
[永瀬 里沙]
「え、でも……大空?」
そう言って、里沙ちゃんは私のほうを見てくる。
よく分かんないけど、ここは卯月くんに合わせたほうが良いよね。
[朝蔵 大空]
「あ、うん。 なんでもないよ」
[永瀬 里沙]
「えー」
里沙ちゃんは納得いかない様子で、自分の席に戻って行った。
それからは、卯月くんとは気まずくて、喋れなくなってしまった。
まあ元々、彼とはあんま喋んないけど。
……。
[永瀬 里沙]
「ねぇ、なんかさっき喧嘩してなかった?」
今は、里沙ちゃんとお昼タイム。
[朝蔵 大空]
「いやぁ〜、私にも何がなんだか……」
でも卯月くんは、『疑ってる訳じゃない』って言ってたし、私悪くないよね?
[永瀬 里沙]
「ちゃんと話し合ったほうが良くない? 目すら合わせてないみたいだけど……」
[朝蔵 大空]
「だ、大丈夫だよ。 なんとかなると思うから……」
[永瀬 里沙]
「ふぅん、そう?」
と言っても、放課後ぐらいにまた卯月くんと話してみよっと。
……。
[リン]
「は、離せー!」
柱に縛り付けられ、身動きが取れない状態にされるリン。
[卯月 神]
「どう言うつもりですか、貴方」
[加藤 右宏]
「そうダ! そうダ! オレ達の計画を、邪魔しに来たんダろ!」
そしてその犯人は、以上のふたり。
[リン]
「あっ、貴方達が企んでることは、大変な
不利な状況でも、強気な口調のリン。
[加藤 右宏]
「だからバレないようにやってるってェーノ!!」
[リン]
「いやいや、ミギヒロ様!! つい先日にも大衆の前で、貴方飛びましたよね?」
[加藤 右宏]
「あ、あの時は……急いでたかラ」
急に弱気になるミギヒロ。
[リン]
「自分は、常にソラ様を見守っております。 なので、貴方のことも当然……」
何故か誇らしげなリン。
[加藤 右宏]
「あ、あの時は教えてくれてアリガトウだよ」
[リン]
「はい! ソラ様のことも、シンのことも、ミギヒロ様のことも、水晶でいつでも! です!!」
[卯月 神]
「お風呂も?」
[リン]
「当然!」
リンは、堂々と答える。
[卯月 神]
「ただの変態じゃないですか!」
[加藤 右宏]
「ただの変態じゃないカ!」
声をハモらせる、卯月とミギヒロ。
[加藤 右宏]
「コイツぅ〜、大天使だからってやりたい放題なんだゾー」
[卯月 神]
「とりあえず、今日の口止め料です」
ある
[リン]
「あ!!! " みてるおまんじゅう "!」
『みてるおまんじゅう』。
老舗、『
数量限定で、毎朝秒で売り切れてしまう。
[リン]
「ムシャムシャ……ま、まあ今日の所は良いでしょう。 ムシャムシャ……ほんと、旨いですね……これ、ムシャムシャ」
[加藤 右宏]
「単純だナ……」
つづく……。