悲恋の大空   作:暴走機関車ここな丸

38 / 47
第6話「夏本番」後編

[巣桜 司]

 「わーーん!」

 

 

 

 巣桜が、泣いている。

 

 

 

[巣桜 司]

 「わーん! うわーん! うぁーん!」

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「こーらっ!! 負けたからって、泣くんじゃありません! みっともないでしょう!」

 

 

 

 8人で行われたジャンケンでは、巣桜が負けてしまった。

 

 

 一方、里沙が嫉束と笹妬、そして刹那の3人を集めて話している。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「……と、こんな感じで進めるんだけどー♪ どうかな?」

 

 

[嫉束 界魔]

 「……なんか、思ってたのと違った」

 

 

[刹那 五木]

 「おれも……」

 

 

 

 露骨に、やる気を無くしている嫉束と刹那。

 

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「え? " アレ "、本番マジでやんの?」

 

 

 

 事情を聞いた笹妬は、嫌悪感で震える。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「知らないよ、やるんじゃない?」

 

 

[刹那 五木]

 「いやぁ……あの部分、要る? って、感じだよね〜」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「えぇ……俺、そう言うキャラじゃないんだけど」

 

 

[嫉束 界魔]

 「あんなの、男子達から卒業するまでいじられるよ!」

 

 

 

 嫉束達は里沙から背を向けて、ヒソヒソ話を始める。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「ちょっと、ちょっと〜? 一度やると決めたなら……後から『やっぱ無し』って、言うのは許されない。 ……分かってるよね?」

 

 

 

 そんなセリフを言い放った時の里沙の表情は、怖いくらい本気(マジ)の顔をしていた。

 

 

 

[嫉束&笹妬&刹那]

 「「「は、はい……」」」

 

 

 

 里沙の圧に、肯定をするしかない男3人であった。

 

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「……?」

 

 

 

 ふと、入口のほうを見つめだす笹妬。

 

 

 

 

 

 ドドドドド……。

 

 

 

 

 

[木之本 夏樹]

 「……!」

 

 

[文島 秋]

 「ん? どうした、木之本」

 

 

 

 

 

 ドドドドドっ。

 

 

 

 

 

[木之本 夏樹]

 「いや……なんか、聞こえないか?」

 

 

[文島 秋]

 「えっ?」

 

 

 

 

 

 ドドドドド!!

 

 

 

 

 

 無数の足音のようなものが、聞こえてくるようだった。

 

 

 

[文島 秋]

 「ハッ……!? 何か、来る!」

 

 

[一同]

 「「「「!?!?」」」」

 

 

 

 

 

 ガラララッ!!!

 

 

 

 

 

[SFC]

 「「「「「SFCです!!!」」」」」

 

 

 

 体育館の扉が勢い良く開けられ、たくさんの女子生徒達が、ゾロゾロと入って来る……。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「えっ!」

 

 

 

 うわうわ、うわ!

 

 

 なんか大勢で来たよぉ!?

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「失礼致します!!」

 

 

 

 有象無象(うぞうむぞう)の中にひとり、存在感を放った女子生徒が居た。

 

 

 

[大空&里沙]

 「うわっ!?」

 

 

[嫉束 界魔]

 「うげっ……」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「あっ」

 

 

 

 大空と里沙、嫉束と笹妬は、知っている顔が現れて、それぞれリアクションを取る。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「あ、あれは3組のモンスター!」

 

 

[朝蔵 大空]

 「SFC副クラブ長の、杉崎アンジェリカさん!?」

 

 

[大空&里沙]

 「「こわーい!!」」

 

 

 

 大空と里沙は、互いに身を寄せ合う。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「そこで抱き合っている女子!」

 

 

 

 杉崎が、抱き合う大空と里沙を指さす。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「ひっ!」

 

 

[永瀬 里沙]

 「な、何よ? 大空が怖がるから、やめて!?」

 

 

 

 それに里沙は、大空のことを守りつつ、負けずに睨み返していく。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「私達の嫉束くんを、勝手に使わないでもらいたい!」

 

 

 

 周囲からは、『そうよ! そうよ!』と、女子達の声が聞こえてくる。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「なんであんた達の許可が、必要になんのよ?」

 

 

[嫉束 界魔]

 「そ……そうだ、そうだー! もっと言えー!」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「シーっ! やめとけ……」

 

 

 

 里沙の意見に賛同するように、嫉束が遠くから野次を飛ばす。

 

 

 

[男子一同]

 「「「…………」」」

 

 

 

 こう言う時に、全く頼りにならない男子達は隅のほうで、ただ傍観(ぼうかん)している。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「嫉束くんは、我々3組の人間のはずです! ですから……」

 

 

[永瀬 里沙]

 「あ、あんたらのクラスは何やってんのよ?」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「む……? メイド&執事喫茶です!」

 

 

[朝蔵 大空]

 「またベタな……」

 

 

 

 それって、どこの学校も文化祭でひとクラスは、絶対やってるやつだよね。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「くだらな」

 

 

 

 里沙が、ボソッと呟く。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「ムッ……くだらなくなどない!」

 

 

 

 それが、杉崎に聞こえてしまう。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「いや、まあ別に良いと思うけど。 舞台の間だけ、借してくんない?」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「ダメです」

 

 

 

 即答の、杉崎。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「なんでよ!」

 

 

[永瀬 里沙]

 (て言うか……さっきから(だんま)りの、男共がムカつくー!)

 

 

 

 男子達は、壁などにもたれ掛かったりして、こちらの様子をただ眺めているだけである。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「ちょっと嫉束!」

 

 

[嫉束 界魔]

 「は、はい……!」

 

 

 

 里沙の呼び掛けに、返事をする嫉束。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「あんたの本気を、見せてやりなさい!」

 

 

[嫉束 界魔]

 「僕の本気? ……わ、分かったよ!」

 

 

 

 嫉束は一瞬で、今からやらされることを理解する。

 

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「界魔……?」

 

 

[朝蔵 大空]

 「……!」

 

 

 

 すると、嫉束くんが杉崎さんの前まで出て来る。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「見せてもらおう」

 

 

 

 嫉束くんの、本気……?

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「し……嫉束くん、まさかっ?」

 

 

 

 

 

 ざわざわ……ざわざわ……。

 

 

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「お願いします! 杉崎さん!」

 

 

 

 ど……土下座だー!

 

 

 どどど、土下座だー!!

 

 

 あの嫉束界魔くんが、杉崎さんに土下座をしているー!!

 

 

 

[全員]

 「「「!?!?」」」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「っ……!? なるほど、嫉束くんの本気は伝わりました」

 

 

[朝蔵 大空]

 「えぇ……」

 

 

 

 それであっさり分かっちゃうのも、どうかと思うよ杉崎さん。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「承知致しました、練習頑張って下さい。 では、失礼致します。 解散!!」

 

 

 

 

 

 ドドドドドっ!!

 

 

 

 

 

 杉崎さんの合図で、また音を立てながら体育館から出て行く、SFCの軍団。

 

 

 そして、静まり返ってしまう体育館。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「……」

 

 

[永瀬 里沙]

 「なんなの」

 

 

 

 ……。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「はいはーい! 今日は、ここまで。 皆、練習お疲れ様〜」

 

 

 

 里沙ちゃんすっかり監督面だなぁ、まとめてもらってるから助かるけどね。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「お疲れ様でーす」

 

 

 

 大空はそれだけ言って、里沙と体育館を後にした。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「ふぅ……疲れたけど、楽しかったよね」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「ん、まあまあ」

 

 

 

 その後もちらほらと、生徒が体育館から出て行く。

 

 

 

[刹那 五木]

 「ちょっとー」

 

 

 

 帰ろうとした嫉束達に、刹那が声を掛ける。

 

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「……?」

 

 

[嫉束 界魔]

 「なにー?」

 

 

[刹那 五木]

 「腹減らない? せっかくだし、王子(この)メンツで飯行こうよ!」

 

 

 

 刹那が、王子メンバーを集めて食事に誘う。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「えっ……///」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「お、おう」

 

 

[刹那 五木]

 「……来ない?」

 

 

 

 刹那はわざと、そう聞いてみる。

 

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「あー、えっと」

 

 

[嫉束 界魔]

 「行く行く! 行くよ! 行きます!!」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「…………」

 

 

 

 戸惑いつつも、誘われて嬉しそうな嫉束と笹妬でした。

 

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「えっ、ボク達もですか?」

 

 

[巣桜 司]

 「い、良いんですか……? ぼく達なんか……」

 

 

[刹那 五木]

 「もちろんOKだよ〜、気にしないで」

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「え? ちょっと巣桜くん、今なんて言いました? ぼく " 達なんか "、って! なんか、ってなんですか!? ボクに失礼だと、思わないんですか!?」

 

 

[巣桜 司]

 「ふえぇ!? ぼぼ……ぼくそんな言い方しましたか?」

 

 

[文島 秋]

 「いいね。 僕も、今日は塾無いし。 行かせてもらうよ」

 

 

[木之本 夏樹]

 「……肉食いてぇ」

 

 

[卯月 神]

 「……」   

 

 

[卯月 神]

 (面倒ですね、隙を見て逃げましょう)

 

 

 

 僕は気配を消して、ささっと体育館から立ち去ろうと思いました。

 

 

 

[刹那 五木]

 「……」

 

 

 

 

 

 ガシっ。

 

 

 

 

 

[卯月 神]

 「!?」

 

 

[刹那 五木]

 「よーし。 じゃあ皆んなで、焼肉行こうか!」

 

 

[卯月 神]

 「……」

 

 

 刹那くん……案の定、見逃してはくれないのですね。

 

 

 

[卯月 神] 

 (刹那五木……この人だけは本当に、油断ならない)

 

 

 

 僕は完全に、刹那くんに捕まってしまった。

 

 

 

[卯月 神]

 (逃げることは……)

 

 

[刹那 五木]

 「逃げようって考えてるでしょ」

 

 

[卯月 神]

 「!?」

 

 

[卯月 神]

 (出来ないか……)

 

 

 

 僕は断ることも出来ず、近くの焼肉店まで全員で歩いて行く。

 

 

 

[卯月 神]

 (結局、流されて来てしまった……)

 

 

 

 団体が座れるような、広い席に8人は座る。

 

 

 

[刹那 五木]

 「んー、うま!」

 

 

 

 美味い肉を食べて、ご機嫌な刹那。

 

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「……」

 

 

 

 狂沢はパクパクと、野菜類を無言で食べている。

 

 

 

[刹那 五木]

 「狂沢くん、葉っぱしか食べてないじゃーん! お肉も食べないと、大きくなれないぞっ!」

 

 

 

 気に掛けた刹那が、狂沢に焼けた肉を食べさせようとする。

 

 

 

[狂沢 蛯斗] 

 「ウッ……やめて下さい! ボクは、お肉が嫌いで。 出来れば、お肉はあまり食べたく無いんです!」

 

 

 

 気付いた狂沢は、それを全力で拒否する。

 

 

 

[刹那 五木]

 「えっ! 狂沢くんってもしかして、ヴィーガン!?」

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「別に、そこまでじゃ無いですけど……。 鶏肉は辛うじて、食べますが」

 

 

[刹那 五木]

 「鶏肉!? 鶏だね! 鶏も焼いてるよ! はい、あーん♡」

 

 

 

 刹那が狂沢の口に、無理やり肉をねじ込む。

 

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「あっ! あっつ! 熱いですー!!」

 

 

[刹那 五木]  

 「あっはははっはっ!!」

 

 

 

 刹那は、大きな声で楽しそうに笑う。

 

 

 

[巣桜 司]

 (あ……この人、楽しんでるだけだ……)

 

 

 

 巣桜は、狂沢の隣で静かに、刹那の恐ろしさに震えていた。

 

 

 

[木之本 夏樹]

 「ふむふがはむ……」

 

 

 

 そのまた隣で、何も気にせず肉を(むさぼ)る木之本である。

 

 

 

[文島 秋]

 「君らも、もっと食べなよ」

 

 

 

 その向かいの文島が、隣の卯月達に声を掛ける。

 

 

 

[笹妬&卯月]

 「「……」」

 

 

 

 笹妬と卯月は、気まずそうに文島に、コクと頷く反応をする。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「ありがとう。 なんか、緊張して食べれなくて……」

 

 

[文島 秋]

 「そうなの? 無理しないでね」

 

 

 

 文島が、嫉束に優しく微笑み掛ける。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「う、うん!」

 

 

[嫉束 界魔] 

 (文島くん……だっけ? この人なんか、王子っぽい! 紳士的だし!)

 

 

 

 文島の振る舞いに、関心する嫉束。

 

 

 

[木之本 夏樹]

 「おい! 肉、全然足んねーぞ!!」

 

 

[巣桜 司]

 「きゃっ!?」

 

 

 

 間近で木之本に、大声を出された巣桜が更に怯える。

 

 

 

[文島 秋]

 「お前は食べ過ぎね」

 

 

[刹那 五木]

 「よし……ねぇ、ねぇ! 恋バナでもしない!?」

 

 

[嫉束 界魔]

 「こ、こここ……恋バナ!!?」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「男で集まって、恋バナかよ」

 

 

[刹那 五木]

 「いやぁ……なんか皆、好きな人いそうだなって、思って…………」

 

 

[卯月 神]

 「……!」

 

 

 

 刹那が、卯月のほうに視線を送る。

 

 

 

[卯月 神]

 「……」

 

 

[刹那 五木]

 「じゃあさ! ひとりずつ、好きな人の好きな所言ってこっ! 名前は言わなくて、良いからさ! そうだな、おれは……うーん、面白い所! じゃあ次、狂沢くん!」

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「美しい所ですね」

 

 

 

 狂沢は、即答&堂々と答える。

 

 

 

[刹那 五木]

 「へー、巣桜くんは?」

 

 

 

 刹那は狂沢の回答に、興味が無さそうだった。

 

 

 

[巣桜 司]

 「た……頼りになる所とか?」

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「あれ? 巣桜くん……君、好きな人いたんですか? まさか、ボクと被ってませんよね!? そうだったら、許さないですから!!」

 

 

 

 狂沢は、巣桜に怒鳴りつける。

 

 

 

[巣桜 司]

 「ええ!? そそ……それは、無いと思います! ごめんなさい!」

 

 

[刹那 五木]

 「あはは! 君らふたりで、両想いなんじゃないのー?」

 

 

 

 刹那は揶揄(からか)うように、そんな冗談をふたりに言う。

 

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「はぁ?」

 

 

 

 狂沢は刹那の発言に、頭に怒りマークを浮かべる。

 

 

 

[刹那 五木]

 「じゃあ、次! 木之本くん!」

 

 

[木之本 夏樹]

 「お……俺は別に、好きな奴とかいねぇーよ!」

 

 

 

 あからさまに顔を真っ赤にして、慌てだした木之本。

 

 

 

[文島 秋]

 「何言ってんだよ、お前いるだろ」

 

 

[木之本 夏樹]

 「あ、ちょ……余計なこと言うなっ……」

 

 

[文島 秋]

 「ちなみに、僕はマジでいないんだけど……。 木之本の、好きな子の特徴を言うなら、良い意味でナイーブな所かな。 守ってあげたくなるよね。 なぁ、木之本?」

 

 

[木之本 夏樹]

 「な、なんだよお前っ!」

 

 

[刹那 五木]

 「ほらほら! いるなら言っちゃえ!」

 

 

[木之本 夏樹]

 「……かっ、可愛い所だよ」

 

 

[刹那 五木]

 「あはは! 凄い、なんかシンプル! ……笹妬くんはどう?」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「お、俺は……」

 

 

 

 返答に困る笹妬。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「吉鬼もいるよ! いる、いる! 多分、僕と一緒!」

 

 

[刹那 五木]

 「えっ、そうなの?」

 

 

[嫉束 界魔] 

 「そっ! 優しい所が、あの子の魅力だよ!」

 

 

[笹妬 吉鬼]

 「お前…………す、素直な所が……あいつの、良い所だと思う」

 

 

[刹那 五木]

 「良いね! おれもそう言う子、好き。 じゃあ最後、卯月くん言ってみよー!」

 

 

[卯月 神]

 「は、はい……」

 

 

[狂沢 蛯斗]

 「好きな人って言うか、付き合ってる人ですよね」

 

 

 

 すかさず、狂沢がそう口を挟んでいく。

 

 

 

[嫉束 界魔]

 「……そうなの?」

 

 

 

 嫉束が、卯月のほうに顔を向ける。

 

 

 

[卯月 神]

 「……」

 

 

[刹那 五木]

 「あれれ〜? 皆言ったのに、君だけ言わないつもり?」

 

 

 

 無言の卯月を、煽っていく刹那。

 

 

 

[卯月 神]

 「…………全部」

 

 

[刹那 五木]

 「え、なんて?」

 

 

 

 卯月の声が聞こえず、聞き返す刹那。

 

 

 

[卯月 神]

 「全部、好きです……」

 

 

[刹那 五木]

 「……!!」

 

 

 

 刹那は、卯月の出した答えに、目を潤ませる。

 

 

 

[刹那 五木]

 「そっか」

 

 

 

 刹那は優しげな笑顔を、卯月に浮かべてそう言い放った。

 

 

 

 

 

 「夏本番」おわり……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。