[如月 凛]
「…………?」
電気が消され、ロウソクの火だけが灯るリビング……。
そして、手で目隠しをされるリン。
[朝蔵 大空]
「はいっ! もう目開けて良いよ、リンさん」
[如月 凛]
「は、はい!」
リンさんが、その目を開いた。
[如月 凛]
「……ふわぁ」
リンさんの目の前には、真っ白な苺のホールケーキが置いてある。
『ウェルカム・リンちゃん!』と、チョコプレートにホワイトチョコで書かれている。
今夜は、リンさんの歓迎会。
その日は、家族全員で美味しいご馳走と、ケーキを食べた。
[如月 凛]
「ありがとうございます。 お部屋まで、用意して頂いて……」
[朝蔵 大空]
「ずっとソファじゃ、辛いと思って。 掃除はしてあるんで、今日からここで寝て下さい」
今居るのは、お父さんの部屋。
ずっと使われず、掃除する前は
[如月 凛]
「はい! 大事に使いますっ……?」
リンが、デスクに並べてあるアルバムの様な物を、見つける。
[如月 凛]
「ソラ様! この本なんですか?」
[朝蔵 大空]
「ん?」
リンさんが私に、何か見せてきた。
[朝蔵 大空]
「これ……アルバムですね」
アルバム……お父さんの部屋に、ずっとあったんだ?
なんか意外……あの人、家族のことなんて興味無いはずなのに。
[如月 凛]
「見ても良いですか?」
[朝蔵 大空]
「大丈夫ですよ」
私とリンさんは、一緒になってアルバムを眺める。
[如月 凛]
「わー! 皆さん、可愛いですねぇ」
私や兄弟の、小さい時とかの写真が、いっぱい仕舞われている。
全く見たこと無い、写真……。
これを撮ったの、全部お父さんなの?
[朝蔵 大空]
「……?」
それは、アルバムの最後のページだった。
そこには、海で知らない男の子と映る、私の写真……。
[朝蔵 大空]
「これ……」
しかも、映りと言うか……画質が、凄く悪い様に見えた。
それに、なんだか……暗い、恐い。
[如月 凛]
「うーん? どうしたんですかー、ソラ様?」
この男の子、誰……?
この、真っ黒な目の男の子は……。
ズキンっ……。
[朝蔵 大空]
「!!?」
ズキン……!
なに!?
急に、頭が……。
痛いっ!!
[如月 凛]
「ソラ様!? 大丈夫ですか!?」
[朝蔵 大空]
「はぁ……はぁ……はぁ」
痛みが止んだ……なんだったの、今の?
……。
[アリリオ]
「で……結局、君達は何をやろうとしているの? こうやって、初めて4人で集まれたことだし。 改めて、説明してほしいんだけど?」
[如月 凛]
「そう! 私からもお願いしたいです!」
今晩はリン、アリリオ……。
卯月とミギヒロで、人があまり来ない夜の公園に、4人で集まっている。
[加藤 右宏]
「説明しよウ! 我々、悪魔と天使の……」
[卯月 神]
「
卯月は、ミギヒロの言い方が気に食わなかったのか、言い直させようとする。
[加藤 右宏]
「オっと……その名も、天使と悪魔の " 一石二鳥 " 作戦〜!!」
パフパフパフっ!♪
[リン&アリリオ]
「「イッセキニチョウ作戦??」」
リンとアリリオは、頭にハテナマークを浮かべる。
[アリリオ]
「ナニソレ」
[如月 凛]
「また初めて聞く言葉なのです!」
[アリリオ]
「どう言った意味なの?」
アリリオが、ミギヒロに問い掛ける。
[加藤 右宏]
「1個の石で、2羽の鳥ガ同時に討伐出来る、ってことダ! つまり、オレ様とシン様の野望も、2個同時に実現してしまうと言うこと……なのダー!」
ミギヒロが、テキトーに説明してみる。
[アリリオ]
「……?」
アリリオには、イマイチ伝わらなかったみたいだ。
[如月 凛]
「シンは、ソラ様に " 救済 " をしてもらって。 人間を、天使に転生させる……」
[アリリオ]
「
[卯月 神]
「はい」
[加藤 右宏]
「そうだゾ! オレ様が、魔界の政治を維持。 そして、" 管理 " してやるんだぞ〜!」
[リン&アリリオ]
「「うーーん……」」
リンとアリリオは、不安な表情でお互い顔を見合わせる。
[如月 凛]
「正直、悪いことではないんです。 現世で救われず、悲しみを背負ったまま消えてしまった命は。 悪霊や悪魔、時には怪異などに生まれ変わって。 その悲しみを、全世界にも広めようとします」
[アリリオ]
「地獄でそんなのが溢れてるよ。 逃げ出して、人間界に降りて来ちゃう奴も、いるみたいだし。 当然、悪さもする」
[加藤 右宏]
「ダから。 どーしようもない奴は、魔界で徹底管理ッ! 全く、迷惑な話なんだゾー!」
[如月 凛]
「あっ! だから 、" 救済 " が必要なんです。 生きている内に魂を救えれば、悪霊になることもありません。 それが私達、天使の仕事。 そうですよね、シン?」
リンが、卯月に答えを求める。
[卯月 神]
「その通りです。 ですから、協力して下さい。 リン、アリリオさん」
[アリリオ]
「……O K」
[如月 凛]
「はい! " 愛 " で世界を救いましょう!」
[卯月 神]
「ありがとうございます」
[加藤 右宏]
「よっしャー! これからは、4人チームで頑張るんだゾ〜!」
4人が、そうやって奮起していると……。
[中年警官]
「君達、こんな夜遅くに何をしているのかな? 早く、お家に帰ったほうが良いんじゃない?」
ひとりの中年警官が、4人に声を掛けてくる。
[加藤 右宏]
「なんダー! オレ様達、今大事な話してるんだゾ! 邪魔すんナ!!」
ミギヒロは先陣切って、警官を追い払おうとする。
[如月 凛]
「わぁ〜! そのお召し物、とても素敵ですね! どこに売っているんですかー? 私も、欲しいんですけど!」
リンは、警官の制服に見とれながら、警官の元へと近付いて行く。
[中年警察]
「……? 君達、ちょっと」
4人のことを、警官は怪しむしかない。
[卯月&アリリオ]
((これはまずい……))
卯月が、リンを追い掛けて手を伸ばす。
[如月 凛]
「わっ……」
[卯月 神]
「すみません。
卯月が、リンの首の後ろの服を引っ張って、警官に頭を下げる。
[アリリオ]
「王子、逃げましょう」
[加藤 右宏]
「……!?」
アリリオはミギヒロを捕まえて、一目散に逃げようする。
卯月もリンを連れて、それに走って着いて行く。
[如月 凛]
「あー! せめて! せめて、そのお帽子だけでも、触らせてもらえませんかー!?」
4人が去り、静かになる夜の公園。
シーン……。
[中年警官]
「最近の若いもんは、怖いなぁ……」
……。
……パン!
パン、パン♪
パン☆
──花火の音が、数発聞こえる。
土屋高校文化祭……その名も、『ゆうぎ
[朝蔵 大空]
「公演は、13時からだったよね?」
[永瀬 里沙]
「合ってるよー」
じゃあそれまで、私達も文化祭を楽しみますか!!
[永瀬 里沙]
「どうする? 3組行ってみる?」
[朝蔵 大空]
「あ、うん……いいよ!」
3組って、確かアンジェリカさん達が喫茶店やってる所、だよね……。
また何か言われたら、怖いけど。
[2年3組女子]
「おかえりなさいませ、お嬢様」
[大空&里沙]
「「は、はい!」」
わぁ〜!
皆さん、可愛らしいですねー!
メイド服を着た、可愛いお姉さん達がいっぱい!
確か3組って、女子が多いんだっけ?
[2年3組男子A]
「俺らはやっぱ、雑用か……」
[2年3組男子B]
「ブサメンは辛いべ」
あ、男子達が隅のほうに追いやられてる。
ちょっと可哀想……。
私と里沙ちゃんは、席に座らせられる。
軽い飲み物だけ頼んで、少し時間を潰そうと思う。
[永瀬 里沙]
「結構、本格的だね……」
[朝蔵 大空]
「そうだね。 衣装とかも、高そー」
フリルいっぱいの、良い布を使ってそうなメイド服が……眩しい!!
部屋の中も、ちゃんとお店っぽくなってるし、クオリティ高いなぁ。
[永瀬 里沙]
「これが、杉崎家の財力か〜」
[杉崎 アンジェリカ]
「あら、貴女達は……」
気が付くと、杉崎さんが飲み物を運んで来ていた。
[大空&里沙]
「「ぎくっ……あ、どーもー……」」
杉崎さん、やっぱりオーラと圧が凄いよ〜。
[杉崎 アンジェリカ]
「お待たせ致しました。 オレンジジュースと、リンゴジュースでございます!」
飲み物の置き方にさえ、何故か圧を感じる。
ちなみに私がリンゴジュースで、里沙ちゃんがオレンジジュースだ。
[永瀬 里沙]
「ありがとうございまーす……」
杉崎さんはそれだけ済ませて、別のテーブルのほうへと移って行った。
[永瀬 里沙]
「お、落ち着かないね……?」
[朝蔵 大空]
「早めに出よ……」
そう言って私は、ジュースに手を伸ばす。
[朝蔵 大空]
「……あっ!」
飲もうとしていたのに、私はコップを倒してしまった。
ジュースがテーブルや床に零れ、自分の衣服にも少し付いてしまった……。
[永瀬 里沙]
「あちゃー……」
[朝蔵 大空]
「ご、ごめんなさい……」
私は、自分で零した物を片付けようと、おしぼりを手に取る。
[剣崎 芽衣]
「大丈夫ですか?」
ふわぁ……っと広がる花の香りが、私をハッとさせる。
[朝蔵 大空]
「!?」
こ、この声は……芽衣様!?
なんて美しいの!?
[永瀬 里沙]
「芽衣様だ……」
芽衣様まで、メイド服を着ていらっしゃる!!
[剣崎 芽衣]
「お怪我はありませんでしたか……?」
[朝蔵 大空]
「な……無いですぅ」
私は、メイド服姿の芽衣様を見て……目に、ピンクのハートを浮かべる。
[剣崎 芽衣]
「……? あっ、朝蔵さん?」
わわわ!
[朝蔵 大空]
「は、はい!?」
[剣崎 芽衣]
「やっぱり、朝蔵さんだっ! あ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。 劇、やるんだよね? 何時から?」
[朝蔵 大空]
「げげげっ……!」
[永瀬 里沙]
「げ、劇は13時からです」
私の代わりに、里沙ちゃんが芽衣様の問いに答える。
[剣崎 芽衣]
「13時……分かりました! 私も行くから、楽しみにしてます! 確か……うちのクラスの、嫉束くんも? 出るんだよね、王子役として!」
[朝蔵 大空]
「は……は、はい! 使わせてもらいます!」
[永瀬 里沙]
「大空……ちょっと落ち着きなさい」
こんな美しい芽衣様を目の前に、落ち着けるはずがないよ!!
て言うか、芽衣様も私達の劇に来るって……。
マジーーー!!?
……。
[他校の女子A]
「" 嫉束界魔 "、ほんとにイケメンだったねー」
[他校の女子B]
「あれは、レベチ。 何千年に、ひとりのレベルだわ」
他校の女子達が、土屋高の男子について騒いでいる。
[他校の女子C]
「ちょっと待って」
[他校の女子A&B]
「……?」
彼女達の、視線の先には……。
[刹那 五木]
「……」
この男。
[他校の女子C]
「あれ、刹那五木じゃない?」
[他校の女子A]
「あー、サッカー部の奴でしょ。 あれもレベル高いよねー」
[他校の女子B]
「ああ言うのが彼氏にいたら、自分の価値上がりそう!」
[他校の女子A]
「えっ。 でも、遊んでそうじゃない? チャラそ〜、わら」
[他校の女子C]
「確かに! きゃははっ」
女子達が、刹那を見てクスクスと笑う。
[刹那 五木]
(……遊んでないし)
案の定、先ほどまでの女子達の会話は、全部刹那に聞こえている。
刹那はそれを聞いて、あまり良い気持ちではない。
[刹那 五木]
「ちょっとおれ、トイレ行ってくるわ」
[刹那の友達]
「おう」
刹那がそう言って、友達から離れたその時……。
[刹那 五木]
(何も知らないくせに、何が『チャラそう』だよ……おれは昔から、あいつしか……)
[刹那 五木]
「……」
[朝蔵 千夜]
「いた」
──刹那の背後から。
[朝蔵 千夜]
「いーつーきーくん」
つづく……。