──ある、昼の出来事。
[加藤 右宏]
「おッ。 お疲れさーん、ふたりとモ!」
[如月 凛]
「お疲れ様なのです!」
[卯月 神]
「お疲れ様です」
ミギヒロとアリリオ、卯月とリンがそれぞれ合流する。
[アリリオ]
「お疲れ」
この4人は、定期的に
[アリリオ]
「んーっと、それで? なんか君の彼女、全然働いてくれないんだって?」
アリリオの言い方だと、大空がまるでニートかの様な扱いだ。
[卯月 神]
「はい……朝蔵さん。 それはもう、たくさんの男性にアプローチされてると言うのに。 全く、
[アリリオ]
「良いことじゃん」
『彼氏いるなら、その振る舞いが普通じゃね?』……と言うツッコミは、今はナンセンスです。
ちなみに……地の文で語られているのは、ナレーターのひとり言、だと思っといて下さい。
[加藤 右宏]
「ナーんにも、良くないんだぞゾ! おかげでお話が、ゆっくりにしか動かなイ!! いつ親父にバレるか、気が気じゃないんだゾ!!」
[アリリオ]
「確かにね……。 ソラ様
[卯月 神]
「は、はい、まあ……」
アリリオに、焼肉のことを突っ込まれた卯月は、気まずそうだった。
[加藤 右宏]
「なにッ!? なんで、オレ様を誘わないんだゾ!?」
[卯月 神]
「あの時は……って! その前に、貴方は1年生でしょう? あの時集まってたのは、2年生だけですから」
[卯月 神]
「そんなのはなァ! 『友達、誘って良い?』……的な感じデ、上手く言えヨ!」
食い意地の張ってるミギヒロは、卯月に無茶振りをする。
[卯月 神]
「そんな余裕ありませんでしたよ……」
[アリリオ]
「大変だったんだね」
アリリオが、卯月の肩を持つ。
[如月 凛]
「ですから! 私達も、ずっとここには居られません……もしこれが、大神様にバレたら……」
怯えたリンが、胸を押さえた。
[卯月 神]
「リンの言う通りです。 焼肉の話は、もう良いです。 のんびりしている暇はありません」
[アリリオ]
「うーん。 なんか、出来ることある?」
[如月 凛]
「なんか、お得意の
[加藤 右宏]
「アハハ! アリリオはそう言う
ミギヒロとリンは、変なテンションになっている。
[アリリオ]
「うーん、そうだなぁ……」
[如月 凛]
「……?」
アリリオが考えている横で、リンがある存在を見つける。
[如月 凛]
「あれっ? あれ、ソラ様じゃないですかー?」
リンが、道を歩く大空を見つける。
[アリリオ]
「およ?」
[卯月 神]
「あー」
[加藤 右宏]
「あぁ……あの卑屈そうな後ろ姿は、大空ダ」
4人が、大空の後ろ姿を捉える。
大空がひとりで本屋に入って行く……。
[如月 凛]
「あっひゃ……本屋さんのほうに、入って行かれましたね?」
[加藤 右宏]
「あいつ、漫画大好きだからナ〜」
[アリリオ]
「本……閃いた!」
アリリオの頭上に、豆電球が浮かび上がる(※イメージです)。
[卯月 神]
「……? な、何か思い付きました?」
[アリリオ]
「まずは……『何も書かれてない本』を用意します」
いつの間にか、アリリオの手には真っ白な本がひとつ。
[卯月 神]
「待って下さい、アリリオさん。 そんな物、当たり前にどこから……?」
[アリリオ]
「あぁ……アサクラソラは、恋愛をしたくなーる、したくなーる……」
アリリオが、謎の呪文を唱えだす。
[卯月 神]
「??」
アリリオ以外の3人は、アリリオの作業が終わるまで待っている。
[アリリオ]
「出来たよ。 彼女が、恋愛したくなる本。 名付けて……『恋愛経験の無い女は、将来絶対失敗する!』と言う、書物」
[加藤 右宏]
「オー、なんかすっげぇじゃン! でかした、アリリオ! オレらから、アイツへのバースデープレゼントだな!」
ミギヒロは嬉しそうに、本へと手を伸ばした。
[アリリオ]
「もちろん、タダで売るつもりは無いよ」
[加藤 右宏]
「ドゥワワッ!」
アリリオに
[如月 凛]
「おっと……」
バランスを崩したミギヒロを、リンが胸で受け止め抱き締める。
[卯月 神]
「彼女から、お金を取るんですか……?」
[アリリオ]
「うん。 この世界の本の相場、ってどんな感じなの? いくらが良いかな、大天使リン様?」
アリリオが、リンに話を振る。
[如月 凛]
「あっ! そう言えば私、思い出しました! ニッポンは昔……千円札、五千円札、一万円札の他に、二千円札と言う物があったって! 2000円! 2000円にしましょう!!」
リンが、ピースサインをしてそう答える。
[アリリオ]
「じゃあ、2000で手を打とうか」
[卯月 神]
「……高い」
……。
[朝蔵 大空]
「今日は良いやぁ……」
孤独な私は、ひとりで本屋に来ていた。
でも、特に面白そうな漫画は無かったので、何も買わずに店を出た。
他に寄りたい店も無いし、今日はもう家に帰ろう……。
[変装したアリリオ]
「寄ってらっしゃい、見てらっしゃーい」
[朝蔵 大空]
「……?」
こ、こんな所で出店やってる……。
怪しい、けどちょっと見てみよっかな?
[朝蔵 大空]
「おぉ……」
たくさん並んだ雑貨の中に、一つ気になるタイトルの本があった。
[朝蔵 大空]
「……『恋愛経験の無い女は、将来絶対失敗する!』……?」
私はそのタイトルの本を、とりあえず手に取ってみる。
[変装したアリリオ]
「あ! それ、2000円です」
[朝蔵 大空]
「あ、はい」
結構高い……でも、なんか凄く気になる。
こう言う "
[変装したアリリオ]
「それ、買わないと " 損 " だよ〜」
[朝蔵 大空]
「……」
[変装したアリリオ]
「もう、残り一つしか無い " 一品もの " だよ〜」
買おう。
[朝蔵 大空]
「すみません、これ下さい」
私は、お財布の紐を開ける。
チャリーン☆
[加藤 右宏]
「おー、オイオイ! 買った、買った! アイツ買った!!」
[卯月 神]
「さすが悪魔。 悪びれることも無く、売り付けましたね」
[如月 凛]
「恐れ多いです。 元、敵種族……」
……。
ざわざわ……ざわざわ……。
[刹那 五木]
「……なに、君達」
ざわざわと、賑やかな
[刹那 五木]
「人の教室に、大勢でやって来て……」
[嫉束&笹妬&狂沢&巣桜&木之本&文島]
「「「「…………」」」」
総勢6名が、自席に座っていた刹那の前に立つ。
[刹那 五木]
「え。 で、何? 黙ってられちゃ、怖いんだけど?」
長いこと無言だった6人に、刹那は本気で焦る。
[狂沢 蛯斗]
「貴方は、何も焦らないですか?」
「刹那 五木」
「いや……だから、焦ってるよ? 皆で来られて、困ってるよ? おれは、今……君達に、恐怖を感じている!」
[嫉束 界魔]
「それよりさ! 刹那くん、あの1年やっつけてよ!!」
嫉束が真剣な眼差しで、刹那にそう訴え掛ける。
[刹那 五木]
「ん!? 何?」
[狂沢 蛯斗]
「原地くんのこと、です」
[刹那 五木]
「あぁ……その子のことなら。 おれらの教室でも結構、話題にはなってるよ」
やっと話が読めて来た刹那は、後ろ頭を掻く。
[文島 秋]
「彼、なかなか
[木之本 夏樹]
「おい」
余計なひと言を言う文島に、木之本はプチおこ。
[巣桜 司]
「ぼく、あの人苦手です! 怖い!!」
[笹妬 吉鬼]
「俺もちょっと、関わるのは遠慮したいかな……面倒臭そうだし」
この問題に、消極的な笹妬と巣桜。
[狂沢 蛯斗]
「あの人と話してると、もーっ!! ほんっと、イライラします!」
[嫉束 界魔]
「分かる!! ……もう、頼れるのが君しかいないんだよ! 助けて、刹那マンー!」
再び6人の視線が、刹那へと向けられる。
[刹那 五木]
「そう言われてもー。 おれも正直、勝てる自信無いよ〜」
[狂沢 蛯斗]
「なんですか。 肝心な時に、役に立たないですね」
[嫉束 界魔]
「この陽キャ! サッカー部!」
狂沢と嫉束が、刹那を罵倒する。
[刹那 五木]
「それは、悪口になってないと思う……分かったよ、ちょっと行って来る」
仕方無いと言わんばかりに、刹那が席から立ち上がる。
[木之本 夏樹]
「おー! 見直したぞ、刹那!」
[文島 秋]
「うんうん。 やっぱり、こう言う時に頼りになるよね」
[巣桜 司]
「凄いです! 刹那くん……!」
[笹妬 吉鬼]
「やってくれ、刹那」
次々と、刹那のことを褒めだすその他。
[刹那 五木]
「そ、そう? もーう、本当にしょうがないんだから、君達……」
刹那は褒め言葉を真に受け、嬉しそうにニヤついてしまう。
[狂沢 蛯斗]
「分かったなら、早く行って下さい」
[嫉束 界魔]
「早くして!!」
[刹那 五木]
「は、はいはい」
刹那は小走りで、教室から出て行く。
……。
[刹那 五木]
(とりあえず、1年の教室に来てみたけど。 あの子の教室、どこだ? それも知らずに、来ちまった……)
[原地 洋助]
「……」
1年3組の教室を覗く、刹那の背後に……原地。
[原地 洋助]
「……通って良いですか?」
[刹那 五木]
「居たっ!」
[原地 洋助]
「……?」
刹那が、原地と向き合う。
[刹那 五木]
「原地くん、だよね? 突然ごめん、ちょっと話があるんだけど。 一緒に来てくれるかな?」
[原地 洋助]
「は? 嫌ですけど?」
機嫌の悪い原地は、いつもより低い声できっぱり断る。
[刹那 五木]
「!?」
[刹那 五木]
(うわ、ほんとにクソガキじゃん……)
[原地 洋助]
「どうせ。 大空先輩に近付くな、とかそんなんでしょう?」
[刹那 五木]
「いや、そうとは言わないけどさ……」
強気な原地に対して、タジタジの刹那。
[刹那 五木]
(こ、
[原地 洋助]
「って言うか、他の先輩方も。 自分らが
[刹那 五木]
「……」
今の原地の言葉が、刹那の地雷を踏んだ。
[刹那 五木]
「……お前。 どうせ大空のこと、なんも知らないんだろ?」
次の瞬間、刹那の声もワントーン低くなる。
[原地 洋助]
「なんですか、いきなり? 怖いんですけど」
態度急変した刹那に、原地はまともにビビってしまう。
[刹那 五木]
「君も、行動改めないと。 いつか、取り返しのつかないことになるよ。 それだけは、覚えといたほうが良い」
[原地 洋助]
「はぁ? ボクの何を改めろ、って言うんですか?」
原地は、負けずに反抗しようとする。
[刹那 五木]
「全部だよ、君の全部。 でないと……」
[原地 洋助]
「ば、馬鹿にしてますか?」
[刹那 五木]
「
[原地 洋助]
「っ……」
刹那の圧に、原地は言葉を詰まらせてしまう。
[刹那 五木]
「はい。 今回はそれだけ、それじゃ」
[原地 洋助]
「あ、ちょっと……」
刹那は冷たい表情のまま、原地から背を向けた。
[原地 洋助]
「チッ」
刹那の背中を見ながら、小さく舌打ちをする原地であった。
[刹那 五木]
「言い過ぎたかな」
[刹那 五木]
(カッとなって、説教みたいなことしちゃった……まぁ、これでちょっとは反省してくれると良いんだけど)
……。
[朝蔵 大空]
「〜♪」
席で読書をしている大空。
[永瀬 里沙]
「何、読んでんのー?」
そこに里沙が、前から話し掛ける。
[朝蔵 大空]
「あっ……」
[永瀬 里沙]
「なんの本? それ」
[朝蔵 大空]
「里沙ちゃん」
[永瀬 里沙]
「んぁ?」
[朝蔵 大空]
「ダブルデートしよう!」
大空は、瞳を輝かせて宣言する。
つづく……。