悲恋の大空   作:暴走機関車ここな丸

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第10話「偏愛初心者」後編

[朝蔵 大空]

 「ダブルデートしよう!」

 

 

 

 私って案外、影響されやすい人間なんだなぁ〜、って思う。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「『ダブルデートしよう!』って、言われても……」

 

 

 

 里沙ちゃんは、大きく息を吸い込んだ。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「私! 今、彼氏いないんだってばーー!!」

 

 

 

 唾が天井に届く勢いで、里沙は叫んだ。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「大丈夫! 里沙ちゃん!」

 

 

 

 嘆く里沙ちゃんを落ち着かせる為、私はグッドポーズをした。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「な、なんなの、その手は……何が大丈夫なのよ?」

 

 

[朝蔵 大空]

 「私、見つけたの! 里沙ちゃんに、相応しい相手!」

 

 

 

 " あの子 " なら……きっと里沙ちゃんも、認めてくれるはず!

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「私に、相応しい相手? って、誰のことよ?」

 

 

[朝蔵 大空]

 「あのね! 1年生の、仁ノ岡塁くん! 知ってる?」

 

 

 

 得意げに話してる私は、つい最近彼の存在を知ったんだけどね。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「仁ノ岡、塁くん……? はぁ、聞いたこと無い名前ね」

 

 

 

 里沙ちゃんが、カバンをガサゴソと漁りだす。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「ね! 同じ学校なのに。 あんなにカッコ良い男子がいるって、どうして気付かなかったんだろー!?」

 

 

 

 あの顔面なら、嫉束くんみたいに……。

 

 

 ファンクラブのひとつや、ふたつあってもおかしくないのにね。

 

 

 あれ絶対、1年王子(トップ)でしょ!

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「……? この学校のイケメンなら、全員把握してるつもりだったけど……あれぇー?」

 

 

 

 里沙ちゃんはとてもとても分厚い、自作のイケメンノートを……。

 

 

 (ふところ)から取り出し、パラパラと(めく)りだす。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「中学の時から、書き溜めてたよねー。 それ……」

 

 

 

 里沙ちゃんが持っている本には、過去のイケメンについての情報が、たくさん書き記されている。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「あれれー、どこにも載ってないぞー」

 

 

[朝蔵 大空]

 「まあ。 聞くより、見るのが早いよ! 行こ行こっ!」

 

 

[永瀬 里沙]

 「あちょ、行くってどこよー?」

 

 

 

 私達ふたりは、急いで1年生の教室に向かった。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「その子、1年って言ってたわよね? クラスはどこ? 知ってんの?」

 

 

[朝蔵 大空]

 「分かんない! でも、顔は覚えてる。 すっごくカッコ良いから、見れば分かるよ」

 

 

 

 こうなったら……よし、クラス1個ずつ覗いて回ろう。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「あれー、朝蔵先輩?」

 

 

 

 杖をついた不尾丸くんが、1年2組の教室から出て来る。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「あ、君は……」

 

 

 

 不尾丸くんか……なんか久し振りに見たな。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「()()なら、3組だけど? 呼んであげようか?」

 

 

 

 ゲゲッ……洋助って確か、原地くんのことだよね。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「そ、その子に用事はありませんが」

 

 

 

 誰があんな危険な子に、自分から会いに来るもんですか!

 

 

 

[不尾丸 論]

 「ふぅーん?」

 

 

 

 なんなんですか、その物言いたげな表情は……。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「そぉーう言えば、あの子。 最近、あんま絡んで来なくなったわよねー。 大空、寂しいんじゃな〜い?」

 

 

 

 里沙ちゃんの言うとおり。

 

 

 数日前まで、毎日の様に付きまとって来た原地くんが、私達の教室にも来ないし。

 

 

 朝登校する時も、放課後も、彼の姿を見ない……。

 

 

 おかげで、今は平穏な日々を過ごせている。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「……」

 

 

[不尾丸 論]

 「先輩〜?」

 

 

 

 聞く話によれば、狂沢くん達が色々注意をしてくれたらしい。

 

 

 原地くんも、素直にその注意を聞いたんだね。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「そそ、そんなことより! 不尾丸くん、仁ノ岡塁くんって子、知らない? 今、探してるんだけど……」

 

 

[不尾丸 論]

 「……!」

 

 

 

 私の言葉を聞いた不尾丸くんが、眠そうだった目を見開く。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「……?」

 

 

 

 不尾丸くんのこんな冴えた目、初めて見た。

 

 

 眠そうな顔しか、見たことが無かったから……。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「なんであんたの口から、塁の名前が出てくるの? あんたが塁に、なんの用があるって言うの……?」

 

 

 

 不尾丸くんの雰囲気が、また変わった。

 

 

 彼は声を震わせながら、私に問い掛けてくる。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「用? 用、って言われると……」

 

 

 

 うーん、用ね……。

 

 

 なんて言えば良いんだろ?

 

 

 『ダブルデートの相手になってほしい』……とか?

 

 

 いや……何も知らない不尾丸くんからしたら、意味不明でしょう。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「てか、どうやってあいつの存在を……学校にも滅多に来ないのに」

 

 

 

 え、仁ノ岡くんってまさか……登校拒否(そう言う子)

 

 

 でも、この前の文化祭の時には、間違い無く学校に来てたよね。

 

 

 あの時会えたのは、奇跡?

 

 

 喫茶店で働く彼の姿は、とても真面目そうだった。

 

 

 それなのに仁ノ岡くんってば、意外と不良?

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「えっ! 来てないの?」

 

 

[永瀬 里沙]

 「だから私の、スーパーウルトライケメンスペシャルファイルにも、掲載されてなかったんだ……」

 

 

 

 うーん、不良属性が里沙ちゃんに刺さるのか、どうか……。

 

 

 なんか、不安になってきた。

 

 

 学校に来ないんじゃ、仲良くなれないし、里沙ちゃんに紹介することすら出来ない!

 

 

 完全に詰んだ、ゲームオーバー!!!

 

 

 

[不尾丸 論]

 「……?」

 

 

 

 あの時、喫茶店で会ったのもきっと奇跡だ。

 

 

 ……ん? いや、奇跡じゃない。

 

 

 バイト先なんだから、また働きに来るに決まってる。

 

 

 つまり、仁ノ岡くんとはあそこで会える!

 

 

 よし、今日もいちごミルクを飲みに行こう!!

 

 

 

[不尾丸 論]

 「それで……なんで塁に」

 

 

 

 今度は、里沙ちゃんと一緒に!

 

 

 

 

 

 キーン♪ コーン♪

 

 

 カーン♪ コーン♪

 

 

 

 

 

 授業開始のチャイムが鳴る。

 

 

 次の授業は理科……やばい、移動教室なの忘れてた!!

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「ごめん、ありがとう! じゃあね! お身体(からだ)に、気を付けて!」

 

 

 

 私は、不尾丸くんとの会話を中断させた。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「あっ! ちょっと、待って大空〜!!」

 

 

[不尾丸 論]

 「……」

 

 

 

 大空達が去った後、不尾丸の表情が曇ることになる。

 

 

 

[不尾丸 論]

 (あの人……どう言うつもりなの?)

 

 

 

 ……。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「はぁはぁ……ごめん。 ちょっと部活、長引いた……」

 

 

 

 部活を終えた、里沙ちゃんの髪は半乾きだった。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「いいよ、早く行こう!」

 

 

[永瀬 里沙]

 「わ……私、こんな髪濡れてるけど大丈夫かな」

 

 

[朝蔵 大空]

 「そんなの走ってれば乾くっ! 行こうっ!」

 

 

 

 放課後、私は部活を終わりの里沙ちゃんを連れて。

 

 

 また、例の喫茶店に行ってみることにした。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「えっと、仁ノ岡くんは……」

 

 

 

 私達は店に入るなり、席に座って周囲を見渡す。

 

 

 もちろん、注文そっちのけで。

 

 

 周りの店員は、私達を怪しむ様に見てくる。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「うーん、店員。 皆、顔面偏差値65って、感じじゃない? 正直、微妙〜。 私は、1千万(いっせんまん)を期待して来たんだけど」

 

 

 

 そんなこと、まあまあ大きな声で言わないでよ、里沙ちゃん……。

 

 

 

[如月 凛]

 「あ! ソラ様! いらっしゃってたんですね!」

 

 

 

 すると、厨房のほうからリンさんが出て来た。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「あぁ、リンさん」

 

 

 

 リンさん、ちゃんと働けてるようで良かった。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「いたっ! いつしかの、1千万!!」

 

 

 

 里沙ちゃんが、勢い良く立ち上がったかと思えば、リンさんのほうに指をさした。

 

 

 

[如月 凛]

 「およ?」

 

 

 

 リンさんは、指をさされてキョトンとしている。

 

 

 里沙ちゃん、この人は違う!!

 

 

 人じゃないけど! 天使だけど!

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「あの! 前に、うちの学校に来てた人ですよね?」

 

 

 

 思い出せば里沙ちゃん、一時期は一度見ただけのリンさんに、夢中になってたね。

 

 

 確かに、リンさんはパッと見……凛として見える、『凛』だけに。

 

 

 でも、この人全然クールじゃないんだよ!

 

 

 ものすごーく、お馬鹿なんだよ!!

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「あ、あの里沙ちゃん……」

 

 

 

 里沙ちゃん、貴女のタイプには当てはまらないと思う。

 

 

 

[永瀬 里沙]

 「大空! 私、この人とデートしたい!!」

 

 

[朝蔵 大空]

 「えぇ〜?」

 

 

[如月 凛]

 「〜?」

 

 

 

 リンさんは私の横で、ただ困惑している。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「ごめんなさい、リンさん。 仁ノ岡くん、今日居ないですか?」

 

 

[如月 凛]

 「えっ、ルイ様? ルイ様なら今日は、シフト入ってなかったと思いますけどー」

 

 

 

 マジかー……。

 

 

 無駄足だった。

 

 

 ……。

 

 

 

 

 

 ガチャ。

 

 

 

 

 

[不尾丸 論]

 「ちょっと良いー?」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……ノックをしろ」

 

 

 

 仁ノ岡は机に向かい、教科書を開いてシャープペンシルを動かしている。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「あ、ごめんごめん。 でも良いじゃん、オレらの仲じゃん。 昔はよく一緒に、お風呂にも入ってたしぃ……」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「それで、なんの用だ」

 

 

 

 仁ノ岡は不尾丸の言葉を無視し、ペンを持つ手を動かしながら、要件を聞き出す。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「……2年の、朝蔵先輩って分かるでしょ?」

 

 

 

 一旦手を止めた仁ノ岡が、不尾丸の話を聞こうとする。

 

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……? あぁ、知っているが? それがなんだ?」

 

 

[不尾丸 論]

 「今から、重要なことを言うね。 1回しか言わないから、ちゃんと……」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「早く言え」

 

 

[不尾丸 論]

 「……その先輩が、何故か。 お前に会いたがってる」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「えっ」

 

 

 

 不尾丸の思いも寄らない言葉に、仁ノ岡は声を出しながら、後ろを振り返る。

 

 

 

[仁ノ岡 塁]

 (あの女が、俺に……?)

 

 

[不尾丸 論]

 「オレの知らない内に。 お前と先輩の間に、何かあったみたいだけど?」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「何が言いたい?」

 

 

[不尾丸 論]

 「あの先輩は、洋助のものだから。 手、出しちゃダメだよ」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「そんなのは知っている」

 

 

 

 冗談を言う不尾丸に、仁ノ岡は冷たく返す。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「てーか……塁にはオレだけ、でしょ?」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……」

 

 

 

 仁ノ岡は再度ペンを持ち、机の上のノートに視線を移す。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「……塁」

 

 

 

 ゆらゆらと近付いて来た不尾丸が、仁ノ岡の背中にピタッとくっ付く。

 

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「っ……! 気色悪いぞ!」

 

 

 

 

 

 ドンッ……!!

 

 

 

 

 

 立ち上がった仁ノ岡が、不尾丸を突き飛ばした。

 

 

 不尾丸は、壁際へと倒れ込む。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「うっ」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……あぁっ! 論!!」

 

 

 

 『やり過ぎた』と自覚した仁ノ岡が、心配して不尾丸に駆け寄る。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「あっ、久し振りだ。 名前で、久し振りに……呼んでくれた」

 

 

 

 不尾丸は喜ぶ様な笑みを、小さく零す。

 

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「ごめん、ごめんっ……」

 

 

[不尾丸 論]

 「……いいよ」

 

 

 

 不尾丸は息を整えつつ、立ち上がろうとする。

 

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……」

 

 

[不尾丸 論]

 「その……先輩のことだけど、良い人だと思う」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……良い人」

 

 

[不尾丸 論]

 「うん……」

 

 

 

 不尾丸が、仁ノ岡の机を見る。

 

 

 そこには、たくさんの勉強道具が広げられていた。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「偉いよな、お前は。 天才なのに、努力も怠らないなんて」

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「ん、まあ……」

 

 

[不尾丸 論]

 「学校……もっと来てほしい、オレも」

 

 

 

 仁ノ岡は、不尾丸の切実な眼差しに、応える様に真っ直ぐ見つめる。

 

 

 

[不尾丸 論]

 「お前のこと、理解してくれる人が絶対いるから。 ね、お願い……」

 

 

 

 不尾丸が、仁ノ岡の手を大事そうに握る。

 

 

 

[仁ノ岡 塁]

 「……ありがとう、ごめん」

 

 

 

 

 

 バンっ!!

 

 

 

 

 

[原地 洋助]

 「おい、塁!! 脱いだモン床に置くな、つってんだろ!!」

 

 

[不尾丸&仁ノ岡]

 「「あっ」」

 

 

 

 身を寄せ合うふたりを、部屋に入って来た原地が発見する。

 

 

 

[原地 洋助]

 「何やってんの?」

 

 

 

 ……。

 

 

 ──その夜、SFC会議が開かれた。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「今日の議題は……」

 

 

 

 

 

 ドドドドド……。

 

 

 

 

 

 どこからか、ドラムロールが流れる。

 

 

 やがて大きなスクリーンに、大空の姿が映し出される。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「通称、『魔性の女』……朝蔵大空さんについて、です!!」

 

 

 

 スクリーンに視線が、一斉に集まる。

 

 

 

[女子A]

 「劇では、確かに良いものが見れた。 でも!」

 

 

[女子B]

 「許せない! ひとりで校内のイケメンを、独占するなんて!」

 

 

[女子C]

 「2年のS級イケメンは、みーんなこの子が取っていっちゃったわ!」

 

 

 

 いつの間にか、陰で増殖していた大空アンチが、次々と叫び散らかす。

 

 

 

[剣崎 芽衣]

 「か、可愛いもん! モテて当然……」

 

 

 

 大空に同情した剣崎が、気を利かせて庇おうとする。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「ご存知ですか、ミス剣崎」

 

 

[剣崎 芽衣]

 「は、はい?」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「1年……1組の、仁ノ岡塁氏。 2組の、不尾丸論氏。 3組の、原地洋助氏」

 

 

[剣崎 芽衣]

 「だ、誰〜……?」

 

 

 

 杉崎に名前を聞かされても、剣崎は誰のことだか分からない。

 

 

 

[女子D]

 「仁ノ岡塁、って?」

 

 

[女子E]

 「ほら。 あんまり学校来ない、レアイケメンの子だよ」

 

 

[女子F]

 「あー。 あの子もめっちゃ、カッコ良いよね〜」

 

 

[剣崎 アンジェリカ]

 「私は、予言します。 この3名……近い内に、朝蔵大空に夢中になるでしょう!!」

 

 

 

 根拠も無く、宣言する杉崎。

 

 

 

[剣崎 芽衣]

 「何言ってるのアンちゃん……?」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「……それでは、これで会議を終わりにしたいと思います。 皆様、お気を付けてお帰り下さいませ」

 

 

[女子G]

 「お疲れっした〜」

 

 

 

 杉崎の掛け声で、ぞろぞろと帰って行く会員達。

 

 

 

[剣崎 芽衣]

 「か、勝手に終わらないでよ〜」

 

 

 

 そうして……剣崎と杉崎以外、誰も居なくなった部屋。

 

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「ん〜〜〜〜っ、芽衣っっ!!」

 

 

[剣崎 芽衣]

 「!?」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「皆の前でその呼び方辞めて、っていつも言ってるでしょー!!」

 

 

[剣崎 芽衣]

 「アンちゃん?」

 

 

[杉崎 アンジェリカ]

 「それ! 恥ずかしいから、やめてほしいのに〜!」

 

 

[剣崎 芽衣]

 「あはは、ごめん」

 

 

[剣崎 芽衣]

 (アンちゃん可愛いなぁ)

 

 

 

 その頃の大空……。

 

 

 

[朝蔵 大空]

 「はっっっくしゅっ!! やば、風邪ひいたかなー」

 

 

 

 

 

 「偏愛初心者」おわり……。

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