転生ハンターがダンまちをモンハン世界だと間違っているまま黒竜を狩る話 作:シャリ
ハンターが世界観を勘違いしてから二ヶ月後。
彼は探索としてマップの端から埋めていると、オラリオがある大陸の果てに辿り着いた。
大樹海の秘境『エルソスの遺跡』
遺跡には巨大なサソリ型モンスターが住み着いている。
モンスターの名はアンタレス。
古い時代から生き、成長を重ねてきたアンタレスは身体の硬さに自信がある。
これまで何十、何百という戦士が剣を振るい、槍を突き、斧を叩きつけてきた。
どれも無駄だった。
刃も打撃も全て弾き返し、ただ音を響かせるだけ。
魔導士が放つ炎や雷、毒の霧ですら、外殻に阻まれてダメージが通らない。
攻撃を無力化して人間に等しく死を与える強さを持ちながらも、アンタレスには野望がある。
それは自分の身体に……神を取り込むという行為。
通常のモンスターならば身体の方が神の力に耐えきれず自壊する。
対して自分ならば問題なく神を糧にできると考えている。
火力よりも耐久性を意識して成長を繰り返した理由でもある。
神の途方もない力を耐え抜き、適応し、己のものにできれば火力不足など一瞬で解決する。
世界を思うがままに破壊できるはずだと。
大きな野望と圧倒的な硬度を持つアンタレス。
無敵感に満たされ、己に酔いしれているモンスターだが……。
今日、生まれて初めて恐怖を知ってしまう。
遺跡に獲物がやってきた。久しぶりだ。
銀の軽鎧を着た男が双剣を背に装備し、軽やかな足取りで自分の領域に踏み入ってきた。
まるで、こちらを「良い獲物」とでも言いたげに楽しそうな笑みを浮かべて。
戦いを開始する。
まず、巨大な鋏で挟み潰そうと突進した。
人間は軽くかわし、逆に側面に滑り込む。
抜いた双剣が閃く。
ガキンッ!
いつもの硬い音。
自慢の甲殻がバカな人間の刃を弾く。
あとは攻撃が通らないと動揺する相手を殺すだけで済む。
何度も繰り返してきた、定番の流れ。
……だというのに人間は、生意気にも諦めた目をしていなかった。
二振りの剣を頭上で交差させた瞬間、なにやら赤い光が人間の身体を覆う。
愚かにも再び刃を甲殻に振るってきた。
──ッ!?
痛みだと!?
咄嗟に攻撃を振るうも、避けられる。
人間が双剣を高速で乱舞させる。
何故だ!
刃が触れる度にガキンと弾いた時と同じ音が鳴っている!
なのに、刃が身体を通っている!!
どうにか振り払うように攻撃を繰り出しても、隙をついては双剣を叩き込んできた。
さらに、攻撃を受け続けていると別の鋭い痛みが身体の中から生じる。
これは……毒だ!
あの刃の表面から不思議と甲殻を貫いて浸食していた。
毒によってジワジワと命を削られている苦痛……!
怒りに身を任せて攻撃を乱打して、どうにか人間に当たった。
すぐに立ち上がってきた。何かを飲み込んだ途端に回復している様に見える。
戦いの中で、自分だけがダメージを負っている。
こんなはずではなかった!
長く生きてきた中で、初めての感覚。
勝てるイメージが浮かばない。
死が近づいている。
恐ろしい。
…………逃げなければ!
尾を地面に叩きつけて大量の砂塵を巻き上げた。敵の視界を遮った隙に背を向ける。
入り組んだ遺跡の奥深く、自分以外は誰も知らない最深部の巣へと全力で退散する。
痛みでよろめく身体を必死に動かし、暗闇の奥へ、奥へ。
ようやく辿り着いた自分の寝床。
冷たい石の上で身体を丸め、呼吸を整えた。
……痛みがまだ引かないが、時間をかければ回復できる。
あの人間も、自分がいる場所なんて分かるはずもない。
とにかく回復に努めるべく、眠りについた。
アンタレスが睡眠してから、時間があまり経たないうちに一人の男……ハンターが巣に現れる。
彼は自分だけが確認できるミニマップに映るモンスターのアイコンを追って、巣に該当するエリアへ辿り着けていた。
アンタレスが眠っている様子を確認する。問題なしと判断。
音を立てないように忍び寄った。
顔の前に、人間の身体よりも大きなタルを置く。
【大タル爆弾G】
タルの中にぎっしりと爆薬を詰めた対モンスター用の爆弾だ。破壊力はバツグン。
もう一つ追加で置き、二つの大タル爆弾Gが並ぶ。
ハンターが満足げに頷き、距離を取る。
それから、足元にある石ころを手に取り……タルに向かって投げた。
石ころが当たって爆弾が起爆。
尋常ではない爆音と爆炎と衝撃が発生。
巣の静けさに中指を突き立てるファックサインをかました。
爆発による大ダメージを受けると共にアンタレスが目を覚ます。
「!?」
アンタレス視点だと眠りから起こされた強い痛みの理由が分からない。
巣の場所を知らないはずのハンターが目の前にいるのも訳が分からない。
「!!!!?」
恐怖と睡眠爆破による、精神的かつ肉体的な瀕死。
弱りきった状態では抵抗も叶わず……双剣に斬り刻まれて力尽きてしまった。
「すげー硬かったなぁ。武器の弾きっぷりにMHPのイャンガルルガ思い出したわ」
ハンターは上機嫌で毒双剣デュアルタバルジンを納刀し、魔石と素材を拾ってメニューを開く。
内容を見て口角を上げる。
「よっしゃ、こいつの魔石と素材で鉄壁珠が作れるな。しかもG級装備の生産もできる! G級の素材と装備はまだ少ないから助かる。他の強いモンスターの素材も集めないとな〜。ミラボレアスが相手なら全身G級にしておきたいし」
加工屋メニューやアイテムボックスを眺めつつ、癖になっている独り言を続ける。
「ダンジョンとやらに行けば素材面は解決できそうだが……ミラボレアス探しのついでに素材も集める方が結果的には効率が良い。大型を狩ればオマケで地上も平穏になるしな。まさに一挙両得。このままのスタンスでいいや」
メニューを閉じ、アンタレスの巣だった遺跡の中を見渡す。
「とりあえず採取と採掘しまくってから他所に行こう! さびた塊とか出ないかな~」
恐怖!寝室を見つけて寝起きドッキリを仕掛ける男!
・モンハンの毒
古龍にも通用するし、クシャルダオラは風を纏えないほど効くし強さがあっていいよね。
状態異常の蓄積は弾かれ関係ないのも利便性がある。
RPGゲームでプレイヤー側が使える毒より強そうな印象。
(そもそもRPGだと自分が使うよりも、敵から毒にされて厄介なイメージあるけど)
・鉄壁珠
ガード性能スキルの装飾品。同スキルの石壁珠よりも要求される生産素材を含めてレア度が高い。
・大タル爆弾G
もしもダンジョン内で使ったら怒られそうな予感。
・アンタレス
事前に退場したので女神アルテミスがファミリアごと生存。
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これまで受け取ったそれぞれは、正直執筆の余裕があんまり無い中で良い励みになってます。
ありがとうございますッ。
あとは、この作品を試しに読んでくれる人が増えるので評価数が伸びてほしいです!!