血しぶきハンター 作:みこみこみー
(人気原作キャラへの攻撃等)
「んん〜〜〜。……うん! 君も合格❤︎ いいハンターになりなよ♣︎」
——見つけた。
「加速」の業で湿地を突風のように駆け抜けてきた貴方は、遠い前方に目的のゴンが立ち竦んでいるのを確認した。
そして彼のすぐ傍には、ヒソカが屈み込んで彼に何か話しかけている。かなり遠回りする羽目になったが、どうやら間に合ったらしい。
何故襲われていないのかは分からぬが、狂人とはどいつも皆気まぐれで理不尽な輩であるし、考えるだけ無駄であろう。
貴方はとりあえず彼等を引き離そうと、『スローイングナイフ』を投擲しながら突撃する。……避けられたが、ゴンから距離は取らせた。
「……!! まさか、キミが来るとはね♠︎ ようやくボクと遊んでくれる気になっ……ッ!?」
ドパアァァァァン!!
禍々しいオーラを迸らせながら喋り出したヒソカに対し、貴方はとりあえず左手に持つ『獣狩りの散弾銃』をぶっ放した。
隙あらばとにかく銃を撃ちつける。対人戦の基本だ。
問答無用、突然の銃撃。
ヒソカは咄嗟に横っ跳びで避けたが、超高速かつ広範囲にばら撒かれる散弾に対応しきれなかった。
左腕の先は半ば吹き飛ばされ、掠った右脚も大きく抉られる。
短銃と同様、貴方の散弾銃の弾1発1発の威力は常人の遥か理外にある。
オーラを一箇所に集めることで防御力を増す「硬」によって、かろうじて急所だけは防いだ様だが、その代償は大きい。
「……ッ!」
ヂュンッ!
間髪入れずに「加速」のステップで接近した貴方は、右手の『仕込み杖』で殴りつけようとする。空気が斬られる鋭い音が響く。
未だ空を跳び、被弾の衝撃とダメージの抜けきらないヒソカの首元へ真っ直ぐ向かうその攻撃。
避けようがなかったはずのそれは、ヒソカがまるで何かに脚を引っ張られるように、彼が先程立っていた方向へ、ビュイン! と急に転回した事で回避された。
相変わらず気色悪い……。明らかに物理法則を無視したヒソカの動きに貴方は引いた。
だが貴方は確かに見た。ヒソカの足から伸びるオーラ糸、その先が地面に繋がっており、オーラ糸がゴムのように縮むことであのように動いたらしい。
サトツの手につけたオーラ糸を思うに、自身のオーラを物へ付着させ、かつ自在に伸縮できる能力のようだ。
なるほど単純だが厄介である。貴方が彼に直接触れるのは避けるべきだろう。
考えながら貴方はまた、地に足をつけた瞬間のヒソカに向けてドパァンと散弾銃を撃つ。着地狩りも基本である。
ヒソカは貴方からかなり距離を取っており、今度の弾は全て防がれてしまう。威力減衰が大きく射程も短いことがこの銃の欠点である。
彼もただではやられない。銃撃を防ぎながらオーラの籠った紙切れを投擲してきた。
数は、4枚。
貴方は超高速のステップでヒソカを追いながら、それら全てを躱してゆく。オーラ糸がある以上、迂闊に受け止めるわけにもいかない。
尋常ならぬ速度で近づく貴方を目撃したヒソカ。
彼は強烈なオーラを身に纏いながら、伸ばしていた右手を手前にぐん、と引いた。
すれば貴方の背後から、先程投げられた紙切れが豪速で戻って来て、次々と貴方へ飛びかかる。オーラ糸が縮められたのだ。
紙切れが投げられた時、それにオーラ糸が付いている事を確認していた貴方。
その手は読んでいたぞとばかりに、背後を見もせず矢継ぎ早に回避した。
次々と避け切る事、4枚。これで全部。
貴方は、ヒソカに杖が届くまであと僅かのところ、そこで猛烈な悪寒を覚えた。
——ビュンッ!!
避け切ったはずの紙切れ。
その5枚目が、貴方の首の頸動脈を目掛けて、再び背後から撃ち飛んできた。
ヒソカは最初の投擲の際、1つだけ2枚重ねで投げつけていたのだ。奇術師とは名ばかりでないらしい。
勘に従い間一髪で躱した貴方であったが、体勢が崩れたその瞬間へヒソカが猛烈な蹴りを放つ。
ッッガキン!!
貴方は杖でギリギリ蹴りを受け止め、弾いた。だが、杖にオーラ糸を付けられてしまった。
貴方は不安定な体勢のまま、即座に左手の散弾銃を動かす。
杖に繋がるオーラ糸越しに、散弾銃をヒソカへ向けた。糸を縮められる前に切らねば。
ドパァンッッ!!
銃は三度目の轟音を打ち鳴らし、杖に付けられたオーラ糸を絶った。
ヒソカは再び、地面に付けていたオーラ糸を縮小させて跳んだ。
既に能力のタネを知っている貴方はそれを予測して偏差を付けて撃ったが、ヒソカはなんと最低限の防御で左肩と左下半身を犠牲に捧げ、貴方の懐へ特攻してきた。
「ソレ、連発できないんでしょ❤︎」
『獣狩りの散弾銃』は短距離での威力と面制圧を得ると引き換えに、大きな反動と連射が効かないという代償を背負った武器である。
撃った直後はどうしても無防備になるのだ。たった二回の銃撃でそれに気付き、あまつさえ利用するとは。
貴方は目の前の狂人が持つ類まれな戦闘センスに感心しつつ、たった今撃った銃の反動を利用して体勢を整えようとする。
特攻するヒソカが、再び紙切れを投擲した。
紙一重で、間に合うか……!
——避けた!
飛んで来た紙切れは貴方の顔スレスレを通り過ぎた。が、至近距離まで近づいたヒソカは、残る右脚に全てのオーラを込める。
そのオーラの濃密さたるや、並の使い手では触れるだけで腕が弾け飛ぶだろう。
血とオーラで赤黒く光ってさえ見えるその右脚で、ヒソカは貴方へ回し蹴りを放った。
貴方の命にすら届きうる、渾身の一撃。
——これも、ギリギリ避けられる……!
……貴方にヒソカの蹴りが届くかという寸前。
そこでヒソカは突如、重心を大きく変え、その場で右足をぐるんと、身体を一回転させるように、怒濤の如く旋回させた。
——これは、蹴りではない……ッ!?
貴方は遅れてヒソカの狙いに気付く。
蹴りの直前に投げられた紙切れ、前回と違いオーラ糸の無いように見えるそれにも、極限まで薄く隠蔽された糸が伸びていたのだ。
間に合うか、分からない……!
もの凄い勢いでグルリと身体を捻ったヒソカ。
その右足の先に繋がるは、剛速で縮むオーラ糸に引かれ、尋常ならぬ速度で旋空する紙切れ。
オーラ糸を伝ってヒソカの持つ全エネルギーを受け取った、その薄っぺらな破壊兵器は、途方もない威力を持って貴方の首元へ。
ッスパン———
それは、僅かに軌道を反れて遠く彼方まで飛んでいく紙切れと。
右脚を膝から完全に断ち切られ地に墜つ、ヒソカの瀕死の姿であった。
対する貴方の右手で勢いよく振り上げられたるは、蛇腹に伸び繋がった鋭利な刃を晒す、鞭の様に変形した『仕込み杖』である。
ヒソカの動きを刹那で読み切った貴方は、絶好のタイミングで杖を変形し、強靭な鞭の刃でオーラ糸と脚を纏めて切り捌いたのである。
糸が切れて制御を失った紙切れはついに貴方へ届かず、そこに残ったのはオーラの殆どを使い果たし満身創痍となった奇術師のみであった。
狩人vs奇術師。
その数分にも満たぬ濃厚な死合は、狩人の無傷の勝利という形で幕を降ろした。
不意撃ち×初見殺しによる勝利です。
まともに正面から行ったら結果は違ったかも知れませんね。
念能力に関しては基本ブラボの狩人の能力が使える感じです。
設定も決まっているので、ちまちま出していく予定です。
『スローイングナイフ』
細かいギザ刃のついた投げナイフ。
大きなダメージが期待できるものではないが、うまく使えば牽制と翻弄に威力を発揮する。
『仕込み杖』
狩人の「仕掛け武器」の一つ。刃を仕込んだ硬質の杖。
仕掛けにより刃は分かれ、まるで鞭のように振るうこともできる。
その癖のある動きと威力の低さは駆け出し狩人には扱い難いが、それをもって余りあるロマン変形に心奪われた狩人は数知れず。