八つの大罪   作:ルルルだ。

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第一期
第1話『第四の壁と、屋根を突き破る赤いヤツ』


「これは未だ人と、人ならざる者の世界が、分かたれてはいなかった、古の物語――」

「ブリタニアの地を絶望の淵に陥れ、王国の守護たる聖騎士たちを敵に回した、荒くれ者共の騎士団。その名は――」

 

「はいストップ! スキップ機能どこ!? もうこのナレーション、24回目だから暗唱できるっつーの!」

 

ニューヨークのどこかにある薄汚れたアパートの一室。

赤いピチピチのスパンデックススーツを着た男、デッドプールことウェイド・ウィルソンは、ソファに寝そべりながら、テレビ画面に向かってポップコーンを投げつけた。

画面の中では、アニメ『七つの大罪』第1期の最終回、第24話のエンディングが流れている。

 

「……いやー、泣けるねぇ。やっぱヘンドリクセン戦は最高だわ。団長、背低いのになんであんなカッコいいわけ? まじでリスペクト。俺も次に映画やるときは、金髪にして背を縮めようかな」

 

手には特大ポップコーンと飲みかけのコーラ。

「さて、読者のみんなも見てたか? 今のは俺の休日の過ごし方だ。え? 『なんでお前が日本のアニメ見てんだ』って? うるせえな、俺だってたまにはマーベル・ユニバースから離れて、ファンタジーの世界で癒されたいんだよ! エリザベスちゃんマジ天使だしな!」

 

画面に向かって(正確には画面の向こう側にいる『あなた』に向かって)ペラペラと話しかけながら、ウェイドがコーラを煽ろうとした、その時だった。

 

『ジ・ジジ……ッ!!』

 

突然、テレビ画面が激しくノイズを走らせ、眩い光を放ち始めた。

「おいおい、なんだよ。まだCパートがあるのに! ケーブルテレビの受信料なら先月払っただろ!? たぶん!」

 

ウェイドがテレビをバンバンと叩きに行った瞬間――画面から物理的な引力を持った『渦』が発生した。

「うおっ!? ちょ、待て待て待て! なんだこのベタな異世界転生の導入は! トラックはどこだ!? トラックに轢かせろおぉぉぉ……ッ!!」

 

彼の叫び虚しく、赤いスーツの男はポップコーンとコーラもろとも、光の渦の中へと吸い込まれていった。

 

 

 

ブリタニア。

小高い丘の上に建つ、移動酒場『豚の帽子』亭。

 

その日の酒場は、荒くれ者の村人たちで賑わっていた。

「へい、おまち! バーニャエール三丁ね!」

金髪の少年のような外見をした店主、メリオダスが、手際よくジョッキをテーブルに置く。

 

「いやあ、店長は相変わらず見た目に似合わずよく働くねぇ」

「それに比べて料理の味は最悪だがな! ギャハハ!」

 

村人たちが笑い声を上げる中、足元でトコトコと歩き回る一匹の豚、ホークが、呆れたように鼻を鳴らした。

「まったく、お前らも文句言うなら残すなよな。俺が残飯処理係だからいいようなものの……ブゴッ!?」

 

その時だった。

 

ドガァァァァァンッ!!

 

突然、酒場の天井が派手な音を立ててぶち破られた。

木材の破片が飛び散り、村人たちが悲鳴を上げて蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。

 

「な、なんだ!?」

「空から何かが降ってきたぞ!?」

 

土煙と木屑の中から、赤い何かが「いてててて……」と呻きながら立ち上がった。

頭の先から足の先まで真っ赤なスーツ。背中には二振りの刀。そして、床にはなぜかポップコーンの残骸と、ひしゃげたアルミ缶(コーラ)が散乱している。

 

「あー……クソ、最悪だ。俺のプリケツが真っ二つに割れたかと思ったぜ。もともと割れてるけど」

 

デッドプールは、首をポキポキと鳴らしながら周囲を見渡した。

戸惑う村人たち。

喋る豚。

そして、カウンターの奥で目を丸くしている、背中に折れた剣を背負った金髪の少年。

 

デッドプールはマスク越しの白い目をカッと見開いた。

そして、いきなりあなた(読者)の方を向いて指を差した。

 

「おいおいおいおい! マジかよ! これ、あれじゃん! アニメの第1話のセットじゃん! 嘘だろ、俺、ガチで画面の中に入っちゃった系!? 読者のみんな、見てる!? 俺、今『豚の帽子』亭にいるぞ!!」

 

「……あー、お客さん?」

 

一人で虚空に向かって興奮している不審な男に、メリオダスが平然とした声で話しかけた。

 

「屋根の修理代、高くつくから払ってもらうよ? あと、うちの店では一人で喋る変わった客も歓迎だけど、他のお客さんを驚かせないでくれるかな」

 

「だ、団長ォォォ!!」

 

デッドプールはものすごい勢いでメリオダスに駆け寄ると、両手で彼の手をがっちりと握りしめた。

 

「生メリオダスだ! やべえ、画面で見るよりちっちゃい! なになに、これから錆びた鎧着たエリザベスちゃんが来るの!? うおおお、カメラカメラ! スマホどこやった俺!?」

「……お前、俺のこと知ってんの?」

 

メリオダスの目が、ほんの一瞬だけ細められた。

口元にはニシシといういつもの無邪気な笑みを浮かべているが、その瞳の奥には、得体の知れない相手への静かな「観察」の光が宿っていた。

 

「知ってるも何も! 大ファンだよ! 俺、さっきお前のヘンドリクセン戦の勇姿を最後まで見届けてきたばっかなんだから! いやー、あの『リベンジ・カウンター』、まじで鳥肌立ったわ!」

 

「……へえ」

 

メリオダスの動きがピタリと止まった。

『ヘンドリクセン』という名前に反応したのだ。

 

「……おい、お前」

足元から、ホークがプンプンと鼻息を荒くしてデッドプールを睨みつけた。

「どこの馬の骨だか知らねえが、いきなり屋根をぶち破ってきて、店主相手に意味不明なこと言ってんじゃねえぞ! あと、床に散らかってるこの白いフワフワしたやつ(ポップコーン)、食えねえじゃねえか!」

 

「おっ、喋る豚! ホークじゃん! 生ホーク! 残飯処理騎士団団長! いいかホーク、お前、最終回で一回死ぬけど生き返るから安心して――」

 

「ん?」

 

メリオダスが、スッとデッドプールとホークの間に立ち塞がった。

その手には、ジョッキではなく、布で巻かれた刃折れの剣の柄が握られていた。

 

「面白い冗談を言う客だと思ったけど……ちょっと詳しすぎるな」

 

店内の空気が、一瞬にして冷たく張り詰めた。

メリオダスの纏う空気が、ただの酒場の店主のそれから、底知れぬ魔力を秘めた『七つの大罪』のそれへと変わる。

 

「お前、誰の回し者だ? なんで俺のことや……王都にいる聖騎士長の名前を知ってる?」

 

「おっとぉ……」

デッドプールは両手を上げ、ゆっくりと後ずさった。

(……ヤバいヤバいヤバい。読者諸君、俺、完全にやらかした! 第1話の団長に最終回のネタバレかましちゃったよ! まだ好感度ゼロなのに、このままじゃ『全反撃(フルカウンター)』で俺の体がミンチにされちまう!)

 

「ま、待てよ団長! 違うんだ、俺はただの通りすがりの、第四の壁を破れる親切な傭兵で……!」

 

その時だった。

酒場の扉が、ギィッと重い音を立てて開いた。

 

そこに立っていたのは、ボロボロに錆びついた、巨大な全身鎧。

ガシャン……と一歩足を踏み出した鎧の人物は、そのまま力尽きたように床へと倒れ込んだ。

 

「……お? まさか今のタイミングで……」

 

デッドプールがぽかんと口を開ける中、メリオダスはデッドプールへの警戒を解かないまま、倒れた鎧へと近づいていく。

 

「……お客さん?」

 

メリオダスが倒れた鎧の兜を外そうと手を伸ばした、その時。

デッドプールが、カメラ(読者)に向かって両手で「T」の字を作った。

 

「はーい、カーーーーット!! 今日はここまで!!」

 

「……え? カット? お前、さっきから誰と喋ってんだ?」

メリオダスが不思議そうに振り返る。

 

「気にするな団長! そういう演出だから!」

デッドプールはズカズカとカメラの前に立ち塞がり、勝手に喋り始めた。




【次回予告】

「いやー、いきなり屋根ぶち破って登場とか、我ながら派手なデビューだったね! 読者のみんなも驚いた?
さてさて、このサビサビの鎧の中身は、みんなお待ちかねの超絶キュートな王女様、エリザベスちゃんだ!
でもって、このあとすぐに鬱陶しい『決定ゥ!』とか言う聖騎士見習い(ツイーゴ君)が襲ってくるんだよなぁ。
俺、あいつの顔面を真っ二つにしてやりたいんだけど、今の団長に怪しまれてる状態でやったら、俺が敵認定されちゃう!? どうする俺!?」

「おい赤い変態、何ブツブツ言ってんだ! さっさと屋根の修理代払え!」
(背後でホークが怒鳴る)

「次回! 八つの大罪 第2話!
『聖騎士見習いツイーゴ登場! デッドプール、早速ヒロインの座を奪う!?』
……いや奪わねえけど! とにかく次回も、チャンネルはそのままで!」

「チャンネルってなんだよ!?」
(メリオダスの的確なツッコミ)

かなり後になりますが、結構物語に関わるオリキャラを出してもいいですか?それとも既存キャラのみで話進めたほうがいいですか?因みに出したいと思ってるオリキャラは最高神や魔神王並みの存在として出すつもりです。

  • オリキャラ出してもOK
  • 既存キャラだけにして
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