八つの大罪   作:ルルルだ。

14 / 16
「これは未だ人と、人ならざる者の世界が、分かたれてはいなかった、古の物語――」
「ブリタニアの地を絶望の淵に陥れ、王国の守護たる聖騎士たちを敵に回した、荒くれ者共の騎士団。その名は――」

「……はい、12回目。読者のみんな、今日は俺、静かにしとくよ……。今の『豚の帽子亭』、まじでお通夜みたいな空気だからさ。俺が喋ると誰かの殺気が飛んでくるんだわ……」


第14話『お通夜ムードの豚の帽子亭! キングの怒りと、自暴自棄のバン!』

ズズン……ズズン……。 ホークママの足音だけが、不気味なほど大きく響いている。

 

酒場の中は、重苦しい沈黙に包まれていた。 カウンターの奥で、メリオダスは一切の表情を消したまま、ただ無言でジョッキを拭き続けている。

その対角線上、店の一番端の席では、バンが三節棍をテーブルに置いたまま、窓の外を血走った目で睨みつけ、一人で酒をあおっていた。

 

エリザベスは、言葉をかけることすらできず、店の隅でオロオロと身を寄せている。

ホークに至っては「俺、息してるだけで殺されそう……」と樽の裏に隠れて震えていた。

 

そして、その元凶であるデッドプールはというと...メリオダスとの約束(脅し)を守るため、自分の口に持参した粘着力の強いガムテープをバツ印に貼り付け、部屋の隅で体育座りをしてポップコーンをむさぼっていた。

 

(あーあ……まじで最悪の空気。俺の口の軽さが生んだ、原作破壊のギスギスパーティ。これじゃ魔神族と戦う前に、ストレスで胃潰瘍になっちゃうよ……俺、胃袋も再生できるけどさ)

 

「……着いたぞ。死者の都に一番近い集落だ」 メリオダスが、感情の乗らない平坦な声で呟いた。

 

「……ちょっと、外の空気吸ってくる」 バンが席を立ち、誰の顔も見ずに店を出て行った。 メリオダスはそれを止めることもなく、ただグラスを見つめている。

 

(うわぁぁぁ! 完全にパーティー崩壊の危機! 誰かこの空気をぶち壊してくれ!)

デッドプールはガムテープの上からポップコーンを押し込みながら、心の中で絶叫した。

 

 

 

寂れた集落の路地裏。 バンは壁に寄りかかり、舌打ちをして空を仰いだ。

 

「……クソが」

 

『メリオダスは魔神族だ』。 デッドプールが放ったその一言が、バンの頭の中で何度もリフレインしていた。

自分が愛した女、エレインを奪った憎き化け物。その同類と、自分は今まで笑い合い、背中を預けて戦ってきたというのか。

怒り、絶望、そして虚無感。バンの中の感情は、完全に限界を迎えていた。

 

「……見つけたよ。強欲の罪-フォックス・シン-、バン」

 

不意に、少年の声が響いた。 バンが視線を落とすと、そこには宙に浮く緑色のクッションに乗った、小柄な少年が浮遊していた。 その手には、巨大な槍が握られている。

 

「……あァ? お前……その匂い、妖精か」

「僕の姿を忘れたかい? まあいいさ。君の命をもらいに来た」

 

ズバァァァァンッ!!

 

問答無用。怠惰の罪-グリズリー・シン-キングの放った『霊槍シャスティフォル』が、目にも留まらぬ速さでバンの胸を貫いた。

 

「ガハッ……!」 バンは血を吐きながら、壁に縫い付けられる。

 

「君が妖精王の森を焼き尽くし、命の泉を奪い……そして僕の妹、エレインを殺した罪。ここで償ってもらう」 キングの瞳には、燃えるような憎悪が宿っていた。

 

だが、胸を貫かれたバンは、いつもなら反撃に転じるはずなのに、力なく両腕を下ろしたまま、自嘲気味に笑った。

 

「……ああ、お前、キングか。随分と縮んだなァ」

「反撃しないのかい? 不死身の君でも、石化の槍ならどうかな」

シャスティフォルの刃が変形し、バンの傷口から灰色の『石化』が広がり始める。

 

「……好きにしろよ」 バンは虚ろな目で、天を仰いだ。

「俺がエレインを守れなかったのは事実だ。……それに、どうせ今の俺は、信じてたモンが何だったかも分かんなくなっちまってるからなァ」

バンの脳裏に、魔神族の紋章を浮かべたメリオダスの顔がよぎる。

 

「エレインの名前を、その汚い口で呼ぶな!!」 キングが激昂し、槍をさらに深く押し込もうとした、その時。

 

「待て、キング!」

 

路地裏に駆け込んできたのは、メリオダスだった。

「バンから槍を離せ。そいつは仲間だ」 メリオダスが刃折れの剣に手をかける。

 

だが、それを拒絶したのはバンだった。 「すっこんでろ……魔神族」

 

ピタッ。 メリオダスの動きが止まる。 「バン……」 「俺に指図すんじゃねェ。……てめェに助けられるくらいなら、石になって砕け散った方がマシだ」

 

バンの吐き捨てるような言葉に、キングも眉をひそめた。 「……魔神族? 団長、バンは何を言っているんだ?」 「…………」

 

メリオダスは無言でうつむく。 最悪のトライアングル。互いの不信と憎悪が絡み合い、もはや誰にも修復不可能なほどに事態はこじれていた。

 

「あーーーーーーもうっ!!!!」

 

ビリィィィィッ!!

 

その時、口に貼っていたガムテープを勢いよく剥がし、顔を真っ赤にしたデッドプールが路地裏に飛び出してきた。

 

「見てらんない! ギャグキャラがシリアスに耐えられる限界は3分までなんだよ! 胃が痛い! 痛覚オフにしてんのに胃が痛い!」

 

「……なんだ、この赤くてうるさいのは」 キングが不審げにシャスティフォルを構える。

 

「妖精の坊っちゃん、お前致命的な勘違いをしてるぞ!!」 デッドプールはズカズカとキングの前に歩み寄り、ビシッと指を差した。

 

「おい、赤い変態! それ以上喋ったら、てめェを――」 バンが叫ぼうとするが、デッドプールは聞く耳を持たない。

 

「バンはエレインちゃんを殺してない! むしろ、森を襲ってきた赤い魔神族からエレインちゃんを守ろうとして、自分の命を投げ出したんだよ!

んで、逆にエレインちゃんに命の泉を飲まされて、不死身になったんだ!」 「……え?」

キングの動きが、完全に停止した。

 

「だからバンは、誰よりも『魔神族』を親の仇みたいに憎んでる! それなのに!

俺が『団長も魔神族だよ』ってバラしちゃったせいで、今バンはメンタルがズタボロのお通夜状態なんだよ!!仲間割れしてる場合か!!」

 

一気に、すべての真相をぶちまけたデッドプール。 路地裏に、再び静寂が降り降りた。

 

「……魔神族が、森を……? バンが、エレインを助けようと……した?」 キングの震える声。シャスティフォルの槍先が、ゆらゆらと揺れる。

 

「余計なこと言ってんじゃねェぞ……トマト野郎……!」

バンは石化が進む体でデッドプールを睨むが、その声には先ほどまでの虚無感ではなく、隠しきれない焦燥と痛みが混じっていた。

 

「ほら! 誤解は解けた! 石化解除!!」 デッドプールはパンパンと手を叩いた。

「ていうか、死者の都って、強い想いを持つ者が死者に会える場所なんだろ!?だったらこんなとこで殺し合ってないで、さっさと中に入ってエレインちゃんの霊から直接話を聞けばいいじゃん! それが一番早い!!」

 

その言葉が引き金となったのか。 バンのエレインへの強烈な『後悔』。キングのエレインへの『未練』。

二人の強い想いに呼応するように、彼らの足元に、花びらが舞い散り始めた。

 

「……これは」 メリオダスが目を見開く。

 

路地裏の空間が歪み、死者たちの魂が彷徨う『死者の都』への入り口が開いたのだ。

 

「よォーし! フラグ建築完了! みんなで行こうぜ、死者の都!」 デッドプールはガッツポーズをした。

 

(ふぅ……これで少しは原作のルートに戻ったか? いや、団長とバンのギスギスはまだ残ってるけど、あとはヒロイン(エレイン)に任せよう!)

 




【次回予告】

「いやー、空気を読むって言ったけど、無理だったわ! 俺に沈黙を強いるなんて、デッドプールに対する最大の拷問だからね! さてさて!
俺の強引なネタバレのおかげで、とりあえずキング君の殺意は引っ込んだ!
いよいよ突入する『死者の都』! そこには、バンが命を懸けて愛した妖精の少女、エレインの魂が待っている!
次回、八つの大罪 第15話『死者の都の再会! エレインの導きと、忍び寄る爆炎の聖騎士!』 次回も絶対見てくれよな!
あ、俺、死んだ人(スタン・リーとか)にも会えるかな!?」

かなり後になりますが、結構物語に関わるオリキャラを出してもいいですか?それとも既存キャラのみで話進めたほうがいいですか?因みに出したいと思ってるオリキャラは最高神や魔神王並みの存在として出すつもりです。

  • オリキャラ出してもOK
  • 既存キャラだけにして
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。