あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。   作:masuda028

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※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


第十話 おいてけぼりの朝

 朝、目が覚めて時計を見た瞬間、不気味なほどの静寂に眉をひそめた。

 いつもなら、五条や夏油の騒がしい声や、せいらが廊下を走る軽い足音が聞こえてくるはずや。せやのに、今日は。

 

(……なんや。今日はあいつら、俺を置いてしょーもない作戦会議でもしとるんか?)

 

 悠々と身支度を整え、寮を出たが……明らかに誰もおらん。

 

 一瞬、思考が停止した。

 

 禪院家の次期当主たるこの俺を置いて、あいつら全員で消えた……?

 

「……なめとんのか、ボケが」

 

 ふつふつと湧き上がる怒りで、手に持った携帯を握りつぶそうとしたその時、通知音が鳴りよった。

 

 せいらからや。

 

 【件名:なおちゃーん!待ってるよ!】

 【送信者:せいら】

  おはよう、なおちゃん!

  今みんなでランドに向かってる電車の中だよ。

  なおちゃんは朝の準備、いつも丁寧に頑張ってるから、ゆっくり来れるように私たちが先にチケット買っておくね!

  でも、なおちゃんがいてくれた方が絶対に楽しいから、早く来てほしいな。

  入口に迎えに行くからね〜。楽しみにしててにゃん♡

 

「…………ふん」

 

 握りしめた拳から力が抜けた。

 なるほどな。俺の「身嗜みに対する拘り」を理解して、あえて先に動いてチケットを確保しといたっちゅーわけか。……まぁ、妥当な判断やな。俺をあんなチケット売場で行列に並ばせるわけにはいかんし、せいらなりに俺を尊重した結果やろ。

 

(俺がおった方が楽しい、か。……まぁ、当たり前やろな。あんな雑種どもだけの集まりに、俺という『格』が加わって初めて完成するもんや、パレードも何もかも)

 

「運転手! キャッティーランドや! 24フレームの速さで飛ばせ。せいらが待ちくたびれとるわ」

 

 せいらの言葉に踊らされとる自覚は、微塵もない。

 ただ、あいつが俺を「必要」としとるんやから、それに応えるんが強者の務めや。

 待っとけよ、せいら。俺が着いたら、最高の休日っちゅーもんを教えてやるからな。

 

──

 

【禪院直哉のセルフコメンタリー】

 

「おい。今すぐ俺のことを『ちょろいな』と呟いた奴、表出ろ。

俺はな、せいらの『論理的な配慮』に納得しただけや。俺の身支度は完璧を期すからな、先にチケットを買っておくというのは、組織としての効率化や。決して、メール一本で機嫌が直ったわけやない。

……それにしても、せいら。

あいつも、やっと分かってきたやないか。

『なおちゃんがいた方が楽しい』やと?

当たり前やろ。五条や夏油みたいなガキどもと、ただのランドを周るのと、俺という『美』と『格』を備えた男が隣におるのとでは、景色の輝きが違うねん。あいつはその真理に気づいただけや。

『入口でずっと待ってる』なんて言われたら、そら急がなあかんやろ。

……まぁ、車内で『どんな顔して合流したるか』を何パターンかシミュレーションしとったんは内緒やけどな。

七海や夏油が裏でコソコソしとったみたいやけど、そんなんどうでもええねん。

結局、せいらが一番待っとるんはこの俺や。

ランドに着いた瞬間に俺を見つけて抱きついてきたあいつの顔、想像してみろ?

あんな幸せそうな顔されたら……まぁ、多少のハブられは水に流してやらんでもないわ」




ここまでご覧いただきありがとうございました。
本エピソードは本編の余燼編●5 の内容です。

旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅
https://syosetu.org/novel/391078/
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