あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。   作:masuda028

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※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


第十二話 8番出口の入り口

【任務内容】取り壊しが検討されていた廃ビル。地下に今は使われていない地下鉄駅がある。事前調査に来ていた取り壊し業者3名が行方不明。三級術師1名を派遣するが消息不明、更に三級術師2名を派遣するが同じく消息不明となっている。

 

「ここが入り口か」

 

 廃ビルの一角、薄暗い場所にその入り口はあった。

 

「三級術師が3人も連絡とれんようになってるって……もう死んどるやろ。外側から壊して終わりにしたらええんやないの?」

 

「なおちゃん!? なんでそんなひどいこと言うの!!」

 

 隣にいたせいらが"ぷー"と頬を膨らませる。せいらは見慣れん猫を腕に抱いていた。

 

「はぁ? お前こそ、そんな畜生なんぞ腕に抱いて、のんきにお散歩にでも行くつもりでおるんかいな」

 

「まーくんは頼りになる助っ人なの。ねー」

 

 猫を自分の頭の上にひょいと置いて、せいらがくるくるまわる。

 まーくんと呼ばれたその猫は、まるで帽子のようにせいらの頭の上で満足そうにしていた。きっしょ。

 

 

「なんで古くなったものは、壊さないといけないんだろうねー」

 

 せいらが手にした長めの枝で、小汚いゴミ山をつんつん突きながら言う。

 

「何言うとんねん。古いもんがそのままあったら、新しいもんが出来へんやろ。"老いては子に従え"ゆう言葉もあるぐらいやから、古いもんはどんどん新しいもんに譲ったらええんや」

 

「でもー。それってなんか寂しくない?」

 

 寂しい? 何を言うとんねんと言いかけると。

 

「あー!!」

 

 せいらが大きな声を上げて、壁にある看板を指差している。

 

「なんや? そんな阿呆みたいな声あげて、どないしたん?」

 

「なんかこの看板に変なこと書いてある!」

 

「変なことぉ?」

 

 異変を見逃さないこと。

 異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。

 異変が見つからなかったら、引き返さないこと。

 8番出口から外に出ること。

 

「なんやこれ」

 

 しかも妙に真新しい看板なのが気色悪い。

 

「んなーーーぅぅぅ」

 

 猫が妙に気持ちの悪い声で鳴いた。今までに眠たげにしていた目を大きく見開いている。ほんまきっしょ。

 

「あっちに行くと0番出口みたいだね。8番出口ってどこだろ?」

 

「普通はいっちゃん離れた所やろな。ここを作った奴がよほど捻くれもんやなければ」

 

「なおちゃん豆腐の角並みに鋭いねー。私もそう思うー」

 

 豆腐の角並みぃぃ?

 

「じゃー0番出口とは逆の方向にレッツゴー!! ……なおちゃん?」

 

 元気に歩き出したせいらが、歩き出さん俺のところに戻ってくる。

 

「どったの? 怖いの?」

 

「そんなわけあるか! ただ考え事しとっただけや!」

 

 にこりとせいらは微笑んで。

 

「じゃあ、わたしが怖いから手繋いでもいいよね?」

 

 するりと手のひらを重ね、指を絡めてくる。

 

「!? ほんま仕方のない奴やなぁ。今回だけやぞ?」

 

「えへへ。なおちゃんは優しいね」

 

「フン!」

 

 手を繋いで歩き出す。

 

 それが、8番出口を探す長い道のりの第一歩やった。

 

──

 

【禪院直哉のセルフコメンタリー】

 

「おい。今すぐその『まーくん』とかいう毛玉を保健所に連れてけ。

誰が帽子やねん。せいらの頭の上で偉そうにしおって、俺ですらそこには……いや、なんでもない。とにかく、任務に畜生を連れてくるなんて、公私混同も甚だしいわ。

……それと、あの看板な。

『異変が見つからなかったら、引き返さないこと』? 誰が書いたんか知らんけど、回りくどいねん。俺の投射呪法があれば、異変なんかフレーム単位で見抜いたるわ。

せいらが『寂しくない?』とか情緒的なこと言うとったけど、古いもんは壊して、俺らみたいな若くて美しいもんが支配するのが世の理や。

……あ、いや。

せいらが急に俺の手を握ってきた件についてやけどな。

あれはあいつが『怖い』言うたから、騎士道精神(?)で貸してやっただけや。

『豆腐の角並みに鋭い』とか、褒めとんのか貶しとんのか分からん例えを出しよるけど、あんな風ににこにこ笑って見上げられたら、まぁ……多少の無礼は許してやらんでもない。

……指を絡めてきた時、俺の心拍数が上がったんはな、地下特有の湿気で空気が薄かったからや。決して、あいつの体温が心地よかったとか、そんなん一瞬も……一瞬も思てへんからな!

待っとけよ。8番出口でもどこでも、俺がさっさと見つけて外出したるわ。

せいら、俺から離れんなよ。危ないからな(建前)」




ここまでご覧いただきありがとうございました。
本エピソードは本編の遷光編●14 の内容です。

旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅
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