あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。   作:masuda028

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※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


第二十話 呪霊操術使いの悪意

 夏油の野郎が根城にしとる薄暗いホール。カビ臭い空気と呪霊の気配が混じって反吐が出そうや。せやけど、俺は今日、どうしても確認せなあかんことがあった。

 

「おい、夏油。聞いたで。『一妻多夫』なんてアホみたいなルールを作ったらしいな」

 

 胡散臭い笑顔で傑が抜かしおる。呪術師の救いやら合理的やら、相変わらず何を言うとるんか分からん男や。せやけど、話の核は一つ。せいらと「結婚」できる枠が、まだあるっちゅーことや。

 

「元々せいらは五条家の人間や。禪院家の俺が貰い受けるんが世の道理やろ! 正夫がお前やなんて笑わせんな。俺の方が相応しいわ!」

 

 俺が吠えると、傑の瞳からスッと温度が消えよった。

 あいつが提示したんは「挑戦権」。500万という、俺の財布の肥やしにもならん端金を「挑戦料」として受け取りよったが、本番はそこからやった。

 

「三つ目──『せいらの幸福を守る』実力を証明しろ、やと?」

 

 瞬間、足元から湧き出してきたんは、反吐が出るほど陰湿な呪霊の群れや。

 一匹一匹は雑魚やが、殺しても殺しても無限に湧きよる。俺の投射呪法は「一対多」には向いとらん。あいつ、わざと俺の術式の弱点を突くような戦い方を選びおった。

 

「ハァ…ハァ…なんやこれ! 最も非効率で陰湿な戦い方やな!」

 

 俺は気づいた。この雑魚どもを相手にしとる限り、俺のリソースが先に尽きる。

 狙うんは、あの糸目の本体や!

 俺は術式を限界まで凝縮し、文字通り光の速さで夏油の顔面に突っ込んだ。

 

「正解は、お前自身を潰すことや!!」

 

 俺の拳が、あいつの頬を捉える──そう確信した瞬間、景色が歪んだ。

 傑は流れるような動きで俺の突進をいなし、背後から特級の重圧が俺を地に叩きつけた。

 

「ぐあっ……!!」

 

 視界が赤く染まる。俺を見下ろす傑の目が、これ以上ないほど冷徹やった。

 

「敗北だ、直哉。そして……せいらにこの仕組みを説明して、承諾させること。君には到底出来ないだろう?」

 

 ……クソが。

 力でねじ伏せられたこと以上に、せいらの「無垢」を盾にされて、手も足も出せへん自分に腹が立つ。

 夏油傑……お前、せいらの隣に立つ資格があるんは自分だけや思とるんか。

 

「……見てろや。俺は絶対、諦めへんからな」

 

 血反吐を吐き捨てながら、俺は心に決めた。力で勝てんのなら、別の方法でせいらを分からせてやる。俺が、俺だけが、せいらを一番に考えてるっちゅーことをな。

 

──

 

【禪院直哉のセルフコメンタリー】

 

「おい!! 今すぐこの『敗北』の文字を消せ!

俺は負けたんやない。戦術的撤退や! あの糸目、特級呪霊を盾にしながら自分は一歩も動かへんとか、卑怯にも程があるやろ! 正々堂々と拳で語り合えや!

……せやけど、500万。

あいつ、あんな額で俺が引くと思とったんか? 舐められたもんやな。

せいらとの『良縁』を求める奴が多いやと?

……チッ。どこの馬の骨や。五条の親戚か? それとも学園のクソガキどもか?

せいらの周りには変な虫がつきすぎや。俺が二番目(次夫)に入って、害虫駆除したる言うてるのに……。

傑の野郎、『せいら自身に承諾させることは出来へん』とか抜かしおったな。

あのアホみたいに純粋な女に、このドロドロした関係をどない説明せぇっちゅーねん。

……せやけど、俺は知っとる。

せいらは『なおちゃんがいた方が楽しい』って言うてくれた女や。

理屈やシステムやない。俺の存在そのものを、あいつに認めさせてやる。

夏油。

お前が『愛のシステム』やらで武装しとる間に、俺はせいらの『心』に直接投射したるわ。

500万はくれてやる。……せやけど、次に会う時は、せいらの方から『なおちゃんと結婚したいにゃん』って言わせてやるからな! 見とけよボケが!」




ここまでご覧いただきありがとうございました。
本エピソードは本編の炎陽編●5 の内容です。

旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅
https://syosetu.org/novel/391078/
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